うえきの法則_TV47
第47話「神になったアノンの法則」
「植木耕助」達が三次選考突破の祝賀パーティを楽しんでいた頃、世界の趨勢(すうせい)を決める大切な一戦が、ここ天界で行われていました。天界代表「神様」VS地獄界代表「マーガレット」による争いは、ほぼ互角。互いに切り札ともいえる、十つ星神器「魔王」を打ち合いますが・・・。
そんな戦いが行われているとはつゆ知らず、戦い前の最後の夜を過ごす「植木」達。流石に緊張するのか、今夜は誰もが眠れぬ様子。
「森、泣いても笑っても・・・明日の四次選考で最後だな。頑張ろう。・・・みんなと会えて良かったって、ちゃんと思えるかい?」
水を飲みに来た「植木」は、読書で時間をつぶす「森あい」に声をかけます。まるで今生の別れのような彼の言葉に「これからも会おうと思えばいつでも会える」とあきれながら返す「森あい」。もっとも彼女も「アノンに勝つことができたら・・・」と注釈をつけますが。
「それもそうだな。・・・森、これ、お前にやるよ」
以前、実家で受け取ったお守りを渡す「植木」。やはり一番危険なのは戦いの素人「森あい」だと彼は忠告します。
「神様のご加護があるぞ・・・へへっ」
「あの『神様』のご加護でしょう」と半信半疑で受け取る「森あい」でしたが、「勝とうな」との言葉には「うん」とひと言、頷くのでした。
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「明日はついに四次選考か・・・。今日はみんな頑張っていたなぁ・・・」
満月が輝く夜空の下で今日の戦いを思い出す「ヒデヨシ」。「鈴子・ジェラード」や「佐野清一郎」の戦い、「森あい」や「植木」の戦い・・・。彼らは今日、持てる力の全てを出した戦いを繰り広げました。そして、仲間を見つめ直すと言うことは、自分自身も見つめ直すと言うこと。
「俺は・・・口だけか・・・」
直接バトルで役に立てない自分自身を恥じ入る「ヒデヨシ」。彼の脳裏には、いつも自分を応援してくれる「たいようの家」の子供達が浮かびます。
「ちくしょうっ・・・一体何をやっているんだよ・・・俺は・・・」
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「ここまでほんま長かったけど、いよいよ明日が最後やな・・・。よっしゃ、一発気合いを入れていこうか、鈴子!」
ファイティングポーズを取り、気合いを入れ直す「佐野」。彼の言葉に「鈴子」は「そうですわね・・・」と気のない返事をします。
「・・・ロベルトのことか?」
心の中で考えていたことをずばり当てられて驚く「鈴子」。彼自身は恋愛には疎いのですが「じっちゃん」に教わった「一度好きになった者は、何があってもなかなか嫌いにはなれない」という言葉を「佐野」は口にします。
「大丈夫やて、心配するな。ロベルトは絶対取り戻してやる。あのアノンとかいう奴をぶっ倒してな」
「・・・はいっ」
※「佐野」と「鈴子」、良い雰囲気かな・・・と思いましたが、彼女はまだ「ロベルト・ハイドン」を忘れられない様子。それにしても、ニブい「佐野」が気づくのですから、「佐野」の方はちょっと脈あり?
同時刻、ふいに訪れる巨大な地鳴り・・・。
「何の音ですの!?」
辺りを見回す「鈴子」に、「佐野」はひとつの方向を指さします。
「あっちの方や!」
走りゆく彼らの前方に見えるのは、太陽が地に落ちたかというほど巨大な光。やや離れた「ヒデヨシ」からも視認できるほどの閃光の正体は、大質量のエネルギーがぶつかった跡でした。
「これは・・・もともと岩山だったところが削られて、谷になっていますわ」
「・・・何がどうなったら、こないになるねん。・・・あぶないっ!」
上空より降り来る赤い光に「鈴子」をかばう「佐野」。そのまま地面へと激突した光は、岩山の跡にまたひとつ深い穴を設けます。そしてそこから現れたのは・・・彼らも見知るひとりの人物でした。
「あれは・・・神・・・」
続いて降り来るは青い光「マーガレット」。神器を競い、戦いあうふたりの姿を「佐野」と「鈴子」はただ眺めることしかできません。
「こいつらが・・・ここをこんなに変えよったんや・・・」
神器・・・肉体戦・・・十つ星神器「魔王」・・・神器・・・肉弾戦・・・。いつ果てるともない戦いを繰り広げる「神様」と「マーガレット」。
「わかるものか・・・。我ら一族がどのような仕打ちを受けてきたのか・・・お前などにわかるものか!・・・未来など、くそ喰らえだぁっ!」
※あの「マーガレット」が感情をむき出しにして戦っています。流石に「神様」・・・というべきか、それでも互角な「マーガレット」の方が凄いのか。
十つ星神器「魔王」も撃ち果たした両者。お互い、並の神器では相手を傷つけることすらできません。
「結局勝負つかずか・・・。過去のために生きてきたお前と、未来に生きてきた俺・・・。どちらが正しかったかわからずじまいの、骨折り損じゃのう」
ガハハ笑いをする「神様」に対して、フフフ笑いをする「マーガレット」。彼はそのまま、この戦いすら茶番だとあざけります。
「ふざけるな。最初から本気で勝負しようとすら思っていなかったくせに。・・・神器を使えなくする、神アイテムがあることは知っている。確か『止めるくん』だったよな。それを使っていればこの戦い、最初から僕に勝ち目はなかっただろう。・・・この期に及んでまだ僕を変える気でいたとはね。僕は今までの生き方が間違っていたとは思わない。過去があるから現在があるのだからね。哀れな末裔と笑いたければ、笑え。・・・これがモリビトの一族、私の宿命なのだから。・・・・・・だが、今を楽しく生きるためには、未来も必要なのかもな。・・・ということにしておいてやる、一応引き分けだしね」
まるで天界と地獄界の戦いのように、永久に続くかとも思われた両者の戦い。ふたりの勝負の結果は「引き分け」として決着がつきました。・・・そう、このふたりの戦いは・・・ですが。
「ふう・・・これで四次選考も無事かのう・・・」
去りゆく「マーガレット」を見ながら、息を吐いた「神様」。そこに三つ星神器「快刀乱麻(ランマ)」を引きずってひとりの少年が現れます。そしてその少年は・・・。
「違うよ・・・父さん」
慣れ親しんだ声に振り返る「マーガレット」。彼の視線に映ったものは・・・「ランマ」にて肩口から上半身を切り裂かれたひとりの男の姿。白目を剥き、生気がない表情の男、それは先ほどまで死闘を繰り広げていた相手。そう「神様」でした。
「生きるために必要なものは力さ。・・・神様、四次選考は僕が引き継ぐよ」
※「ロベルト」が「マーガレット」に裏切られ、「アノン」に襲われた夜を思い出します。あのときと同じように、「アノン」は「マーガレット」が思いを変える可能性を予見していたのでしょうか?・・・万が一のために気を練り、チャンスを待ち、いざ事となったら迷いなく実行する。実に恐ろしい少年です。(T_T)。
「ありがとう、神様。・・・あなたの役目はここまでですよ」
目の前で倒れている男が「神様」だと信じられないかのように、唖然とした表情を浮かべる「マーガレット」。そんな彼にいつもの表情のまま、「アノン」は淡々と語りかけます。
「ごめんね、父さん。僕は最初からモリビトの一族なんてどうでも良かったんだ。・・・この際だから言うけれど、僕は父さんやご先祖様みたいに、代々続いてきた家柄や仕事なんて継ぐ気はないから。・・・だって僕には、僕の夢があるんだもの。・・・誰もが望む、他愛もない夢さ。・・・これが『止めるくん』か、僕が貰っておくよ」
「アノン」は「神様」の懐から「止めるくん」を取り出すと、僅かに息のある「神様」を起こして宣言します。四次選考は若干ルールを変えて僕が引き継ぐ・・・と。
「・・・いただきまーす」
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「神様」がルールブックというのであれば、自分が「神様」に変わればいい。そんなことは簡単さ。だって僕は「モリビトの一族」だもの。
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その場を見守る・・・いえ、視線を逸らすことさえできずに立ちつくす「佐野」。彼はかつて「アノン」が言っていたことを思い出します。
「僕は地獄人アノン。取り込んだ者の能力を使うことができる。ロベルトの理想を現実に変える能力も、そして神器も・・・」
※見ているだけでお腹がいっぱい・・・。うっぷ。(>_<)。
自身の夢を叶えるためには「より強い相手と戦う必要がある」と話す「アノン」。三次選考をそのまま進めたのも、相手をより強くするためだったと彼は話します。
※そしてこの会話を「佐野」に聞かせているのも、全て自分の思惑通りと彼らに思わせ、怒りのパワーでより強くさせるため?
「流石神様だ・・・道を創るのには丁度良い、おあつらえ向きの能力を持っているじゃないか。・・・亜神器『天地創造(テンソウ)』!」
その言葉通り、瓦礫を巨大な「道」へと創造しなおした「アノン」。続けて「止めるくん」に備わった映写機を利用し、夜空に自分自身の姿を映し出します。
「え・・・っと、皆さん、起きてください。スケジュールを変更しまーす。・・・繰り返します。スケジュールを変更しまーす。明朝より、四次選考を行う予定でしたが・・・只今より四次選考を開始いたしまーす」
かくして「神」亡き世界へと化した「うえきの法則」。全ては「アノン」の思惑通り、彼の「夢」を叶えるために物語は進んでいきます。叶えるためには「より強い相手と戦う必要がある」という彼の「夢」。その正体を視聴者は知るよしもありませんが、ひとつだけ確実に言えることがあります。それは「アノン」の「夢」を止めるのは一人しかいないということ。「植木耕助」!お前に賭けたぁっつ!!
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