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ツバサ・クロニクル_TV27

第27話「危険なレース」

「ツバサ・クロニクル」復活!
前作の最終回で告知されていましたが、見事に2006年04月「ツバサ・クロニクル」は復活したのです!(^_^)!
というわけで感想も再スタート!みなさん、よろ~。

夢の中・・・「小狼」によく似た・・・しかし、左目に眼帯をした少年と出会う「小狼」。聞き覚えのある声に、その正体を思い出そうとする「小狼」ですが、泡に覆われた姿はよく見ることが出来ません。そしてようやく泡の隙間から少年の全身が浮かび上がったとき、彼の右目に激痛が走ります。
痛みに苦しむ「小狼」に、なおも彼の名を呼び続ける少年。そして・・・。
---
「小狼っ・・・えへっ、うなされていたけれど、大丈夫?
「モコナモドキ」に起こされた「小狼」。ベッドから起き出た彼が窓を開くと、そこにはエアカーが飛び回る近未来の風景が映し出されていました。
※これが新しい国・・・でしょうか。近未来の世界にずいぶん慣れているようだけれど、ワープアウトしてから時間が経っているのかな。

「小狼のことを起こしてきたよーっ」
その言葉に振り返る「サクラ」。彼女は「モコナ」にお礼を言うと、朝の挨拶を「小狼」と交わします。
「遅いぞ、小僧」
「小狼くんが寝坊なんて珍しいね」
「黒鋼」や「ファイ」の声に、笑顔で返す「小狼」。するとその時、「モコナ」の両目が大きく開かれました。
「めきょっ!」
次の瞬間、空中に映し出される立体映像。その画面では彼らを次元の旅路へと導いた「次元の魔女 侑子」が微笑んでいます。
「久しぶりね。そっちのふたりは前と変わっていないようだけれど・・・サクラ姫はずいぶん元気になったようね」
運命のあの日、記憶をなくして力尽きようとしていた「サクラ」を救うため「小狼」は彼女の羽を取り戻す旅へと出発しました。そして目的は違えど旅を共にする「黒鋼」と「ファイ」、案内人の「モコナ」と出会わせた「侑子」。彼女の「旅はどう?」との言葉に「サクラ」は笑顔で返します。
「ひとりだったらきっと辛かったと思います。でも・・・みんなと一緒だから」

※「サクラ」もずいぶんと元気になり、強くなりました。そして、それは色々な物を抱えてきたからですよね。

「ところで、貴方達は今、どんな世界にいるの?」
「侑子」の言葉に「ピッフルワールド」に来ていると答える「小狼」。そこでは「ドラゴンフライ」と呼ばれるエアカーレースが盛んに行われていました。
そして、その優勝賞品「サクラの羽」を手に入れるために、彼らもまたレースに参加することにしたのです。
「小狼」&「サクラ」ペア、「黒鋼」、「ファイ」の3組で練習を行う彼ら達。馬乗りでバランスを鍛えた「黒鋼」を筆頭に、なかなか筋の良い操縦を見せる一同。ただ、「サクラ」の操縦はなかなか破天荒。本番でもハンドルを握ると答える彼女を心配する「小狼」達。
「ありがとうございます。でも、私に出来ることがあるなら・・・頑張ってみたいんです」
※ハンドルを握ると性格が変わる!?「サクラ」にドッキドキーッ。(^_^)。

そんな「サクラ」の答えに、出身国の「知世姫」を思い起こす「黒鋼」。だから運転がおろそかになったというわけではありませんが、危うく高級リムジンカーに激突しそうになります。
「てめえ、気をつけろっ!・・・知世姫?」
急ハンドルで車体を傾けたリムジンカーの座席に「知世姫」そっくりの姿を見かけた「黒鋼」。
乗っていた車を降り立ち、リムジンカーに駆け寄りますが、その前を十数名の女性SPが取り囲みます。
「ちっ・・・」
隙を見せないSP達に動きが取れない「黒鋼」。膠着する事態の中、リムジンカーから見知った顔が姿を現しました。
「お待ちなさい。・・・・・・うふっ・・・見つけましたわぁ・・・ヒロインは、あなたですわっ!」

唖然とする「黒鋼」の横を通り過ぎ「サクラ」の手を握る「知世姫」そっくりの少女。彼女は「ピッフルプリンセスカンパニー」の社長「大道寺知世」と名乗ります。
「・・・私は主催者として、興奮のスタートからチェッカーフラグが振られる最後の瞬間まで、レースの全てを記録に収めることとしました。そのためには、レースに出場してくれるヒロインが必要なんですわ。・・・それがサクラさん、あなたなのですっ!」
レースの主催者である「知世」はハンディビデオカメラを手に、その全てをカメラに記録することを嬉しそうに語ります。そのエッセンスとして欠かすことの出来ないヒロイン、その役を「サクラ」に依頼する「知世」。「ほええぇええっ」と驚く「サクラ」でしたが、自分でお役に立てるのならばとヒロイン役に挑戦。
危なっかしい運転も含めて「それが可愛い」と喜ぶ「知世」でした。
久しぶりの「知世」、そして「ほええぇえっ」キタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!
※唖然呆然の「小狼」「サクラ」「黒鋼」、笑顔一杯の「ファイ」「モコナ」。今日のベストショットです。(^_^)。

「ドラゴンフライは動力を使っていますが、ほとんどは風で動いているそうです。ですから・・・」
手取り足取り「ドラゴンフライ」の操縦方法を「サクラ」に教える「小狼」。たまに手と手が重なり合ったりして、なかなか良いムードです。
「サクラちゃん、前に比べると明るくなったね。・・・微笑ましいね。・・・黒たんのことだよ。知世ちゃんのこと、意識しまくりで可愛かったよ
世界が違えど、同じ顔の人物に出会う。・・・「小狼」達の旅で、それは幾度となくありました。顔が同じなだけの人、中身まで全く同じ人・・・。逃げ続けるために次元の旅路へと参加した「ファイ」にとって、そのことは冗談ごとでは済みません。
「・・・わかるよ。ただ同じだけなのか・・・それとも、あの人なのか・・・俺にはわかる。・・・黒たんに知世姫がわかるようにね」
---
「私は見届けなければならない。・・・あの奇跡の行く末を」
「小狼」に似た少年の身柄を確保しつづけている「飛王」の言葉に「星火」はその姿を見上げながら続けます。
「別の世界にいたら、同じ顔でも別の人間。彼らはそう思っているはず。・・・よもや、以前にあった者だとは気がつかないでしょう。次の一手は・・・あなたです」
そして彼女に深く頭を下げる、謎の影。

※本当、策謀を巡らすのが好きなおふたりです。

いよいよ始まった「ドラゴンフライ」レース。まずはその予選を「小狼」達は戦い抜かなくてはなりません。
「なんか見たことがある人がいっぱいいるねー」
「モコナ」の言葉に頷く「サクラ」。「龍王」、「正義」、「タンバル」・・・かつて仲間になった者達、敵になった者達。
その姿に「小狼」も目を白黒させます。
「みなさん、準備は良いですね」
その中「知世」の声と共にスタートする「ドラゴンフライ」レース。まずは無難な立ち上がりを見せる常連組に対して「サクラ」の動きは不安一杯。一方、「黒鋼」と「ファイ」は上位にぴったりとつける好位置をキープ。そして「サクラ」をフォローしていた「小狼」も「力一杯飛んで。私も精一杯頑張るから」という彼女の声に、レースの先頭争いへと参加します。
---
「さっすが、黒様。一位なんて格好良い。・・・あれ?」
ワンツーフィニッシュを決めた「黒鋼」と「ファイ」。しかし突如そのエンジンから黒煙が立ち上ります。続いて、続々と到着した「ドラゴンフライ」達からも黒煙が・・・。
「・・・エンジンに異物が入ったようです。無理な加速を続けると・・・レースに参加している全てのマシンがおかしくなったようです
自らも煙を上げるエンジンをチェックし、冷静な分析を行う「小狼」。彼は心配して隣につけた「サクラ」に、自分を置いて先に行くようにお願いをします。
「小狼くん・・・わかった。でも約束して。絶対に予選を通過するって
何度もエンジンを切っていたため、まだ余裕のあった「サクラ」。なんとか横転しながらも、無事に残り2枠となった予選を通過。
そしてその最後の1枠に向かってエンジンを騙しながら進む「小狼」に伸びる妨害者達の手。取り囲まれ、行く道をふさがれた「小狼」。しかし、彼はここでエンジンクラッシュも辞さない、最大の加速を行います。
「このままじゃあ、木っ端微塵だぜ」
ほぼ併走する競争相手「蟹夫」の言葉にも耳を貸さず、真っ直ぐにゴールを見つめる「小狼」。「サクラの羽」を取り戻すために、彼女との約束を果たすために、今ここでアクセルをゆるめるわけにはいきません。そして最後の最後まで加速をゆるめないまま、火を噴くエンジンを抱えてゴールへと突っ込んだ「小狼」。機体は炎に包まれましたが、なんとか予選最後の1枠を確保します。
「姫、約束は守りました」

すすで汚れた顔で、「サクラ」に笑顔を見せる「小狼」。彼はそのまま、予選通過者達を厳しい眼差しで見つめます。
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「・・・人体には影響を及ぼしませんが、熱に反応してドラゴンフライのエンジンに致命的なダメージを与えるナノマシンです
レース中に故意に巻かれたナノマシン。間違いなく予選突破者の中に妨害者が居ます。しかしそれでも、「小狼」達はレースを続けるしか道はありませんでした。

前作を見ていない人にフォローをしつつ、無難にまとめた感のある今回。「侑子」や「知世」も登場し、まさに再スタートといった感じです。
私は再放送から見返していたので、今回から監督が替わるのに多少の不安もありましたが、特に雰囲気など変わった様子も見られず。
とりあえずは期待して見ていけそうですね。
(^_^)。

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ARIA THE NATURAL_TV04

第4話「その ネオ・ヴェネツィア色の心は…」

皆様は今年、お花見に行かれたでしょうか。私の職場は山の上の方にあるのですが、坂道の両脇にはソメイヨシノが咲き誇っていました。既に散ってしまいましたが、満開の桜の道をバスの窓から眺めるだけでも、春の日和を感じられたものです。
そして物語の舞台、「ネオ・ヴェネツィア」もいよいよ春。「灯里」も「アリア社長」も、訪れた春を満喫しているようです。

うたた寝を「アリア社長」に起こされた「灯里」。あくびをしながら階段を下りる彼女の元に、郵便屋さんの声が聞こえます。
「いよう、起きたかい?」
恥ずかしいところを見られたと頬を染める「灯里」に、郵便屋さんはひとつ頼み事をしにやって来たと話します。
「・・・実は、おっちゃんのところのゴンドラ、穴が空いちまって修理に一日かかるらしくてよ・・・。で、できたら明日は嬢ちゃんのところの船を一日貸し切りさせてもらって、郵便を配ろうと思ってな
「灯里」から郵便屋さんの申し出を聞いた「アリシア」、快く応じたいところですが、なんと彼女のゴンドラは予約で一杯。
まだ「シングル」の「灯里」では、ひとりでお客様を乗せることは許されません。仕方がないと納得する郵便屋さんですが、仕事と言うよりは生き甲斐の郵便配達を行えない寂しさに、ひとり肩を落とします。
「・・・灯里ちゃん、たまには自主練習の代わりにいつもと違う人に指導して貰う・・・というのも、いいんじゃないかしら。・・・たとえば、郵便屋さんとか」
寂しい背中を見かねた「アリシア」の素敵なアイデアに、なるほどと喜ぶ「灯里」と郵便屋さん。かくして「アリア社長」も乗せた「ARIA COMPANY」郵便船の誕生です。

※料金を頂かないとは実に気前の良い「アリシア」。でも確かに郵便屋さんのお手伝いをすれば「灯里」も細かい道まで憶えることが出来そうです。ナイスアイデア!(^_^)。

「ああ、ひょっとして長老がよく話しているウンディーネさんですね。さあ、中へ」
翌日、ゴンドラで郵便局へと顔を出した「灯里」と「アリア社長」。郵便屋さんの本名さえ知らない彼女でしたが、優しい局員が郵便屋さんの元へと彼女を案内してくれました。
「よーし、出発進行っ!」

郵便屋さんの帽子をかぶせて貰った「アリア社長」。「灯里」も一緒に朝の体操を終え、いよいよ郵便配達へと出発。行く先々で郵便ポストを見つけると、巧みにカギ先のついた棒を操り、船上から郵便物を入れ替えるテクニックを見せる郵便屋さん。感激する「灯里」と「アリア社長」に郵便屋さんは持っていた棒を差し出します。
「嬢ちゃんも、いってみるかい?」
試しにと、棒を持たせて貰う「灯里」ですが、その手つきは危なっかしい限り。
「初めてにしては上手いものだ」と褒めてくれますが、やはり餅は餅屋といったところでしょうか。
※先がしなる特製の郵便棒。柔軟性で重い袋を支える仕組みでしょうが、その分、操作は難しそうですね。

「さてと、もうひと頑張りするか。午後は配達もあるからよ」
美味しいお弁当で力を蓄えて、午後の配達へと出発しようとする「灯里」と郵便屋さん。ところが、「アリア社長」の姿が見せません。
「どうしました、アリア社長?」
ふとみると「アリア社長」は郵便を出しに来た少年を出迎えていました。(少年は得体の知れない生き物に怯えていましたが。(^^;)。)
「手紙を出すのかい・・・どうした?」
郵便屋さんの言葉に持っていた封筒を大事に握る少年。彼はこの封筒をすぐに届けたいと郵便屋さんに伝えます。
「ふむ・・・今日の受付は終わっちまったから、早くても明日の配達だな
その言葉に「それじゃあ間に合わない」と俯く少年。「灯里」が差し出し先を問いかけると、少年はぽつり、ぽつりと話し始めました。
「もう式が・・・先生の結婚式が始まっちゃったから・・・」
「結婚式」・・・幸せな言葉とは裏腹に表情を落としたままの少年。「お祝いの言葉?」と「灯里」が尋ねると、彼はそれだけではないと答えます。
・・・おめでとうって書いたけれど・・・ごめんなさいも書いた。・・・先生が学校を辞める前に合唱大会があったけれど・・・俺、出なかったんだ。・・・合唱大会の間、ずっと音楽室に閉じこもって、先生を困らせて・・・。お別れ会の日も、つい『先生なんかいなくなって清々する』って言っちゃって・・・俺、先生の涙・・・初めて見ちゃって・・・
少年の独白に、かける言葉も見つからない「灯里」。すると、それまで黙っていた郵便屋さんが手紙を教会へと届けてやると彼に伝えます。
「ただし・・・お前さんも一緒にきな」

※ふんわりほわほわな「ARIA」の世界に、珍しく影が訪れます。それでも「灯里」は照らすことができるのでしょうか・・・。

「ARIA COMPANYのウンディーネ、水無灯里です。あなたは?・・・空(そら)くん、良い名前だね
「空」の緊急事態に「逆漕ぎ」の奥義で急ぎ、教会へとゴンドラを進める「灯里」。祝福の鐘が鳴り響く頃、ゴンドラは無事に教会へとたどり着きました。
「よっこらしょっと。・・・それじゃあ、届けてくるからな」
同僚や生徒達の祝福の中、新郎と共に歩みを進める新婦「綾乃」。その道の向こうでは、おめかしをした「晃」と「藍華」が、オープンカーならぬ「姫屋」のゴンドラにて新郎新婦が乗り込むのを待ちかまえます。
「・・・あっ」
そこへ封筒を持って姿を表す郵便屋さん。お祝いの席からは少し浮いたその姿に、新婦も足を止めました。
「郵便です。・・・差出人は空くんです」
意外な教え子の名前を聞いて、封筒を開ける「綾乃」。そこには精一杯丁寧に書かれた「空」の気持ちが詰まっていました。

『先生、いつも困らせてごめんなさい。・・・お別れ会の時、非道いことを言ってごめんなさい。・・・清々するなんて嘘をついてごめんなさい。・・・本当は俺・・・先生のこと大好きです。もうお別れだと思うと寂しくて・・・おめでとうが言えなくて、ごめんなさい。先生、結婚おめでとう。幸せになってね。 空』
時には雄弁な物言いよりも、思いが込められた手紙が、より多くの気持ちを伝えます。嬉しさに涙を一筋、頬を濡らした彼女は、郵便屋さんにお礼を言うのでした。
※久しぶりの「逆漕ぎ」。そのかいはありましたね。「空」の気持ちを過不足無く、しっかりと配達先へ届けきる。郵便屋さん、そして「灯里」、格好良いです。(^_^)。

「配達完了。・・・先生、喜んでいたぜ」
郵便屋さんに帽子をかぶせて貰った「空」。その視線の先には彼の敬愛する教師の姿が見えました。
「・・・行こう」
今ここで、少年を教師に会わせたい。自然と「灯里」は「空」の腕を掴みます。
---
「・・・空くんの本当の優しさが、手紙の一文字一文字から伝わってくるみたい・・・。私はあの子にとって、良い先生だったのかしら
「晃」の操舵するゴンドラで、再度手紙を読み直す「綾乃」。自分自身へ問うた言葉を「藍華」は「そうみたいですよ」と返します。
「えっ?・・・あっ・・・空くん・・・」

「先生・・・」
互いに並んだゴンドラ、数メートルの距離。その距離を「綾乃」は、「空」は叫びます。
「空くん、手紙ありがとう!・・・とっても嬉しかった!・・・お返事、書くから!」
「おめでとう先生!元気でね・・・さようならぁっ!」

今この時の流れが、ふたつのゴンドラを離してゆきます。それでも確かに「空」の言葉は、「綾乃」の下へと届きました。お礼を言い、岸にあがった「空」に、「灯里」は微笑みかけ、「アリア社長」は手を振ります。そして郵便屋さんは、いつも通りに郵便配達を続けます。その手紙が、また人々の思いを届けるから・・・。
※かくして見事に「空」は晴れ渡りましたとさ。(^_^)。

「最後の配達、終了。・・・ありがとう、嬢ちゃん」
一仕事を終えて、ゴンドラでお茶を頂く「灯里」と郵便屋さん、そして「アリア社長」。
「・・・もったいなくてお休みできないという郵便屋さんの気持ちが、少しわかった気がします」
人と人とを繋ぐ手紙。テラフォーミングが当たり前の世界の中で、その文化は今も続いています。
「・・・この街の連中は、いまだに手紙にこだわっているからな。わざわざ面倒なことをやりたがるんだよ。・・・まったく不便でなんねぇ」
冗談めかした郵便屋さんの言葉に「灯里」は苦笑します。そう言う彼の顔は、とても面倒を嫌がっている人には見えません。
・・・手紙という奴は、受け取ったときは嬉しくて、開けるときは宝箱みたいでよ、心が子供みたいにはしゃぐんだ。・・・でもって中に入っているのが手紙という形をした『相手の心』なんだよな。そいつは内容によっては、宝物にもなりやがる。・・・一生手の触れることの出来る『心』という宝物にな
いつになく饒舌な郵便屋さんの言葉を聞き入る「灯里」。彼女の人生の何倍もの時間を郵便配達に費やした、彼の言葉は「灯里」の心へと広がっていきます。
「・・・それによ、手紙は時間とか場所を飛び越えて、書いた人を連れてくることもできるからな」
時間と場所を飛び越える・・・その言葉に、今はまだピンと来ない「灯里」。それでも解答を急ぐことなく郵便屋さんはいつもの笑顔で微笑んだままです。
「ネオ・ヴェネツィアも手紙と似ていますよね。・・・この街を造った人達の心には、いつでも手で触れることが出来ますから。・・・私、わざわざ面倒なことをしたがるこの街が・・・とっても大好きみたいです
※「恥ずかしいセリフ、禁止っ!」・・・とりあえず言っておきました。(^^;)。

「えぇっ・・・あ、アリシアさん・・・これ・・・」
翌朝、寝ぼけ眼で起き出した「灯里」の目を一通の郵便が覚まさせました。
「・・・郵便屋さんのおじさんからだ・・・」
深呼吸をして、ゆっくりと封筒を開いていく「灯里」。昨日聞いたように、それはまるで宝箱のよう。
『嬢ちゃんへ。 昨日はありがとさん。 郵便屋のおっちゃんより』

短い文章、短い言葉。それでも確かに、彼女の前に郵便屋さんの笑顔が広がります。
「・・・郵便屋さんの言ったとおりだ。手紙は、書いた人を連れてくるんですね」
にこにこしながら話す「灯里」の言葉を、「アリシア」は不思議そうに聞いているのでした。

「ARIA THE NATURAL」には、お茶がよく似合いますね。ゆっくりと蒸らして薫りを高めたダージリン。ミルクを入れて、お好きな量の砂糖を溶かして・・・。さあもう一度、「ARIA THE NATURAL」と一緒にお楽しみください。

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ARIA THE NATURAL_TV03

第3話「その 流星群の夜に…」

以前、日本でも「獅子座流星群」などが話題になりました。現代科学に囲まれてリアリストになった私たちさえ、一瞬の間ロマンチストへと変えてしまう「流星群」。果たして「ネオ・ヴェネツィア」の人達は、「流星群」をどういった気持ちで眺めるのでしょうか。

昨日は暖かかったのに今日は寒い。日本と同じように季節の変わり目がある街「ネオ・ヴェネツィア」。寒さと肩こりを相手に頑張る「ウンディーネ」達に、天からちょっとした贈り物があるようです。
「うわぁ・・・流星群」
天気予報のサイトでは、大規模な流星群の予報
が表示されていました。
「よしっ、見に行こうか」
早速予定を立て始める「灯里」「藍華」「アリス」の3人
。暖かい格好をして、温かい飲み物をもって・・・。打ち合わせは順調に進みますが、「アリス」がふと「流星」の生い立ちについて先輩達に質問をします。答えることの出来ない「灯里」達に対して、書籍から得た情報を伝えようとする「アリス」。ところが、彼女自身も「重力」が関係していることまでは憶えていましたが、そこから先がスムーズに出てきません。
「重力のことでお悩みですか?・・・藍華さん・・・それに灯里さん、アリスさん、お久しぶりです」

と、そこへ、食料の買い出し帰りにたまたま立ち寄った「アル」が助け船。「ノーム」として惑星「アクア」の重力を管理する専門家の登場に3人(特に「藍華」)は大喜び。早速、食事をしながら話を伺うことにします。
※お昼ご飯の話題によだれ垂れ流しの「アリア社長」萌え~。(^_^)。

「静かで落ち着いていて、良いお店なんですよ」
その言葉に案内されて着いた場所は、馴染みだという「きのこなべ」のお店。うら若き女性3名をおもてなしするには、ちょっと渋すぎる気もしますが、「灯里」と「アリア社長」は大喜び。「藍華」と「アリス」も、煮立つ鍋の薫りに食欲をそそられているようです。
「・・・僕たちノームがアクアの重力を1Gに保つために地下で管理しているのですが、重力は万有引力と惑星の自転による遠心力との合力で、簡単に言うと、物と物の間にある、引かれ合う力なんです。・・・はい、この鍋の中を見てください。・・・僕たちの間にも、このシメジとマイタケの間にも、引かれ合う力は存在しているわけです。・・・この力は質量が大きい物ほど強くなります。・・・僕たちの一番身近な質量保持者というと・・・そう、アクアから受ける引かれ合う力、それが重力です
彼女たちには余り縁のない科学をわかりやすく説明する「アル」。途中、食欲に負けるところもありましたが、受講者達はだいたい理解してくれたようです。
「・・・あ、あのさアルくん・・・今夜、流星群が来るのを知っている?・・・で、観測会をみんなでしようと言っていたんだけど・・・一緒に行かない?」
お昼をご馳走してもらったお礼に「流星群」観測会へ「アル」を招待する「藍華」。(精一杯のデートのお誘いという)本心は「アリス」と視聴者にはバレバレですが、その素敵なお誘いを「アル」は喜んで受諾
します。
※後輩の突っ込みに頬を染める「藍華」が可愛いですねぇ。(^o^)。

夜・・・まだ寒い「ネオ・ヴェネツィア」の夜空を「灯里」と「アリア社長」は出発します。そして、かなり早めに待ち合わせ場所へと到着している「藍華」。待ち人は未だ現れず、ショーウィンドウを鏡代わりにして髪型を整え、笑顔の練習をする「藍華」にかけられる声。思わず大声で叫びますが、声の主は「灯里」でした。
「なによぉ・・・ビックリするじゃない、もう」
気恥ずかしさもあり、さっさと「灯里」の前を進む「藍華」。謝る「灯里」は、あわせて「アリス」が「おねむ」で来られないことを彼女に報告。
「まだまだお子様ねぇ・・・夜はこれからよ。・・・うふふふふっ
橋の上にて、睡眠欲に勝てない「アリス」を話題にする「藍華」と「灯里」。ところがいつしか笑い声は3人に・・・。
「・・・ぎゃあああぁあっ!」

今宵、2度目の「藍華」の叫び声は、いつの間にか姿を見せて彼女の横で笑っていた「アル」へとかけられたものでした。
「い・・・いるなら声をかけなさいよぉっ!」

※年上の割には結構お茶目な「アル」でした。(^^)。

「それにしても、真夜中なのに凄い人出よねぇ」
屋台の食事で身体を暖める「藍華」達3人。人の多さと街灯の明るさは安心感を与えますが、「流星群」を見るのにはちょっと不向きのようです。
「・・・おふたりとも、よかったら僕たちだけのベストスポットを探しませんか?・・・夜のネオ・ヴェネツィアを歩くのも、おつなものですよ」
暗い場所に強い「ノーム」である「アル」の言葉に「賛成!」と声を上げる「灯里」と「藍華」。かくして3人(+2匹)による夜の「ネオ・ヴェネツィア」探訪が始まります。
「くねくねくねくね・・・本当に迷宮みたいですね、ネオ・ヴェネツィアって」
路地を練り歩き、水路の側を通る3人。自分の周りを右へ左へと移動する「アル」の姿に、「藍華」は「どうしたの?」と声をかけます。
「ああ、暗いから藍華さん達が水路側を歩くのは危険かなと思いまして・・・僕は夜目が利きますから」
さりげない優しさに、軽く頬を染める「藍華」。大人びていて子供っぽくて、アンバランスな彼の魅力に「藍華」は心動かされます。
『・・・アル君のそういうところ・・・ちょっと反則かも』

※恋する乙女は可愛いなぁ・・・。<オヤジ発言、禁止!>えぇぇ~っ。(>_<)。

「ベストスポット、発見~っ!」
指さす「藍華」の先にあるのは、「姫屋」関連の建物。そう、そこにはハシゴがあり、屋根の上まで上れるのです。

「一度でいいから、ここ上ってみたかったのよね」
パンツを見せないため (笑、「アル」を先頭にハシゴを登る3人。怖さを感じるほどの高さだけのことはあり、屋根の上は一面の星空に包まれていました。
「わぁ・・・」
言葉を失うほどの絶景に、息を漏らす3人。右を向いても左を向いても、北を向いても南を向いても、目にはいるのは星空ばかりです。
ネオ・ヴェネツィアは教会よりも高い建物を建ててはダメという規則があるから、みんな同じような高さの屋根ばかりになっちゃうのよね」
視界を防ぐ建造物もなく、星空を独り占めにする気分を味わってご満悦の3人。そして静かに、流れ星が彼女たちの上を降り落ちていきます。
「はぁっ・・・」
しばしの眺めの後、お昼に説明できなかった「流れ星」の生い立ちを聞かせる「アル」。それは宇宙の塵と、大気の摩擦による小さな奇跡でした。
「・・・アルくんが重力をコントロールしてくれているお陰でもあるのよね」
「藍華」の言葉に喜び頷く「アル」。
人々の生活を可能にした「テラフォーミング」の技術が、生活する人々にプレゼントも与えています。
「そう言う意味では、今僕たちが見ている流れ星は・・・150年前、アクアを開拓した人達の贈り物ともいえますね
※神秘的なムードは「恥ずかしいセリフ」も包み込みますね。突っ込み忘れていますよ「藍華」さん。(^^;)。

『あれっ・・・もしかして・・・今、私とアルくん、ふたりきり・・・!?』
辺りをキョロキョロと見渡しても、「灯里」の姿も、「アリア社長」や「ヒメ社長」の姿さえも見つかりません。「アル」とふたりきりという状況にちょっと緊張する「藍華」。
『・・・まあ、アルくんが相手じゃあ・・・ふたりきりでもどうってこと・・・・・・あれっ・・・あれれっ・・・』

まるで世界から音が消えたかのように、静まりかえった屋根の上。そのなかで「藍華」自身の心臓の鼓動が、ドクッドクッと音を大きくさせていきます。
「・・・藍華さん?」
「アル」の声に、彼の顔をじっと見つめてしまう「藍華」。だんだんと頬が暖かくなっていくのは、気のせいではありません。声もなく・・・そのまま視線を正面へとむき直す「藍華」。するとそこには、星の雨が降り注いでいました。
「うわぁっ・・・凄い・・・」
立ち上がり、「流星群」が止むまでの間、空を見続ける「藍華」と「アル」。
やがて降り止んだ星空に、ふたりは再び屋根の上へと腰を下ろします。
「・・・なんかちょっぴりわかるかも、隕石の気持ち。・・・アクアに魅入ったが最後、勝手に引き寄せられて・・・勝手に燃え尽きちゃう。なんかバカみたいよね。・・・・・・アルくんのせい。・・・全部、アルくんのせいよ」
引き寄せられたのは「藍華」。アクアは「アル」・・・ですかね。(^_^)。

「もう、どこに行っていたのよ」
屋根の向こうから手を振る「灯里」、そして「アリア社長」と「ヒメ社長」。色々な場所で「流星群」を見たかったという「灯里」の言葉に、「藍華」は何を思ったか。
「ふわぁあっ・・・流石に眠いわ。・・・あんた、タフねぇ」
屋根を降り、路地を歩く3人。自分の前を歩く「アル」が「藍華」の方を振り返ります。

「そうだ藍華さん、言い忘れていたのですが・・・まれにですが、流れ星になった隕石は燃え尽きることなく、アクアまで辿り着くこともあるんですよ。・・・・・・今日は、素敵な夜をありがとうございました」
魅入られて引き寄せられた隕石は、やがて燃え尽きて消えてしまう。でも「アクア」まで辿り着いた隕石は・・・「アクア」とひとつになるのではないでしょうか。
「恥ずかしいセリフ、禁止っ!」
「藍華」の言葉に慌てる「アル」は、まだ彼女を引きつけるのには早いのかもしれません。でも、いつかは・・・。

今日の主役は「藍華」と「アル」。恋する「藍華」のお話は、見ている私を暖かくしてくれました。それにしても不思議ですねぇ・・・街歩くカップルを見ていても、全然、心が暖かくならないのに・・・。(T_T)。

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ARIA THE NATURAL_TV02

第2話「その 宝物をさがして…」

現代人の疲れた頭と身体を癒す合い言葉は・・・そう「ぷいにゅぅ」。正直、日曜日の深夜よりは金曜日に放送して欲しい「ARIA THE NATURAL」のスタートです。(なんだそりゃ。(^^;)。

うららかな春の日差しを思わせる気候。惑星「アクア」に訪れた季節の小さな贈り物は「灯里」を、「藍華」を「アリス」を、そして「アリア社長」を心穏やかにさせます。
「こんな日はなんだか素敵なことに出会えそう・・・」
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いつも通り3人(+1匹)での練習を行う「灯里」達。ふと「藍華」が、小さな扉を「マリア像」の側に見つけます。
「あ、空いた・・・箱?・・・中に何かが入っている・・・地図みたい。・・・この地図を手に入れし者よ、我の言葉に従って、汝が宝を手に入れよ
いかにもな文言に「あほらしい」と言葉をもらす「藍華」でしたが、その発見に「灯里」はドキドキ。彼女から紙を受け取ると、その内容をじっくりと観察します。
「・・・長靴カッレで高らかに、元気に足踏み一休み・・・『カッレ』?」
聞き慣れない言葉に首をかしげる「灯里」でしたが、そこは後輩の「アリス」が「イタリア語」で「小道」のこととフォロー。さらに「小道」が近くにあると聞いた「灯里」は、探しに行きたそうな表情を見せますが、現実主義の「藍華」はその気になりません。
「そんなのインチキに決まっているでしょう」
しかし、冒険心に火をつけられた「アリア社長」と、好奇心で胸一杯の「灯里」はすでにNonStop! 意外なことに「アリス」まで食いついて、仕方が無く「藍華」も宝探しを了承します。
※「灯里」「藍華」「アリス」3人の表情の崩れっぷりに激しく笑い。止め画で見るとさらに凄い。(^o^)。

「・・・長靴カッレで高らかに、元気に足踏み一休み♪」
軽やかに歌い上げながら小道を進む「灯里」と、ついて行く「藍華」達。ほどなく「長靴屋さん」の看板を見つけますが、地図にあった「宝物」は辺りに見あたりません。
「そんじゃまあ、とりあえず探しますか」
「藍華」の音頭で周囲の探索を始める3人。すぐには見つかりませんが、これはこれで楽しいひととき。
「アリスちゃん、カッレに詳しいの?」

「アリア社長」を抱えたまま質問をする「灯里」に、ちょっと恥ずかしそうな表情を見せながら答える「アリス」。
「・・・実は私、散歩が趣味なんです。この街のカッレはみんな名前がつけられていて・・・色々なカッレがあって、とっても楽しいんです」
意外な一面を見せる「アリス」に「年寄り臭くない?」と突っ込みを入れる「藍華」。「でっかいお世話です」と返す「アリス」の言葉に「灯里」は「とても良い趣味だと思うよ」と話しかけるのでした。
※長年(というほど長くはないでしょうが)一緒に働き、遊んできた仲間同士でも新たな発見はあるものです。「灯里」風に言えば「アリスちゃんの素敵な一面を、また見つけることが出来ました」でしょうか。(^^;)。

「それにしてもこの地図、やっぱり悪戯なんでしょうか」
見つからない「宝物」に、ちょっと残念そうな表情を浮かべる「アリス」。その言葉に「灯里」は近くにいる「ハト」に尋ねてみようと言い出します。
「くるっぽー・・・くるっぽー・・・ぽーっぽぽぽ・・・ちちちちちっ・・・」

真剣に「ハト」と向き合う「灯里」をほおって置いて、謎解きに挑む「藍華」と「アリス」。「足踏み一休み」の文言をヒントにベンチなどを想像してみますが・・・。
「ぽっ・・・くるっぽー!・・・奥にこれが・・・」
「ハト」の休憩所へと置かれた「宝箱」を発見した「灯里」に驚く「藍華」達。早速広げてみると、中には変わらず紙切れが一枚。
「・・・また宝の地図では?」

その言葉に紙切れを読み上げる「灯里」。確かにそこに書かれた言葉は、何やら「宝物」のありかを示していそう。
「小さなカンポで待っている。小さな窓辺の魔法のランプ」

またもや謎の言葉「カンポ」。これも「アリス」が解きほぐしてくれました。
「こうしてカッレを歩いていると、突然中庭のようなところに出ますよね。それが『カンポ』と呼ばれる広場です
目的地らしき「噴水」まで辿り着いた3人。そこでは大道芸人達による芸が繰り広げられていました。
「魔法のランプ・・・この近くに秘密の小部屋があるはず」
俄然やる気を見せてきた「アリス」によって第三の「宝箱」も見つけ出し、いよいよ宝探しも佳境に・・・?
「うっわわああぁぁっ、また地図ぅううっ!・・・このままだとお宝まで、一晩かかるかも!
※流石に「ハト」と向き合う「灯里」には「突っ込み」さえ入れることが出来なかった「藍華」。それでも真剣な行動には、なんらかのご褒美が待っているものです?。(^^;)。

「カフェの薫りに影を追えば、光眩しい石ひとつ」
何度も書かれた手がかりを読み直す「アリス」。
やがて彼女の頭にひとつの閃きが生まれました。
「・・・先輩方、お茶でもいかがですか?」
そのまま「サンマルコ広場」へと足を進める「アリス」。彼女の言葉によると、この場所こそが地図の正解だとか。
※うっ、どうして地図の言葉でここに来たのかがわからない。orz

「カフェオレ」・・・もとい「カフェラテ」発祥のお店にたどり着いた3人。せっかくだからと「カフェラテ」3つに「ホットミルク」1つを注文。
「うわぁ・・・いい薫り・・・」
元祖「カフェラテ」の薫りに幸せいっぱいの表情を見せる「灯里」。しかし「アリス」に「謎は解けましたか?」と聞かれた彼女の表情は「うっ」と詰まってしまいます。
「灯里先輩は、まったり謎を解いていてください」
謎を解いた「アリス」と「藍華」が席を立ち、お茶を続ける「灯里」と「アリア社長」。小粋な紳士との語らいも楽しみ、気分は小さなパリジェンヌ?

---
二杯目の「カフェラテ」も飲みきり、まどろみかけた昼下がり。突然、お店の人達が、お客達が手にカップを持ったまま席の移動を始めます。おまけに「アリア社長」までもが椅子に座ったまま連れて行かれて、驚き慌てる「灯里」。
「あわわわわ・・・何?」
彼女に正解を教えてくれたのは、先ほどの小粋な紳士でした。
「影追い・・・ですよ」
「カフェラテ」だけではなく「ワイン」も提供するお店のため、日光が当たらないように日に何度かお店を移動するとの説明
に、ようやく「灯里」も得心。
小粋な紳士(サンマルコ広場を楽しむ達人)と席を共にして、しばらく会話を楽しむ「灯里」と「アリア社長」。
「世界で最も美しい広場・・・遙か遠い昔、マンホームで英雄ナポレオンがサンマルコ広場に贈った言葉です」

一日の大半をこの場所で過ごす紳士の言葉に「灯里」も、その広場でくつろげる幸せを実感。
「・・・こうして今ここにいられる私たちは、私たちは世界で最も幸せ者ですね」
そんな時、彼女の視界にひとつだけ床に輝く石版が目に入ります。
『カフェの薫りに影を追えば、光眩しい石ひとつ・・・このお店のことだったんだ』
紳士に席を離れる無礼を詫びて、「藍華」達を呼んでくる「灯里」。指し示した石版は、確かにひとつだけ光を放っていました。
持ち上がる石版、収められた宝箱・・・そしてその中身は、またしても紙切れが一枚入っていました。
※良かった、良かった。あそこでわからなくても問題なかったですね。何度か巻き戻しちゃいましたよ。(^^;)。

「殺人カッレに潜むのは、ピカピカ目玉の真っくろ黒猫」
物騒な言葉に驚く「灯里」と「アリア社長」。もっとも本当に殺人があったわけではないそうですが・・・。
「・・・素敵な宝物が見つかるように、祈っておりますぞ」
紳士と別れた3人が、薄暗い裏通りを歩き回ります。
そしてついに見つけた黒猫、そしてその前に置いてある「宝箱」・・・その中身もやっぱり地図でした。
「これで地図何枚目?」
「10枚目です」
様々な場所、様々な地図、様々な文言・・・。「宝物」を探して、「ネオ・ヴェネツィア」を歩き回る3人。それはさながら小さな「観光旅行」
のようでした。
---
「次のヒントはわかりやすそうですよ。『喜劇カッレを下ってみれば、そこはお空の別世界』」
「アリス」の言葉に、良く歩く道「喜劇カッレ」を思い出す「藍華」
。その場所に「お空の別世界」などなかったはず。
よく見る道、よく歩く道・・・先入観は最大の敵。階段を見つけることが出来ない3人に、道を示すように転がり、その場所を教える「アリア社長」。初めて通る長い階段を、手を繋ぎ下りてみると、その先に広がっていたものは・・・。
※もう、皆様もおわかりですね。(^^)。

カーン・・・カーン・・・カーン・・・
鐘の音が広がり、桃色の花びらが舞い落ちる。見渡す景色の向こう側に、ピンと伸びた水平線。
「ネオ・ヴェネツィア」を「ゴンドラ」で案内する「ウンディーネ」たちも見たことがない景色が、その場所には広がっていました。
「凄い・・・宝物みたいな景色・・・」

「GOAL!」と赤字で書かれた壁。そこには年月が経ち、かすれながらも、なんとか読み取ることが出来る文言が記されていました。
「・・・今、あなたの心に・・・宝物が刻まれました」
3人の心に浮かび上がる、今まで歩いてきた道、探索してきた町並み、出会った人達・・・
。自然と「アリス」が地図を元の場所に戻すことを提案します。そして、当然のように賛成する「藍華」と「灯里」。
「・・・ねえこれって・・・」
あらためて「宝箱」が収められていた場所を見やる「藍華」。そこには、いくつもの箱が置いてあった跡が残っていました。
「私たちの前に見つけた人達も、みんな元の場所に戻していたんですね」
「きっとまた、知らない誰かが見つけるんだね。この街がある限り・・・」
---
「お疲れ様でしたな、ミス・フローレンス」
夕刻、「サンマルコ広場」のカフェにて、いつものように「カフェラテ」を嗜む紳士。その元へ「アリシア」が歩み寄ります。
「・・・美味しいカフェラテのお陰で、ちっとも疲れませんでした」
紳士へと微笑みかける「アリシア」。丁度そこへ「灯里」達3人が戻ってきました。紳士と知り合いだった「アリシア」に声をかける「灯里」。すると紳士が立ち上がり、3人に向かってあらためて自己紹介を行います。
「・・・私、このカフェの店長でございます。・・・宝物は見つかりましたかな?」
「宝箱」を隠してくれた人が、こうした「ネオ・ヴェネツィア」を楽しむ「達人」達だと気がついた「灯里」。
「・・・宝探しをしているうちに私、ネオ・ヴェネツィアをもっともっと好きなる魔法にかかってしまいました。・・・達人さん達のお陰で、今日はとっても幸せな気分になれました。ありがとうございます」
お礼を言う彼女に、こちらこそと言葉を返す紳士。彼もまた「サンマルコ広場」の新しい楽しみ方を「灯里」に教わったのです。
「またご来店ください。是非、お茶をご一緒しましょう。『幸せの達人』さん

「ネオ・ヴェネツィア」は、奇跡で出来た街。今日もまた、誰かが「宝箱」を頼りに、とっても幸せな気分に包まれるのでしょう。

素晴らしい。いやぁ、素晴らしい・・・完璧です。第1話も楽しめましたが、この第2話は実に癒されました、幸せになれました。(^o^)。
監督の「佐藤順一」、絵コンテ・作画監督の「和田高明(ロゼッタマスター)」、本当にありがとうございました。m(_ _)m

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ARIA THE NATURAL_TV01

第1話「その カーニバルの出逢いは…」

魅惑のアニメーション、癒しの「ぷいにゅぅ」・・・復活!
今度の「ARIA」は「自然体」!?

「Welcome To ARIACOMPANY」
ここは水の惑星「アクア」。観光都市「ネオ・ヴェネツィア」の案内を行う「ウンディーネ」が所属する小さな会社では4人分(3人+1匹)の朝食の準備が行われていました。ひとつは「水無灯里」、ひとつは「アリシア」、ひとつは「アリア社長」・・・もうひとつは?
「アリシアさん、これテーブルに運びます」
「ありがとう、アイちゃん」
それは「マンホーム(地球)」より遊びに来ていた「アイ」のものでした。
今日は「ネオ・ヴェネツィア」最大のお祭り「カーニバル」の開催日。たくさんの観光客が地元から、「マンホーム」から訪れます。
「・・・カーニバル、楽しみだね」
「灯里」の言葉に「はい」と笑顔で答える「アイ」。今日もまた、奇跡で出来た一日の始まりです。
※3ヶ月ぶりの復活!・・・とも思えないような、ゆったりとした始まり。前作からの視聴者がほっと落ち着き、今作からの視聴者が自然と入れる理想的な導入部です。

「ぶいぶいにゅぅ」
風呂敷包みを首に巻き、「灯里」と「アイ」に手を振り去っていく「アリア社長」。

「お出かけなの?・・・アリア社長」
夕方まで「ARIA COMPANY」のお手伝いをすると制服を着込んだ「アイ」の言葉に、去年も同じように「カーニバル」の前にどこかに出かけていたと「灯里」は答えます。
「・・・私たちには行けない秘密の場所かも。ネコの集会とか。・・・家からネコが居なくなるときは、ネコの王様(Cait Sith)が国中のネコを集めて集会を開いているんだって
「灯里」の言葉に「会ってみたいなぁ」と話す「アイ」。
「会えるかもしれないよ。・・・今日は特別の日だから」
返した「灯里」の表情は、本気か冗談か満面の笑みを浮かべていました。
牛のように大きく、真っ黒なネコの王様。「ケット・シー」の伝説は実際に「イギリス」各地に残っていますね。

「恥ずかしいセリフ、禁止!」
いきなり現れた「藍華」に驚き慌てる「灯里」。
「アリシア」がこの場にいないことを残念がる「藍華」に、「アイ」が「ヒメ社長」の居場所を尋ねます。
「えっ・・・ヒメ社長ならカーニバルの頃は、いつも泊まりでどこかに行くわね
その言葉に「やっぱり!」と「灯里」と「アイ」は向き合うでした。
---
「うわぁ・・・すごいね。色々なお面がある
祭りの屋台に飾られた無数のお面に驚く「アイ」。まるで仮面舞踏会に出てきそうな多種多様なお面は「カーニバル」のシンボル的存在です。
「これは、バウータの屋台。・・・昔からカーニバルは、バウータとタバッロという黒いマントが決まりなの」
「灯里」の説明に、自分も買おうかなと「バウータ」を選び始める「アイ」。その時、彼女の肩を叩く仮面の女性が・・・。
「・・・!」
驚く「アイ」に「バウータ」を取ってみせる女性。その正体は「晃」
でした。
「ごめんごめん、そんなに驚かすつもりじゃなかったんだけど・・・」
「・・・お面とってもニラミが効いていますけど」
後輩「藍華」の突っ込みに軽くムッとする「晃」でしたが、怒る暇もなく、逆に「バウータ」をかぶった女性が登場。これはお面を外さなくてもその正体は丸わかりです。
「・・・でっかい逆さまです」
ドジッ娘「アテナ」と後輩「アリス」、さらに「アリシア」も合流してメンバ全員が集合。
※相変わらずの面々に苦笑しきり・・・。(^^;)。

「おっ、もみ子!・・・あれ、ひとりじゃないのか・・・はっ、ア、アリシアさんもいらっしゃったんですか!?
ほろ酔い気分の「サラマンダー」の「暁」、酔っぱらいに手を焼いている「シルフ」の「ウッディー」とも鉢合わせる「灯里」達。
「お呼びじゃないんだけど」
憧れの「アリシア」に惚れている「暁」が気に入らない「藍華」のひと言に「ガチャ○ン」と言い返す「暁」。
「マンホームに現れる古の幻獣だ。お前は・・・どこかそれを彷彿とさせる」
言い合いをするふたり、世間話に興じる仲間達。その様子を眺める「灯里」は、またひとつ奇跡の存在を感じます。
『私が、アクアで出会った人達が・・・集まっている・・・なんだか、嬉しい』

※「ガチャ○ン」って!(^^;)。

突如、沸き返る町中。見るとそちらには巨大な「バウータ」をかぶり、「タバッロ」を身につけた大柄な人(?)と、取り囲む小さな仮面の子供達が。
「カサノバ・・・!」
18世紀、「マンホーム」に・・・というか「イタリア」の「ヴェネツィア」に実在した希代の好色家、そして作家、資本家、音楽家、冒険家などで著名な人物
を模した「カサノバ」は、音楽と紙吹雪に身を包みながら街を練り歩き、途中、じっと「灯里」の方向を見つめます。
「ぁっ・・・」
その視線に気がつき、魅入られたかのように「カサノバ」を見つめ返す「灯里」。彼女の耳には「藍華」が「カサノバ」について説明する声も聞こえません。
「・・・この100年、カサノバの中にずっと同じ人が入っているという噂があるんだって」
謎の人物「カサノバ」登場。・・・というか、人かどうかですら定かではありません。

「大丈夫?・・・なんかふたりともボーッとしているけれど
「藍華」の言葉通り、疲れたのか(あるいは憑かれたのか(笑 )気が抜けた表情を見せる「灯里」と「アイ」。ちょっと「アリシア」達、先輩とは離れて一休みの最中。
「・・・落ち着いたら、晃さん達のところへ戻りましょう。美味しいピザのお店に行こうと言っていたわよ」
と、一箇所を見つめていたかと思うと、急に反応をする「灯里」と「アイ」。「カサノバ」を取り囲んでいた小さな仮面の子供を見かけたと彼女たちは声を揃えます。
慌ててその場所に向かう「灯里」達4人ですが、既にそこに子供は見つかりません。気のせい・・・いやいや、今度は道の角に顔を出す子供。その姿を4人とも見かけました。
「追いかけよう!」

「藍華」の言葉と共に走り出す4人。意外にも子供の足は素早く、町中を駆け回る子供に、なかなか追いつくことができません。
「あれ・・・藍華ちゃん、アリスちゃん?」
急にふたりの姿を見失う「灯里」と「アイ」。それどころか、今居る場所がどこなのかも「灯里」には見当がつきません。

「全然、見覚えがない場所なのだけれど・・・」
夕方の日差しが濃い影を造る中、音楽に誘われて足を進めるふたり。そして、その音が止んだとき、ふたりは「カサノバ」の目の前にいました。
「・・・えっと・・・こんばんは、カサノバさん。・・・あの・・・藍華ちゃんとアリスちゃん見ませんでしたか?・・・私と同じような格好をした女の子なんですけど」
「灯里」の質問に、「カサノバ」の代わりに首を振る取り巻きの仮面の子供達。当の「カサノバ」は無言のまま、その巨大な仮面をずいと近づけてきます。
震えながらも、「バウータ」をじっと見つめる「灯里」と「アイ」。しばらくして、仮面を叩く音と共に「カサノバ」はゆっくりとその場を離れていきました。そして、鈴とカスタネットをふたりに手渡す仮面の子供。「灯里」と「アイ」も交えた奇妙な行進が、夕方の、夜の「ネオ・ヴェネツィア」を進み行きます。
「ずんたかとってん、ずんたかた・・・ずんたかとってん、ずんたかたーん」

自然と歌を口ずさみながらスキップを踏むふたり。いつもとは違う町並みが、彼女たちを迎え入れます。
そして・・・突如足を止めた「カサノバ」は、ふたりから楽器を取り上げ、代わりに一輪の小さな白い花を手渡しました。
「私たちはここまでなの?・・・いや、どうして・・・私たちもこのままみんなとそっちに行きたい。連れて行ってよ・・・ねぇ・・・
手を振り上げ「灯里」達の同行を拒む「カサノバ」。そして彼女を行かせまいと、「ウンディーネ」の制服をつまむ、ひとりの仮面の子供。
「どうして邪魔をするの・・・あなたは誰?
その言葉に「タバッロ」を捲りあげ姿を見せる子供・・・。その正体はいつも通り「ぷいにゅぅ」と喋る「アリア社長」でした。
「・・・えぇっ!・・・アリア社長・・・。えっと、私たちはここで・・・何をしているんでしたっけ?
白昼夢でも見ていたかのように、行進の記憶を失っている「灯里」達。吹き上げる風が、彼女たちを包み込みます。目を向けたその向こうに見えるのは、階段を登り、こちらを見つめる「カサノバ」の姿。そして、ゆっくりと「バウータ」を取り去ったその顔は・・・「Cait Sith」。
※これは夢・・・これは幻・・・これは・・・奇跡?

辺りはすっかり夜。遅れて到着した「ノーム」の「アル」は、ベンチでボーッとしている「灯里」と「アイ」を見かけます。そこに声をかけてくる「藍華」。
「あっ、アルくん!・・・ねぇ、灯里を見なかった?」
「ああ、灯里さんでしたら、まさに今そこに
ふたりを探し回っていた「藍華」と「アリス」、そして「アリシア」に見つけられ、声をかけられる「灯里」。そこでようやく「灯里」達は彼女たちの存在に気がつきます。「心配したのよ」と怒られ、謝る「灯里」と「アイ」。見つかったことにほっとした「アリシア」は、ふたりが手に持つ小さな花に気がつきます。
「あら・・・それ、ジャスミンの花ね。・・・確かカサノバは、ジャスミンの香水を愛用したのよ」
先ほどまでの体験が、夢ではないと知って喜ぶ「灯里」達。惑星「アクア」での新しい出会いを、彼女はまた見つけることが出来ました。
そして「カサノバ」に花を貰ったと答えるふたりに、次々とぶつけられる質問。男か女か、竹馬か肩車か・・・「カサノバ」の正体は如何に?
「やっぱり、妖精さんでした」

夜は更けても「カーニバル」の喧噪は止みません。「バウータ」をつけ、「タバッロ」を被ってはいても訪れる出会い。
アクアには、本当に色々な出会いがある・・・時には、ちょっとだけ勇気が必要かもしれないけれど、思い切って両手を広げたらきっと・・・思いがけないところに素敵な出会いが待っている。だって、出会いを求めているのは・・・人間だけではないのだから

「ARIA」は「ARIA」。第2期のスタートも、見る者の心を穏やかにして、素敵な出会いを教えてくれました。
謎が深まる「アリア社長」ですが、今回のは、実に「らしい」行動でした。
「カサノバ」の周りを取り囲み、踊っているのが全てネコだなんて、想像するだけで素敵ではありませんか。(^o^)。

----------
【スタッフ紹介】
原作:天野こずえ「ARIA」(月刊コミックブレイド連載/マッグガーデン刊)
監督/シリーズ構成:佐藤 順一
助監督:竹下 健一
総作画監督:熊谷 哲矢
キャラクターデザイン:古賀 誠
脚本:吉田 玲子、藤咲 あゆな、岡田 麿里、浦畑 達彦
美術設定:西川 淳一郎
美術監督:吉川 洋史
音楽:Choro Club feat.Senoo
プロデューサー:内田 哲夫
アニメーション制作:ハルフィルムメーカー

【音楽】
オープニング「ユーフォリア」
歌:牧野由依 作詞:河井英里 作曲・編曲:窪田ミナ
エンディング「夏待ち」
歌:ROUND TABLE feat.Nino 作詞・作曲:北川勝利
編曲:ROUND TABLE、桜井康史
ストリングス編曲:窪田ミナ

【キャスト】
水無灯里:葉月絵理乃
藍華:斎藤千和
アリス:広橋 涼(ファンです!)
アリシア:大原さやか
アリア社長:西村ちなみ
晃:皆川純子
アテナ:川上とも子(ファンです!)
アイ:水橋かおり

以上

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舞-乙HiME_TV26

第26話「Dream☆Wing~夢の在処」

ついに迎えた最終話。半年間のオトメの想いが、戦いが・・・今、終息を迎えます。

ゲームはここまでかな。この町を更地にして、全てを終わらせよう。・・・わかっているよね、もう後戻りはできないんだよ、僕らは」
「ナギ・ダイ・アルタイ」の言葉に、彼をじっと見つめる「ニナ・ウォン」。そう、目の前の相手こそ彼女のマスターその人・・・運命を共にする相手なのです。そして、彼女の足を動かす理由はもうひとつ。宙に浮き、時を止められた彼女の父「セルゲイ・ウォン」。
『セルゲイ・・・優しい人・・・優しすぎる人。・・・でも、今はその優しさに感謝します。・・・私に能力を残してくれたことを。あなたのためなら、私は・・・』
あの夜、「セルゲイ」は「ニナ」を抱きしめました。・・・しかし、父は彼女を抱かなかったのです。オトメの資格を奪われなかった「ニナ」。彼女は再び「ハルモニウム」を弾き鳴らします。
巻き起こる巨大な竜巻。街を、港を、国を破壊した黒い渦が、ヴィント市の建物を次々に破壊してゆきます。
「・・・お日様が・・・暗闇に閉ざされていく」

---
その光景は「ガルデローベ」の霊廟からも確認できました。
『ハルモニウムを止めなければならない』。共通の想いが「ナツキ・クルーガー」達「五柱」の胸にわき起こります。
「行くぞ」
「ナツキ」の一声で、マテリアライズを行う彼女自身、そして「シズル・ヴィオーラ」、「ジュリエット・ナオ・チャン」、「サラ・ギャラガー」の3名。
※ああ、「ナオ」のマテリアライズをしっかりと見せて欲しかった・・・。(T_T)。

「逃げな、ナギはこの街ごとやる気だよ」
暴風の中、黒い渦に立ち向かう「ミドリ」の言葉に「アリカ・ユメミヤ」と「マシロ・ブラン・ド・ヴィントブルーム」は「逃げることはできない」と返します。
「マシロちゃん、私に命を預けて。・・・方法なんてわからない・・・でもやらなきゃ。ニナちゃんが泣いているの
闇雲に黒い渦へと特攻をかけようとする「アリカ」。しかし、彼女の元に「ナツキ」達「五柱」と、猫神様「ミコト」を背負った「鴇羽 舞衣」が駆けつけます。
「無理するな・・・いくら蒼天の力に目覚めても、お前ひとりでは無理だ」
「ちょっとは活躍させてよね!」
---
そして、彼女を支援する人物は、湖深くの遺跡にもまたひとり。
『蒼き貴石は真の力を得、共に歩む主を得ました。お嬢様・・・あなたの最後の遺言を果たしましょう
高次物質化能力の技術、「シアーズ」の科学技術が残された遺跡の中で「ミユ」の全機能が開放されます。
「導きの星よ・・・今っ!!」
管理者による承認が行われ、彼女の言葉に呼応して紅く輝く「媛星」。月面をひた走る赤き閃光は、その表面に巨大な紋章を浮かび上がらせます。
---
「あの伝説が・・・真実だったとは・・・」
『導きの星が紅く輝く時、全てのオトメは「乙式」の制約を離れる』
「コーラルオトメ」「パールオトメ」「マイスターオトメ」・・・全てのオトメ達の「GEM」に響く「ミユ」からの言葉。
「オトメ達よ、貴方達を今・・・運命の頸木から解き放ちましょう。・・・選びなさい。あなた自身の手で、成すべき事を
マスターの認証無しに次々とマテリアライズしていく「オトメ」達。対でひとつだった能力が、彼女たち自身の意志に任される時が訪れたのです。
「そんなの今更聞かれるまでもないわ!・・・出撃!・・・って、あれ!?」
「ハルカ・アーミテージ」のかけ声を待つまでもなく、次々と飛び立っていく「オトメ」の集団。誰に確認したわけでもなく、彼女たちの向かう方向はひとつでした。
「シホ・ユイット」のローブが凄いっ・・・流石「螺旋の蛇紋石」!(^^;)

竜巻の結界へ次々に挑みゆく「オトメ」達。学生も「マイスター」も関係なく、皆が「ハルモニウム」を押さえ込んでゆきます。
「陛下!・・・我らもあなたの旗の下にお加えください。・・・今、成すべきは何か・・・それを自分の意志で決められるのであれば、我らは・・・」
「ルーテシア・レムス王国」の「ラウラ・ビアンキ」の言葉に代表されるように、仕えるべき国を超えて、ひとつになっていく彼女達の思い。
数十、数百と集まってくる「オトメ」に押されていく「ハルモニウム」。今ならば、ここを彼女たちに任せて本陣を突くことができます。
「行くぞっ、城を取り戻し、あのハルモニウムを止めるのじゃ!」
「マシロ」の言葉に集まる「ナツキ」達「五柱」の4名と「舞衣」、「ミコト」。そして「ハルカ」達、歴戦の「マイスターオトメ」達。

---
「ずるいなぁ・・・ルール違反だよ、あれ」
既に我が手を離れつつある事態の推移に、有効な手段をうてない「ナギ」。「五柱」最後のひとりも「カルデア帝国」からの援軍も、「ヴィントブルーム王国」に到着しつつあります。
※「カズヤ・クラウゼク」皇帝に!・・・ということは、「アカネ・ソワール」キタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!

「いよいよ退路無しか・・・オリジナル・スレイブを全部起動させて
「ヴィントブルーム王城」進入を防ぐ最後の壁を呼び起こす「ナギ」。出現する「スレイブ」の群れには「シズル」と「ハルカ」が対応を買って出ました。
「ここはうちに任せて、ナツキ達はお城の中に!」
「オトメに必要なのは力と技と・・・(根性です!by「アリカ」)・・・よろしいっ!」
多勢に無勢、数十体VS2人。しかし、慌てる様子もなく互いの背中をあわせながら、かつての級友同士は頼もしさを感じていました。
「さあ、昔年の勝負の決着をつけるわ・・・どっちがたくさん倒すか競争よっ!」
「ふふっ・・・あいかわらずやね」
切り裂き、蹴り倒し、打ち砕く・・・。得意の言い間違え(×「一網大魔神」、○「一網打尽」)も発揮してノリに乗っている「ハルカ」。そんな様子を頼もしく(?)、頭を抱えて見ている「ユキノ・クリサント」。
「もうわけわかんないよ、ハルカちゃん。・・・あっ、ハラード少尉、これを
何かの封筒を託された「チエ・ハラード」は敬礼をして「ヴィントブルーム王城」へと向かいます。
そして、「ナツキ」達「五柱」の3人や「舞衣」達、「アリカ」達も城へと到着
していました。
「アリカ!・・・ニナのことを任せたよ」
入り口を固める「スレイブ」の相手に、居城前に残った「ナオ」と「サラ」。そして来ていた「シホ・ユイット」。
「赤巻き巻き、青巻き巻き、黄巻き巻き・・・おりゃあああっ!」
先週から復活した「巻き巻き」殺法で「スレイブ」を巻き消滅させて、高笑いをする「シホ」に、「ローブ着た意味ないじゃん」と突っ込みを入れる「ナオ」。
「五柱」最後のひとり「マーヤ・ブライス」と「アカネ」も颯爽と援軍に駆けつけます。
「って、あんた、まだオトメなのっ!?」

視聴者の代わりに突っ込みを入れる「ナオ」に「アカネ」は今までの苦労を聞かせるのでした。
「・・・ずっと追われていて、ようやく・・・というときに、カズくんはカルデアの王様にって連れて行かれて、私はマーヤお姉様に・・・
それでも彼女は「カズヤ」との結びつきを諦めないと、誓うのでした。
※燃える、燃える、燃えますよーっ・・・この展開。主演者を先にゆかせて、強豪の助演者達は多勢に無勢の戦いを引き受ける。最終回はこうでないとね!
※そして、「アカネ」(^o^)/ 。喜んで良いのか、慰めた方がよいのか・・・。でもムッとした「アカネ」も可愛い。(^^)。

「ロード、シルバー・カートリッジ」にて城内部を突き崩し、真っ直ぐに「ナギ」を目指す「ナツキ」達。目前に現れた巨大な「スレイブ」2体を前にした彼女の背後から、聞き慣れた女性の声が響きます。
「・・・まったく、いつまで経っても優雅さに欠けますね、あなたは
神速にて「スレイブ」を一刀両断する「オトメ」。眉目秀麗、完璧なプロポーションを持った女性の姿に、その声に慣れた「ナツキ」ですら一瞬誰かと疑問に思いましたが・・・。
「・・・ミス・マリア!?」
そう、かつて「竜王戦争」のときから「オトメ」として「ガルデローベ」で学び、現在は「オトメ」を指導する現役最高齢の「マイスターオトメ」、「マリア・グレイスバート」がマテリアライズした姿こそ、女性の正体だったのです。
「嘆かわしい。せっかく理想的に年を重ねたというのに、今更こんな姿をさらすなど・・・
「マリア」超美人!・・・やばいっ、「舞-乙HiME」の中でも屈指の美しさだぁああっ!!

もちろん「オトメ」達以外が働かなかったわけではありません。「シマシマ団」、「サコミズ・カージナル」、様々な人達が戦い、今この時を迎えようとしているのです。そして、「マシロ」を真の女王へと目覚めさせるきっかけを作った「アオイ・セノー」も今、ベッドから起き上がれるほどに回復をしていました。
「アオイっ!・・・良かった・・・」
「チエちゃん・・・」
大事な任務前だからこそ、親友の無事な姿を目にして自らの心に区切りをつけた「チエ」。
続いて彼女は「ユキノ」から預かった封筒を手に、任務へと立ち戻ります。
---
「こんなところまで・・・」
あと一歩、もう少しで「ハルモニウム」へと辿り着ける通路にも密集している「スレイブ」の群れ。今ここで足止めされるわけにはいかない。「舞衣」と「ミコト」は「アリカ」に声をかけます。
「アリカちゃん・・・紡ぎ手の娘、ニナさんをハルモニウムから開放してあげて」
「急ぐんだぞ・・・あのオルガンは、あまり長く演奏していると危ないんだ」
「ナツキ」、「舞衣」、「ミコト」・・・新時代の主人公を先に向かわせ「スレイブ」と対する3人のオトメ達。

※どうしても「アオイ」と「チエ」の再会は見たかったので、ほっとしました。そして「アリカ」と「マシロ」は前主役達に託されて最後の戦いに向かいます。

「地下通路にローブの反応が・・・蒼天の青玉ですっ!」
悲鳴にも似た報告が響いた直後、壁を破壊して「アリカ」と「マシロ」が姿を見せました。ついに、「ハルモニウム」を前にして「ニナ」との対面を果たした彼女達。
「ナギ」には「マシロ」が、「ニナ」には「アリカ」が向き直ります。
「ニナちゃん、もう止めてっ!」
今まで何度も行ってきた叫びを、再び「ニナ」へと向ける「アリカ」。
しかし、落ち着いた様子で「ニナ」は頭上の「セルゲイ」を見上げます。
「無理よ。ハルモニウムを止めたら・・・お父様が死んでしまう。・・・私の全てをかけて・・・私がお父様を守る!
心に秘めた想い、心に秘めた決意。それを今、口に出して、さらに決意を固める「ニナ」。しかし、彼女が退かない理由を知った「アリカ」も、だからこそ戻るわけにはいきません。
「・・・たぶんだけれど、ううん・・・きっと、セルゲイはニナちゃんにこんな事をさせてまで・・・生きていたくないって言うと思う!
人は、自分の本心を突かれたとき、激しい感情の変化を生じるといいます。そして「アリカ」が訴えたことは、「ニナ」の中にも眠っていたもうひとつの彼女の思い。
「あなたに何がわかるの・・・私とお父様の事を・・・何がわかるのよぉおおっ!」
だからこそ彼女は叫び、「ハルモニウム」の能力によって「アリカ」を自分ごと城外へと連れ去ります。

※確かに「アリカ」の言うとおり「セルゲイ」なら「そんなことはしなくてよい」と言うでしょう。でも同時に「それでも私はそうしたい」という気持ちもわかるんですよね。

突如として消え去った黒い渦。「オトメ」達が「ヴィントブルーム王城」を見やったとき、そこにふたつの輝きがありました。・・・紅い輝きは「ニナ」、蒼い輝きは「アリカ」。
「少しだけ、わかるよ。私もセルゲイのこと・・・好き・・・だったから」
過去形とはいえ、「セルゲイ」への想いを再度告白する形となった「アリカ」。彼女の言葉が、「ニナ」の心にナイフのように突き刺さります。
そして、「ならわかるでしょう!」と叫ぶ「ニナ」。全てを犠牲にしても、世界全部と引き替えにしても、「セルゲイ」を助けたい、彼を欲しいと、ひとりの乙女は訴えます。
「なら、私は絶対に・・・ニナちゃんを止めるっ!」
想いの強さがぶつかり合い、互いの気持ちが相手を傷つける。それでも戦い合うふたりの少女。やがて「ローブ」に守られた身体は、成層圏へと飛び出します。
---
「皮肉だね。結局オトメ同士の戦いに、世界の行く末が委ねられたわけだ。・・・まあ契約は解除されたらしいから、僕らは見物するしかないけれど」
自らの手を離れた事態に、傍観者を決め込む「ナギ」。落ち着いた彼に対して、「マシロ」は護身用のナイフを取り出して「ハルモニウム」を止めろと訴えかけます。
無理さ。あれはニナちゃんの言うことしか聞かない。『本物の姫』のね。・・・僕はこの世界を普通の姿に戻そうとしているだけだよ。君だって変だと思うだろう?・・・オトメを犠牲にして、科学を封じられて・・・。大丈夫、こいつのせいでこの星は一度滅んでいるけどさ。・・・今度は僕がちゃんと面倒を見るよ、失敗しないようにね」
見上げたのは「ハルモニウム」か、上空で戦っている「ニナ」の姿か。そして、いずれにしろ人は管理されないと生きてはいけないと語る「ナギ」に反論する「マシロ」。
「科学も徐々に開放する、オトメも・・・いつか不要の存在にしてみせる!・・・じゃがそれは、そなたなどのお節介でやるものではない!
理想論だと「マシロ」を諭す「ナギ」に、感情的になりながらも反論してみせる「マシロ」。彼女の心は「人は信じる価値がある」と自身へと訴えかけます。
※「人は導く必要がある」という「ナギ」の言葉が間違っていると、言い切ることは難しい。でもその言葉を否定し、皆が人を信じることができたとき、「マシロ」が目指す「みんなが笑顔で居られる国」ができるのではないでしょうか。
※そして「ナギ」の言葉を聞くに、ここは「地球」!?

「なんで戦うのよ・・・あなたはっ!」
遙か上空にて剣を交える「ニナ」と「アリカ」。愛する者を救うために戦う自分に、その気持ちに対抗できる何を「アリカ」が持っているのか。彼女の言葉に「アリカ」は答えます。信じる「夢」があるからだと。
約束したの・・・みんなが笑顔で居られる国を創るって!・・・私、この街に初めて来て、ニナちゃんと会って、シズルさんを見て、本気でオトメになりたいって思った。・・・もしあのとき夢を持たなかったら、私は絶対オトメにはなれなかった。どんな無茶な夢でも、信じれば叶う・・・ううん、叶うと信じて進まなきゃ・・・何も起こらないんだよ!
視野は狭くても前を向き、困難にあっても壁を越え、一歩一歩進んできた「アリカ・ユメミヤ」。彼女の行動を見てきた「ニナ」に、わずかに迷いが生まれます。しかし、それでも、同じ未来を見つめることができない「ニナ」。
「それはあなたが本当にくじけたり・・・過ちを犯したことが無いからよ」

自分は「エルスティン・ホー」を殺し、街を破壊し、何人もの・・・何十人、何百人もの命を殺めてきた。その事実が「ニナ」に暗い影を落とします。
「そんなことない!・・・間違えたら、また一生懸命考えてやり直せばいい! それでまた、前に進めばいいんだよっ!」
彼女は「エルスティン・ホー」を(過失ですが)殺した。街を破壊して、もしかしたら人を殺めたかもしれない。それでもきっと、やり直すことはできる。
そう信じる「アリカ」に、全力でぶつかる「ニナ」。逃げず、避けず、正面から攻撃を受け止め、その場に立って堪えてみせる「アリカ」。
「どうして、どうしてあなたはいつも・・・諦めないのよぉおっ!」
悲鳴にも似た「ニナ」の叫びが、彼女の苦しさを伝えています。そして、それがわかるからこそ「アリカ」は諦めたりはしないのです。
私・・・ニナちゃんのことも、みんなのことも好きだもの。・・・だから、諦めるなんてできない。私、バカだし・・・何も知らない。でも、もっともっと知りたいよ、ニナちゃんのことを・・・。だから、もう一度一緒に始めよう・・・ね、ニナちゃん
離れていた距離が、少しずつ縮まっていきます。そしてそれは、ふたりの心の距離でした。『私でも救われるのかもしれない・・・彼女なら救ってくれるかもしれない』・・・泣いていた心が、光明を見つけ出しました。
「・・・もっと色々なことを・・・話せば良かった。エルスとも・・・アリカ、あなたとも」
見上げた場所に「アリカ」の顔があります。手を伸ばせば届く距離に、優しい彼女が居ます。

「まだ間に合うよ・・・だから、ニナちゃん」
手を伸ばし合うふたり、涙を浮かべながら見つめ合うふたり・・・。伸ばした手が届き、お互い繋ぎ合った瞬間・・・「ハルモニウム」が吼えました。
※「アリカ」は言っていました。「ニナちゃんが泣いている」と。泣いている友達を助けるために、彼女はここまで辿り着きました。そしてついにふたりはわかりあえたのに・・・。

成層圏へと達した紅い光。それが「ニナ」を包み込み、彼女の全身を痙攣させます。悲鳴を上げる「ニナ」。離れていく手・・・。
---
「まずいぞ・・・あいつが暴れている。このままだと、またいつかみたいになるぞ!
猫神様「ミコト」の言葉に、急ぎ「王城」の中心へと向かう「舞衣」達。そしてその咆哮を聞いた「ナギ」は、諦めの言葉を発します。
「もう遅いね。・・・セルゲイを維持するために起動し続けたハルモニウムが限界を超える。・・・今ニナちゃんにはあのハルモニウムの力が、記憶が流れ込んでいるはずさ。・・・人があれを造って犯してきた過ち、恐怖と憎悪、絶望・・・かつて『真白なる金剛石』と呼ばれた貴石が、絶望で黒く染まったように・・・。こうなる前に終わらせられると思ったけれど、賭は僕の負けだ。・・・しょうがないね、みんな一緒に死んじゃおうよ
---
叫び、苦しみ、震えが止まらない「ニナ」。何度も助けようとする「アリカ」ですが、そのたび彼女を覆い包む紅くて黒いオーラが「アリカ」を跳ね返します。
「・・・アリカ・・・私を倒して・・・。今、私を倒さなければ・・・世界は終わる。・・・お願い・・・友達だって・・・思ってくれるのなら」
・・・それが「ニナ・ウォン」としての最後の言葉でした。

急に震えを止める彼女の姿、笑みを浮かべた少女の背中に、オーラが黒い翼となって生え揃います。そして、手に持った剣が洗煉され、まるで瞳のように浮かび上がるいくつもの紋章。見上げた少女の顔には片眼を覆うマスクが表れ、すでに迷いは消し去られていました。
禍々しい星の力を剣に宿した少女は、その視線を「アリカ」から外し、自分が生まれ育ってきた惑星へと向けます。
大上段へと構えた剣を、振り下ろさせるわけにはいかない。「マシロ」の「決して諦めない」という言葉も「アリカ」へと届き、彼女の力へと変わります。
「そうだね、マシロちゃん・・・」
[ULTIMATE BLUE SKY ELEMENT EXPANSION STANDING BY...START...SWORD OF AKATSUKI RELEASE]
光の文句が浮かび上がり「蒼天の青玉」の真の力が解放されていきます。蒼い光のオーラに包まれ、髪を金髪にして飛び込む「アリカ」。途中で方向を変えた少女の刃が「アリカ」を襲いますが、「アリカ」の剣は彼女の攻撃を跳ね返します。
「いやぁああぁああああっ!!」
気合一閃、真っ直ぐに少女へと刃を突き立てる「アリカ」。瞬間、白色の光がふたりを包みます。マスクが砕け落ち、血を吐く少女。そして「漆黒の金剛石」が、粉々に砕け落ちました。

「ニナ・・・ちゃん」
「ありがとう・・・アリカ」
力を失い、落ちていく「ニナ」。必死で彼女を追いかける「アリカ」。大気圏へと・・・落ちていきます。
※「アリカ」が刃を突き立てなかったら、「ニナ」の剣は星を貫いたのではないか・・・そう思わせるほどの禍々しい力が、剣に宿っていました。あれは「舞-HiME」のラスボスと同じ存在ですかね?

光を失う「ハルモニウム」。漆黒が解かれた指輪に「ナギ」は目を見張ります。そして突入してくる「オトメ」軍団。逃げだそうとした「ナギ」の元に「チエ」が兵士達を連れて姿を見せます。
「ナギ・ダイ・アルタイ・・・審議会臨時法廷の命により、あなたを逮捕します」

観念した「ナギ」は連れ去られ、時が動き出した「セルゲイ」は、「ヨウコ・ヘレネ」の指示で「ガルデローベ」へと運ばれていきました。
「こんなものがあるから・・・ええぇえいっ」
「ナツキ」の「シルバー・カートリッジ」、そして「ミコト」によって完全に破壊された「ハルモニウム」。その姿が現世に戻ることは、もうないでしょう。
---
大気圏突入の摩擦熱で燃え落ちる「ローブ」。「蒼天の青玉」も残された光の力だけで「アリカ」を包み込みます。そのまま「ニナ」を抱きかかえて落ちていく「アリカ」。
「やっとニナちゃんを捕まえた・・・」
全裸で落ちていくふたりの姿を、地上の人達は流れ星に見て取りました。

---
時は経ち・・・。
 ・歴史的な「マシロ」と「ミドリ」の握手は、世界各国で報道されました。
 ・「黒い谷」は「ヴィントブルーム王国」近くの砂漠に残り、
  「舞衣」、「ミコト」の指導の元、「ナギ」も元気に(?)刑期を過ごしています。

※「アオイ」が車椅子で足を怪我した「マシロ」を運んでいました。(^^;)。

そして、各国の来賓者を招き、新しい「ヴィントブルーム王城」のお披露目が華々しく開催されました。
「・・・以上のことをわらわは今、わらわの民に誓うものである。・・・ようし、最後の仕上げじゃ!
「マシロ」の言葉に従い、巨大な「ひまわり」形のシンボルを運ぶのは・・・「蒼天の青玉」、(なぜか真の力ではなく、ピンクに身を包んだ)「アリカ・ユメミヤ」。
「オッケー、任せてー・・・ああぁあぁっ・・・」
陛下の「マイスターオトメ」になったとはいえ、危なっかしい彼女は思わずシンボルを落としそうに。
「相変わらずだな、お前はっ!」
支える「ナツキ」達「五柱」に謝りつつも、なんとか設置に成功する「アリカ」。見守る「ガルデローベ」の生徒達からは歓声がしきり。
「まだみすぼらしい城じゃ・・・じゃが、ここから始まるのじゃ。・・・まだ、まだこれからなのじゃ・・・そうじゃろう、ミミ
目指す「みんなが笑顔で居られる国」への一歩を踏み出しつつも、その道の困難さに顔を引き締める「マシロ」。それでも彼女はひとりではありません。
『私の夢はここにある・・・だから見ていて、エルスちゃん・・・ニナちゃん』
決意を新たに踏み出すのはふたり。そう「アリカ」と「マシロ」はふたりでひとり。
同じ夢を見て、これからも歩いていくのです。
---
某国。暖かい日差しが、鳥の鳴き声が春を告げています。天蓋つきのベッドで休んでいる男性が、入り込んできた日差しに目を開けました。その傍らには椅子に腰掛ける女性の姿が・・・。
「きみ・・・は・・・?」
まだはっきりとはしない意識の中、女性を見つめる男性。その言葉に一瞬息を詰まらせ、女性はゆっくりと口を開きます。
「・・・私はニナ・・・ただのニナよ。・・・初めまして、セルゲイ」
涙を流す「ニナ」に少し驚きつつも、握ってくる手の暖かさにほっとする「セルゲイ」。
「それが・・・僕の名前・・・?」
問いかける「セルゲイ」に。いいえ、むしろ自分自身に言い聞かせるように「ニナ」は彼に話しかけます。
「・・・慌てないで、ゆっくりと始めましょう・・・もう一度・・・私たちで」

脇に置いてある丸テーブルの上。かつて「セルゲイ」より貰ったペンダントには、笑顔の「アリカ」「ニナ」「エルス」3人の写真が飾ってありました。

-終了-

実に王道!60分スペシャルの名にふさわしく、一気に見るとその破壊力は屈指! 前回とあわせて見ている最中のワクワクドキドキ感は今期No.1でした。

最終回ラッシュを迎えた3月末。1クール作品も、2クール(半年間)作品も、4クール(1年間)作品も、それぞれが終わりを迎えました。すべて感想こそ書いてはいませんが、今期も十数本の作品を楽しんで見てきました。
その中でも、本作品「舞-乙HiME」、「SoltyRei」、「うえきの法則」が私的3大エンディングでした。燃える展開、想像外の展開、大団円・・・。スタッフの皆様、本当に半年間、ありがとうございました。そして、本ブログをご覧頂いている皆様も、つたない文章ですが精一杯書きました。ご覧頂き、ありがとうございました。

【今期、鑑賞してきた作品(順不同)】
「マジカノ」「陰からマモル」「BLOOD+」「エウレカセブン」「MAR-メルヘヴン」「ワンピース」「よみがえる空」「うえきの法則」「ガラスの仮面」「地獄少女」「エンジェルハート」「あまえないでよっ!!喝!!」「かしまし」「舞-乙HiME」「SoltyRei」「ケロロ軍曹」

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舞-乙HiME_TV25

第25話「蒼天の乙女」

アニメファンにとって楽しく、アニメ感想系サイトにとって楽しくも辛い1日の始まりです。
そう、今日は「舞-乙HiME」最終回60分スペシャル、そして「SoltyRei」最終回90分スペシャルの日。
「SoltyRei」の感想は書いていない私ですが、その分、気合いを入れて「舞-乙HiME」の感想を書いてゆきます!
※ちなみに「SoltyRei」は大好きで、楽しく視聴し、イベントに参加し、DVDを購入しています。(^_^)。
それにしても・・・ココログの管理画面重すぎ。orz

「珠洲の黄玉、慧命の藍銅鉱、雷鳴の柘榴石・・・発艦位置へ」
響き渡るアナウンス。潜砂空母「スズシロ」より上がり来るは「ハルカ・アーミテージ」を始めとした「マイスターオトメ」3人。その報告を聞きながら「ナギ・ダイ・アルタイ」は「ニナ・ウォン」に語りかけます。
「ご覧、皆がやって来る。・・・君からセルゲイを奪いにね
彼の言葉に表情を厳しくする「ニナ」。愛する父「セルゲイ・ウォン」が銃に倒れた今、彼女にとって世界とは父の余命と同格の物。その命、救うことができるのならば、彼女は悪魔とさえ契約を結ぶでしょう。そして今「セルゲイ」の命を繋いでいるのは、戦の中心「ハルモニウム」。奪い返されるわけにはいきません。
「我が方のオトメを出しなさいっ!」

指揮官たる「ニナ」の声に姿を見せるのは、こちらも名だたる「マイスターオトメ」。「ルーテシア・レムス王国」の「ラウラ・ビアンキ」と「フロリンス王国」の「ロザリー・クローデル」。そして「チエ・ハラード」達、「ワルキューレ部隊」の面々。
「・・・我らに選ぶ余地などない。オトメになると決めたときから」
旧友、親友、先輩、後輩・・・見知った相手との戦いとはいえ手を抜くことなど許されません。竜王戦争以来となる大戦は、今ここに始まりの鐘を告げました。
「いいねえ・・・これぞ戦争だよ」

※まだ手の内と、余裕を見せる「ナギ」。彼の平静を崩すことが、条約機構軍が勝利するための第一歩ですが・・・。

「これでハルモニウムが使われれば・・・まさに十二王戦争の再来じゃな」
かつて世界を滅ぼしかけ、「オトメ」という存在を生み出した「十二王戦争」。「アンナン王」である「グエン・バオ」の言葉は聞く者に恐怖を呼び起こさせます。
「そうさせないための奇襲です。・・・我々が送り込んだ情報源によれば、ピンポイントの攻撃は不可能のようですから、あれだけ接近すれば。・・・後はお任せします、学園長
持ちうるほぼ全勢力を用いた陽動。これが「エアリーズ共和国」の大統領「ユキノ・クリサント」達が用いた対「ハルモニウム」用の戦いでした。「アルタイ公国」の切り札を封じ込めつつ、「ナツキ・クルーガー」率いる本隊がオトメ養成学校「ガルデローベ」へと進入を計ります。
「いいか、ジャミングをかけている敵の真祖を破壊し、フミ様を復活させれば勝負がつく。・・・霊廟を目指せ!
「ナツキ」の言葉に行動を始める「ジュリエット・ナオ・チャン」、そして彼女の親衛隊「シマシマ団」の面々。さらに生徒、教師を中心とした学園内の「アルタイ公国」反抗組織がひとつの目的のために動き出します。
「フミ」復活の時までローブを使わずに戦い続ける「五柱」、そして「コーラルオトメ」達。オトメたる資質を持ち、たゆまない努力と、教育により鍛えられた彼女たちは「アルタイ公国」の軍人達と互角以上の戦いを繰り広げます。しかし、たとえ気を抜いていなくとも相手は銃を持った兵士達。
「ぁあっ・・・後ろっ!」
呼びかける「ナオ」の言葉に「ナツキ」が振り返ったとき、彼女の目にはいるのは真っ直ぐに自分へと狙いを定めた拳銃の銃口でした。そして今まさに「ナツキ」へと銃声が響き渡ろうとしたとき、彼女の危機を救ったのは・・・
「・・・ほんま、ナツキはうちが居いひんと、あかんのやから」

「ヴィント市」に戻ったもうひとつの理由、親友たる「シズル・ヴィオーラ」の再会に成功し、喜ぶ「ナツキ」。しかし、すぐさま彼女は「シズル」が負ったであろう心の傷を想像し、「シズル」へ謝罪します。
「・・・済まない、辛い思いをさせて」
「ええんよ、ナツキのためやったら。・・・それに、そこそこ楽しみましたし」

※赤ちゃんプレイ、キタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!

「・・・やっぱりそっちが本命か。じゃあそろそろ次の手に移ろうか。・・・スレイブを出して」
「ナギ」の命令により数十、いや百を超えようかという「スレイブ」が次々に「ガルデローベ」の周囲に姿を現します。あらかじめ襲撃を予測し、結晶化させて配置していた「スレイブ」達による攻撃の脅威は、兵士達とは比較になりません。
「ナツキ、急ぎおし!」
いくら彼女たちでも生身のままでは反撃は不可能。「シズル」の言葉に自閉モードを解除するための扉を開いていく「ナツキ」。
「・・・我、五柱の2、氷雪の銀水晶『ナツキ・クルーガー』。学園長たる権限において願う、真祖への道を開け」
そして開いた扉へと駆けつける「イリーナ・ウッズ」他、科学技術のスペシャリスト達。
---
同時刻、戦場。「ナギ」の命令による「スレイブ」の出現は、互角の戦いを繰り広げていた戦場の流れを一気に「アルタイ公国」連合側へと推し進めるものでした。
高出力砲台を持ったスレイブの群れ。その一斉射撃が条約機構軍の旗艦へと唸りを上げます。
「ユキノぉおおおおっ!」
「ハルカ」の叫び声が辺り一面に響き渡ります。その直撃を受けたのは・・・誰もが予想もしない伝説の大地でした。棘を思わす数十の黒き岩が取り囲む、その大地こそは「シュバルツ」達が聖地とあがめる「黒い谷」。
そして彼の地より飛び出したのは背中に「マシロ・ブラン・ド・ヴィントブルーム」を抱えた「アリカ・ユメミヤ」と、猫神様「ミコト」を抱えた「鴇羽 舞衣」!
「アリカ」の一撃が数体の「スレイブ」を両断し、「舞衣」の軌跡が数十体もの「スレイブ」を殲滅していきます。
「アリカ・・・」
「驚いたぁ。・・・しぶといね、ふたりとも。まあ、アリカちゃんはまだ、青玉の真の能力は出せないみたいだけど
殺したと思いこんでいた「アリカ」達の出現に異なった言葉を漏らす「ニナ」と「ナギ」。彼女の表情が僅かに和らいだのは「ナギ」からは見えません。
「アリカちゃん、こいつらの相手は私とミコトに。あなたは街へ!」
「舞衣」の言葉に従い、一直線に「ヴィント市」を目指す「アリカ」と「マシロ」。そしてその光跡を見上げるのは、彼女をずっと見守り続けた「ミユ」
でした。
---
「あなたがその貴石の真の力を引き出すには、どうしても越えなければならない壁があります。・・・行きなさい、アリカ。漆黒の金剛石を、ハルモニウムに打ち勝つ希望を・・・蒼き星の力を手にするために
そのまま谷沿いの湖へと飛び込んだ「ミユ」。彼女の紅い瞳に映るのは、かつて高次物質化能力者達が生活をなした遺跡の一部。その周りにうかぶ黒き幻影達を、彼女の特殊弾頭が討ち滅ぼしていきます。
---
「霊廟の封印が破られました!」
部下の言葉に「攻城砲」の用意を指示する「ナギ」。
「ヴィントブルーム王城」を改造して作り上げた砲塔が、霊廟へと向けられます。
「大丈夫、霊廟に直撃しても、禁書庫は持つよ」
大地を削る高出力の「攻城砲」を霊廟へと受ければ、真祖「フミ」のシステムが塵芥と消え去り、この戦いは条約機構軍の敗北となる。ギリギリで自閉モードの解除に成功し、「五柱」のローブを身に包む「ナツキ」。
「マテリアライズ・・・ロード・シルバー・カートリッジッ!・・・エアリーズの情報によればワルキューレの真祖は・・・間に合えぇっつ!!」
世界の命運をかけた一撃の撃ち合いは、互いの軌跡を逸らせるだけで終わりました。直ぐ様に2射目の準備へと取りかかる「ナギ」に対し、ケーブルが焼き切れてマテリアライズが解けてしまう「ナツキ」。霊廟を、「ナツキ」の身体ごと焼き尽くす悪魔の光線が、その身に迫ります。身を挺してかばおうとする「シズル」と共に、その姿は白い光に包まれ・・・
「だあああぁあああっ!!」
間一髪、光線を防いだのは「蒼天の青玉」、「アリカ・ユメミヤ」のローブ
でした。そのまま気合いもろとも光線を跳ね返し、「攻城砲」を粉砕する「アリカ」。
「ユメミヤ・アリカ・・・只今戻りました」
「黒い谷」で別れたときとは別人のように強固な意志を感じさせる瞳で降り立つ「アリカ」。
その姿に「イリーナ」達は歓声を上げますが、「ナツキ」は彼女がまだ「蒼天の青玉」の真の能力を開放できていないことに危惧を覚えます。そこに飛び込んでくる1体の黒い影。
「勇ましく出てきたのは良いけれど・・・あんまり進歩していないみたいね」

「ワルキューレ部隊」のローブに身を包んだ「トモエ・マルグリット」は「アリカ」を見やり、続いて「シズル」を見やります。
「シズルお姉様・・・やっぱり嘘だったんですね。・・・非道い人・・・でもやっぱり似ていますね、私達。私もあなたを手に入れるためなら・・・なんでもできますものっ!
猛然と「アリカ」へ斬りかかり、憤怒の表情を見せる「トモエ」。対する「アリカ」は「こんな戦いは止めよう」と「トモエ」に呼びかけ、「甘い」と吐き捨てられます。
「甘くたっていい・・・私は、戦いを止めてみせる!」

燃える燃える燃える燃える燃えるーっ! まだ全体の四分の一ですよっ!!

「何やっているのっ!・・・段取りが全然違うじゃないっ・・・ったくもう」
当初の予定では「ワルキューレ部隊」の真祖を「ナツキ」の一撃が破壊するはず。いつまでたっても消えない「ワルキューレ部隊」と「スレイブ」に、「ハルカ」達「マイスターオトメ」3人は霊廟の近く「ナツキ」達の側に降りてきます。
そして、彼女たちを見下ろすように取り囲む「ラウラ」、「ロザリー」のふたり。そして「チエ」達「ワルキューレ部隊」の姿。
押されているのは明らかに条約機構軍でした。
オトメ達、もう止めよっ!・・・わらわは何も知らぬ王じゃ。じゃがそんなわらわでも、ひとつだけわかっていることがある。それはナギに世界を好きにさせてはならぬということじゃ!・・・なのに、どうしてそなた達は気づかぬ!・・・自分の頭で考えろ・・・只の道具だというなら、オトメなぞ不要じゃ!
※戦いを止めようとする「マシロ」の姿、「トモエ」を説得しようとする「アリカ」の姿。スクリーン越しに見つめるかつての友達の姿に「ニナ」は何を思うか。

「さて、役者も揃ったし・・・最後の段階に移ろうか」
すぐに次の真祖の素材は揃う、「レナ」を失っても構わないからと「ワルキューレ」システムの全安全機能解除を命令する「ナギ」。実行された命令に「ガルデローベ」を取り囲むスレイブ達、そして「トモエ」達「ワルキューレ部隊」の身体に電気が走ります。
「・・・始まったわ」
「トモエ」のつぶやき直後、突如として「ハルカ」や「ラウラ」、敵味方問わず「マイスターオトメ」達のマテリアライズが全て解けていきます。
そしてその現象は上空で戦っていた「アリカ」の身にも起こっていました。理由もわからないまま、数十メートルの距離を真っ逆さまに落ちていく「アリカ」。
「聞いていないぞ、こんな作戦は・・・ええぇいっ!」
なんとか地上すれすれで「アリカ」を救ったのは「チエ」でした。そして、彼女の裏切りに怒り「チエ」のローブを粉砕する「トモエ」
「やっぱり裏切ってらしたんですね、チエお姉様。・・・でも不思議、どうやって真祖様の支配に逆らったんですか?
その疑問に答えたのは「シホ・ユイット」。「トラウマキ人形」を使い、彼女を貴石の呪縛から救ったのだと「シホ」は誇らしげに高笑いをします。
※「シホ」の出番あったー。良かったねぇ。うんうん。・・・一瞬の煌めきでしたが。(^^;)。

「どうしてかしら・・・私が少しでも素敵だと思った人・・・みんな私を裏切るのね。この学園に来るまでは、全部・・・私の思い通りだったのに。仕方がないわ、全員消してしまいましょう
同盟国である「ルーテシア・レムス王国」、「フロリンス王国」を含めた全ての「オトメ」達の抹殺を宣言する「トモエ」。
「ヴィント侵攻にかこつけて、全てのマイスターを殲滅・・・これがこの戦争の目的かい?」
「チエ」の推測を肯定した「トモエ」は、すべて作戦通りと答えます。そう、「オトメシステム」の終焉こそ、戦争を引き起こした「ナギ」の目論見
だったのです。
「こんな滅茶苦茶な代理戦争システムは終わりを告げる。・・・痛みは皆で分かち合おうよ。一番戦争をしたがるのは、愛すべき国民達なんだからね
---
ローブを解かれた「オトメ」など、「ワルキューレ部隊」から見れば只の少女に過ぎない。誰から殺そうかと楽しそうに問いかける「トモエ」に対して声を上げたのは、何度も彼女を説得してきた「アリカ」でした。
「止めてっ、トモエちゃん!」
彼女の言葉を「抹殺に対する立候補」と受け取った「トモエ」は嬉しそうに斧を振り上げます。もはや誰にも止めることはできない・・・そう思われた瞬間、巨大な剣が彼女の斧を叩き落としました。続けざまに何体もの「スレイブ」を排除していく謎の相手に対して目をこらす「トモエ」。見上げた彼女の瞳に入る、太陽の中から飛び出してきたのは・・・
「そいつらはやらせんっ!・・・まだマシロ女王に死なれちゃ困るんでね。・・・熱風の愕天王っ・・・突貫!!」
「トモエ」を跳ね返し、ビルごと打ち砕く「ミドリ」。
次々に駆けつける「アスワド」達。そして「ラド」の「スレイブ」から降り立ったのは「ガルデローベ」随一の才媛「ヨウコ・ヘレネ」その人でした。
「マシロ陛下、アリカさんと手を繋いでみて。・・・思った通りね。マスターと直接触れ合えば、干渉波も役には立たない
「マスター」と「オトメ」による接触こそが現在、干渉波を防ぐ唯一の方法と見抜いた「ヨウコ」。そして今、それが可能なのは「アリカ」と「マシロ」の一組だけでした。
「アリカ、マシロ女王・・・貴方達に、全てを託す!」
「ナツキ」の言葉に大きく頷く「アリカ」。
「アルタイ公国」を除いた全ての「オトメ」達、この場にいる全ての人達の思いを乗せて、「アリカ」と「マシロ」は飛び立ちます。そして彼女達の前に立ちはだかるのは、「ミドリ」の一撃でかなりの手傷を負った「トモエ」でした。
「アリンコの分際で、調子ぶっこいているんじゃないわよっ!」
最後の力を振り絞り、その身を竜巻へと変えて「アリカ」へ突貫する「トモエ」。しかし、皆の思いを抱えた「アリカ」にとって、手傷を負った「トモエ」は敵ではありませんでした。
「・・・ごめんね、トモエちゃん」

一撃の下に彼女のローブを打ち砕く「アリカ」。落ちていく「トモエ」を振り返ることなく、彼女は一路目指します。そう、「ワルキューレ」システムの真祖の元へ。
※「トモエ」も今週は結構目立っていましたが「ミドリ」の敵ではありませんね(おい。・・・三流悪役っぽい言葉で消えていきましたが、「トモエ」の出番はこれで終わりかな?

鎮座するシステムの前に姿を見せた「アリカ」。その中に閉じこめられ利用されているのは、彼女の母・・・「レナ」の遺体です。
やっと会えたね。あたし・・・アリカだよ。・・・ねえ、見える?・・・あたし、オトメになったんだよ。・・・似合うかな。・・・なんか・・・ちょっと恥ずかしいや。変だね、会えたらもっといっぱい・・・いっぱい話したいことがあったのに・・・。苦しいの?・・・そうだよね、きっと・・・こんな・・・」
時々声に詰まりながらも、ようやく会えた母「レナ」の前で自分の姿を見せ、話しかける「アリカ」の姿。その言葉に、彼女の思いに、「マシロ」の心は溢れる想いを止められません。
「わらわは泣かぬ・・・そう決めたのじゃ・・・。アリカ、そなたのマスターとして命じる・・・これを破壊せよっ
「マシロ」の優しさに胸がいっぱいになる「アリカ」。それでも彼女は凛とした表情で「マシロ」へと向き直ります。
「ありがとうマシロちゃん。でも、いいの・・・あたしが自分で考えて・・・決めたことだから」
自分の意志でけじめをつける。「アリカ」は宙へと飛び上がり、システムの破壊を決意
します。
「BLUE SKY SAPPHIRE BOLT FROM THE BLUE COUNTDOWN・・・RELEASE」
「アリカ」が母に向けた最後の言葉は何だったのか・・・彼女の頬を一粒の涙が落ちていきました。
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崩れゆく王宮を見つめる「ナツキ」達。黒い噴煙の向こうに、ひとりの少女の姿が見えました。「マシロ」を背負って、蒼い光を放つ「オトメ」。今ここに「蒼天の青玉」、その真の姿が現れました。
「ありがとう・・・母さん」
落ちていく「スレイブ」、復活する「オトメシステム」、「アルタイ公国」の軍艦を全て破壊して戻ってきた「舞衣」、湖底の遺跡へとたどり着いた「ミユ」。
「レナ様・・・逝けたのですね」

※ついでに・・・生きていた「トモエ」。(^^;)。

これで残る相手は・・・只ひとり。「ハルモニウム」が鼓動をあげ、巨大な竜巻が姿を見せます。その中心に見えるのは・・・「ニナ・ウォン」

燃えた、燃え尽きました・・・。いやあ、最終回だったかなと思っちゃいましたよ。
これで残るは「ニナ・ウォン」、そして「ナギ・ダイ・アルタイ」。最終話の感想は・・・土曜日の夜に掲載します。(^^;)。

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