ARIA THE NATURAL_TV13
第13話「その でっかい自分ルールを…」
第2シーズンに入って、出番の少なくなった(気がする)脇役達。それでも「あらあらうふふ」と「・・・禁止!」は登場頻度が高いのですが、「でっかい・・・」はなかなか見かけることが出来ません。
しかし、今回は大丈夫。何しろ「でっかい・・・」のメイン回です。さあ、全国の「アリス」ファンよ、刮目して待て! (大袈裟
夏真っ盛りの「ネオ・ヴェネツィア」。憧れの「プリマ」を目指して、「灯里」、「藍華」、「アリス」の3人娘は今日も練習に励みます。
「お、ここは本日の難関ポイントよ」
「アリスちゃん、頑張れ!」
操舵技術には定評のある「アリス」。先輩達が見守る中、入り組んだ脇道も見事にゴンドラを操舵してみせます。そのテクニックに感心する「灯里」と「藍華」でしたが、大通りに合流する際にちょっとしたミス。声をあげてゴンドラの合流をお知らせしなければならないのですが、「アリス」の声は小さすぎたようです。
「だから、大きな水路に出るときにはちゃんと大きな声をだせって言っているでしょう」
「藍華」の指摘にちょっと顔をそらせる「アリス」。彼女には彼女なりの理由があるようですが・・・。
「今日は、運が悪かっただけですから。・・・昨日の自分ルールが成功しなかったから・・・・・・明日は成功あるのみ」
※時を告げる鐘の音に「アリス」の声が重なってしまったようですね。もっともお客様を乗せることを考えると「藍華」の意見が正論です。
『今日の自分ルールも・・・家まで影だけ踏んで帰る。・・・今日こそ成功させてみせるんだから』
放課後、暑い夏の日差しの中「自分ルール」を決定する「アリス」。彼女は気合いを入れて、ケンケンをするように建物や人の影を踏んで帰宅の途につきます。
【アリスの(でっかい)自分ルール】
・その1。影のないところを踏んだら失格。
・その2、影はどんなものでも構わない。
・その3、日向を半分踏むのは・・・許可。
途中、危ういところはありながらも「自分ルール」を守って帰る「アリス」。「今日はいけそうっ!」と機嫌も良くなりますが、ひとつの難関が彼女を待ち受けていました。
「・・・なんとも・・・これはなかなか」
水路を跨ぐ石畳の橋は、遮蔽物もなく、オブジェも置いておらず、影となって彼女の進みを助けるものは何一つありません。今日もここまでか・・・と悩める少女「アリス」を救ったのは、空中を歩くようにゆっくりと進む、1台の飛行船でした。
「でっかいラッキーです♪」
※むかーし、小学生の頃・・・同じようなルールを決めて学校から帰ったときがありましたねぇ。・・・たぶん失敗しましたが。(^^;)。
『ここを抜ければ、オレンジぷらねっと。最後のでっかい障害・・・ですっ!』
ついに目視できる距離までゴールが近づき、気合を入れ直す「アリス」。スカートがひらひらと風になびくのも気にとめず、ホップ、ステップ、ジャァンプッ!
「・・・うぅっ・・・」
運命の右足は、影からわずか10センチほど外れた場所へとその足跡を刻んでいました。あと少しというところで「自分ルール」を守れなかった「アリス」。彼女の内にいる悪魔のささやきか、周りを見渡し、誰も自分の失敗を見ていないことを確認しますが・・・。
「・・・ルールその1、影がないところを踏んだら失格・・・・・・・・・ふぅっ」
でっかいため息をひとつついて、とぼとぼと歩き始める「アリス」。彼女の落ち込み様は傍目にもわかるほどで、ゴンドラを操る「アテナ」もその姿を見かけたとき、思わずカンツォーネを止めてしまうほど。
「・・・」
しばらく「アリス」の姿を見やった「アテナ」。彼女は「アリス」に手向けてでしょうか、先ほどまでとは違う旋律の「カンツォーネ」を口ずさみます。
「・・・ハイ トゥ サ シャッフーレ・・・カーイノォレイサーペィン・・・ラティアン、ファティアン トゥイーネェン・・・」
その美声に、運河を振り返る「アリス」。通り過ぎる「アテナ」の表情は伺えませんでしたが、その声ははっきりと彼女の記憶に残るのでした。
※「カンツォーネ」は美しい~。けれど文章に起こしにくい~。魅力の百分の一も伝えられずに、すみません。m(_ _)m
「アテナ先輩。・・・今日お昼に歌っていた曲、最近よく歌っていますね。・・・お気に入りなんですか?」
後輩の言葉に「うん」と頷く「アテナ」。その返事に「アリス」は「そうですか」と一見素っ気なさそうに寝返りを打ち、その日はそのまま就寝。
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翌日の放課後。「アリス」は今日も「自分ルール」を決定します。
『今日の自分ルールは・・・石を蹴って最後まで?・・・石畳の線をずっと踏む?・・・それともケンケンでずっと?・・・ダメ、でっかい弱気!』
その場にて激しく首を振る「アリス」。結局、失敗したルールに再挑戦するのが燃えると、昨日と同じルールにチャレンジ。
「いよっ!・・・ふんっ・・・とっ・・・はいっ・・・ほっ・・・はっ!」
今日は好調好調・・・と鼻歌を口ずさみながら石畳を歩く「アリス」。ふと気がつくと同じように鼻歌を歌ってご機嫌な「アテナ」が並んで歩いていました。
「おかえりなさい、アリスちゃん」
午後の仕事がキャンセルとなり、「アリス」の様子を見に来たという「アテナ」。彼女が上機嫌な理由は「アリス」が嬉しそうだからと話します。
「・・・・・・嬉しそうになんかしていないです」
照れからか「アテナ」の言葉を否定して歩き続ける「アリス」。「今日も自分ルール実施中?」という「アテナ」の声にも「そうです」と素っ気なく返すばかり。
「昨日と同じ、影しか踏んじゃいけないルールなんです」
※それにしても・・・飛び跳ねる「アリス」は、か・な・り 萌えますね。(^_^)。
時には飛び跳ね、時には壁に張り付くように進みながら、影を踏み進み歩く「アリス」。その姿に触発されたか、「アテナ」に抱えられていた「まぁ社長」も彼女の横で跳ね始めます。
「あぅ・・・えっ・・・まぁ社長・・・あっ・・・ああぁっ!」
危うくバランスを崩して転びそうになる「アリス」。彼女を間一髪支え、影がない場所を踏むルールを守らせたのはゴンドラ操舵で鍛えた「アテナ」の左腕でした。
「ぎりぎりセーフ?」
笑顔で話しかけてくる「アテナ」に、鉄仮面のような表情(笑)で返す「アリス」。どうやら先輩の手助けは「自分ルール」でアウトの判定。
「今のところやり直しです。・・・アテナ先輩、余計な手出しは無用です。・・・自分ルールその4、他人の手助けは禁止!です」
自分の戦いだから手助けはしないでとプンプン怒る「アリス」。彼女の言葉に「・・・はい」と落ち込む「アテナ」
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そして、昨日の難関ポイント。飛行船に助けられた場所へと「アリス」は辿り着きました。
ひとしずくの汗が「アリス」の頬を伝わります。飛行船という「でっかいラッキー♪」が現れない今、彼女はどうやって困難な事態に対処するのか。
「あのぉ・・・ここは普通に行っても良いことにする・・・」
「ダメなんです。影じゃないところは、全部マグマなんです」
彼女の言葉に、その決意を感じ取った「アテナ」。彼女は数歩その場から離れると、自分自身の影を「アリス」に指し示します。
「アリスちゃん、アリスちゃん・・・ほら」
その手助けも「自分ルールその4」に該当すると、怒る「アリス」。
「どうしてそんなことをするのですか!」
彼女は「アテナ」と出会った場所からやり直すからと、「ついて来ないでください」の言葉を残してすたすたと立ち去ってしまいます。
※「でっかい頑固」ですね。・・・それも「アリス」の魅力のひとつではあるのですが・・・。
「ぁ・・・アテナさんだ・・・」
「藍華」と練習中の「灯里」。その途中の水路で寂しげに道の向こうを見る「アテナ」の姿を見かけます。
そして一方、来た道をずんずんと引き返していく「アリス」。
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『・・・どうして私なんかに構ったりするのだろう。私のことより、自分のドジッ娘をなんとかしてほしい』
いつしか足取りが重くなり、とぼとぼという感じに難関ポイントへ辿り着いた「アリス」。しかし、時は既に夕暮れ。道の影はすっかり伸びて、難関ポイントは姿を消していました。
「何これ・・・簡単すぎ。・・・バカみたい」
昼間の「アテナ」のお節介を思い返す「アリス」。彼女は言っていました「アリスが嬉しそうだから自分も嬉しい」・・・と。
沈む気持ちのまま「オレンジぷらねっと」へと足を進める「アリス」。そんな彼女の前に大きな運河を渡る石橋が、先ほどとは別の難関ポイントが姿を見せます。
「ぅぅ・・・そうこなくっちゃ。これでこそやりがいというものが・・・」
ぽつんぽつんと1~2メートル毎にある小さな石のオブジェ。その影だけが頼りの難所に挑もうとする「アリス」。と、そこへ「灯里」の緊張感のない声がかけられます。
「・・・アテナ先輩」
「さっきそこでアテナさんに会ってね、今、練習を見て貰っているの。・・・アリスちゃんも早く着替えておいでよ。一緒に練習しよう」
自分なりの「カンツォーネ」を歌う「アリア社長」、ゴンドラに乗ってこちらを見つめる「藍華」、失礼な言葉で別れたのに笑顔を向ける「アテナ」。・・・その表情を見た「アリス」は、心の中に新たな「自分ルール」を作りました。
「先輩方、邪魔しないでください。ここが最後の・・・でっかい障害なんですから」
大きな声で宣言をして、一歩、また一歩と後ずさっていく「アリス」。そして、走ってきて勢いをつけると・・・。
「えいっ・・・ふっ・・・はっ・・・ほっ・・・はいっ・・・」
リズム良くジャンプを繰り返す「アリス」。その姿をじっと見つめる「アテナ」は、彼女のバランスが崩れたのを見るとすぐにオールを傾け、石橋ギリギリまでゴンドラを寄せます。
「ぁぁああっ・・・」
なんとか転倒はまぬがれたものの、膝をついてしまう「アリス」。その足下には石橋まで寄ってきた「アリス」の影が重なっていました。
「どうして・・・どうしてまたそういうことをするんですか、なんですか・・・正義の味方気取りですかっ」
その本心に気づきながら、ちょっと頬を紅く染めながらも「アテナ」に食ってかかる「アリス」。その言葉に「アテナ」はあくまでも優しく、彼女の言葉でゆっくりと言葉を返します。
「ううん、違うの。正義の味方気取りじゃなくって・・・私は、アリスちゃんの味方気取りなの。・・・ほら、ゲームで言う隠れキャラみたいな。ちょっと困ったときなんかに見つけて、ラッキー♪みたいな。・・・それとも、やっぱり他人だから手助け禁止?」
想いに気がつき、言葉で確信して。・・・ゆっくりと立ち上がった「アリス」は、「アテナ」に対して正面を向きます。
「アテナ先輩・・・新しいルールです。・・・自分ルールその5、アテナ先輩は他人じゃないから、手助けして貰っても構わない・・・さっ、とっとと帰りますよ。お暇みたいですから・・・この後しっかり練習に付き合って貰いますね、アテナ先輩」
後輩の言葉に「はい」とうなずき、あの「カンツォーネ」を口ずさむ「アテナ」。歩く「アリス」と併走して彼女はゴンドラを巧みに操ります。
「・・・カーイ ノォー ライサンスェー・・・ハイ トゥ シャー ファースーレー・・・」
この歌を聴くのは初めてだと感想を言い合う「灯里」と「藍華」。歌詞の意味はよくわかりませんが、気持ちが明るくなると彼女たちは感じました。
「気持ちが・・・明るく・・・」
自分自身がどんなときに、この歌を聴かせてくれたのか思い出す「アリス」。優しく私を見つめる「アテナ」の目は、ずっと彼女を見守ってきました。
『・・・アテナ先輩は・・・いつだってずっとずっと私の味方だったんだ。・・・そう、本当の・・・私にとって特別の・・・味方』
「アイ」ちゃんの言葉ではありませんが、とっても素敵な「アリス」と「アテナ」。「灯里」と「アリシア」の関係や、「藍華」と「晃」の関係とも違う、なんだか親子のようなふたりの関係。このふたりは「オレンジぷらねっと」の「でっかいパートナー」になっていくでしょうね。(^_^)。
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