ARIA THE NATURAL_TV11
第11話「その 大切な輝きに…」
最近のテレビ東京は放送延長が多い!・・・負けないぞー。(^_^)。
というわけで(何が?)今日はワールドカップ「日本VSオーストラリア」が始まる前に更新だいっ!
それは「暁」のお兄さんが持ってきた「初めての体験」でした。
「・・・さてお嬢ちゃん、今日おいらが来たのは他でもない。弟から聞いた腕前を見込んで、是非お嬢ちゃんを指名させて欲しいんだ」
なんと「ウンディーネ」としてはまだ「シングル」の腕前である「灯里」に、お客様からのご指名。
早速「アリシア」に報告すると、彼女は自分のことのように喜びます。
「今夜はガイドのポイントを予習しないとね」
ところが、この言葉には苦笑いの「灯里」。実は、この話にはちょっとだけ裏事情がありました。
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「・・・頼みたい仕事というのは、観光案内ではなくてネオ・ヴェネツィアンガラスの運搬なんだ」
彼女のもたもたでとろとろ・・・もとい、丁寧なゴンドラ操舵の技術が「暁」のお兄さんに買われたというわけです。
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「まぁ・・・それは任務重大ね。頑張って、灯里ちゃん」
とにもかくにも、初めてのご指名であることには変わりありません。「灯里」の希望により「アリシア」の同行も決まり、彼女の一大イベントが始まったのです。
※話がうますぎるとは思いましたが、大事なものを丁寧に運ぶのは人も物も変わりありません。頑張れ「灯里」!(^_^)!
まずは「ヴェネツィアンガラス」職人が集まる「ムラノ島」へと訪れた「灯里」と「アリシア」(もちろん「アリア社長」も)。初めての大仕事に緊張の彼女をほぐそうと、「アリシア」は彼女をガラスショップへと誘います。
「綺麗・・・」
店内を彩る「ネオ・ヴェネツィアンガラス」に見とれる「灯里」。そこには大晦日の晩に出会った「ガラスの豆」も置いてあり、彼女の心は解きほぐされていきますが・・・。
「これなんか良いんじゃないか」
「それなりに綺麗だけれど・・・。仕方がないわね。ネオ・ヴェネツィアも所詮、ヴェネツィアを模しただけの街だから」
「歴史の浅さはぬぐいがたい・・・か」
心ない観光客の言葉に、「灯里」の心は少し沈んでしまいます。
※悪気はないのでしょうが、その店を、商品を楽しんで見ている人達がいる店内で言うべき言葉ではありませんね。(T_T)。
「・・・ここが工房ですね」
いよいよ「ネオ・ヴェネツィアンガラス」を造っている工房へと訪れた「灯里」。職人達が汗を流して働く姿に、さきほどまで沈んでいた気持ちも少し回復。
職人のひとりに、この工房の責任者「マエストロ」を呼んで頂き、いよいよ荷物が「灯里」達に手渡されます。
「・・・とても丁寧に扱うんですね」
一枚一枚を紙に包み、工房の職人に大切に扱われている「ネオ・ヴェネツィアンガラス」。その姿を見た「灯里」の使命感もアップ。・・・ところが、ちょっと小難しそうな立会人に「灯里」は持っていた荷物の箱を取り上げられてしまいます。
「・・・このガラス達は、マエストロが精魂込めて造った僕たち職人の努力の結晶なんす。難癖つけられちゃ、たまりませんから」
唖然とする「灯里」の横を、「マエストロ」がすたすたと歩き去り、立会人をポカリ。どうやら「灯里」は八つ当たりを受けただけのようですが・・・。
※先ほどの観光客のことでしょうか?
ゴンドラに乗ってからも元気がない立会人。つられて暗い表情を見せる「灯里」の裾を「アリア社長」が引っ張ります。
「・・・灯里ちゃん、ス・マ・イ・ル」
見上げた「灯里」に小声でアドバイスを贈る「アリシア」。その言葉に「はい」と小声で返事をした「灯里」は、自分が見て感じたままの工房の姿を語り始めます。
「私、ネオ・ヴェネツィアンガラスの工房って、今日初めて見たんです。凄いですよねぇ・・・ガラスって、ああやってふくらませるんですね。・・・これ全部、さっきのマエストロが造ったんですか?・・・ピカピカ、キラキラ・・・色々な色に輝いてとても綺麗です。宝物を運んでいる気分になってしまいますね」
すると、やはり好きなガラスの話題だからでしょうか。少しずつですが立会人も話題へと参加してきました。
「ソーダ石灰っす。・・・鉛を含まないソーダ石灰を使用することで、あらゆる色を表現できるんです」
ちょっとだけ元気を出した立会人と一緒に、「アリシア」お手製のおやつを食べる「灯里」達。彼も大分、元気を取り戻してきたようです。
「・・・まだ半人前なのに、指名を受けるなんて凄いっす。僕もいつかは、この人のワイングラスが欲しいとか言われる職人になりたいっす。・・・けど、職人の腕とは関係無しに、伝統のあるなしで判断する人が多くって・・・」
立会人の言葉に首をかしげる「灯里」。彼女はずっと「マンホーム」の「ヴェネツィア」から伝統を受け継いだのが「ネオ・ヴェネツィアンガラス」だと思っていたのです。
「それが・・・伝統の継承は一度、途絶えてしまったんですよ。・・・マンホームのヴェネツィアが水没したときに、伝統を受け継いだ職人達が世界中に散ってしまって・・・。思えばその時、ヴェネツィアンガラス本来の高度な技術は・・・失われてしまったのかもしれません。そして、アクアにネオ・ヴェネツィアンを建造することが決まったとき、ヴェネツィアンガラスも復活させる気運が高まったんす。・・・文献、資料集めからかつての職人達の伝統技術を受け継いだ人捜し。本当に何もかも、ゼロからスタートしたそうっす。・・・そうやってなんとか、今日の形まで持ってくることが出来ました」
立会人の言葉に彼が抱える事の大きさを実感した「灯里」。そして抱えていた言葉を口にした彼は、少しだけ気持ちが楽になったのを感じていました。
※日本の伝統芸能も、後継者不足に悩んでいるという話はニュースで良く耳にしますね。失われるまでは気がつかず、失われたときには取り戻し難い・・・それでも人々は伝統を残したい、復活させたいと頑張っています。
「まだまだ半人前ですが・・・うふっ」
言葉とは裏腹に一人前の責任感を持った「灯里」。見事に「ネオ・ヴェネツィアンガラス」を守る舵捌き&足捌きには立会人もビックリ。
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「あの・・・工房ではすみませんでした。八つ当たりなんかして。・・・実は最近、一部の人達が言うんです。ネオ・ヴェネツィアンガラスなんて偽物・・・いい気になっている嘘物だって」
やはり一部の心ない観光客達の言葉が、彼の心を、その誇りを傷つけていたのです。
「工房で汗だくになって、物作りに取り組んでいるマエストロの背中を見る度に、僕たち徒弟は、それが悔しいやら悲しいやら・・・とってもせつなくなるんす」
物作りの大変さ、抱えた誇り。それは「ウンディーネ」としてもまだ半人前の「灯里」にすべてわかるものではありませんでしたが、彼の想いの強さは、短いゴンドラでの道のりでわかっていました。
「・・・あなたが嘘物だって言われて傷つくのは、あなたのネオ・ヴェネツィアンガラスに対する思いが本物で、大切なものだからですよ。・・・私、この世には嘘物はないって思うんです。・・・たとえば、マンホームから観光で訪れたお客様の中には、結局ここはかつてのマンホームのヴェネツィアの偽物だって言う人もいます。確かに、街の作りだけ見ればまねっこかもしれません。でも、アクアとマンホームでは街が出来た過程も、流れた時間も違いますよね。・・・当然、そこで過ごした人も、紡がれた想いも違うと思うんです」
本物か偽物か。その事は大事なことではないと「灯里」は立会人に続けます。彼女の話を黙って聞き入る立会人。彼の顔からは、いつしか怒りの表情が消えていました。
「・・・だって、ネオ・ヴェネツィアが大好きで・・・その気持ちを宝物みたいに感じられる私は、今・・・こうしてここに存在しているんですもの。・・・だから、何て言われてもへっちゃらぽん・・・です」
※職人だからこそ、誇りにこだわり「本物」であることにこだわってきた彼。もちろんその気持ちも大切なのですが、「灯里」の考え方、感じ方は実に「素敵」ですねぇ。(^_^)。
短いようで、長いような初めての大仕事は、こうして終点を迎えました。「暁」兄が待つ波止場に時間通りに到着した「灯里」。ねぎらう「暁」兄に「まだまだ半人前ですが」と謙遜してみせます。
「半人前も一人前もねえよ。責任を持って最後までやり遂げるのがプロってもんだ。その点、お嬢ちゃんは立派なプロだぜ。頼んで良かった」
その言葉に、顔を赤らめて喜ぶ「灯里」。そんな彼女に、今度は立会人も喜んで荷物を差し出します。
「おい、小僧。何見つめているんだよ?・・・お前も灯里ちゃんのファンになっちまったのか?」
じっと「灯里」の背中を見つめる立会人に、フランクに問いかける「暁」兄。その言葉に、彼は若者らしく真っ直ぐに考え、自分の言葉で答えて見せます。
「・・・はい。この気持ちが本物か偽物か、まだよくわかんないですけど・・・素敵なウンディーネさんだって感じている僕は・・・確かに今、こうして存在しているっす」
立会人の言葉に「ありがとうございます」と喜ぶ「灯里」。そんなふたりを見た「暁」兄は「弟のライバル出現か」とからかって見せます。
「ほへ?・・・暁さんはアリシアさんのファンですよ?」
その意味もよくわからずに真っ直ぐに捉える「灯里」の様子に、後ろでは「アリシア」がいつものように微笑んでいました。
「うふふっ・・・」
ライバルどころか、自分の気持ちを理解しているだけ立会人の方が1歩先を行っているような・・・。(^_^)。
それにしても「暁」兄(本名はないのか?)は、ああ見えて流石貿易商だけあり、人を見る目は確かですね。実はこの1件、弟が密かに思いを寄せている「灯里」の力量を試そうとしかけたものだったりして・・・。
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