機動戦士ガンダム00 #25(最終回)

#25(最終回)「刹那」

 -エクシア VS アルバトーレ 戦闘区域-
 「忌々しいイオリア・シュヘンベルグの亡霊どもめ・・・この私、アレハンドロ・コーナーが貴様らを新世界の手向けにしてやろうっ!
 複数機の擬似太陽炉によるフィールドの防御力、いや破壊力は絶対だった。
 もぐりこませた強襲コンテナ自爆による衝撃にも傷を負うこともなく、「エクシア」の攻撃にも揺らぐことはない。
 「その程度でアルバトーレに対抗しようなど・・・片腹痛いわっ」

 既に「ナドレ」は大破。「キュリオス」も半身を砕かれ、通常であれば戦闘を離脱するほどの損傷を抱えている。
 そして、彼等のリーダー格であった「ロックオン・ストラトス」はもう現世にいないのだ。
 
 -キュリオス VS GN-X(ジンクス) 戦闘区域-
 「俺は生きる。他人の生き血をすすってでもなぁ」
 今「キュリオス」の機体を支えているのは「ハレルヤ」の意志であった。戦闘には優しすぎる男「アレルヤ・ハプティズム」。「人革連」の「ソーマ・ピーリス」に感応する精神もあり、本戦闘ではもっぱら彼が先頭へと立っている。
 『僕も生きる。・・・僕は、まだ世界の答えを聞いていない。この戦いの意味すら・・・。それを知るまで僕は、死ねない』
 ガラス越しに「アレルヤ」が訴える。この戦いは彼自身にとっても命を賭けるに値する戦いなのだ。
 そして、「ハレルヤ」は彼の意志を感じ取った。今こそ、我らがひとりになるべき時なのだと。
 「ならあの女に見せつけてやろうぜ。本物の・・・超兵って奴をなぁあっ!!」
 ヘルメットを脱ぎ去り、髪をオールバックにして両目を見開く「ハレルヤ」。「ヘテロクロミア」の瞳が、今、姿を現した。
 同じGN粒子を放つ「GN-X」と相対する「キュリオス」。奇しくも搭乗者は「セルゲイ・スミルノフ」、そして超兵「ソーマ・ピーリス」だった。
 「少尉っ!」
 暗黒の宇宙に「セルゲイ」の言葉が響き渡る。半身が損壊した状態で「GN-X」2機と互角以上の戦闘を繰り広げる「キュリオス」。
 「今までのようにはいかねえぇっ、そうだろう、アレルヤ!」
 今、「アレルヤ・ハプティズム」は初めて「ガンダムマイスター」の能力全てを出し切ろうとしていた。

 -エクシア VS アルバトーレ 戦闘区域-
 防御に隙無く、攻撃に死角無し。
 単体としては鬼神の強さを見せる「アルバトーレ」に対し、「エクシア」は明らかに苦戦を強いられていた。「GNアームズ」と合体し「GNアーマー」へと姿を変える「エクシア」。
 しかし、「GNアーマー」の攻撃力を持ってすら、フィールドの壁を越えることは叶わなかった。
 「ファングッ!」
 十数機のGNファングが宇宙を駆ける。個々のファングがまるで意志を持つかのように動き回り、ビーム攻撃を「GNアーマー」へと浴びせかける。通常のパイロットであれば数分も持たないであろう攻撃を、「刹那・F・セイエイ」は耐え、反撃までもこなしていた。
 「狙い撃つ!」
 無意識に狙撃の名手、「ロックオン」の言葉を口にする「刹那」。
彼の腕前を彷彿とさせるかのように、次々と堕とされていくファング。さらに「GNアームズ」を操縦する「ラッセ・アイオン」の手腕もあり、モビルアーマーである「アルバトーレ」の両腕を破壊することに成功する「GNアーマー」。
 しかし、その攻撃は「ラッセ」の死を辞さない姿勢の故であり、代償として奪われたのはかけがえのない命であった。
 「刹那・・・俺たちの存在を・・・っ」
 半壊する「アルバトーレ」と共に「キュリオス」から離れ、爆発する「GNアームズ」。「刹那」の叫びが、GNソードに託された。
 「うわああああぁあああぁぁあああっ!!」

 フィールドを越え、装甲を切り裂き、徹底的なダメージを与えていく「キュリオス」。
 「馬鹿な・・・ガンダム一機に・・・私のアルバトーレが・・・」
 次の瞬間、「キュリオス」の背中で「アルバトーレ」の爆発音がとどろいた・・・。

 というわけで最後は感想をお休みしつつ(申し訳ない)お届けした「機動戦士ガンダム00」。
 正直、終盤の「グラハム・エーカー」投入は余計だったと思うし、エピローグ(4年後)での新キャラクターお披露目や、説明放棄の事態収拾には不満大ですが、締めとしてはまずまずの盛り上がりだったと思います。
 (「パトリック・コーラサワー」が生きていたのはGood Jobです。(^^;))

 もともと前半2クール放送後、休止期間をおいて後半2クールを放送する形式を採用した本作。
 作品全体の評価は避けたいと思いますが、前半部の印象を聞かれたら「エンジンのかかりが遅かった」と私は答えます。
 最後数話のテンションを保ったまま後半開始・・・というのは難しいでしょうが、休止期間に力を蓄えて、よりよい後半を見せて欲しいですね。

 なお、1話毎に「ストーリー+感想」という形で記述していた本日記ですが、4月からは形を変えて続けたいと思います。
 まだ未確定要素もありますが、今のところは「10点満点の点数+ストーリー概略+感想」という形に変更して、より多くの作品で感想を書いていく予定です。
 これからもおつきあいいただければ幸いです。

 「君の圧倒的な性能に、私の心は奪われた。この気持ち、まさしく愛だっ!」
 「愛!?」

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機動戦士ガンダム00 感想休止のお知らせ

申し訳ありません。m(_ _)m

仕事の都合により、今週と来週の「機動戦士ガンダム00感想」については休止させていただきます。

視聴は先ほど済ませ、「隻眼ロックオン」や「ガンダムスローネ崩壊(さよなら浪川さん)」、「ティエリア・アーデ萌え(神谷さん、第2回声優アワード助演男優賞受賞、おめでとうございます)」、「イオリア・シュヘンベルグの罠」、「擬似太陽炉は所詮擬似」・・・と書きたいことはたくさんあるのですが、一応本業優先と言うことで。

それでは、再来週にお会いしましょう。

2008/03/22 追記。
ごめんなさい。今週も感想は無理そうです。
なんとか、なんとか最終回は・・・頑張ってみます。たぶん。
それでは~。

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機動戦士ガンダム00 #21

#21「滅びの道」

 -人革連 天柱極市警察署-
 雨の降る中、「沙慈・クロスロード」の足取りは重かった。
 彼の目の前には、ジッパーがついた巨大な人型の袋がある。入っているのは、かつて笑いあい、話をし、一緒に生活をしてきた人。・・・「人間だった」もの。
 「生体データ照合の結果、絹江・クロスロードさんであると・・・ご確認お願いします」
 不思議と冷静だった彼は、言われるがままにジッパーを降ろす。そこには見慣れた家族の姿があった。
 「姉さん・・・」
 彼女の頬に涙がこぼれる。まるで彼女自身が流したように、頬を伝わっていく液体は数を増していく。
 それは「沙慈」の流した涙。冷静だった心の壁を壊すように、あふれ出ていく涙。
 遺体に抱きつき、姉の名を叫び号泣する弟。しかし、彼女はもう、応えることは出来ない。

 -ソレスタルビーイング 最高機密地区-
 「これが、ヴェーダの本体。・・・イオリア・シュヘンベルグ。いや、ソレスタルビーイングの計画そのものの根幹を成すシステム。できるかい、リボンズ?」
 宇宙服に身を包んだ「アレハンドロ・コーナー」は、床下に見える巨大なコンピュータシステムへの操作盤を彼に委ねた。
 いつも通り、彼の従者として完璧な姿を見せる「リボンズ・アルマーク」は、主の命に従う。
 「少々、お時間を頂くことになりますが」

 もはや頼もしささえ感じる彼の言葉を聞きながら、「アレハンドロ」は満足そうに頷く
 「構わんさ。コーナー家はこの時のために、200年以上も待ち続けてきたのだから

 -ソレスタルビーイング 戦闘母艦プトレマイオス-
 忙しい日々が続いていた。擬似太陽炉を有する「トリニティ」の出現に驚く間もなく、彼等の有する「ガンダムスローネ」を追い払う国連軍の存在。可能性はひとつしかなかった。
 「クリス、ヴェーダを経由して、トリニティを退けた部隊の映像を出して」
 スクリーンに投影されたシルバーのモビルスーツ部隊は、皆が紅いGN粒子を放出していた。
 「やはり、擬似太陽炉搭載型」
 戦術予報士としては、自分の推測が的中したことを誇るべきか。もっとも、自分の予想が外れていてくれた方が、どれだけ楽なのかと「スメラギ・李・ノリエガ」は苦々しくスクリーンを見つめていた。

 -アフリカ大陸 北西部-
 もう幾日も連絡が取れない彼等の後ろ盾、「ラグナ」に対して怒りを隠そうともしない「ミハエル・トリニティ」。
 妹の「ネーナ・トリニティ」とて、心中穏やかではない。
 「ヨハン兄、どうするの私ら」
 リーダーとして、長兄として「トリニティ」を引っ張る「ヨハン・トリニティ」も、今は応える言葉を持っていなかった。
 そして、今の彼等が「アレハンドロ」の言葉を聞いたとしたらどう思うであろうか。「ラグナ・ハーヴェイはジンクスの配置を終えた。ということは・・・彼の役目もここまでか」との言葉を。

 -ソレスタルビーイング 戦闘母艦プトレマイオス-
 「ごめんね、無理させちゃって」
 最近、嫌な予感ばかりがあたる。いや、「予感」ではなく「予報」というべきか。
 『本来であれば不要の仕事なのだけれど・・・』
 徹夜仕事を続ける部下達へ差し入れを渡しながら「スメラギ」は進捗状況を確認する。
 「・・・システムの構築具合は?」
 「8割といったところです。でも、いいんですか? ガンダムからヴェーダのバックアップを切り離すと、パイロットの負担が・・・
 『偉い人は言いました。「こんな事もあろうかと」ってね。でも、準備がこれだけ大変だとは。言うは易しよね』
 「じゃあ、もうひと頑張り、お願いね」
 これもまた「言うは易しかな」と、「スメラギ」は艦橋から出るとき、そう思っていた。

 『状況から見てヴェーダのシステムを何者かが利用していることは確実。しかし、ヴェーダ無くして同型機に対抗することなど、できるのか?』
 普段は心に描くことのない感情。これが「不安」というものかと「ティエリア・アーデ」は感じていた。
 その不安を見透かすかのように、同じ「ガンダムマイスター」の一員「ロックオン・ストラトス」が姿を現す。たとえ「ヴェーダ」のバックアップが宛てに出来なくても、「ガンダム」と「スメラギ」の戦術予報があると話す「ロックオン」に、「ティエリア」は反論する。
 「あなたは知らないようですね。彼女が過去に犯した罪を」
 「知ってるさ。誰だってミスはする。彼女の場合、そいつがとてつもなくでかかった。が、Msスメラギはその過去を払拭するために、戦うことを選んだ。折れそうな心を酒で薄めながらな。・・・そういうことができるのも、また人間なんだよ
 人間。決して完全ではない生物。ミスを犯し、過去の失敗から何も学ばない。だからこそ「マザーコンピュータ ヴェーダ」が造られたのではないのか、そしてまた私も・・・。
 彼の思考は「アレルヤ・ハプティズム」からの呼び出しで中断する。敵が、迫りつつあった。

 追い詰められた「トリニティ」。そしてまた、「ガンダムマイスター」達も。
 「ソレスタルビーイング」内にて状況だけ見れば、「切り捨て」もまた「ヴェーダ」の計画!?と考えちゃいますねぇ。
 「ヴェーダ」がハッキングを受けていると知っている「スメラギ」や「ティエリア」達は、そこにこそ疑いの目を向けるのでしょうが、「トリニティ」の胸中や如何ばかりなのでしょうか。なんか不憫になってきましたよ。
 そして、「アレハンドロ・コーナー」以上に怪しさ爆発の「リボンズ・アルマーク」。マジで彼は何者なのでしょうか。
 「ティエリア・アーデ」以上に造られた存在!?

 前回当たりから「締め」に向かっている「ガンダム00」ではありますが、未だ謎は深まるばかり・・・ですね。

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機動戦士ガンダム00 感想休止のお知らせ

出張のため、今週末の「機動戦士ガンダム00感想」につきましては休止させていただきます。
申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
・・・期末は忙しいっす。(心が亡くなると書いて忙しい)

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機動戦士ガンダム00 #19

#19「絆」

 「エクシア・・・目標を捕捉。3機のガンダムスローネを紛争幇助対象と断定し、武力介入を開始する。エクシア・・・目標を駆逐する!」
 目前にいるのは敵。「その機体はガンダムではあり得ない」。少年の叫びはコクピット内に響き渡る。
 抜き出された刃が「ガンダムスローネ」への喉元へと突き出された。

 「聞こえるか、エクシアのパイロットよ。・・・なぜ行動を邪魔する?我々は戦争根絶のために・・・」
 冷静な問いかけにも「刹那・F・セイエイ」の行動は変わらない。「錯乱したか?」チームのエースであり、兄弟の長男でもある「ヨハン・トリニティ」は「ミハエル・トリニティ」と「ネーナ・トリニティ」へと命令を下す。「応戦しろ」・・・と。
 戦いは3機の「ガンダムスローネ」に1機の「ガンダムエクシア」が挑む構図である。
 性能が互角であれば数が勝負を決める。子供でもわかる無謀な行為であった。しかし、そうはならなかった。
 彼の、「刹那」の援軍として他のガンダムパイロット達が動いたのだ。
 「ティエリア・アーデ!?」

 戦艦を思わせる巨大なビーム砲が「エクシア」と「スローネツヴァイ」の間を貫く。通常のモビルスーツではありえない光。無限とも言える出力を有すGN粒子ならではのビーム攻撃。それもこの太さ、撃てるのは「ヴァーチェ」意外にはあり得なかった。
 「ヴァーチェ、目標を破壊する」

 -ソレスタルビーイング 戦闘母艦プトレマイオス-
 「エクシアがスローネと戦っている!?・・・ティエリアまで・・・」
 誰もが「トリニティ」のやり方は気にくわなかった。冷静な判断を下すべき「スメラギ・李・ノリエガ」ですら、心の中では喝采を隠しきれない。
 「しかし、彼等の行動が計画の一部である可能性も・・・」
 「私たちがこうして動くことも、計画に入っているかもしれないわ」
 結局、彼女が指示を待つ「ロックオン・ストラトス」に与えた内容は「可能であれば戦闘を止める」のひと言であった。

 -地上 ソレスタルビーイング潜伏場所-
 「全くとんでもないことをするな、あのきかん坊は。・・・けど、そのお陰でMsスメラギの腹も据わった。それにな・・・刹那の気持ちもわかるのさ。あいつはガンダムそのものになろうとしている。紛争根絶を体現するものにな」
 「ロックオン」も出撃をする。「スメラギ」の命令の言葉、その奥にある「彼自身の判断」によって。

 -地上 某ビル-
 「ガンダム同士の戦い
 「・・・思ったより早かったな。第三段階への移行。もう後戻りはできんか・・・
 国連大使でもあり「監視者」としての使命を帯びる「アレハンドロ・コーナー」の後ろに立つ少年「リボンズ・アルマーク」はアルカイックスマイルを浮かべた。

 -海上 ガンダムスローネ戦闘地域-
 「まさか君と共に、フォーメーションを使う日が来ようとは思っても見なかった」
 「俺もだ」
 普段反目し、それを隠そうともしない「刹那」と「ティエリア」。しかしこのコンビネーションは見事であった。
 数の上の劣勢を補う戦術的フォーメーション。そして「ガンダムヴァーチェ」に、「ティエリア・アーデ」に隠された「ガンダムナドレ」だけの特殊能力の発動。状況は、動こうとしていた。
 「何だ・・・機体の制御が」
 地上へと降りていく、いや、地上へと墜ちていく「スローネツヴァイ」と「スローネドライ」の機体。
 制御を失った数十トンもの巨体が、地上へクレーターを造り上げた。
 「ヴェーダをリンクする機体をすべて制御下に置く・・・これがガンダムナドレの真の能力。ティエリア・アーデのみに与えられた、ガンダムマイスターへのトライアルシステム!・・・君たちはガンダムマイスターに相応しくない。そうとも、万死に値するっ!!」

 決着の刻。遠く戦場を離れた「アレハンドロ」の微笑みが、何故か届いたような気が・・・した。

 「何・・・トライアルシステムが強制解除された!?一体何が・・・」
 思い当たるのは、ヴェーダ:レベル7にある改ざんされた領域。やはりマザーコンピュータはハッキングを受けていたのか。
 それ以上の推測は許されようとしなかった。機体の自由を取り戻した「スローネ」が飛び込んでくるのを、「ナドレ」のレーダーは正確に捉えていた。しかし・・・。
 「またガンダム!?」
 「デュナメスかっ!」
 正確に放たれた一筋の閃光。「ロックオン」の射撃が「スローネ」の足を止める。
 「これで3対3だ。フェアプレイの精神で行こうぜ」

 性能でも、数の上でも互角。「トリニティ」のリーダー「ヨハン」は冷静に撤退の判断を下す。
 置きみやげとして、ひとつの情報を残して・・・。

 「ユニオン」、「人類革新連盟」、「AEU」。3大国家群でさえも手詰まりとなった対ガンダム包囲網。もう少しで当初の目的だった「戦争根絶」に手が届きそうでしたが、まだエンディングには早いようです(もっともソレスタルビーイングの真の目的は別のところにあるそうですが)。
 まあこの件は来週に置いておくとして、今回は「トリニティ」との戦いで結束が固まった「ガンダムマイスター」(「ロックオン」の敵情報でも揺るぎともしませんし)と、立ち上がった「沙慈・クロスロード」(彼はこれから何処へ行くのか)、謎の微笑み「アレハンドロ・コーナー」&「リボンズ・アルマーク」、今シリーズのラスボス(?)認定された「アリー・アル・サーシェス」といった辺りが見所でしたね。
 色々と上の方では策略が巡らされていますが、果たしてベクトルは異なっても純粋な「ガンダムマイスター」達が、彼等自身の目的「戦争根絶」を果たすことが出来るのでしょうか(少なくとも今シーズンでは無理かな)。

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機動戦士ガンダム00 #18

#18「悪意の矛先」

 -AEU イタリア北東部-
 イナクトなど、いや、既存のモビルスーツなど相手ではない「ガンダムスローネ」
 彼等の作戦行動という名前の武力行為は・・・残虐行為は今日も世界で行われていた。
 「奴らの武力介入はこれで7度目。あれこれ構わず軍の基地ばかりを攻撃。しかも殲滅するまで叩いてやがる。・・・アレルヤじゃないが、世界の悪意が聞こえるようだぜ
 同じ「ソレスタルビーイング」。同じ「ガンダムマイスター」。
 言葉ばかりが「ロックオン・ストラトス」や「刹那・F・セイエイ」を押さえつける。「トリニティ」の狙いがわからない「スメラギ・李・ノリエガ」は作戦行動を練り直す他はなく、彼等は幾日も足止めを喰らっていた。
 「あれが・・・ガンダムのすることなのか」

 つぶやく「刹那」の心は、静かに燃えていた。

 -地上 某ビル内-
 「新型のガンダムをご存じない・・・監視者であるあなたもですか?」
 思わず口をつけていた紅茶のカップを持ち直す。「王 留美」は目前で優雅にお茶を楽しむ国連大使「アレハンドロ・コーナー」へと視線を送った。
 「私はヴェーダの設定したアクセスレベルにある情報しか知らんよ。彼等のチーム名はトリニティ。操るモビルスーツはガンダムスローネ。わかっているのはこの程度だ。・・・個人的見解だが、作戦行動がやや行き過ぎているとは思うがね」
 本当かしら・・・と「王」はもう一度彼を見つめる。しっかりと言葉を選び、質問をぶつける。
 「あなたは、トリニティの存在も本計画の一部だとお思いですか」
 「そう考えるのが妥当ではないかな。何しろ彼等はガンダムという機体を有しているのだから」

 -ソレスタルビーイング 戦闘母艦プトレマイオス-
 「あのスローネっていう機体だが、システムや装甲は我々と同じ技術が使われていた。・・・(太陽炉については)機能的には同じだが、炉心部にTDブランケットが使用されていない。ドライブ自体の活動時間は有限・・・言ってみればこいつは、擬似太陽炉だな
 技術の漏洩・・・しかし、仮に盗んだところで一朝一夕に出来るものではない。
 「少なくとも、組織の中に裏切り者が居るのは確定だな
 「・・・そのようね」
 答える「スメラギ」の心は、重かった。

 -マザーコンピューター ヴェーダ アクセスポイント-
 『レベル3クリア・・・レベル4,5・・・レベル7にある領域のデータが一部改ざんされている。このデータ領域はいったい・・・拒否された!?
 目前にある何かを見つけるように、「ティエリア・アーデ」はしっかと目を開く。見えるはずはないのに、彼の視点は一点へと固定されていた。
 「何が起こったというんだ・・・ヴェーダ!」

 -ユニオン 共同墓地-
 「ハワード・メイスン・・・」
 まだ早すぎる墓標をまえに、「オーバーフラッグス隊」の隊長である「グラハム・エーカー」は唱える言葉を持っていなかった。
 「奴は、隊長のことをとても尊敬していました。次期主力モビルスーツ選定にフラッグが選ばれたのは、テストパイロットをしていた隊長のお陰だと
 「私はフラッグの性能が一番高いと確信したから、テストパイロットを引き受けたにすぎんよ。しかも、性能実験中の模擬戦闘で・・・
 その言葉は最後まで語ること出来なかった。あれは事故だと、傍らに立つ部下の声が墓地へと響く。
 「隊長、奴はこうも言っていました。隊長のお陰で自分はフラッグファイターになることができた。これで隊長と共に空を飛べると
 決心がついた。いや、既に心の中では決めていたのだ。しゃがみ込んでいた「グラハム」は、襟を正して立ち上がった。
 「奴は、私以上にフラッグを愛していたのだな。・・・ならば、ハワード・メイスンに宣誓しよう。私グラハム・エーカーは、フラッグを駆ってガンダムを倒すと
 次にここへ来るときはガンダム打倒の報告だと、彼は心の中でそう墓標に刻んだ。

 -ユニオン アメリカ南部-
 決して高級ではないバーのスタンドに、軍人と交渉を進める「絹江・クロスロード」の姿があった。
 彼女が懐から少なくない報償を差し出すと、ようやく軍人は口を開き始めた。
 「ガンダムパイロットの会話を偶然聞いちまった。俺のモビルスーツがガンダムに打ち落とされちまってな。救助を待つ間に見つけちまったのさ。・・・ヘルメット越しで顔はわからなかったが、体格と声からしてパイロットは若い女だった」
 「ラグナに報告と、そう言ったんですね。・・・この事を軍には・・・」
 報告はしていないと、軍人はそう語った。あんたみたいなジャーナリストがお金で購入してくれると思っていたと。
 『ラグナに報告・・・ラグナ・・・何かの名前、暗号? 調べてみる価値はありそうね』
 その夜「絹江」の報償で娘の誕生パーティを祝おうと思っていた軍人は、永久にパーティへは出席が出来なくなっていた。
 もっとも、彼女が軍人の死を知ったのは、追加報償の送付先から「該当無し」との回答が届いてからのことだったが。

 -AEU スペイン北部-
 穏やかな気候が、高原へと爽やかな風を運ぶ。若いふたりの旅立ちを祝う鐘の音が、辺りへと心地よく響いていた。
 「おめでとう、ふたりとも。お幸せにね」
 親戚の結婚式へと出席するため、一時帰国をしていた「ルイス・ハレヴィ」は、携帯電話から国際電話をかけていた。相手はもちろん、ボーイフレンドの「沙慈・クロスロード」。
 「はぁい、沙慈。元気してる?」
 言葉がいつもよりも弾んでいるのは、新婚の幸せな姿を目にしていたからか。

 「バイトの途中。シフトを入れすぎてもうクタクタだよ。そっちは?」
 「結構盛り上がってる。花嫁さんがすっごく美人でね。料理も良い感じだし、それから・・・」
 初めは只の電波障害だと思った。それとも携帯電話の操作を誤ったのか・・・。「ルイス」は機械に弱いからねと。
 「ま、いいか。目標金額まであと少し、もう一がんばり・・・」
 初めは只の電波障害かと思った。それとも携帯電話の操作を誤ったのか・・・。「沙慈」はおっちょこちょいだから。
 「もう、どうなって・・・あの光は、もしかして・・・ガンダム!? 凄い、初めて生で見た」
 帰ったら「沙慈」に報告しないと・・・。今回の旅行はいっぱいおみやげ話があるわね。
 見上げた空に、綺麗な飛行機雲が3本できていた。あれ?何かこっちに向きを変えたような・・・。

 それは5分後の惨劇。その合図だった。
 「・・・世界は変わろうとしているんだよ」

 決してメインの出演ではなく、戦闘にも絡んでこなかった「沙慈・クロスロード」と「ルイス・ハレヴィ」のカップル。
 しかし、理不尽な暴力の手は、幸せだったふたりにも襲いかかります。

 傍観者で居ることさえも罪なのか。

 果たしてこの事件は、テーマを語るに必要な事件だったのか。
 「ガンダム」という作品やスタッフを考えれば、彼等の悲劇は予想の範囲内ではありますが、やはり視聴者の心に重くのしかかりますね。

 そして、「刹那」は駆ける。
「エクシア、目標を捕捉。3機のガンダムスローネを紛争幇助対象と断定し、武力介入を開始する。エクシア・・・目標を駆逐する」

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機動戦士ガンダム00 #16

#16「トリニティ」

 プラズマフィールドによる「ガンダムマイスター」破壊
 最悪の状況を救ったのは、彼等自身見たこともない「紅いGN粒子」を放つ機体によるビーム攻撃であった。
 「生きている?・・・大丈夫してる?エクシアのパイロットくん。
 まだ呆然とした意識の中で「刹那・F・セイエイ」は若い女性の声を聞いた。
 「お前は・・・」
 「ネーナ・トリニティ。君と同じ、ガンダムマイスターね」
 新たな機体「ガンダムスローネ」の3号機「スローネ・ドライ」を操る少女は簡単な自己紹介を済ませると、自分の他に兄2人が1号機、2号機へと搭乗しているという。
 「今頃はきっと・・・」

 -同時刻。ガンダムヴァーチェ鹵獲地点-
 「全機、フォーメーションを崩すな。このままガンダムを本部へ連行する。指揮を執ったのはこの俺、パトリック・コーラサワーだ。・・・そうさ、ガンダムが手に入れば、大佐の気持ちだって・・・
 若き「AEU」のエースパイロット「パトリック」の淡い期待は、次の瞬間に霧散した。
 先ほどと同じビーム攻撃が彼の乗る「イナクト」の下半身を破壊。見上げるしかない視界に映るのは、同様に狙撃され、墜落していく味方の機体「ヘリオン」達。捉えたはずの「ヴェーチェ」が、開放される。
 「何だ・・・あの光は・・・」
 困惑を浮かべる「ティエリア・アーデ」の表情は、彼もまた「ガンダムスローネ」について何も聞かされていないことを、如実に物語っていた。

 -ガンダムキュリオス鹵獲地点-
 「総員油断するな。羽根付きがいつまた暴れ出すかもしれん!」
 かつて一度は鹵獲した機体「ガンダムキュリオス」を取り逃した経験を持つ「セルゲイ・スミルノフ」は、慎重を期していた。しかし、事前に全「ガンダム」の特徴を頭に叩き込んだ彼でさえ、想像もつかない事態が今まさに訪れようとしていた。
 「何、このプレッシャーは!?」
 最初に気がついたのは超兵である「ソーマ・ピーリス」だった。「アレルヤ・ハプティズム」と対峙したときの圧迫感が、再び彼女を襲っていた。
 「敵襲だとっ!?・・・なんだこの武器はっ!
 ミサイルでもなければ、ビーム攻撃でもない。鋭角的に突入角度を変えながら「人革連」のモビルスーツへと襲いかかる紅い軌跡。十数機あった「ティエレン」は、瞬く間に「セルゲイ」と「ソーマ」の2機へと数を減らしていた。
 「あの機体は・・・?」
 「ガンダムスローネ2号機、スローネ・ツヴァイ。ミハエル・トリニティ。エクスターミネート、行けよ、ファングッ!
 まさに「牙」を思い起こさせる刃を持った小型ミサイル。いや、自身がビーム攻撃も可能な遠隔操縦の超小型機体は、個々が意志を持つかのように残った「ティエレン」へと襲いかかる。
 「大佐っ!」
 百戦錬磨の「セルゲイ」の機体がダメージを受けるのを「ソーマ」は阻止できなかった。

 -同時刻。オーバーフラッグス隊展開地点-
 「何!?敵襲・・・くっ・・・まさか他にも機体があったとは、聞いていないぞガンダム!?
 オーバーフラッグスを指示する「グラハム・エーカー」の次の命令は一時撤退だった。目標である「ガンダムデュナメス」を目の前にし、転回はあっても撤退など反発するはずのメンバ達も、決して突入、破壊だけをこなす無能な集団ではない。未知な敵(それも恐らくはガンダム)を相手に作戦無しで挑む愚考を彼等は犯さなかった。
 「この機体は・・・ハロは知っているか?」
 飛び跳ねながら「機体に対するデータ無し」と報告するサポートAI「ハロ」。しかし未知なる機体の正体は、通信が明らかにしてくれた。
 「スローネアインのガンダムマイスター。ヨハン・トリニティ。君の仲間のマイスターのところにも、既に私の兄弟達が救出に向かっている」
 その通信の直後、天空を覆わんばかりに広がる「紅いGN粒子」。これもまた「ガンダムスローネ」の能力なのか。
 助けて貰った恩と、未知なる者達への疑心。複雑な感情を持ったまま、空を見上げる「ロックオン・ストラトス」であった。

 派手な登場を見せた「ガンダムスローネ」達。「刹那」達下っ端(おい が知らされていないのはわかりますが、「アレハンドロ・コーナー」達、「ソレスタルビーイング」の監視者(と名乗る)にも彼等の存在は明らかにされていなかったようです。
 敵か味方か、「紅いGN粒子」の秘密は、そして彼等が別行動をしている理由は・・・e.t.c.
 謎は枚挙にいとまがありませんが、「軍事行動」->「ソレスタルビーイング出動」->「圧倒的な能力者で鎮圧」というスパイラルに飽きてきていましたから、彼等の参加は素直に喜びたいですね。
 そして「小西克幸」「浪川大輔」「釘宮理恵」という新たなガンダム声優の誕生に乾杯っ!(^_^)!
 きっと「神谷」さんと同様に、「小西」さんは「小野坂昌也」さんに、いじられるんだろうなぁ(笑

 -お知らせ-
 次回、機動戦士ガンダム00 #17「スローネ強襲」の感想は、業務出張のためお休みいたします。
 申し訳ありませんが、宜しくお願いいたします。うう、土日はしっかりと休みたいのに・・・。(T_T)。

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機動戦士ガンダム00 #15

#15「折れた翼」

 -人革連 タクラマカン砂漠駐屯基地-
 着々と進むガンダム包囲網。
 「まさかな・・・ユニオンやAEUと手を組むことになろうとは
 部下からの報告に、空を見上げる「セルゲイ・スミルノフ」。そこには人革連の領空を我が物顔で飛び回る「AEU」のモビルスーツ部隊の姿があった。

 -ユニオン軍 沖縄近海-
 「部隊総数52、参加モビルスーツ832機。卑怯者と罵られようとも、軍の決定には従わせて貰うぞ、ガンダム!」
 オーバーフラッグス隊を率いる「グラハム・エーカー」の言葉は、「ソレスタルビーイング」に対して、そして「ガンダム」に対しての宣戦布告であった。

 -人革連 国家主席官邸-
 「例の件はどうなっている?」
 落ち着かない様子で報告を受ける国家主席・・・とても人民には見せられない姿ではある。
 『作戦通りとはいえ、テロリストを見逃しているのは精神衛生上宜しくないな』
 スクリーンに映し出された3機のモビルスーツは、こちらの思惑通りに濃縮ウラン埋設地域へと迫りつつある。
 これが「ソレスタルビーイング」への餌となるのだが・・・。

 「・・・演習地域に配置した双方向通信システムに障害反応が出ました」
 「予定通りだ。作戦変更を司令官へ伝えてくれ。我々とて、世論の非難を浴びて演習の場所を提供したのだ。最低でも、2機は欲しいな

 -人革連 タクラマカン砂漠駐屯基地-
 「ガンダムをおびき出すため、政府はテロリストの動きを掴みながらわざと放置したというのか・・・」
 濃縮ウラン埋設地域へと迫りつつあるテロリストを「ガンダム」が撃破したとの報告を受ける「セルゲイ」。それは同時に、ガンダム鹵獲作戦のスタートを意味していた。

 -タクラマカン砂漠 濃縮ウラン埋設地域-
 「敵襲っ!!」
 ヘルメット内部に「アレルヤ・ハプティズム」の声が響き渡る。同時に「デュナメス」の鋭敏なセンサーが数十機ものミサイル接近を告げる。空が、爆炎に染まった。
 「くそうっ」思わず「ロックオン・ストラトス」は声を漏らす。
 物量にものを言わせた、一方的な戦闘が始まりを告げた。

 落としても、倒しても、破壊しても・・・ガンダムの圧倒的な火力でさえ、彼等を全て葬り去ることは出来なかった。
 只ひたすら「GNシールド」に身を包み、身を寄せ合う「デュナメス」と「キュリオス」。
 その事態は、地上に降りた「ソレスタルビーイング」クルーにも予想は出来ていたのだ。

 -同時刻 ソレスタルビーイング潜伏場所-
 「ファーストフェイズの終了予定時刻が過ぎました」
 プールまで供えた保養施設に似つかわしくない重い空気が周囲を支配する。クルーのひとりが「戦術予報士」である「スメラギ・李・ノリエガ」へ今後の予測を問い尋ねる。
 「恐らくは、プランB2へ移行しているはず」
 それは、残る2機のガンダム「エクシア」と「ヴァーチェ」の投入を意味していた。

 持てる最大の戦力を投入し、戦場から離脱せよ。

 マザーコンピューター「ヴェーダ」の、そして「スメラギ」の指示通りに行動を始める「刹那・F・セイエイ」と「ティエリア・アーデ」。「ヴァーチェ」のコンデンサーに蓄積されたGN粒子が、一気に戦場を焼き尽くす。
 「ヴァーチェ、離脱ルートを確保する。GNバズーカ、バーストモード。粒子圧縮率97%・・・GN粒子、開放」
 十数体のモビルスーツを蒸発させ、砂漠へ海溝のような巨大なくぼみを造り上げる「ティエリア」。
 しかし、彼等の作戦行動もまた「人革連」他の連合軍に予期されたものであった・・・。

 先週はお休みしてしまい申し訳ありませんでした。以下、言い訳です。m(_ _)m。
 何しろ日曜日だというのにヘルプの呼び出しで昼過ぎから出勤(しかも自分の職場ではなくヘルプ先の職場へ!)。
 目処がついたので開放されてみれば、25時過ぎであり、(会社持ちですが)タクシーで7,000円ほどかかっての帰宅でしたので、精根尽き果てていました。

 さて、「戦争とは数だよ、兄貴っ!」という誰かの言葉通り、また「9課の弱点は少数精鋭であること」という誰かの言葉通り、物量作戦に勝る作戦は(そうは)ありません。
 我らが「ソレスタルビーイング」も、三大強国の戦費を惜しまない戦力投入に風前の灯火・・・となりましたが、テコ入れ・・・もとい予想外の救援!?が駆けつけるようです。
 新たなるガンダムが3機も登場するという、次回、#16「トリニティ」を刮目して待てっ!

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機動戦士ガンダム00 感想休止のお知らせ

本当に申し訳ありません。m(_ _)m

本業がかなりトラブっていて(25時過ぎまで働いていました・・・)、
今回の機動戦士ガンダム00の感想は休止させていただきます。

まだ視聴できていないし・・・。
来週から頑張って更新を再開させる予定です。

・・・予定は未定といいますが。(^^;)。

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機動戦士ガンダム00 #13

#13「聖者の帰還」

 -アザディスタン王国 首都-
 テロ、もはや内乱とも呼べる事態へと陥った「アザディスタン王国」。
 既に「ソレスタルビーイング」も干渉し始め、「ユニオン」のモビルスーツが市街を歩き回る。
 「アザディスタン第一王女、マリナ・イスマイールです。皆さん、どうか落ち着いてください。神に与えられし契約の地で、国民同士で傷つけ合うことは決してあってはならないことです・・・」
 王女のTV放送も廃墟でただ震える国民達の耳には、ただ虚しく響くだけなのか。

 -アザディスタン王国 王宮-
 「マスード・ラフマディの行方はまだ掴めないのですか!?」
 王女の問いに「シーリン・バフティヤール」は「ユニオン」の協力を仰ぎ、鋭意捜索中と答える。
 太陽光発電の受信アンテナは破壊され、技術者は撤退。文字通り崩壊の危機を迎えている「アザディスタン王国」。
 「ラサ」の行方が事態収拾のカギになっていることは、全ての勢力にとって明白であった。

 -アザディスタン王国 砂漠地帯-
 「アザディスタン側の要請を受けたユニオン、そして武力介入を行った俺たちの他に、内戦を誘発している勢力がいる。俺の勝手な推測だが、(マザーコンピューター)ヴェーダだってその可能性を示唆していたのだろう?」
 手元のパネルを操作する「ロックオン・ストラトス」。映し出されたスクリーンには、受信アンテナ破壊時の予想図が示される。遠方からのミサイル攻撃による破壊・・・モビルスーツが使用された可能性が高いと。
 「だから、刹那に調べに行かせた。この国で、俺たちは目立ちすぎるからな」

 -アザディスタン王国 受信アンテナ建設現場近郊-
 センサーを片手に現場を調べる「刹那・F・セイエイ」。ミサイル発射予測地点で、センサーが反応を示す。
 「残留反応!?確かにここにモビルスーツが居た・・・しかし、どこに?」
 周囲を歩き回る「刹那」。その視界に「ユニオン」のトレーラーが入る。彼等が首謀者!?・・・いや。
 「・・・この反応、やはり間違いないね」
 同じように情報収集へと来ていた「ユニオン」部隊。「刹那」はその正体を知らないが、彼等は「対ガンダム調査隊」の「グラハム・エーカー」と、「ビリー・カタギリ」であった。
 「立ち聞きは良くないな。出てきたまえっ!」
 怒声に驚いた現地人の振りをして姿を見せる「刹那」。普段とは違う、実際の年齢に見合った言動で彼等を誤魔化すことが出来たかに思えたが、「グラハム」は「刹那」に残る一分の隙、そしてその目に何かを感じた。
 「・・・後ろに隠している物は何かな?・・・怖い顔だ。ふっ・・・」
 獲物を握りしめ、しばし「グラハム」を見つめる「刹那」。見返す「グラハム」。やがて、彼は「カタギリ」へと問い尋ねる。一昨日、ここからミサイルを発射したモビルスーツについて。
 「AEUの最新機種、イナクトだったな。しかもその機体はモラリアのPMCから奪われた物らしい。・・・撤収するぞ」
 去っていく「グラハム」達へ目を向ける「刹那」。彼は一体何を考えているのか、これは何かの罠なのか、いや、それよりも・・・。
 「PMCのイナクト・・・まさか・・・奴が・・・あの男が、この内紛に関わっている!?」

 一年越しとなった「刹那・F・セイエイ」編。私的には予想以上に盛り上がった後編でしたが、如何でしょうか。
 戦争の無情さも、非道さも、個人の無力さも、対話の意味も、30分弱に凝縮されていましたね。
 予想通り「アリー・アル・サーシェス」との決着はつきませんでしたし、「グラハム・エーカー」とは戦いすらしませんでしたが、結構印象に残る回となりました。「紅龍」の格闘術も拝見できましたしね。(^^;)。
 「刹那」個人としてもトラウマ克服・・・とまではいきませんでしたが、非武装で王宮へと歩み行く姿に彼の決意(&ソレスタルビーイングの想い)は感じ取れました。※同時に「甘さ」も・・・ですが。
 また、彼と「マリナ・イスマイール」との間にも、今後に向けての接点が生まれたのではないでしょうか。

「刹那・F・セイエイ!・・・本当に、本当にあなたなの?」
「マリナ・イスマイール。これから次第だ。俺たちがまた来るかどうかは。・・・戦え、お前が信じる神のために」

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