第26話「Dream☆Wing~夢の在処」
ついに迎えた最終話。半年間のオトメの想いが、戦いが・・・今、終息を迎えます。
「ゲームはここまでかな。この町を更地にして、全てを終わらせよう。・・・わかっているよね、もう後戻りはできないんだよ、僕らは」
「ナギ・ダイ・アルタイ」の言葉に、彼をじっと見つめる「ニナ・ウォン」。そう、目の前の相手こそ彼女のマスターその人・・・運命を共にする相手なのです。そして、彼女の足を動かす理由はもうひとつ。宙に浮き、時を止められた彼女の父「セルゲイ・ウォン」。
『セルゲイ・・・優しい人・・・優しすぎる人。・・・でも、今はその優しさに感謝します。・・・私に能力を残してくれたことを。あなたのためなら、私は・・・』
あの夜、「セルゲイ」は「ニナ」を抱きしめました。・・・しかし、父は彼女を抱かなかったのです。オトメの資格を奪われなかった「ニナ」。彼女は再び「ハルモニウム」を弾き鳴らします。
巻き起こる巨大な竜巻。街を、港を、国を破壊した黒い渦が、ヴィント市の建物を次々に破壊してゆきます。
「・・・お日様が・・・暗闇に閉ざされていく」
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その光景は「ガルデローベ」の霊廟からも確認できました。
『ハルモニウムを止めなければならない』。共通の想いが「ナツキ・クルーガー」達「五柱」の胸にわき起こります。
「行くぞ」
「ナツキ」の一声で、マテリアライズを行う彼女自身、そして「シズル・ヴィオーラ」、「ジュリエット・ナオ・チャン」、「サラ・ギャラガー」の3名。
※ああ、「ナオ」のマテリアライズをしっかりと見せて欲しかった・・・。(T_T)。
「逃げな、ナギはこの街ごとやる気だよ」
暴風の中、黒い渦に立ち向かう「ミドリ」の言葉に「アリカ・ユメミヤ」と「マシロ・ブラン・ド・ヴィントブルーム」は「逃げることはできない」と返します。
「マシロちゃん、私に命を預けて。・・・方法なんてわからない・・・でもやらなきゃ。ニナちゃんが泣いているの」
闇雲に黒い渦へと特攻をかけようとする「アリカ」。しかし、彼女の元に「ナツキ」達「五柱」と、猫神様「ミコト」を背負った「鴇羽 舞衣」が駆けつけます。
「無理するな・・・いくら蒼天の力に目覚めても、お前ひとりでは無理だ」
「ちょっとは活躍させてよね!」
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そして、彼女を支援する人物は、湖深くの遺跡にもまたひとり。
『蒼き貴石は真の力を得、共に歩む主を得ました。お嬢様・・・あなたの最後の遺言を果たしましょう』
高次物質化能力の技術、「シアーズ」の科学技術が残された遺跡の中で「ミユ」の全機能が開放されます。
「導きの星よ・・・今っ!!」
管理者による承認が行われ、彼女の言葉に呼応して紅く輝く「媛星」。月面をひた走る赤き閃光は、その表面に巨大な紋章を浮かび上がらせます。
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「あの伝説が・・・真実だったとは・・・」
『導きの星が紅く輝く時、全てのオトメは「乙式」の制約を離れる』
「コーラルオトメ」「パールオトメ」「マイスターオトメ」・・・全てのオトメ達の「GEM」に響く「ミユ」からの言葉。
「オトメ達よ、貴方達を今・・・運命の頸木から解き放ちましょう。・・・選びなさい。あなた自身の手で、成すべき事を」
マスターの認証無しに次々とマテリアライズしていく「オトメ」達。対でひとつだった能力が、彼女たち自身の意志に任される時が訪れたのです。
「そんなの今更聞かれるまでもないわ!・・・出撃!・・・って、あれ!?」
「ハルカ・アーミテージ」のかけ声を待つまでもなく、次々と飛び立っていく「オトメ」の集団。誰に確認したわけでもなく、彼女たちの向かう方向はひとつでした。
※「シホ・ユイット」のローブが凄いっ・・・流石「螺旋の蛇紋石」!(^^;)
竜巻の結界へ次々に挑みゆく「オトメ」達。学生も「マイスター」も関係なく、皆が「ハルモニウム」を押さえ込んでゆきます。
「陛下!・・・我らもあなたの旗の下にお加えください。・・・今、成すべきは何か・・・それを自分の意志で決められるのであれば、我らは・・・」
「ルーテシア・レムス王国」の「ラウラ・ビアンキ」の言葉に代表されるように、仕えるべき国を超えて、ひとつになっていく彼女達の思い。
数十、数百と集まってくる「オトメ」に押されていく「ハルモニウム」。今ならば、ここを彼女たちに任せて本陣を突くことができます。
「行くぞっ、城を取り戻し、あのハルモニウムを止めるのじゃ!」
「マシロ」の言葉に集まる「ナツキ」達「五柱」の4名と「舞衣」、「ミコト」。そして「ハルカ」達、歴戦の「マイスターオトメ」達。
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「ずるいなぁ・・・ルール違反だよ、あれ」
既に我が手を離れつつある事態の推移に、有効な手段をうてない「ナギ」。「五柱」最後のひとりも「カルデア帝国」からの援軍も、「ヴィントブルーム王国」に到着しつつあります。
※「カズヤ・クラウゼク」皇帝に!・・・ということは、「アカネ・ソワール」キタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!
「いよいよ退路無しか・・・オリジナル・スレイブを全部起動させて」
「ヴィントブルーム王城」進入を防ぐ最後の壁を呼び起こす「ナギ」。出現する「スレイブ」の群れには「シズル」と「ハルカ」が対応を買って出ました。
「ここはうちに任せて、ナツキ達はお城の中に!」
「オトメに必要なのは力と技と・・・(根性です!by「アリカ」)・・・よろしいっ!」
多勢に無勢、数十体VS2人。しかし、慌てる様子もなく互いの背中をあわせながら、かつての級友同士は頼もしさを感じていました。
「さあ、昔年の勝負の決着をつけるわ・・・どっちがたくさん倒すか競争よっ!」
「ふふっ・・・あいかわらずやね」
切り裂き、蹴り倒し、打ち砕く・・・。得意の言い間違え(×「一網大魔神」、○「一網打尽」)も発揮してノリに乗っている「ハルカ」。そんな様子を頼もしく(?)、頭を抱えて見ている「ユキノ・クリサント」。
「もうわけわかんないよ、ハルカちゃん。・・・あっ、ハラード少尉、これを」
何かの封筒を託された「チエ・ハラード」は敬礼をして「ヴィントブルーム王城」へと向かいます。
そして、「ナツキ」達「五柱」の3人や「舞衣」達、「アリカ」達も城へと到着していました。
「アリカ!・・・ニナのことを任せたよ」
入り口を固める「スレイブ」の相手に、居城前に残った「ナオ」と「サラ」。そして来ていた「シホ・ユイット」。
「赤巻き巻き、青巻き巻き、黄巻き巻き・・・おりゃあああっ!」
先週から復活した「巻き巻き」殺法で「スレイブ」を巻き消滅させて、高笑いをする「シホ」に、「ローブ着た意味ないじゃん」と突っ込みを入れる「ナオ」。
「五柱」最後のひとり「マーヤ・ブライス」と「アカネ」も颯爽と援軍に駆けつけます。
「って、あんた、まだオトメなのっ!?」
視聴者の代わりに突っ込みを入れる「ナオ」に「アカネ」は今までの苦労を聞かせるのでした。
「・・・ずっと追われていて、ようやく・・・というときに、カズくんはカルデアの王様にって連れて行かれて、私はマーヤお姉様に・・・」
それでも彼女は「カズヤ」との結びつきを諦めないと、誓うのでした。
※燃える、燃える、燃えますよーっ・・・この展開。主演者を先にゆかせて、強豪の助演者達は多勢に無勢の戦いを引き受ける。最終回はこうでないとね!
※そして、「アカネ」(^o^)/ 。喜んで良いのか、慰めた方がよいのか・・・。でもムッとした「アカネ」も可愛い。(^^)。
「ロード、シルバー・カートリッジ」にて城内部を突き崩し、真っ直ぐに「ナギ」を目指す「ナツキ」達。目前に現れた巨大な「スレイブ」2体を前にした彼女の背後から、聞き慣れた女性の声が響きます。
「・・・まったく、いつまで経っても優雅さに欠けますね、あなたは」
神速にて「スレイブ」を一刀両断する「オトメ」。眉目秀麗、完璧なプロポーションを持った女性の姿に、その声に慣れた「ナツキ」ですら一瞬誰かと疑問に思いましたが・・・。
「・・・ミス・マリア!?」
そう、かつて「竜王戦争」のときから「オトメ」として「ガルデローベ」で学び、現在は「オトメ」を指導する現役最高齢の「マイスターオトメ」、「マリア・グレイスバート」がマテリアライズした姿こそ、女性の正体だったのです。
「嘆かわしい。せっかく理想的に年を重ねたというのに、今更こんな姿をさらすなど・・・」
※「マリア」超美人!・・・やばいっ、「舞-乙HiME」の中でも屈指の美しさだぁああっ!!
もちろん「オトメ」達以外が働かなかったわけではありません。「シマシマ団」、「サコミズ・カージナル」、様々な人達が戦い、今この時を迎えようとしているのです。そして、「マシロ」を真の女王へと目覚めさせるきっかけを作った「アオイ・セノー」も今、ベッドから起き上がれるほどに回復をしていました。
「アオイっ!・・・良かった・・・」
「チエちゃん・・・」
大事な任務前だからこそ、親友の無事な姿を目にして自らの心に区切りをつけた「チエ」。続いて彼女は「ユキノ」から預かった封筒を手に、任務へと立ち戻ります。
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「こんなところまで・・・」
あと一歩、もう少しで「ハルモニウム」へと辿り着ける通路にも密集している「スレイブ」の群れ。今ここで足止めされるわけにはいかない。「舞衣」と「ミコト」は「アリカ」に声をかけます。
「アリカちゃん・・・紡ぎ手の娘、ニナさんをハルモニウムから開放してあげて」
「急ぐんだぞ・・・あのオルガンは、あまり長く演奏していると危ないんだ」
「ナツキ」、「舞衣」、「ミコト」・・・新時代の主人公を先に向かわせ「スレイブ」と対する3人のオトメ達。
※どうしても「アオイ」と「チエ」の再会は見たかったので、ほっとしました。そして「アリカ」と「マシロ」は前主役達に託されて最後の戦いに向かいます。
「地下通路にローブの反応が・・・蒼天の青玉ですっ!」
悲鳴にも似た報告が響いた直後、壁を破壊して「アリカ」と「マシロ」が姿を見せました。ついに、「ハルモニウム」を前にして「ニナ」との対面を果たした彼女達。
「ナギ」には「マシロ」が、「ニナ」には「アリカ」が向き直ります。
「ニナちゃん、もう止めてっ!」
今まで何度も行ってきた叫びを、再び「ニナ」へと向ける「アリカ」。しかし、落ち着いた様子で「ニナ」は頭上の「セルゲイ」を見上げます。
「無理よ。ハルモニウムを止めたら・・・お父様が死んでしまう。・・・私の全てをかけて・・・私がお父様を守る!」
心に秘めた想い、心に秘めた決意。それを今、口に出して、さらに決意を固める「ニナ」。しかし、彼女が退かない理由を知った「アリカ」も、だからこそ戻るわけにはいきません。
「・・・たぶんだけれど、ううん・・・きっと、セルゲイはニナちゃんにこんな事をさせてまで・・・生きていたくないって言うと思う!」
人は、自分の本心を突かれたとき、激しい感情の変化を生じるといいます。そして「アリカ」が訴えたことは、「ニナ」の中にも眠っていたもうひとつの彼女の思い。
「あなたに何がわかるの・・・私とお父様の事を・・・何がわかるのよぉおおっ!」
だからこそ彼女は叫び、「ハルモニウム」の能力によって「アリカ」を自分ごと城外へと連れ去ります。
※確かに「アリカ」の言うとおり「セルゲイ」なら「そんなことはしなくてよい」と言うでしょう。でも同時に「それでも私はそうしたい」という気持ちもわかるんですよね。
突如として消え去った黒い渦。「オトメ」達が「ヴィントブルーム王城」を見やったとき、そこにふたつの輝きがありました。・・・紅い輝きは「ニナ」、蒼い輝きは「アリカ」。
「少しだけ、わかるよ。私もセルゲイのこと・・・好き・・・だったから」
過去形とはいえ、「セルゲイ」への想いを再度告白する形となった「アリカ」。彼女の言葉が、「ニナ」の心にナイフのように突き刺さります。
そして、「ならわかるでしょう!」と叫ぶ「ニナ」。全てを犠牲にしても、世界全部と引き替えにしても、「セルゲイ」を助けたい、彼を欲しいと、ひとりの乙女は訴えます。
「なら、私は絶対に・・・ニナちゃんを止めるっ!」
想いの強さがぶつかり合い、互いの気持ちが相手を傷つける。それでも戦い合うふたりの少女。やがて「ローブ」に守られた身体は、成層圏へと飛び出します。
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「皮肉だね。結局オトメ同士の戦いに、世界の行く末が委ねられたわけだ。・・・まあ契約は解除されたらしいから、僕らは見物するしかないけれど」
自らの手を離れた事態に、傍観者を決め込む「ナギ」。落ち着いた彼に対して、「マシロ」は護身用のナイフを取り出して「ハルモニウム」を止めろと訴えかけます。
「無理さ。あれはニナちゃんの言うことしか聞かない。『本物の姫』のね。・・・僕はこの世界を普通の姿に戻そうとしているだけだよ。君だって変だと思うだろう?・・・オトメを犠牲にして、科学を封じられて・・・。大丈夫、こいつのせいでこの星は一度滅んでいるけどさ。・・・今度は僕がちゃんと面倒を見るよ、失敗しないようにね」
見上げたのは「ハルモニウム」か、上空で戦っている「ニナ」の姿か。そして、いずれにしろ人は管理されないと生きてはいけないと語る「ナギ」に反論する「マシロ」。
「科学も徐々に開放する、オトメも・・・いつか不要の存在にしてみせる!・・・じゃがそれは、そなたなどのお節介でやるものではない!」
理想論だと「マシロ」を諭す「ナギ」に、感情的になりながらも反論してみせる「マシロ」。彼女の心は「人は信じる価値がある」と自身へと訴えかけます。
※「人は導く必要がある」という「ナギ」の言葉が間違っていると、言い切ることは難しい。でもその言葉を否定し、皆が人を信じることができたとき、「マシロ」が目指す「みんなが笑顔で居られる国」ができるのではないでしょうか。
※そして「ナギ」の言葉を聞くに、ここは「地球」!?
「なんで戦うのよ・・・あなたはっ!」
遙か上空にて剣を交える「ニナ」と「アリカ」。愛する者を救うために戦う自分に、その気持ちに対抗できる何を「アリカ」が持っているのか。彼女の言葉に「アリカ」は答えます。信じる「夢」があるからだと。
「約束したの・・・みんなが笑顔で居られる国を創るって!・・・私、この街に初めて来て、ニナちゃんと会って、シズルさんを見て、本気でオトメになりたいって思った。・・・もしあのとき夢を持たなかったら、私は絶対オトメにはなれなかった。どんな無茶な夢でも、信じれば叶う・・・ううん、叶うと信じて進まなきゃ・・・何も起こらないんだよ!」
視野は狭くても前を向き、困難にあっても壁を越え、一歩一歩進んできた「アリカ・ユメミヤ」。彼女の行動を見てきた「ニナ」に、わずかに迷いが生まれます。しかし、それでも、同じ未来を見つめることができない「ニナ」。
「それはあなたが本当にくじけたり・・・過ちを犯したことが無いからよ」
自分は「エルスティン・ホー」を殺し、街を破壊し、何人もの・・・何十人、何百人もの命を殺めてきた。その事実が「ニナ」に暗い影を落とします。
「そんなことない!・・・間違えたら、また一生懸命考えてやり直せばいい! それでまた、前に進めばいいんだよっ!」
彼女は「エルスティン・ホー」を(過失ですが)殺した。街を破壊して、もしかしたら人を殺めたかもしれない。それでもきっと、やり直すことはできる。
そう信じる「アリカ」に、全力でぶつかる「ニナ」。逃げず、避けず、正面から攻撃を受け止め、その場に立って堪えてみせる「アリカ」。
「どうして、どうしてあなたはいつも・・・諦めないのよぉおっ!」
悲鳴にも似た「ニナ」の叫びが、彼女の苦しさを伝えています。そして、それがわかるからこそ「アリカ」は諦めたりはしないのです。
「私・・・ニナちゃんのことも、みんなのことも好きだもの。・・・だから、諦めるなんてできない。私、バカだし・・・何も知らない。でも、もっともっと知りたいよ、ニナちゃんのことを・・・。だから、もう一度一緒に始めよう・・・ね、ニナちゃん」
離れていた距離が、少しずつ縮まっていきます。そしてそれは、ふたりの心の距離でした。『私でも救われるのかもしれない・・・彼女なら救ってくれるかもしれない』・・・泣いていた心が、光明を見つけ出しました。
「・・・もっと色々なことを・・・話せば良かった。エルスとも・・・アリカ、あなたとも」
見上げた場所に「アリカ」の顔があります。手を伸ばせば届く距離に、優しい彼女が居ます。
「まだ間に合うよ・・・だから、ニナちゃん」
手を伸ばし合うふたり、涙を浮かべながら見つめ合うふたり・・・。伸ばした手が届き、お互い繋ぎ合った瞬間・・・「ハルモニウム」が吼えました。
※「アリカ」は言っていました。「ニナちゃんが泣いている」と。泣いている友達を助けるために、彼女はここまで辿り着きました。そしてついにふたりはわかりあえたのに・・・。
成層圏へと達した紅い光。それが「ニナ」を包み込み、彼女の全身を痙攣させます。悲鳴を上げる「ニナ」。離れていく手・・・。
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「まずいぞ・・・あいつが暴れている。このままだと、またいつかみたいになるぞ!」
猫神様「ミコト」の言葉に、急ぎ「王城」の中心へと向かう「舞衣」達。そしてその咆哮を聞いた「ナギ」は、諦めの言葉を発します。
「もう遅いね。・・・セルゲイを維持するために起動し続けたハルモニウムが限界を超える。・・・今ニナちゃんにはあのハルモニウムの力が、記憶が流れ込んでいるはずさ。・・・人があれを造って犯してきた過ち、恐怖と憎悪、絶望・・・かつて『真白なる金剛石』と呼ばれた貴石が、絶望で黒く染まったように・・・。こうなる前に終わらせられると思ったけれど、賭は僕の負けだ。・・・しょうがないね、みんな一緒に死んじゃおうよ」
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叫び、苦しみ、震えが止まらない「ニナ」。何度も助けようとする「アリカ」ですが、そのたび彼女を覆い包む紅くて黒いオーラが「アリカ」を跳ね返します。
「・・・アリカ・・・私を倒して・・・。今、私を倒さなければ・・・世界は終わる。・・・お願い・・・友達だって・・・思ってくれるのなら」
・・・それが「ニナ・ウォン」としての最後の言葉でした。
急に震えを止める彼女の姿、笑みを浮かべた少女の背中に、オーラが黒い翼となって生え揃います。そして、手に持った剣が洗煉され、まるで瞳のように浮かび上がるいくつもの紋章。見上げた少女の顔には片眼を覆うマスクが表れ、すでに迷いは消し去られていました。
禍々しい星の力を剣に宿した少女は、その視線を「アリカ」から外し、自分が生まれ育ってきた惑星へと向けます。
大上段へと構えた剣を、振り下ろさせるわけにはいかない。「マシロ」の「決して諦めない」という言葉も「アリカ」へと届き、彼女の力へと変わります。
「そうだね、マシロちゃん・・・」
[ULTIMATE BLUE SKY ELEMENT EXPANSION STANDING BY...START...SWORD OF AKATSUKI RELEASE]
光の文句が浮かび上がり「蒼天の青玉」の真の力が解放されていきます。蒼い光のオーラに包まれ、髪を金髪にして飛び込む「アリカ」。途中で方向を変えた少女の刃が「アリカ」を襲いますが、「アリカ」の剣は彼女の攻撃を跳ね返します。
「いやぁああぁああああっ!!」
気合一閃、真っ直ぐに少女へと刃を突き立てる「アリカ」。瞬間、白色の光がふたりを包みます。マスクが砕け落ち、血を吐く少女。そして「漆黒の金剛石」が、粉々に砕け落ちました。
「ニナ・・・ちゃん」
「ありがとう・・・アリカ」
力を失い、落ちていく「ニナ」。必死で彼女を追いかける「アリカ」。大気圏へと・・・落ちていきます。
※「アリカ」が刃を突き立てなかったら、「ニナ」の剣は星を貫いたのではないか・・・そう思わせるほどの禍々しい力が、剣に宿っていました。あれは「舞-HiME」のラスボスと同じ存在ですかね?
光を失う「ハルモニウム」。漆黒が解かれた指輪に「ナギ」は目を見張ります。そして突入してくる「オトメ」軍団。逃げだそうとした「ナギ」の元に「チエ」が兵士達を連れて姿を見せます。
「ナギ・ダイ・アルタイ・・・審議会臨時法廷の命により、あなたを逮捕します」
観念した「ナギ」は連れ去られ、時が動き出した「セルゲイ」は、「ヨウコ・ヘレネ」の指示で「ガルデローベ」へと運ばれていきました。
「こんなものがあるから・・・ええぇえいっ」
「ナツキ」の「シルバー・カートリッジ」、そして「ミコト」によって完全に破壊された「ハルモニウム」。その姿が現世に戻ることは、もうないでしょう。
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大気圏突入の摩擦熱で燃え落ちる「ローブ」。「蒼天の青玉」も残された光の力だけで「アリカ」を包み込みます。そのまま「ニナ」を抱きかかえて落ちていく「アリカ」。
「やっとニナちゃんを捕まえた・・・」
全裸で落ちていくふたりの姿を、地上の人達は流れ星に見て取りました。
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時は経ち・・・。
・歴史的な「マシロ」と「ミドリ」の握手は、世界各国で報道されました。
・「黒い谷」は「ヴィントブルーム王国」近くの砂漠に残り、
「舞衣」、「ミコト」の指導の元、「ナギ」も元気に(?)刑期を過ごしています。
※「アオイ」が車椅子で足を怪我した「マシロ」を運んでいました。(^^;)。
そして、各国の来賓者を招き、新しい「ヴィントブルーム王城」のお披露目が華々しく開催されました。
「・・・以上のことをわらわは今、わらわの民に誓うものである。・・・ようし、最後の仕上げじゃ!」
「マシロ」の言葉に従い、巨大な「ひまわり」形のシンボルを運ぶのは・・・「蒼天の青玉」、(なぜか真の力ではなく、ピンクに身を包んだ)「アリカ・ユメミヤ」。
「オッケー、任せてー・・・ああぁあぁっ・・・」
陛下の「マイスターオトメ」になったとはいえ、危なっかしい彼女は思わずシンボルを落としそうに。
「相変わらずだな、お前はっ!」
支える「ナツキ」達「五柱」に謝りつつも、なんとか設置に成功する「アリカ」。見守る「ガルデローベ」の生徒達からは歓声がしきり。
「まだみすぼらしい城じゃ・・・じゃが、ここから始まるのじゃ。・・・まだ、まだこれからなのじゃ・・・そうじゃろう、ミミ」
目指す「みんなが笑顔で居られる国」への一歩を踏み出しつつも、その道の困難さに顔を引き締める「マシロ」。それでも彼女はひとりではありません。
『私の夢はここにある・・・だから見ていて、エルスちゃん・・・ニナちゃん』
決意を新たに踏み出すのはふたり。そう「アリカ」と「マシロ」はふたりでひとり。同じ夢を見て、これからも歩いていくのです。
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某国。暖かい日差しが、鳥の鳴き声が春を告げています。天蓋つきのベッドで休んでいる男性が、入り込んできた日差しに目を開けました。その傍らには椅子に腰掛ける女性の姿が・・・。
「きみ・・・は・・・?」
まだはっきりとはしない意識の中、女性を見つめる男性。その言葉に一瞬息を詰まらせ、女性はゆっくりと口を開きます。
「・・・私はニナ・・・ただのニナよ。・・・初めまして、セルゲイ」
涙を流す「ニナ」に少し驚きつつも、握ってくる手の暖かさにほっとする「セルゲイ」。
「それが・・・僕の名前・・・?」
問いかける「セルゲイ」に。いいえ、むしろ自分自身に言い聞かせるように「ニナ」は彼に話しかけます。
「・・・慌てないで、ゆっくりと始めましょう・・・もう一度・・・私たちで」
脇に置いてある丸テーブルの上。かつて「セルゲイ」より貰ったペンダントには、笑顔の「アリカ」「ニナ」「エルス」3人の写真が飾ってありました。
-終了-
実に王道!60分スペシャルの名にふさわしく、一気に見るとその破壊力は屈指! 前回とあわせて見ている最中のワクワクドキドキ感は今期No.1でした。
最終回ラッシュを迎えた3月末。1クール作品も、2クール(半年間)作品も、4クール(1年間)作品も、それぞれが終わりを迎えました。すべて感想こそ書いてはいませんが、今期も十数本の作品を楽しんで見てきました。
その中でも、本作品「舞-乙HiME」、「SoltyRei」、「うえきの法則」が私的3大エンディングでした。燃える展開、想像外の展開、大団円・・・。スタッフの皆様、本当に半年間、ありがとうございました。そして、本ブログをご覧頂いている皆様も、つたない文章ですが精一杯書きました。ご覧頂き、ありがとうございました。
【今期、鑑賞してきた作品(順不同)】
「マジカノ」「陰からマモル」「BLOOD+」「エウレカセブン」「MAR-メルヘヴン」「ワンピース」「よみがえる空」「うえきの法則」「ガラスの仮面」「地獄少女」「エンジェルハート」「あまえないでよっ!!喝!!」「かしまし」「舞-乙HiME」「SoltyRei」「ケロロ軍曹」