ARIA THE NATURAL_TV14
第14話「その いちばん新しい想い出に…」
梅雨だというのに夏のような暑さだったり、雷を伴った局所的豪雨が発生したりと、我が日本の天気は荒れ模様。
真夏とはいえカラッと「地中海性気候」な「ネオ・ヴェネツィア」はいいなぁ。・・・と思いきや「ネオ・ヴェネツィア」にも熱帯夜はあるようで。
むしむしと暑い夜が続いていた「ネオ・ヴェネツィア」。しかし、今日は風が気持ちの良い朝を迎えることが出来たようです。
-AM 04:20-
まだ暗い朝に目が覚めた「灯里」。制服に着替え、お供に「アリア社長」を引き連れてゴンドラを漕ぎ出します。
「付き合って貰っちゃってすみません、アリア社長」
目をショボショボさせている「アリア社長」。まだ彼の夜は明けていませんが、辺りは少しずつ朝の気配を漂わせてきました。
「パリーナ」と呼ばれている無数の杭を手がかりに足を伸ばし、「ブリコラ」と呼ばれている大きな杭を束ねた棒の足下で地図を見返す「灯里」。彼女の頬に爽やかな朝の陽光が、白い影を伸ばしてきました。
「そろそろ戻りましょうか、アリア社長」
ちょっと贅沢な朝焼けを楽しんで、「ARIA COMPANY」へと戻ってきた「灯里」。いつもと同じ景色のはずが、今日は何かが気にかかります。
※日が昇る前に目覚める事なんて、ほとんどない私。初日の出もネットやTVで楽しむだけです。(^^;)。
ただの杭である「パリーナ」とは異なり、お店やスポットを表す「彩色パリーナ」。なぜか「ARIA COMPANY」にないことに気がついた「灯里」は早速「アリシア」に聞いてみます。
「どうしてARIA COMPANYには彩色パリーナがないか?・・・・・・言われてみればそうね、入社したときからこうだったから、不思議に思わなかったけれど・・・」
ところが、この質問が「灯里」に予想外のイベントを発生させるキーになってしまうのです。
「・・・そうだ、丁度良い機会だから灯里ちゃんに作ってもらおうかしら」
「はい、賛成です。やっぱり彩色パリーナがあった方が良いと・・・ええぇええっ、私がですかぁっ!」
最初は断る「灯里」でしたが、「感じるままに作れば良いのよ」との「アリシア」の言葉に騙されて・・・もとい、乗せられて、結局「彩色パリーナ」を作ることに。
「藍華」と「アリス」の合同練習も断って、一日芸術家として筆を握る「灯里」。
「私が感じる・・・ARIA COMPANY・・・・・・・・・あっ」
ふと思い立ち、屋根裏部屋の倉庫に手がかりを求める「灯里」。その手には「ARIA COMPANY」の輝かしい歴史をつづったアルバムが握られていました。
「この写真・・・もしかして、グランマ!?、わっ・・・アリア社長若い」
そこには今の面影がほとんどありませんが、「伝説の大妖精」である「グランマ」と、若かりし(?)「アリア社長」が仲良く映っていました。
「・・・そんな時の流れも、このパリーナに込められれば良いけれど」
さらにアルバムを捲る「灯里」の手が、あるページで止まります。そこに挟まれた四つ折りのわら半紙には「彩色パリーナ」のデザイン画が。
※パッと見た感じは「床屋」を思い出してしまう私。(ノ∀`) ペチッ
「彩色パリーナ」のヒントとなりそうなデザイン画を手に入れた「灯里」。屋根裏部屋から降りてくると、何やら良い匂いが部屋の中に広がっています。
「・・・アリシアさん、戻っているのかな?・・・・・・アリシアさん、お帰りなさい。今物置で・・・グランマ!」
ところが、そこに居たのは先ほどの写真の中の人「伝説の大妖精」こと「グランマ」その人でした。
「こんにちは、灯里ちゃん。・・・あらあらアリア社長、元気だったかしら」
取れたてのトウモロコシでホールコーンを作っていた「グランマ」。「灯里」が持ってきたデザイン画に、思わず昔を懐かしみます。
「・・・これはあなた達の先輩、初期メンバのひとりが描いたものよ。彼女が『彩色パリーナを作ろう』と言い出してね」
かつて「彩色パリーナ」を作る動きがあった「ARIA COMPANY」。しかし、その時には残念ながら完成には至らなかったそうです。
「ARIA COMPANYは動き始めたばかりだったから、私にもその娘にも・・・まだ色が見えなかったの。そのうち見えてくるかもねって横に置いていたら・・・忙しくていつの間にか忘れてしまったのよ」
彼女の話に、今更ながら「ARIA COMPANY」の色を決める「彩色パリーナ」作りに怖じ気づいてしまった「灯里」。「私なんかが作って良いのでしょうか」と問い尋ねる「灯里」に、「グランマ」は優しく「楽しみね」と微笑みかけます。
「灯里ちゃんの目には、どんな風にARIA COMPANYが映っているのかしら」
※偉大な先輩達が作り上げてきた「ARIA COMPANY」。その色を決める重圧は、やはり大きくのしかかりますよね。
「わぁ・・・夏の匂い。ただいま」
帰ってきた「アリシア」を出迎える「グランマ」。久しぶりの再会は彼女の心をときめかせますが、流石に「伝説の大妖精」。ゆっくりとはできず、ちょっとお茶をしてお別れ。それでも「灯里」は「グランマ」から「彩色パリーナ」のヒントを貰ったような気がしていました。
「今日は練習をお休みして、もう少しだけARIA COMPANYとお喋りしてみようと思うんです」
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ゴンドラに乗って風に吹かれ・・・デザイン画をじっくりと見つめる「灯里」。
「アリア社長・・・このデザインを描いた先輩は、どんな人だったんですか?」
「灯里」の質問にボディランゲージで答える「アリア社長」。どうやらそうとうのドジッ娘だったのは間違いないようですが・・・。
「えっと・・・よくわからないです。アリア社長」
※でっかいショックを受ける「アリア社長」でした。(^^;)。
「青・・・白・・・。きっとこのデザインを描いた先輩も、ここから見える風景が好きだったんですね」
ARIA COMPANYに戻り、色々な場所で、色々な風景を眺める「灯里」。彼女の目と耳に、ARIA COMPANYの言葉が入ってくるようでした。
「青と白・・・私も好き・・・」
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夜中、「アリア社長」が寝付く横でデザインを続ける「灯里」。冷めたコーヒーをお供に、青のマジックと定規でデザインを決めていきます。
「・・・よし」
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「うん、素敵じゃない。・・・良いと思うわ。完成が楽しみ」
翌朝、「アリシア」に見せたデザインはなかなかに好評。早速「シルフ」の「ウッディー」にお手伝いをお願いして「灯里」流「彩色パリーナ」の作成です。
木材に赤鉛筆でペンキを塗り分ける線を引き、顔にペンキをつけながら奮闘する「灯里」と「アリア社長」。
「青・・・海と空の色、ARIA COMPANYが出来てから変わらない色・・・今も、これからもずっと」
誕生からの想い出をいっぱい詰め込んだ、「彩色パリーナ」の完成です。
※やはり「ARIA COMPANY」のイメージカラーは「青」と「白」でしょうね。空と海、雲と空、制服だって青と白のツートンカラーですしね。
「ふぅ・・・。うん、完成!」
できた「彩色パリーナ」を打ち込んで、新生「ARIA COMPANY」の誕生です。真っ白な台座にイメージカラーの「青」で制服と同じ模様をつけた「彩色パリーナ」は、「アリシア」にも大好評。
「そうだ灯里ちゃん、今日はここでディナーにしましょうか。・・・パリーナ完成を祝って」
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「グランマ」のトウモロコシで作った特製コーンポタージュを飲みながら、「彩色パリーナ」を眺める「灯里」と「アリシア」。「ひとりでよく頑張ったわね」と感心する「アリシア」の言葉に、「灯里」は「ひとりには感じませんでした」と返します。
「あのデザインを描いた先輩が、ずっと隣にいた気がしたんです。もうここには居ない、私の知らない先輩・・・」
気がつかないうちに人は成長します。まだ彼女の知らない横顔を見せる「灯里」に、「アリシア」はちょっと寂しそうに、ちょっと嬉しそうに未来のことを語ります。
「・・・いつかは私も引退して、一人前になった灯里ちゃんが私の知らない後輩と、このパリーナを見上げる日が来る・・・」
その時、また「灯里」も今と同じではいられない・・・。そう感じる「灯里」の言葉に、「アリシア」は「大丈夫」と優しく微笑みます。
「パリーナを作っている間、先輩を近くに感じたのでしょう。・・・ウンディーネを引退しても、デザイン画にはその時の彼女がそこに居て、灯里ちゃんに語りかけてくれる。・・・同じ事よ。この彩色パリーナはこれからもずっとARIA COMPANYに有り続ける。やがて灯里ちゃんがここを去った後も。・・・これは、灯里ちゃんがARIA COMPANYに確かに居た日々の証。ずっとずっといつまでも変わらない、今の灯里ちゃん自身・・・そのものよ」
彼女の言葉を、ゆっくりとかみしめる「灯里」。彼女はそして気がつきました。この「彩色パリーナ」は、「今」という時を刻んだオブジェなのだと。
「と、いうことはですよ・・・ずっとずっと先・・・この彩色パリーナに会いに来ると・・・今日の私たち3人に会えるっていうことですよね」
「あっ・・・凄いわ灯里ちゃん・・・」
「凄いです、アリシアさん!」
時を刻んだ「彩色パリーナ」を前に、笑い続ける「灯里」達。それは「彩色パリーナ」が存在し続ける限り、ずっとずっと続く一瞬なのかもしれません。
旅に出たときにとる風景写真、遊び仲間とのスナップ写真、友達や彼氏と撮るプリクラ・・・。
デジタルカメラや携帯電話で、以前より身近になった写真達。
写真というデータは、0と1の集合でしかないかもしれませんが、人々は写真を見たとき、その一瞬を思い出します。
そう、それは本当は「凄いこと」なのですね。(^_^)。
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