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機動戦士ガンダム00 #08

#08「無差別報復」

 止まらないテロ行為。無差別に爆破される公共機関、罪無き人々の・・・死。
 「ソレスタルビーイングによる武力介入の即時中止、および武装解除が行われるまで、我々は報復活動を続けることになる」

 この事態に、「ソレスタルビーイング」は手をこまねいていたわけではない。

 -某国 某所-
 ピンク色のプライベートジェットが着陸すると、中からは妙齢の女性が姿を現した。
 「用事があるので、お世話の必要はなくてよ」
 執事と、数十名と並ぶメイドの間を颯爽と歩く彼女こそ「王 留美」。ソレスタルビーイングを裏から支えるシークレットエージェントのひとり。
・・・
 「特定領域の暗号文で、全エージェントへ通達を完了しました」
 彼女の執事兼ボディガードでもある「紅龍」の報告に、状況を知らせるスクリーンをじっと見つめる「留美」。
 「各国の状況は?」
 「主立った国の諜報機関は、国際テロネットワークの拠点を探すべく、既に行動を開始している模様です」
 ユニオン、AEU、人革連・・・全ての超大国で発生を続けるテロ行為。これも「矛盾」が招いた悲劇なのか。
 「支援国家の存在も、否定できない。・・・嫌なものね、待つしかできないということは」

 国際テロネットワークの拠点を求め、各国へと散る「ガンダムマイスター」。
 「刹那・F・セイエイ」もまた、「AEU」へと向けて。

 -AEU スコットランド-
 「モラリア紛争に同時多発テロ。姫様の外交にはケチのつきっぱなしね
 通信回線からの声にため息で返す「マリナ・イスマイール」。予定されていた会談も、延期をよきなくされていた。
 「すべて、ソレスタルビーイングのせいよ」

 -AEU スコットランド山間部-
 省電力モードへと落とした暗闇のコクピットの中、膝を抱えて一点を見つめる「刹那」。彼の思考は、クルジス共和国で少年兵として過ごした時代へ飛んでいた。
 「彼等は神のために生き、神のために死んだ。これで彼の魂は、神の御許へと誘われるだろう」
 当時の師、「アリー・アル・サーシェス」の言葉を思い起こす「刹那」。今の彼にとって、その言葉は幾ばくかの価値も無かった。
 『・・・死の果てに神は居ない』

 前回、「サーシェス」に対してコクピットから姿を見せるという無謀な行為を行い、粛正された「刹那」。
 今回はなんと、「マリナ・イスマイール」に対して正体を明かすという離れ業を行って見せます。(^^;)。
 これがばれたら、冗談抜きで「ティエリア」に撃たれそうです。

 さて、「ソレスタルビーイング」が少数精鋭であること、また、舞台が地球圏だけであることから、大規模な戦闘シーンなどが難しく、今のところ、小さくこぢんまりとした印象を感じてしまう「機動戦士ガンダム00」。まずは前半の2クールを、どのように決着させるかが気になります。
 今回、(国際テロネットワークを支援する国家の存在は置いておいて)初めて世界の正義とベクトルをあわせることができましたし、「世界」と「ソレスタルビーイング」の妥協点を探っていくのが、物語の終結点になりそうな気もしますが・・・それだと政治色が強すぎて、面白くはならないですね。(^^;)。
 どのように予想を裏切ってくれるのか、スタッフの手腕に注目したいと思います。

 「俺のコードネームは、刹那・F・セイエイ。ソレスタルビーイングのガンダムマイスターだ」

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機動戦士ガンダム00 #07

#07「報われぬ魂」

 -A.D.2299 クルジス共和国-
 「君たちがその身を神に捧げ、この聖戦に参加するためにやらなくてはならないことがある。それは・・・」
 明け方の村に鳴り響く銃声。まだ年端もいかぬ子供達が、ひとりまたひとりと家を出て、ある男の前へと集う。
 「おめでとう! これで君達は神に認められ、聖戦に参加を許された戦士となった
 子供達の中には、焦点の合わない瞳をした「刹那・F・セイエイ」が居た。そして、子供達を導いていた男の正体は・・・。

 -現代 モラリア共和国-
 「機体は良くても、パイロットはイマイチのようだな、えぇっガンダムさんよぉおっ!」
 衝撃に「エクシア」の機体が揺れる。PMCのエースパイロット「アリー・アル・サーシェス」の声は確かに・・・。

 苦戦、そう表現するしかない戦い。自らの動きが相手に読まれ、相手の先を読むことが出来ない。
 機体の性能差では補えない、能力差、経験差、そして何よりも相手はあの男「サーシェス」。母親を殺させ、戦い方を教え込まれた、かつての師。
 「光通信・・・コクピットから出てこいだと? 正気かよ・・・本当に出てきやがった。しかもあの体つき、どうみてもまだ子供じゃねえか。面白ぇ、面白ぇえぞっ!」
 戦いの最中。絶対とも言える「エクシア」の装甲から「刹那」は姿を見せた。ヘルメットこそ外していないが、このまま相手に銃を向けられれば為す術を持たない。しかし、「サーシェス」もまたコクピットから姿を現す。対峙するふたり。
 その顔を見て、「刹那」の表情が革新へと変わる。この男は間違いなく・・・。
 思考が、一閃のビームライフルによって中断する。
 「デュナメス!?」
 彼の同僚「ガンダムマイスター」のリーダー格である「ロックオン・ストラトス」の的確な狙撃が、「刹那」の意識を現世へと引き戻す。そして、射撃に恐れを成したか、あるいは引き際だと感じたのか。「サーシェス」の機体は空へと姿を消した。

 「事情は後で聞かせて貰うわ。・・・ミッション、続けられるわね
 怒鳴りたい気持ちを「スメラギ・李・ノリエガ」の声が留める。そう、今は大切なミッション中。たった四機のモビルスーツで「モラリア共和国」を落とそうというのだ。ここで立ち止まっている余裕は無い。
 「ヴァーチェ」や「キュリオス」の活躍もあり、2時間で半数のモビルスーツを撃破した「ソレスタルビーイング」。
 裏で糸を引く「AEU」も、最後の選択を迫られていた。

 -AEU イギリス 外務省官邸-
 「・・・プランの中でも、最悪の結果になりそうだな」
 戦場から遠く離れた場所では、既に次の手が選ばれる。勝利しても敗北しても、彼等は痛みなど感じないのだ。

 -PMC本部 作戦会議室-
 「ガンダムを全機ロストしただと!?」
 「アリー・アル・サーシェス隊との通信は!?」
 作戦会議室の首脳達は混乱のさなかにあった。GN粒子による通信の混乱、敵機把握の困難さ、味方部隊との連絡途絶。
 そして、「ソレスタルビーイング」はそこを予期し、「ガンダムマイスター」は渓谷を走る。

 「敵さんは電波障害が起こっている場所を重点的に狙っている。隠密行動で一気に頭を叩くのさ」
 モビルスーツ一機がようやく通れるほどの狭路を「ガンダム」達が高スピードで抜けていく。しかし、その最中も「刹那」はひとつの考えにとりつかれていた。彼の、「サーシェス」の存在に。
 『何故奴がここに・・・行き場を無くしてPMCへ所属したのか? だとしたら、奴の神は何処に居る・・・』

 その思考を通信ランプが遮る。通信元は「エクシア」の後方を飛ぶ「ヴァーチェ」。通信者はパイロット「ティエリア・アーデ」。
 「刹那・F・セイエイ、今度また愚かな独断行動を取るようなら、君を後ろから撃つ。ガンダムの秘密を守るためだ」
 彼の目は、真剣だった。

 恩人か師匠か、はたまた諸悪の根源か。
 「藤原啓治」の渋い声が似合う「アリー・アル・サーシェス」は今後の、特に「刹那」のキーマンですね。

 2週に渡るミッション「モラリア共和国」編も「ソレスタルビーイング」の勝利、そしてある意味敗北でした。
 「全ての憎しみを自分たちに向けてでも、戦争を終結させる」
 果たして、その理想は夢、幻と朽ち果てるのか。
 ラスト5分で突きつけられた、無差別テロによる「ソレスタルビーイング」への警告は、「ガンダムマイスター」の、「ソレスタルビーイング」の内部に深い楔を打ち込みます。
 何をやっても世界の敵となってしまう「ソレスタルビーイング」に、明日はあるのか!?

 そして、「アムロ・レイ」の登場。なんて、ね。(^^;)。

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機動戦士ガンダム00 #06

#06「セブンソード」

 戦争とは経済活動である。そして、経済である以上、市場があり、参入する民間会社も当然現れる。
 「・・・たく酷いものだなぁ。ソレスタルなんたらってのはよぉ。・・・ここにある石ころが足りなきゃあ、この国の経済は破綻。その影響を受ける国や企業がどんだけあるか。・・・戦争を止められれば、下々の者はどうなってもいいらしいや
 その男「アリー・アル・サーシェス」はそう嘆く。
 彼は民間軍事会社「PMC」のトップであり、「ソレスタルビーイング」の反対側に位置する組織の人間であった。
 嘆く彼の元にかかってきた携帯電話の内容は彼の表情を緩ませる。曰く、捨てる神あれば拾う神あり。
 「・・・ようやく重い腰をあげやがった。AEUのお偉いさん方がな」

 -AEU中央議会-
 「どうしても、モラリアに軍隊を派遣なさるというのですか
 「宇宙開発計画にモラリアのPMCが必要なのは、先日の欧州首脳会議でも確認されたはずです」
 軌道エレベーターの開発に後れを取っている「AEU」にとって、これ以上、宇宙開発計画を遅らせるわけにはいかない。
 たとえ「ソレスタルビーイング」を相手にすることになったとしても、民間軍事会社「PMC」と手を組むことは避けられない命題であった(「ソレスタルビーイング」を相手にすること自体を命題としている国もあるようだが)。
 「軍備の増強無しで宇宙進出などあり得ん話だ。ユニオンや人革連に宇宙の上を抑えられたら、最後のフロンティアさえ失われる」
 同日、「モラリア共和国」に対しての軍事派遣が正式に認可された。
・・・
 先日の一件で「ソレスタルビーイング」の「アレルヤ・ハプティズム」は謹慎措置を受けていた。
 「その様子だと、とても反省をしているようには思えないな。・・・君は、ガンダムマイスターに相応しくない。キュリオスから降ろしたいところだが・・・そうもいかなくなった」
 独房へと訪れた「ティエリア・アーデ」と「スメラギ・李・ノリエガ」は彼にモラリアの情報を伝える。大きなミッションになりそうだと。
 「これは、我々に対する挑戦と受け取って良い」

・・・
 -フランス 外務省-
 「太陽光発電の技術支援ですか・・・我々としても協力したいところではありますが、貴国の情勢は極めて不安定。派遣する技術者達の安全が保証されなければ、議会の承認は得られないでしょう。そうでなくてもAEUのエレベーターは完全稼働に至っていません。技術者を他に回す余裕があるかどうか・・・」
 慣れない外交を行う「アザディスタン王国」の王女、「マリナ・イスマイール」への回答はいつも同じであった。「物資の援助は行うが、技術の援助は行えない」。抜本的な解決には、いくつものハードルを越える必要がありそうであった。
・・・
 「PMCとは傭兵の派遣、兵士の育成、兵器輸送および兵器開発、軍隊維持。それらをビジネスで行う民間軍事会社」
 作戦のため宇宙を降りる「スメラギ」は「熱心ね」とオペレーターの「フェルト」へと声をかける。

 「ソレスタルビーイング」創設以来の大がかりなミッションが始まろうとしていた。

 不謹慎ではありますが、モラリア共和国を舞台とした大規模な作戦行動に、ちょっと胸を躍らせる自分を感じますね。
 戦争行為は嫌いだけれど、戦闘描写は好きな私です(これも矛盾かな)。
 さて、その1stステージでは、「AEU」のエース「パトリック・コーラサワー」が早速大活躍(?)を見せてくれました。
 あの一撃で倒されなかったのですから、彼の潜在能力は確かにエースなのでしょうが、どうしてでしょう、彼の行動を見ていると楽しくなってきますね。(^_^)。
 そして意外と苦戦続きなのが主人公「刹那・F・セイエイ」。
 「グラハム・エーカー」、「セルゲイ・スミルノフ」、そして今回の「アリー・アル・サーシェス」と、ライバル戦では機体のポテンシャル通りの実力を発揮するまではいきません。
 最新鋭のモビルスーツ「ガンダムエクシア」を搭乗する彼としては、雑魚を一刀両断するように、ライバル機を一刀両断出来ればよいのでしょうが・・・。
 彼の操縦技術がまだまだなのか、ライバル達が「モビルスーツ戦は性能だけではない」ことを見せているのか。(^^;)。
 やはり「ガンダム」はモビルスーツ戦が華ですので、こちらも注視していきたいですね。

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機動戦士ガンダム00 #05

#05「限界離脱領域」

 「ソレスタルビーイング」による「タリビア共和国」への介入は成功に終わった。
 しかし、武力介入によって得たものは世界からの反発。利を得たのはアメリカ側だけであった。

 「ソレスタルビーイングは戦争根絶という意志を貫き、タリビアを攻撃したまでのこと。たとえ世論から背を向けようとも・・・。彼等を利用しようとする考えは改めた方が良いわね。マリナ様、そろそろ諸国漫遊のお時間です」
 太陽光エネルギーの援助を受けるべく各国を飛び回る「マリナ・イスマイール」にとって、未来への兆しはまだ見えなかった。
・・・
 -人革連 軌道エレベーター リニアトレイン発着ロビー-
 太陽光発電の手段だけではなく、気軽に宇宙へと旅立てる乗り物としての側面も持つ軌道エレベーター。
 宇宙工学を専攻する「沙慈・クロスロード」はガールフレンドの「ルイス・ハレヴィ」と共に研修旅行へと出発する。
 同じトレインに「人革連」の軍人である「セルゲイ・スミルノフ」中佐、そして超兵1号「ソーマ・ピーリッシュ」少尉も乗せて。

・・・
 「そういえば、少尉が超人機関に志願した理由を聞いていなかったな
 向かい合って座る「セルゲイ」と「ソーマ」。親子ほど年齢の離れたふたりであったが、「ソーマ」は年に似合わない落ち着きで正面を見据えていた。
 「志願はしていません。私は、超兵計画のために生み出された『デザインベイビー』です」
 彼女の言葉に顔をしかめる「セルゲイ」。彼は思い出していた。初めて「ソーマ」の説明を受けていたときのことを・・・。
 「何か?中佐」
 「・・・いや」
・・・
 -地上 ソレスタルビーイング「ガンダム」格納区-
 「スメラギさんからミッションプランが届いたよ。モビルスーツ性能実験の監視。状況によっては、破壊もあり得るって
 「気をつけろよアレルヤ。タリビアの一件以来、俺たちは世間の嫌われ者だからな」
 同僚である「ロックオン・ストラトス」の言葉に頷く「アレルヤ・ハプティズム」。単なる監視ミッション。たとえモビルスーツの破壊となったとしても、大きな問題は起こりようはずはない。そう、突発的なトラブルさえ発生しなければ。
・・・
 「この機体か」
 新しく設計されたモビルスーツに目をやる「セルゲイ」。これこそが上層部の言う「対ガンダム」の切り札となるはずの機体。超兵「ソーマ」専用としてデザインされた「ティエレン・タオ・ツー」であった。
 「対ガンダムの切り札・・・か」

 -人革連 低軌道ステーション 重力ブロック-
 「やっぱり、重力があるって最高」
 研修の休憩時間を利用して、ウインドウショッピングを楽しむ「沙慈」と「ルイス」。商品以外にも目を奪われるボーイフレンドの耳を引っ張りながら、休息を楽しむ彼等。しかし、壁一枚向こうの宇宙ではモビルスーツ性能実験が始まろうとしていた。
 「少尉、機体の運動性能を見る。指定されたコースを最大加速で廻ってみろ」
 まるで機械のように、ルートを誤差無く廻っていく「ソーマ」。その性能に驚嘆しながらも、どこか不安要素を感じてしまう「セルゲイ」。次の瞬間、トラブルは音もなく発生した。機体ではなく、パイロットに対して。
 「・・・何、この感じ・・・頭が・・・痛い・・・」

 突如コースから離れ始める「ティエレン・タオ・ツー」。その機体は「セルゲイ」の呼びかけにも応じず、ステーションの居住空間へと迫っていく。

 -同時刻 低軌道ステーション-
 「くっ・・・どこの何奴だ・・・俺の頭の中に勝手に入ってくるのはっ!
 作戦行動中にもかかわらず、人目を気にせず叫ぶ「アレルヤ」。彼は突然襲ってきた頭痛に耐えきれず、その場へと膝を落とす。それはまるで、「ソーマ」とリンクさえしているような・・・。
 「手前ぇっ、殺すぞっ!!」

 瞬間、殺意の波動が少女の精神を襲った。
 「イヤァアァッァッァ!」
 錯乱した「ソーマ」のトリガーが、彼女自身を守るために握られる。
 ペイント弾とはいえ数十ミリの弾丸が、居住地にある重力ブロックへと降り注がれ・・・。

 彼の言動、様子を見るに「アレルヤ」は内部に「ハレルヤ」という別人格を持っている・・・それを本人も自覚している感じですね。好戦的な「アレルヤ」に対して、平和的な「ハレルヤ」・・・なのでしょうか。
 それにしても「ティエリア・アーデ」の言葉ではありませんが、あれほどの兵器に情緒不安定なパイロット(含む「ソーマ」)を乗せるのは、考え直して欲しいところです。(^^;)。

 さて、今回「ハレルヤ」(あるいは「アレルヤ」?)が取った人命救助という行動。
 二百数十名の生命を救った彼の行動は、そのことだけを見れば文句のつけようもありません。
 しかし、「ティエリア」が語るように、その行動は(追認されたとはいえ)命令違反のそしりを免れないものですし、「ガンダム」のテクノロジーを人革連他に明かしてしまう危険性もある。長期的に見れば「ソレスタルビーイング」の目的を遅延し、結果として救えるはずだった数十倍~数百倍以上の生命を奪う行動だったかもしれないのです。
 果たして彼の行動は是だったのでしょうか、非だったのでしょうか。

 
 まあ、この段階で結論が出るはずもないのですが、視聴者や登場人物へと矛盾を突きつける
 これが今回の「機動戦士ガンダム00」の特徴かもしれませんね。

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