ARIA THE NATURAL_TV03
第3話「その 流星群の夜に…」
以前、日本でも「獅子座流星群」などが話題になりました。現代科学に囲まれてリアリストになった私たちさえ、一瞬の間ロマンチストへと変えてしまう「流星群」。果たして「ネオ・ヴェネツィア」の人達は、「流星群」をどういった気持ちで眺めるのでしょうか。
昨日は暖かかったのに今日は寒い。日本と同じように季節の変わり目がある街「ネオ・ヴェネツィア」。寒さと肩こりを相手に頑張る「ウンディーネ」達に、天からちょっとした贈り物があるようです。
「うわぁ・・・流星群」
天気予報のサイトでは、大規模な流星群の予報が表示されていました。
「よしっ、見に行こうか」
早速予定を立て始める「灯里」「藍華」「アリス」の3人。暖かい格好をして、温かい飲み物をもって・・・。打ち合わせは順調に進みますが、「アリス」がふと「流星」の生い立ちについて先輩達に質問をします。答えることの出来ない「灯里」達に対して、書籍から得た情報を伝えようとする「アリス」。ところが、彼女自身も「重力」が関係していることまでは憶えていましたが、そこから先がスムーズに出てきません。
「重力のことでお悩みですか?・・・藍華さん・・・それに灯里さん、アリスさん、お久しぶりです」
と、そこへ、食料の買い出し帰りにたまたま立ち寄った「アル」が助け船。「ノーム」として惑星「アクア」の重力を管理する専門家の登場に3人(特に「藍華」)は大喜び。早速、食事をしながら話を伺うことにします。
※お昼ご飯の話題によだれ垂れ流しの「アリア社長」萌え~。(^_^)。
「静かで落ち着いていて、良いお店なんですよ」
その言葉に案内されて着いた場所は、馴染みだという「きのこなべ」のお店。うら若き女性3名をおもてなしするには、ちょっと渋すぎる気もしますが、「灯里」と「アリア社長」は大喜び。「藍華」と「アリス」も、煮立つ鍋の薫りに食欲をそそられているようです。
「・・・僕たちノームがアクアの重力を1Gに保つために地下で管理しているのですが、重力は万有引力と惑星の自転による遠心力との合力で、簡単に言うと、物と物の間にある、引かれ合う力なんです。・・・はい、この鍋の中を見てください。・・・僕たちの間にも、このシメジとマイタケの間にも、引かれ合う力は存在しているわけです。・・・この力は質量が大きい物ほど強くなります。・・・僕たちの一番身近な質量保持者というと・・・そう、アクアから受ける引かれ合う力、それが重力です」
彼女たちには余り縁のない科学をわかりやすく説明する「アル」。途中、食欲に負けるところもありましたが、受講者達はだいたい理解してくれたようです。
「・・・あ、あのさアルくん・・・今夜、流星群が来るのを知っている?・・・で、観測会をみんなでしようと言っていたんだけど・・・一緒に行かない?」
お昼をご馳走してもらったお礼に「流星群」観測会へ「アル」を招待する「藍華」。(精一杯のデートのお誘いという)本心は「アリス」と視聴者にはバレバレですが、その素敵なお誘いを「アル」は喜んで受諾します。
※後輩の突っ込みに頬を染める「藍華」が可愛いですねぇ。(^o^)。
夜・・・まだ寒い「ネオ・ヴェネツィア」の夜空を「灯里」と「アリア社長」は出発します。そして、かなり早めに待ち合わせ場所へと到着している「藍華」。待ち人は未だ現れず、ショーウィンドウを鏡代わりにして髪型を整え、笑顔の練習をする「藍華」にかけられる声。思わず大声で叫びますが、声の主は「灯里」でした。
「なによぉ・・・ビックリするじゃない、もう」
気恥ずかしさもあり、さっさと「灯里」の前を進む「藍華」。謝る「灯里」は、あわせて「アリス」が「おねむ」で来られないことを彼女に報告。
「まだまだお子様ねぇ・・・夜はこれからよ。・・・うふふふふっ」
橋の上にて、睡眠欲に勝てない「アリス」を話題にする「藍華」と「灯里」。ところがいつしか笑い声は3人に・・・。
「・・・ぎゃあああぁあっ!」
今宵、2度目の「藍華」の叫び声は、いつの間にか姿を見せて彼女の横で笑っていた「アル」へとかけられたものでした。
「い・・・いるなら声をかけなさいよぉっ!」
※年上の割には結構お茶目な「アル」でした。(^^)。
「それにしても、真夜中なのに凄い人出よねぇ」
屋台の食事で身体を暖める「藍華」達3人。人の多さと街灯の明るさは安心感を与えますが、「流星群」を見るのにはちょっと不向きのようです。
「・・・おふたりとも、よかったら僕たちだけのベストスポットを探しませんか?・・・夜のネオ・ヴェネツィアを歩くのも、おつなものですよ」
暗い場所に強い「ノーム」である「アル」の言葉に「賛成!」と声を上げる「灯里」と「藍華」。かくして3人(+2匹)による夜の「ネオ・ヴェネツィア」探訪が始まります。
「くねくねくねくね・・・本当に迷宮みたいですね、ネオ・ヴェネツィアって」
路地を練り歩き、水路の側を通る3人。自分の周りを右へ左へと移動する「アル」の姿に、「藍華」は「どうしたの?」と声をかけます。
「ああ、暗いから藍華さん達が水路側を歩くのは危険かなと思いまして・・・僕は夜目が利きますから」
さりげない優しさに、軽く頬を染める「藍華」。大人びていて子供っぽくて、アンバランスな彼の魅力に「藍華」は心動かされます。
『・・・アル君のそういうところ・・・ちょっと反則かも』
※恋する乙女は可愛いなぁ・・・。<オヤジ発言、禁止!>えぇぇ~っ。(>_<)。
「ベストスポット、発見~っ!」
指さす「藍華」の先にあるのは、「姫屋」関連の建物。そう、そこにはハシゴがあり、屋根の上まで上れるのです。
「一度でいいから、ここ上ってみたかったのよね」
パンツを見せないため (笑、「アル」を先頭にハシゴを登る3人。怖さを感じるほどの高さだけのことはあり、屋根の上は一面の星空に包まれていました。
「わぁ・・・」
言葉を失うほどの絶景に、息を漏らす3人。右を向いても左を向いても、北を向いても南を向いても、目にはいるのは星空ばかりです。
「ネオ・ヴェネツィアは教会よりも高い建物を建ててはダメという規則があるから、みんな同じような高さの屋根ばかりになっちゃうのよね」
視界を防ぐ建造物もなく、星空を独り占めにする気分を味わってご満悦の3人。そして静かに、流れ星が彼女たちの上を降り落ちていきます。
「はぁっ・・・」
しばしの眺めの後、お昼に説明できなかった「流れ星」の生い立ちを聞かせる「アル」。それは宇宙の塵と、大気の摩擦による小さな奇跡でした。
「・・・アルくんが重力をコントロールしてくれているお陰でもあるのよね」
「藍華」の言葉に喜び頷く「アル」。人々の生活を可能にした「テラフォーミング」の技術が、生活する人々にプレゼントも与えています。
「そう言う意味では、今僕たちが見ている流れ星は・・・150年前、アクアを開拓した人達の贈り物ともいえますね」
※神秘的なムードは「恥ずかしいセリフ」も包み込みますね。突っ込み忘れていますよ「藍華」さん。(^^;)。
『あれっ・・・もしかして・・・今、私とアルくん、ふたりきり・・・!?』
辺りをキョロキョロと見渡しても、「灯里」の姿も、「アリア社長」や「ヒメ社長」の姿さえも見つかりません。「アル」とふたりきりという状況にちょっと緊張する「藍華」。
『・・・まあ、アルくんが相手じゃあ・・・ふたりきりでもどうってこと・・・・・・あれっ・・・あれれっ・・・』
まるで世界から音が消えたかのように、静まりかえった屋根の上。そのなかで「藍華」自身の心臓の鼓動が、ドクッドクッと音を大きくさせていきます。
「・・・藍華さん?」
「アル」の声に、彼の顔をじっと見つめてしまう「藍華」。だんだんと頬が暖かくなっていくのは、気のせいではありません。声もなく・・・そのまま視線を正面へとむき直す「藍華」。するとそこには、星の雨が降り注いでいました。
「うわぁっ・・・凄い・・・」
立ち上がり、「流星群」が止むまでの間、空を見続ける「藍華」と「アル」。やがて降り止んだ星空に、ふたりは再び屋根の上へと腰を下ろします。
「・・・なんかちょっぴりわかるかも、隕石の気持ち。・・・アクアに魅入ったが最後、勝手に引き寄せられて・・・勝手に燃え尽きちゃう。なんかバカみたいよね。・・・・・・アルくんのせい。・・・全部、アルくんのせいよ」
※引き寄せられたのは「藍華」。アクアは「アル」・・・ですかね。(^_^)。
「もう、どこに行っていたのよ」
屋根の向こうから手を振る「灯里」、そして「アリア社長」と「ヒメ社長」。色々な場所で「流星群」を見たかったという「灯里」の言葉に、「藍華」は何を思ったか。
「ふわぁあっ・・・流石に眠いわ。・・・あんた、タフねぇ」
屋根を降り、路地を歩く3人。自分の前を歩く「アル」が「藍華」の方を振り返ります。
「そうだ藍華さん、言い忘れていたのですが・・・まれにですが、流れ星になった隕石は燃え尽きることなく、アクアまで辿り着くこともあるんですよ。・・・・・・今日は、素敵な夜をありがとうございました」
魅入られて引き寄せられた隕石は、やがて燃え尽きて消えてしまう。でも「アクア」まで辿り着いた隕石は・・・「アクア」とひとつになるのではないでしょうか。
「恥ずかしいセリフ、禁止っ!」
「藍華」の言葉に慌てる「アル」は、まだ彼女を引きつけるのには早いのかもしれません。でも、いつかは・・・。
今日の主役は「藍華」と「アル」。恋する「藍華」のお話は、見ている私を暖かくしてくれました。それにしても不思議ですねぇ・・・街歩くカップルを見ていても、全然、心が暖かくならないのに・・・。(T_T)。
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