ツバサ・クロニクル_TV29
第29話「栄光のゴール」
3回に渡って繰り広げられてきた「ドラゴンフライレース」もいよいよ決着。空中で「龍王」の機体と激突した「小狼」のマシンは果たして助かるのか? 「星火」が送り込んだ謎の人物の正体は? そして「サクラの羽」を手に入れるのは一体誰か?
「ワンコが車体をぶつけてくれたから助かったんだ。でなきゃ今頃・・・」
自らの機体をクッション代わりに「龍王」の機体にぶつけた「小狼」。おかげでふたりとも怪我することなく脱出することが出来ましたが、残念ながらレースはここでリタイア。不安に様子を見に来た「サクラ」に、「小狼」はレースの勝利を託します。
彼の思いを感じとり、再び飛び立つ「サクラ」の機体。そして他の参加メンバも第3チェックポイントへと突入。
優勝候補の「黒鋼」からは大きく離されていた「サクラ」ですが、この第3チェックポイントは不規則な間欠泉をどう避けていくかがポイント。異様に働く彼女のカンにて、次々と間欠泉を避けていきます。
「おーっと、ウイングエッグ号が2位に躍り出たぞぉっ!」
実況の声が鳴り響く中、不満そうな表情を見せるのは「小狼」達がリタイアする仕掛けを作動させたヒゲの男。彼はその場でコンソールを操作し、崖に仕掛けられていた爆弾を「黒鋼」「サクラ」の至近で爆破。
「・・・ちぃっ」
目の前に広がる砂埃のなか、全ての破片を避けきるのは不可能と判断した「黒鋼」。瞬時の判断で機体を「サクラ」にぶつけた彼の機転で、なんとか「サクラ」の機体はリタイアをまぬがれることが出来ました。
「行け!・・・やるって決めたんだろう?・・・行け」
※緊急時に後方を見やり、後続車が巻き込まれないことを確認して「龍王」へと突貫した「小狼」の冷静な判断。目前の爆発に、とっさに「サクラ」だけでもトラップから救い出した「黒鋼」。どちらも格好良すぎですよ。(^_^)。
「これまでのところ、不信な動きをした選手は誰もおりません」
「レースに参加しなけりゃ、優勝賞品を手に入れることは出来ない。だから犯人は必ずこの中にいるはずだ。・・・だが怪しい奴がゼロだということは・・・」
「残(のこる)」、と「笙悟」の報告から外部に共犯者がいると確信した「知世」。彼女の指示で電波の発信記録が収集され、犯人を見えない網で覆っていきます。
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「・・・それじゃあ、さっきの爆発も?」
一方、既にレースをリタイアした「小狼」と「龍王」も、「EWセンサー」の動きから選手以外の犯人の存在に気がついていました。
「すみません、別の場所に行きたいのですが・・・お願いします」
リタイアした選手を運ぶメディカルスタッフ達に電波の発信源へ向かうように依頼する「小狼」。彼らもまた犯人に近づいていきます。
※優勝候補達をリタイアさせ、探査される危険を冒してでも「サクラの羽」を手に入れたい犯人。しかし、「知世」と「小狼」の包囲網は確実に犯人を追い詰めていきますね。
「・・・どうしました?」
レースのさなか、本部へと駆けつけた「黒鋼」と「ファイ」。「黒鋼」は真剣な表情を浮かべ、「知世」に問い尋ねたいことがあると言います。
「そろそろ本当のことを言え。・・・・・・言え」
彼の瞳に嘘をつくことは出来ないと判断したのか、ゆっくりと口を開く「知世」。彼女の答えには驚くべき事実が含まれていました。
「レースに仕掛けをしたのは・・・私です。・・・と申しましても、細工をしたのは予選の時だけ。レース会場の空域に、私がナノマシンをばら撒きましたの。・・・サクラちゃんに羽を返すために」
彼女の言葉に驚きを隠しきれない「黒鋼」と「ファイ」。なぜ「知世」は「羽」が「サクラ」のものだと知っているのか。
「今から1年前、我が社の発掘チームが海底から羽の形をした不思議なエネルギー体を発見しました。・・・それからしばらくして、ある人からその羽がサクラちゃんのものであるとお聞きしました。でもそれは、不思議な羽のことを公表した後だったのです」
近隣諸国、国内から注目を集めてしまった「羽」。その羽をいくら本人のものだからとはいえ、理由を明かさずに返却することは出来ない。そう判断した「知世」は「羽」をレースの優勝賞品にすることを思いつきます。
「あわせて羽を狙う者達をあぶり出すことも出来ます。・・・しかし、そのことは皆さんを危険に晒すことになります。そこで予選の時にはこちらサイドであたかも不正があったように偽装工作をして、警戒を強めていただいたのです」
必ずレースに優勝すると「サクラ」達を信用しての行動。となると彼女にそれを信じさせた「ある人」が誰なのか、「黒鋼」がさらに追求しようとした時、電波の発信源が判明したとの報告が「知世」へと伝えられました。
「どこです?・・・私の会社!?」
※涼しげな顔で全てを手配して実行してしまう「知世」の能力にあらためて驚かされます。そしてそれを見破った「黒鋼」も、流石に思い人・・・といったところでしょうか。(^^;)。
レース外での動きが激しくなった頃、「ドラゴンフライレース」も終盤へとさしかかろうとしていました。
「この渓谷を抜ければゴールはすぐそこだぁあっ!・・・優勝はスノーホワイト号か、それともスピリット号か・・・いや、ウイングエッグ号が必死で追い上げる!」
3台に絞られたレース優勝者。ゴール手前でトップに躍り出た「サクラ」が乗る「ウイングエッグ号」に対して、またもや伸びるヒゲ男の魔の手。
「・・・次の目標はウイングエッグ号・・・了解しました」
何者かの指示に従い、コンソールパネルへと伸ばされる手。するとそれまではレース上空に待機していた仕掛けの一部、荷粒子ビーム砲を搭載したオパオパ (違 がゆっくりと「サクラ」に向かい照準をセットします。
「ターゲットロックオン。荷粒子ビームパワーチャージ開始・・・ウイングエッグ号、覚悟しろ」
今まさにスイッチが押されようとした時、ヒゲ男の部屋に「小狼」と「龍王」が飛び込んできました。
「止めろっ!・・・お前は・・・」
見覚えのある男の姿。そう「小狼」達を出迎えた「ピッフルプリンセスカンパニー」の社長秘書がヒゲの男の正体でした。
「侵入者を抹殺せよ。・・・どうだ動けまい。そこで仲間の最後を、指をくわえて見ているがいい」
天井より降りてきたビーム兵器の攻撃に、入り口に釘付けになる「小狼」と「龍王」。こうしている間にも「サクラ」の身に危険が迫ってきています。
「俺が囮になる。・・・さっきの借りを返さないとな」
「小狼」に笑顔を見せる「龍王」。危険を顧みず通路へと飛び出した「龍王」にビーム兵器の照準が向けられます。彼を撃たせるわけにはいかない・・・その隙をついて飛び出した「小狼」の蹴りがビーム兵器の破壊に成功!さらに勢いを止めず、「小狼」はコンソールスイッチを押そうとするヒゲ男に飛び蹴りを炸裂!
・・・間一髪、スイッチに伸びた手は、「小狼」の蹴りにて防がれました。
※もともとは「防犯設備」のビーム兵器を使い、「小狼」達を殺害した後は「侵入者に対しての正当防衛」を言い張るつもりだったのでしょうか。酷い男です。
「そこまでです」
明かりがつけられた部屋に、銃を持った「ピッフルプリンセスカンパニー」の警護隊が駆けつけます。計画失敗を悟り、その場にしゃがみ込むヒゲ男。
「姫・・・後は頼みます」
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「ゴールは・・・どこ?」
目前に広がる滝に一度足をとめる「サクラ」。しかし、すぐに彼女は滝の奥から吹き付ける一陣の風に気がつきました。
「モコちゃん、捕まっていて」
滝の向こうに、僅かに広がる崖の隙間。その道へと機体を滑り込ませる「サクラ」。走り抜けたその先は「ゴール」への唯一の道でした。
「・・・GOOOOOOL!!」
実況の絶叫に、勝利を喜ぶ「サクラ」と「モコナ」。スクリーンで見つめていた「知世」や「ファイ」、そして「小狼」達もその勝利に喜びます。
「でもまだ終わっていない。犯人は・・・もうひとりいる」
※これで犯人がトップ3に入っていなかったら笑うのですが。
「それではこれより、表彰式を執り行います」
夜。レース後の表彰式に集まる本選出場者達。スポットライトが当てられるのは、もちろん優勝者の「サクラ」。
「おめでとうございます」
手渡された錫杖の先には「サクラの羽」が埋め込まれていました。
「ありがとう・・・・・・・・・きゃあっ!」
突如、火の手が上がる表彰会場。倒れ込んだ「サクラ」を「小狼」は助け起こします。
「姫!・・・大丈夫ですか、姫」
衝撃からか、ヒビが入る「サクラの羽」が収められたケース。噴煙の向こうにはひとりの男の姿が見えていました。
「やはり来ましたね」
煙の中から放たれるショックビーム。「龍王」や警護隊が打ち抜かれ、次々に倒れ込んでいきます。
「一時的に気を失っただけですわ・・・早く、羽をサクラちゃんの中に」
所有者が「サクラ」というだけではなく、「羽」が「サクラ」の記憶を司ることまでも知っているかのような「知世」の言動に驚く「小狼」達。その間にも煙の中の男「カイル」は手を広げ、怪しげな能力を発揮。するとケースは砕け、飛び出した「サクラの羽」が彼の元へと飛んでいきます。
「ふっ・・・その羽は私の物。・・・私に攻撃を加えても無駄だ」
言葉通り、まるでホログラムのようにビームを受け流す「カイル」。そして「羽」までもが男の手に渡ろうとしたとき・・・「モコナ」が大口を広げると「羽」をエネルギー体へと変換して吸い込んでしまいました。
「ぱくっ!・・・モコナ108の秘密技のひとつ、超吸引パワーなの」
※「モコナ」大活躍!かつてこれほど役に立ったことがあったであろうか・・・(非道い
「この距離ならシールドは無効です。じきに警察も来ます」
近距離にて囲む銃口に「運がない」と諦めの言葉を口にする「カイル」。
「・・・ジェイド国と同じように、その妙な生き物にしてやられるとは・・・」
「ジェイド国」・・・彼の言葉に一番に反応したのは「ファイ」でした。
「ちょっと待って、今、ジェイド国って言ったよね」
あのとき、雪の降る夜「ジェイド国」で対峙した「カイル」と同一人物であることに驚く「小狼」。その言葉に「カイル」は鼻で笑います。
「異なる世界には・・・同じ顔をした別の人間がいる。けれど、本当に別人かを確かめる術はない。ようく憶えておくことだ」
捨て台詞をはき、空中へと飛び上がる「カイル」。その後ろに別次元への入り口が開くと、彼は吸い込まれるように姿を消していきました。
※「カイル」を照らす複数の照明が、彼の影をいくつも造る。複数の次元に存在する人の存在を示した、細やかな演出です。
「・・・やはりあの人の言ったとおりでしたわね」
そうつぶやく「知世」の言葉に、振り返る「黒鋼」。今度こそと「あの人」を追求する彼の言葉に「知世」は笑顔で答えました。
「知世姫です」
「な、なんだとーっ!」
異世界、「羽」、「サクラ」達のこと・・・全てを教えてくれた異次元の存在。自分と同じ顔を持つ「知世姫」の言葉を「知世」は受けていたのです。
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「夢に見たあの姫がそんなことを・・・」
複雑な表情で「知世」を見やる「黒鋼」。その「知世」は迷惑をかけてしまったと羽を吸収して寝込む「サクラ」を見やります。
そして「黒鋼」は皆が集まる場を離れ、ひとり外へと向かいました。・・・その行動に気がつき、後を追う「知世」。
「痛みますか?・・・左手です」
「なんでもねえよ。・・・夢の・・・いや、いい」
「サクラ」をかばった際の傷を気遣う「知世」に何でもないと返す「黒鋼」。彼の思いは傷の痛みではなく、もっと別のところにありました。
「・・・夢の中の知世姫はどうだった?」
「お元気でしたわ。あなたのことを話すとき、とても楽しそうでした。・・・あなたなら、本当の強さをきっとわかるだろうから・・・と」
遠くを見つめていた「黒鋼」の瞳が、「知世」自身へと向けられました。その視線に気づく様子もなく、怪我をした左手を両手で優しく包み込む「知世」。
「無茶をせずに、早く治してください」
「・・・魂は同じ・・・か」
小さくつぶやく「黒鋼」の声を「知世」は全て聞き取ることはできませんでした。しかし、再び遠くを見やる「黒鋼」の横に、彼女はしばらく座りこんでいました。
※なかなかに良いムードっぽいような・・・。原作が未読だと、こうしたときの「黒鋼」の心境に今ひとつ踏み込めませんね。追いつかないように1巻ずつでも読んでみようかな?
旅立ちの時、残念がる「龍王」に「小狼」はあのときのように拳をあわせます。そしてわずか数日の間に親友同士となった「サクラ」と「知世」。
「知世ちゃん、また・・・会えるよね」
「ええ、この国にはまだ次元を渡る技術はありませんが、我が社が必ず造ってみせますわ。だからきっと・・・またお会いできます」
そして横を向いたまま、「知世」に対して口を開く「黒鋼」。
「夢で知世姫に会ったら伝えてくれ。・・・必ず帰る・・・とな」
彼の言葉に「はい」と返事する「知世」。その返事に「黒鋼」は瞳だけを「知世」に向けると、「ふっ」と笑うのでした。
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「直接の介入も無駄だったようだな。・・・あるいは当然の結果と言うべきか」
謎の世界。「飛王」の言葉に興味もないように静かに聞いている「星火」。彼女の考えは既に次の段階へと進んでいるようです。
「例の場所に・・・彼らを行かせるつもりですか?」
「あの奇跡の行く末を、是非にも見届けなければならないからな。さあ、奴らをあの地に落とせ」
見つめるスクリーンの向こうでは巨大な城と、大きな満月が輝いていました。
なかなかに上手くまとめられていました。特に後半の演出と展開は、見ていて非常に心地よかったです。さて来週はどうやら第1シリーズにて訪れていた国の様子。「哀しいキセキ」とはちょっと先行き不安ですが、果たしてどの国が彼らを待ち受けるのでしょうか。
・・・ところで、今までの行き先も「飛王」が決めていたのかな?
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