【ご連絡】更新休止のお知らせ

管理人のジャンです。

申し訳ありませんが、本業が忙しくなってしまい、
しばらく更新をお休みいたします。

再び更新を再開する際には、またこちらからご連絡いたします。

誠に申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

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次回「ARIA THE NATURAL_TV15」感想休止のお知らせ

管理人のジャンです。

本日、出張のため不在となります。
「ARIA THE NATURAL」の第15話につきましては、視聴ができない環境になりますので、
申し訳ありませんが、感想休止とさせていただきます。

なお、次回の更新は「ツバサ・クロニクル_TV38」2006/07/16(日)を予定しております。

これからも当サイト「一期一会」をよろしくお願いいたします。
それでは、皆様良いアニメ鑑賞を。(^_^)。

以上

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ARIA THE NATURAL_TV14

第14話「その いちばん新しい想い出に…」

梅雨だというのに夏のような暑さだったり、雷を伴った局所的豪雨が発生したりと、我が日本の天気は荒れ模様。
真夏とはいえカラッと「地中海性気候」な「ネオ・ヴェネツィア」はいいなぁ。・・・と思いきや「ネオ・ヴェネツィア」にも熱帯夜はあるようで。

むしむしと暑い夜が続いていた「ネオ・ヴェネツィア」。しかし、今日は風が気持ちの良い朝を迎えることが出来たようです。
-AM 04:20-
まだ暗い朝に目が覚めた「灯里」。制服に着替え、お供に「アリア社長」を引き連れてゴンドラを漕ぎ出します。
「付き合って貰っちゃってすみません、アリア社長」
目をショボショボさせている「アリア社長」。まだ彼の夜は明けていませんが、辺りは少しずつ朝の気配を漂わせてきました。
「パリーナ」と呼ばれている無数の杭を手がかりに足を伸ばし、「ブリコラ」と呼ばれている大きな杭を束ねた棒の足下で地図を見返す「灯里」。彼女の頬に爽やかな朝の陽光が、白い影を伸ばしてきました。
「そろそろ戻りましょうか、アリア社長」
ちょっと贅沢な朝焼けを楽しんで、「ARIA COMPANY」へと戻ってきた「灯里」。いつもと同じ景色のはずが、今日は何かが気にかかります。
※日が昇る前に目覚める事なんて、ほとんどない私。初日の出もネットやTVで楽しむだけです。(^^;)。

ただの杭である「パリーナ」とは異なり、お店やスポットを表す「彩色パリーナ」。なぜか「ARIA COMPANY」にないことに気がついた「灯里」は早速「アリシア」に聞いてみます。
「どうしてARIA COMPANYには彩色パリーナがないか?・・・・・・言われてみればそうね、入社したときからこうだったから、不思議に思わなかったけれど・・・」
ところが、この質問が「灯里」に予想外のイベントを発生させるキーになってしまうのです。
「・・・そうだ、丁度良い機会だから灯里ちゃんに作ってもらおうかしら」
「はい、賛成です。やっぱり彩色パリーナがあった方が良いと・・・ええぇええっ、私がですかぁっ!
最初は断る「灯里」でしたが、「感じるままに作れば良いのよ」との「アリシア」の言葉に騙されて・・・もとい、乗せられて、結局「彩色パリーナ」を作ることに。
「藍華」と「アリス」の合同練習も断って、一日芸術家として筆を握る「灯里」。
「私が感じる・・・ARIA COMPANY・・・・・・・・・あっ」
ふと思い立ち、屋根裏部屋の倉庫に手がかりを求める「灯里」。その手には「ARIA COMPANY」の輝かしい歴史をつづったアルバムが握られていました。
「この写真・・・もしかして、グランマ!?、わっ・・・アリア社長若い」
そこには今の面影がほとんどありませんが、「伝説の大妖精」である「グランマ」と、若かりし(?)「アリア社長」が仲良く映っていました。
「・・・そんな時の流れも、このパリーナに込められれば良いけれど
さらにアルバムを捲る「灯里」の手が、あるページで止まります。そこに挟まれた四つ折りのわら半紙には「彩色パリーナ」のデザイン画が。
※パッと見た感じは「床屋」を思い出してしまう私。(ノ∀`) ペチッ

「彩色パリーナ」のヒントとなりそうなデザイン画を手に入れた「灯里」。屋根裏部屋から降りてくると、何やら良い匂いが部屋の中に広がっています。
「・・・アリシアさん、戻っているのかな?・・・・・・アリシアさん、お帰りなさい。今物置で・・・グランマ!
ところが、そこに居たのは先ほどの写真の中の人「伝説の大妖精」こと「グランマ」その人でした。
「こんにちは、灯里ちゃん。・・・あらあらアリア社長、元気だったかしら」
取れたてのトウモロコシでホールコーンを作っていた「グランマ」。「灯里」が持ってきたデザイン画に、思わず昔を懐かしみます。
「・・・これはあなた達の先輩、初期メンバのひとりが描いたものよ。彼女が『彩色パリーナを作ろう』と言い出してね
かつて「彩色パリーナ」を作る動きがあった「ARIA COMPANY」。しかし、その時には残念ながら完成には至らなかったそうです。
「ARIA COMPANYは動き始めたばかりだったから、私にもその娘にも・・・まだ色が見えなかったの。そのうち見えてくるかもねって横に置いていたら・・・忙しくていつの間にか忘れてしまったのよ」
彼女の話に、今更ながら「ARIA COMPANY」の色を決める「彩色パリーナ」作りに怖じ気づいてしまった「灯里」。「私なんかが作って良いのでしょうか」と問い尋ねる「灯里」に、「グランマ」は優しく「楽しみね」と微笑みかけます。
「灯里ちゃんの目には、どんな風にARIA COMPANYが映っているのかしら」
※偉大な先輩達が作り上げてきた「ARIA COMPANY」。その色を決める重圧は、やはり大きくのしかかりますよね。

「わぁ・・・夏の匂い。ただいま」
帰ってきた「アリシア」を出迎える「グランマ」。久しぶりの再会は彼女の心をときめかせますが、流石に「伝説の大妖精」。ゆっくりとはできず、ちょっとお茶をしてお別れ。それでも「灯里」は「グランマ」から「彩色パリーナ」のヒントを貰ったような気がしていました。
「今日は練習をお休みして、もう少しだけARIA COMPANYとお喋りしてみようと思うんです」
---
ゴンドラに乗って風に吹かれ・・・デザイン画をじっくりと見つめる「灯里」。
「アリア社長・・・このデザインを描いた先輩は、どんな人だったんですか?」
「灯里」の質問にボディランゲージで答える「アリア社長」。どうやらそうとうのドジッ娘だったのは間違いないようですが・・・。

「えっと・・・よくわからないです。アリア社長
※でっかいショックを受ける「アリア社長」でした。(^^;)。

「青・・・白・・・。きっとこのデザインを描いた先輩も、ここから見える風景が好きだったんですね」
ARIA COMPANYに戻り、色々な場所で、色々な風景を眺める「灯里」。彼女の目と耳に、ARIA COMPANYの言葉が入ってくるようでした。
「青と白・・・私も好き・・・」

---
夜中、「アリア社長」が寝付く横でデザインを続ける「灯里」。冷めたコーヒーをお供に、青のマジックと定規でデザインを決めていきます。
「・・・よし」
---
「うん、素敵じゃない。・・・良いと思うわ。完成が楽しみ」
翌朝、「アリシア」に見せたデザインはなかなかに好評。早速「シルフ」の「ウッディー」にお手伝いをお願いして「灯里」流「彩色パリーナ」の作成です。
木材に赤鉛筆でペンキを塗り分ける線を引き、顔にペンキをつけながら奮闘する「灯里」と「アリア社長」。
「青・・・海と空の色、ARIA COMPANYが出来てから変わらない色・・・今も、これからもずっと」
誕生からの想い出をいっぱい詰め込んだ、「彩色パリーナ」の完成
です。
※やはり「ARIA COMPANY」のイメージカラーは「青」と「白」でしょうね。空と海、雲と空、制服だって青と白のツートンカラーですしね。

「ふぅ・・・。うん、完成!
できた「彩色パリーナ」を打ち込んで、新生「ARIA COMPANY」の誕生です。真っ白な台座にイメージカラーの「青」で制服と同じ模様をつけた「彩色パリーナ」は、「アリシア」にも大好評。
「そうだ灯里ちゃん、今日はここでディナーにしましょうか。・・・パリーナ完成を祝って
---
「グランマ」のトウモロコシで作った特製コーンポタージュを飲みながら、「彩色パリーナ」を眺める「灯里」と「アリシア」。「ひとりでよく頑張ったわね」と感心する「アリシア」の言葉に、「灯里」は「ひとりには感じませんでした」と返します。
「あのデザインを描いた先輩が、ずっと隣にいた気がしたんです。
もうここには居ない、私の知らない先輩・・・」
気がつかないうちに人は成長します。まだ彼女の知らない横顔を見せる「灯里」に、「アリシア」はちょっと寂しそうに、ちょっと嬉しそうに未来のことを語ります。
「・・・いつかは私も引退して、一人前になった灯里ちゃんが私の知らない後輩と、このパリーナを見上げる日が来る・・・」
その時、また「灯里」も今と同じではいられない・・・。そう感じる「灯里」の言葉に、「アリシア」は「大丈夫」と優しく微笑みます。
「パリーナを作っている間、先輩を近くに感じたのでしょう。・・・ウンディーネを引退しても、デザイン画にはその時の彼女がそこに居て、灯里ちゃんに語りかけてくれる。・・・同じ事よ。この彩色パリーナはこれからもずっとARIA COMPANYに有り続ける。やがて灯里ちゃんがここを去った後も。・・・これは、灯里ちゃんがARIA COMPANYに確かに居た日々の証。ずっとずっといつまでも変わらない、今の灯里ちゃん自身・・・そのものよ
彼女の言葉を、ゆっくりとかみしめる「灯里」。彼女はそして気がつきました。この「彩色パリーナ」は、「今」という時を刻んだオブジェなのだと。
「と、いうことはですよ・・・ずっとずっと先・・・この彩色パリーナに会いに来ると・・・今日の私たち3人に会えるっていうことですよね
「あっ・・・凄いわ灯里ちゃん・・・」
「凄いです、アリシアさん!」
時を刻んだ「彩色パリーナ」を前に、笑い続ける「灯里」達。それは「彩色パリーナ」が存在し続ける限り、ずっとずっと続く一瞬なのかもしれません。

旅に出たときにとる風景写真、遊び仲間とのスナップ写真、友達や彼氏と撮るプリクラ・・・。
デジタルカメラや携帯電話で、以前より身近になった写真達。
写真というデータは、0と1の集合でしかないかもしれませんが、人々は写真を見たとき、その一瞬を思い出します。
そう、それは本当は「凄いこと」なのですね。
(^_^)。

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ARIA THE NATURAL_TV13

第13話「その でっかい自分ルールを…」

第2シーズンに入って、出番の少なくなった(気がする)脇役達。それでも「あらあらうふふ」と「・・・禁止!」は登場頻度が高いのですが、「でっかい・・・」はなかなか見かけることが出来ません。
しかし、今回は大丈夫。何しろ「でっかい・・・」のメイン回です。さあ、全国の「アリス」ファンよ、刮目して待て! (大袈裟

夏真っ盛りの「ネオ・ヴェネツィア」。憧れの「プリマ」を目指して、「灯里」、「藍華」、「アリス」の3人娘は今日も練習に励みます。
「お、ここは本日の難関ポイントよ
「アリスちゃん、頑張れ!」
操舵技術には定評のある「アリス」。先輩達が見守る中、入り組んだ脇道も見事にゴンドラを操舵してみせます。そのテクニックに感心する「灯里」と「藍華」でしたが、大通りに合流する際にちょっとしたミス。声をあげてゴンドラの合流をお知らせしなければならないのですが、「アリス」の声は小さすぎたようです。
「だから、大きな水路に出るときにはちゃんと大きな声をだせって言っているでしょう」
「藍華」の指摘にちょっと顔をそらせる「アリス」。彼女には彼女なりの理由があるようですが・・・。
「今日は、運が悪かっただけですから。・・・昨日の自分ルールが成功しなかったから・・・・・・明日は成功あるのみ」
※時を告げる鐘の音に「アリス」の声が重なってしまったようですね。もっともお客様を乗せることを考えると「藍華」の意見が正論です。

今日の自分ルールも・・・家まで影だけ踏んで帰る。・・・今日こそ成功させてみせるんだから』
放課後、暑い夏の日差しの中「自分ルール」を決定する「アリス」。彼女は気合いを入れて、ケンケンをするように建物や人の影を踏んで帰宅の途につきます。
【アリスの(でっかい)自分ルール】
 ・その1。影のないところを踏んだら失格。
 ・その2、影はどんなものでも構わない。
 ・その3、日向を半分踏むのは・・・許可。

途中、危ういところはありながらも「自分ルール」を守って帰る「アリス」。「今日はいけそうっ!」と機嫌も良くなりますが、ひとつの難関が彼女を待ち受けていました。
「・・・なんとも・・・これはなかなか
水路を跨ぐ石畳の橋は、遮蔽物もなく、オブジェも置いておらず、影となって彼女の進みを助けるものは何一つありません。今日もここまでか・・・と悩める少女「アリス」を救ったのは、空中を歩くようにゆっくりと進む、1台の飛行船でした。
「でっかいラッキーです♪」
※むかーし、小学生の頃・・・同じようなルールを決めて学校から帰ったときがありましたねぇ。・・・たぶん失敗しましたが。(^^;)。

『ここを抜ければ、オレンジぷらねっと。最後のでっかい障害・・・ですっ!
ついに目視できる距離までゴールが近づき、気合を入れ直す「アリス」。スカートがひらひらと風になびくのも気にとめず、ホップ、ステップ、ジャァンプッ!
「・・・うぅっ・・・」
運命の右足は、影からわずか10センチほど外れた場所へとその足跡を刻んでいました。あと少しというところで「自分ルール」を守れなかった「アリス」。彼女の内にいる悪魔のささやきか、周りを見渡し、誰も自分の失敗を見ていないことを確認しますが・・・。
「・・・ルールその1、影がないところを踏んだら失格・・・・・・・・・ふぅっ」
でっかいため息をひとつついて、とぼとぼと歩き始める「アリス」。彼女の落ち込み様は傍目にもわかるほどで、ゴンドラを操る「アテナ」もその姿を見かけたとき、思わずカンツォーネを止めてしまうほど。
「・・・」
しばらく「アリス」の姿を見やった「アテナ」。彼女は「アリス」に手向けてでしょうか、先ほどまでとは違う旋律の「カンツォーネ」を口ずさみます。
「・・・ハイ トゥ サ シャッフーレ・・・カーイノォレイサーペィン・・・ラティアン、ファティアン トゥイーネェン・・・」
その美声に、運河を振り返る「アリス」。通り過ぎる「アテナ」の表情は伺えませんでしたが、その声ははっきりと彼女の記憶に残るのでした。
※「カンツォーネ」は美しい~。けれど文章に起こしにくい~。魅力の百分の一も伝えられずに、すみません。m(_ _)m

「アテナ先輩。・・・今日お昼に歌っていた曲、最近よく歌っていますね。・・・お気に入りなんですか?」
後輩の言葉に「うん」と頷く「アテナ」。その返事に「アリス」は「そうですか」と一見素っ気なさそうに寝返りを打ち、その日はそのまま就寝。
---
翌日の放課後。「アリス」は今日も「自分ルール」を決定します。
『今日の自分ルールは・・・石を蹴って最後まで?・・・石畳の線をずっと踏む?・・・それともケンケンでずっと?・・・ダメ、でっかい弱気!
その場にて激しく首を振る「アリス」。結局、失敗したルールに再挑戦するのが燃えると、昨日と同じルールにチャレンジ。
「いよっ!・・・ふんっ・・・とっ・・・はいっ・・・ほっ・・・はっ!
今日は好調好調・・・と鼻歌を口ずさみながら石畳を歩く「アリス」。ふと気がつくと同じように鼻歌を歌ってご機嫌な「アテナ」が並んで歩いていました。
「おかえりなさい、アリスちゃん」
午後の仕事がキャンセルとなり、「アリス」の様子を見に来たという「アテナ」。彼女が上機嫌な理由は「アリス」が嬉しそうだからと話します。
「・・・・・・嬉しそうになんかしていないです」
照れからか「アテナ」の言葉を否定して歩き続ける「アリス」。「今日も自分ルール実施中?」という「アテナ」の声にも「そうです」と素っ気なく返すばかり。
「昨日と同じ、影しか踏んじゃいけないルールなんです」
※それにしても・・・飛び跳ねる「アリス」は、か・な・り 萌えますね。(^_^)。

時には飛び跳ね、時には壁に張り付くように進みながら、影を踏み進み歩く「アリス」。その姿に触発されたか、「アテナ」に抱えられていた「まぁ社長」も彼女の横で跳ね始めます。
「あぅ・・・えっ・・・まぁ社長・・・あっ・・・ああぁっ!」
危うくバランスを崩して転びそうになる「アリス」。彼女を間一髪支え、影がない場所を踏むルールを守らせたのはゴンドラ操舵で鍛えた「アテナ」の左腕でした。
「ぎりぎりセーフ?」
笑顔で話しかけてくる「アテナ」に、鉄仮面のような表情(笑)で返す「アリス」。どうやら先輩の手助けは「自分ルール」でアウトの判定。
「今のところやり直しです。・・・アテナ先輩、余計な手出しは無用です。・・・自分ルールその4、他人の手助けは禁止!です
自分の戦いだから手助けはしないでとプンプン怒る「アリス」。彼女の言葉に「・・・はい」と落ち込む「アテナ」
---
そして、昨日の難関ポイント。飛行船に助けられた場所へと「アリス」は辿り着きました。
ひとしずくの汗が「アリス」の頬を伝わります。飛行船という「でっかいラッキー♪」が現れない今、彼女はどうやって困難な事態に対処するのか。
「あのぉ・・・ここは普通に行っても良いことにする・・・
「ダメなんです。影じゃないところは、全部マグマなんです」
彼女の言葉に、その決意を感じ取った「アテナ」。彼女は数歩その場から離れると、自分自身の影を「アリス」に指し示します。
「アリスちゃん、アリスちゃん・・・ほら」
その手助けも「自分ルールその4」に該当すると、怒る「アリス」。

「どうしてそんなことをするのですか!」
彼女は「アテナ」と出会った場所からやり直すからと、「ついて来ないでください」の言葉を残してすたすたと立ち去ってしまいます。
「でっかい頑固」ですね。・・・それも「アリス」の魅力のひとつではあるのですが・・・。

「ぁ・・・アテナさんだ・・・」
「藍華」と練習中の「灯里」。その途中の水路で寂しげに道の向こうを見る「アテナ」の姿を見かけます。

そして一方、来た道をずんずんと引き返していく「アリス」。
---
・・・どうして私なんかに構ったりするのだろう。私のことより、自分のドジッ娘をなんとかしてほしい』
いつしか足取りが重くなり、とぼとぼという感じに難関ポイントへ辿り着いた「アリス」。しかし、時は既に夕暮れ。道の影はすっかり伸びて、難関ポイントは姿を消していました。
「何これ・・・簡単すぎ。・・・バカみたい
昼間の「アテナ」のお節介を思い返す「アリス」。彼女は言っていました「アリスが嬉しそうだから自分も嬉しい」・・・と。
沈む気持ちのまま「オレンジぷらねっと」へと足を進める「アリス」。そんな彼女の前に大きな運河を渡る石橋が、先ほどとは別の難関ポイントが姿を見せます。
「ぅぅ・・・そうこなくっちゃ。これでこそやりがいというものが・・・
ぽつんぽつんと1~2メートル毎にある小さな石のオブジェ。その影だけが頼りの難所に挑もうとする「アリス」。と、そこへ「灯里」の緊張感のない声がかけられます。
「・・・アテナ先輩」
さっきそこでアテナさんに会ってね、今、練習を見て貰っているの。・・・アリスちゃんも早く着替えておいでよ。一緒に練習しよう」
自分なりの「カンツォーネ」を歌う「アリア社長」、ゴンドラに乗ってこちらを見つめる「藍華」、失礼な言葉で別れたのに笑顔を向ける「アテナ」。・・・その表情を見た「アリス」は、心の中に新たな「自分ルール」を作りました。
「先輩方、邪魔しないでください。ここが最後の・・・でっかい障害なんですから
大きな声で宣言をして、一歩、また一歩と後ずさっていく「アリス」。そして、走ってきて勢いをつけると・・・。
「えいっ・・・ふっ・・・はっ・・・ほっ・・・はいっ・・・」
リズム良くジャンプを繰り返す「アリス」。その姿をじっと見つめる「アテナ」は、彼女のバランスが崩れたのを見るとすぐにオールを傾け、石橋ギリギリまでゴンドラを寄せます。
「ぁぁああっ・・・」
なんとか転倒はまぬがれたものの、膝をついてしまう「アリス」。その足下には石橋まで寄ってきた「アリス」の影が重なっていました。
「どうして・・・どうしてまたそういうことをするんですか、なんですか・・・正義の味方気取りですかっ
その本心に気づきながら、ちょっと頬を紅く染めながらも「アテナ」に食ってかかる「アリス」。その言葉に「アテナ」はあくまでも優しく、彼女の言葉でゆっくりと言葉を返します。
「ううん、違うの。正義の味方気取りじゃなくって・・・私は、アリスちゃんの味方気取りなの。・・・ほら、ゲームで言う隠れキャラみたいな。ちょっと困ったときなんかに見つけて、ラッキー♪みたいな。・・・それとも、やっぱり他人だから手助け禁止?
想いに気がつき、言葉で確信して。・・・ゆっくりと立ち上がった「アリス」は、「アテナ」に対して正面を向きます。
アテナ先輩・・・新しいルールです。・・・自分ルールその5、アテナ先輩は他人じゃないから、手助けして貰っても構わない・・・さっ、とっとと帰りますよ。お暇みたいですから・・・この後しっかり練習に付き合って貰いますね、アテナ先輩」
後輩の言葉に「はい」とうなずき、あの「カンツォーネ」を口ずさむ「アテナ」。歩く「アリス」と併走して彼女はゴンドラを巧みに操ります。
「・・・カーイ ノォー ライサンスェー・・・ハイ トゥ シャー ファースーレー・・・」
この歌を聴くのは初めてだと感想を言い合う「灯里」と「藍華」。歌詞の意味はよくわかりませんが、気持ちが明るくなると彼女たちは感じました。
「気持ちが・・・明るく・・・」
自分自身がどんなときに、この歌を聴かせてくれたのか思い出す「アリス」。
優しく私を見つめる「アテナ」の目は、ずっと彼女を見守ってきました。
『・・・アテナ先輩は・・・いつだってずっとずっと私の味方だったんだ。・・・そう、本当の・・・私にとって特別の・・・味方』

「アイ」ちゃんの言葉ではありませんが、とっても素敵な「アリス」と「アテナ」。「灯里」と「アリシア」の関係や、「藍華」と「晃」の関係とも違う、なんだか親子のようなふたりの関係。このふたりは「オレンジぷらねっと」の「でっかいパートナー」になっていくでしょうね。(^_^)。

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ARIA THE NATURAL_TV12

第12話「その 逃げ水を追って…/その 夜光鈴の光は…」

今日の「ARIA」は2本立て。あなたの心も2倍癒せるかも、かも、かもーっ! (by 苗木野そら(嘘

【逃げ水編】
すっかり夏を迎えた惑星「アクア」の都市「ネオ・ヴェネツィア」。ひまわり咲き誇る花園に青い空の背景は、まるで日本の夏のよう。そして暑さも日本の夏並みで・・・。
「はぁうっ・・・へっ?」
思わずボーッとなってしまう「灯里」。その視線の先には海上の幻、蜃気楼の姿が見えていました。
「何もない海の上に・・・建物が」
初めて現象を目にして驚き慌てふためく「灯里」に「蜃気楼」を説明してあげる「アリシア」。科学的な説明を耳にしても、摩訶不思議な現象は「灯里」の心に焼き付けられます。
---
午後2時か・・・一番暑い時間帯ですねぇ。・・・頑張って、お夕飯の買い物に出発しましょうか」
気怠い午後、「アリア社長」を連れて買い物に出かける「灯里」。周りを見渡しても今日が一番の暑さであることは疑いようもなく、彼女は自分が今見ている景色が真実なのかも判断がつかなくなってきていました。
「・・・蜃気楼・・・?」
気がつけば足下に居たはずの「アリア社長」の姿も、そこにはなく、目にするのは不思議な光景の数々。時期尚早の夜光鈴、誰も歩いていない昼間の町並み、世界に自分ひとりしか居ない感じ・・・。
「誰もいない・・・あれ、さっきの時計も2時だったような・・・
※この光景に「うる星やつら」の「ビューティフルドリーマー」を思い出してしまう私・・・。(^^;)。

足を止める理由もなく、ただひたすらに歩き続ける「灯里」でしたが、その視界にひょこひょこと歩く「アリア社長」が目に入ります。
『どこに行くんだろう・・・あ・・・そうか、きっと涼しいところだ・・・ネコさんは涼しいところを見つけるのが得意なんですものね・・・
何の目的で街に出たのかも忘れてしまった「灯里」は、ただ涼しいところに行きたいという思いのみで「アリア社長」を追いかけます・・・が、行けども行けども短い足を持った(失礼 、「アリア社長」に追いつくことが出来ません。
「えっ・・・・・・喫茶店・・・」

ふいに聞こえる風鈴の音。ハッと顔を上げた「灯里」の前に、ネコの姿が描かれた喫茶店の看板が顔を出しています。
「・・・アリア社長!?」
そこには、カウンターでくつろぐ「アリア社長」と、午後2時を指し示した柱時計、帽子で顔を隠した謎の客人、ターバンを巻いた店の主人が居ました。
「いらっしゃい、どうぞこちらへ。・・・涼しいでしょう、ここは特別な場所ですもの」
そのお店唯一のオーダー、アイスミルクを堪能する「灯里」。一息ついた彼女は、店の主人に自分が体験した不思議な出来事を話して聞かせます。
「・・・私、さっきまで白昼夢を見ていたんです。気がついたら、街中の人が居なくなっていて・・・思わず夢の中に迷い込んじゃったかと思っちゃいました・・・」
話を笑いながら聞き入る主人。彼はグラスを拭いた手を止めると「灯里」の方を向き、「逃げ水みたいね」と言葉を返します。
「・・・逃げ水?」
「そう、蜃気楼の一種よ。・・・水もないのに地面が濡れたように見える現象ね。近づこうとすると、どんどん遠くへ逃げてしまうからそう呼ばれている。・・・決して追いつくことが出来ない、夢うつつな幻。・・・でも、もしもその逃げ水に追いついてしまったらどうなるのかしらね
店主の言葉に顔をあげる「灯里」。その目には午後2時を指し示した柱時計。そして耳にはネコの形をした風鈴の音が涼やかに鳴り響いていました。
「2時・・・」
「そうね、今が一番暑い時間帯ね。でも大丈夫、涼しく過ごせるわよ。・・・だってここは・・・特別な場所だもの。おっほほほ・・・」
思わず目を見張る「灯里」。彼女の後ろには何十も、いえ百を超えようかというネコの視線が集まっていました。そしてよくよく見れば店主の目もまたネコ目・・・。
「アイスミルクはこちらがご馳走してくださるそうよ。ここは夏の間、私たちが涼を取るための秘密の隠れ家。・・・お嬢ちゃんたち人間が決して追いついてはいけない場所よ、本当はね。・・・だからそれを飲んだら、そろそろお帰りなさい」
なんかこちらまで涼しくなってきましたよ・・・。((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル・・・。

すっとカウンターを降りて出口に向かう「アリア社長」。慌てて「灯里」もその後を追いかけます。そして、喫茶店の出口で振り向いたとき、彼女にアイスミルクをご馳走してくれた客人が、帽子をあげて彼女に挨拶をしました。その姿は・・・幾度となく姿を見せてきた「ケットシー」。
「ご馳走様でした」
頭を下げた「灯里」が、その顔を上げたとき。喫茶店だった場所は廃屋へと変わり、彼女は日常へと戻されていました。これは、ネコが見せていた幻・・・白昼夢だったのでしょうか。彼女の問いかけに「アリア社長」は、口にくわえたストローで返事を返すのでした。

【夜光鈴編】
惑星「アクア」の海で取れる「夜光石」がほのかに光放つ「夜光鈴」。その音色は、暑い夏を少し和らげてくれます。
「・・・そういえば、夜光鈴の市が立つのって今日からでしたよね
お客様から「アリシア」がいただいた「夜光鈴」を見て、そう口にする「灯里」。その言葉に「アリシア」は「素敵な夜光鈴がたくさんあったわよ」と彼女を市へと薦めます。
---
「今年もいっぱい屋台が出ていますねぇ・・・あ、藍華ちゃんも来ていたんだ」
店先で「藍華」と思わずぶつかる「灯里」。おっちょこちょいな彼女の行動はいつもと同じと、「藍華」は気にもとめずに「夜光鈴」見物を続けます。
リーン、リリーン・・・
まるで自分を呼んでいるかのようなピンクの「夜光鈴」を目にとめた「灯里」。何の迷いもなくそれを購入
し、上機嫌に「藍華」に報告します。
・・・なんか不思議な感じがしたの。とっても懐かしい人に呼び止められたみたいな・・・まだ夜じゃないのに私の心の中にほんのり光が灯ったみたいな・・・」
「恥ずかしいセリフ、禁止っ!」
思わず手に取っていた紫の「夜光鈴」で突っ込みを入れる「藍華」。当然、こちらは彼女のお買い上げに。そしていつの間にか隣に来ていた「アリス」も黄緑色の「夜光鈴」を購入。
※それぞれのイメージカラーですね。・・・にしても本当、「灯里」は恥ずかしいセリフがポンポン出るなぁ。(^^;)。

お買い物の後は「ARIA COMPANY」で一休み。「アリシア」が用意してくれたスイカに舌鼓を打つ「灯里」達。これも夏の風物詩。
---
夜の「ARIA COMPANY」でふたつ並んだ「夜光鈴」。その涼やかな音色は心を優しく癒してくれます。
「そうだ・・・」
思い立ったが吉日と、「アリア社長」を連れてゴンドラへと乗り込んだ「灯里」。「夜光鈴」の輝きと共に、素敵な夜のティータイム。
「この出会いに乾杯・・・」
その日から「夜光鈴」は「灯里」のお供をすることとなりました。
昼の練習、夜のお茶会、お風呂場の中で、店先で、夕方の灯里に包まれながら・・・。
「夜光鈴」との日々を楽しむ「灯里」。そんな幸せな日々にも、いつしか別れの時が訪れます。
※本当に「懐かしい人に呼び止められた」のかも。「灯里」ならあり得るなぁ。

「光が・・・弱まっている」
「そろそろ、寿命みたいね。夜になったら、お別れの船を出しましょう」
まるで「蛍」のようにほのかな光を放出する「夜光石」。しかし、その寿命もまた「蛍」と同じく、短きものでありました。
「寿命が来た夜光石は、その最後の輝きを見送りながら、海に帰してあげるのが慣わし・・・
今年の夏を彩った「夜光鈴」も、ゆっくりと最後の時を迎えようとしていました。「ネオ・ヴェネツィア」各地から、「夜光鈴」お別れの船が集まってきます。
「毎晩こうやってアリア社長とティータイムをしていたの?」
「はい。この子のお陰で、凄く優しい時間を楽しめました」
振り返り、船の穂先に取り付けた「夜光鈴」を見やる「灯里」。やはりその表情はどこか寂しそうに「アリシア」からは見て取れます。
---
「おっ、今年もタイミングピッタリだったな」
「あ、灯里ちゃんよ・・・」
自然と「灯里」達の方にゴンドラを寄せ合う「晃」と「藍華」、「アテナ」と「アリス」のゴンドラ達。彼女たちの「夜光鈴」も、今宵お別れの時を迎えたのです。
「タント・グラッツェ・・・」
各地で交わされる別れの挨拶。海へと落ちる「夜光石」が、深海へと優しい光の道筋を表していきます。

その中、「灯里」の「夜光石」もついに海へと落ちていきました。優しいピンクの光を残して、去っていく「夜光石」。・・・しかし、彼女は小さなおみやげを「灯里」へと残していったのです。
「アリシアさん、これって・・・」
鈴の先に小さくついた涙色の結晶を見せる「灯里」。その結晶を見た「アリシア」は思わず声を上げてしまいます。
「それって、夜光石の結晶よ・・・凄いわ灯里ちゃん」

一夏を過ごした「夜光石」がお別れをしたくないと残していった物か。その姿を見た「灯里」の目から、暖かな涙がこぼれ落ちます。
※「灯里」はおみやげを貰えましたが、これは良い別れですね。一夏という短い期間を「夜光鈴」と過ごした人達。今までありがとうという想いを込めて、生まれ育った海へと帰していきます。

「灯里、フラッペの差し入れぇっ!」
遠くで自分を呼ぶ「藍華」に手を振って答える「灯里」。「アリア社長」と乗ったゴンドラの船先には「夜光石」の結晶が新しい音色を聞かせていました。

これぞ「ARIA」の真骨頂。前半の背中が涼しくなる展開も楽しめましたが、私はやはり後半、それも「夜光石」が最後におみやげを残して去っていった箇所に尽きます。
人が生き死にするわけでもなく、世界を舞台にした大きな冒険があるわけでもない。それでも「ARIA」の作品に心惹かれるのは、やはり小さな奇跡の結晶。自然と流れた「灯里」の涙は、彼女の心を、彼女の思いを緩やかに頬へと伝えていきます。そして、それが世界をほんの少しだけ幸せに変える。・・・こういう文章が自然と出てくるのも「ARIA」ならではの魅力ですね。(^_^)。

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ARIA THE NATURAL_TV11

第11話「その 大切な輝きに…」

最近のテレビ東京は放送延長が多い!・・・負けないぞー。(^_^)。
というわけで(何が?)今日はワールドカップ「日本VSオーストラリア」が始まる前に更新だいっ!

それは「暁」のお兄さんが持ってきた「初めての体験」でした。
「・・・さてお嬢ちゃん、今日おいらが来たのは他でもない。弟から聞いた腕前を見込んで、是非お嬢ちゃんを指名させて欲しいんだ
なんと「ウンディーネ」としてはまだ「シングル」の腕前である「灯里」に、お客様からのご指名。
早速「アリシア」に報告すると、彼女は自分のことのように喜びます。
「今夜はガイドのポイントを予習しないとね」
ところが、この言葉には苦笑いの「灯里」
。実は、この話にはちょっとだけ裏事情がありました。
---
「・・・頼みたい仕事というのは、観光案内ではなくてネオ・ヴェネツィアンガラスの運搬なんだ
彼女のもたもたでとろとろ・・・もとい、丁寧なゴンドラ操舵の技術が「暁」のお兄さんに買われたというわけです。
---
「まぁ・・・それは任務重大ね。頑張って、灯里ちゃん」
とにもかくにも、初めてのご指名であることには変わりありません。「灯里」の希望により「アリシア」の同行も決まり、彼女の一大イベントが始まったのです。
※話がうますぎるとは思いましたが、大事なものを丁寧に運ぶのは人も物も変わりありません。頑張れ「灯里」!(^_^)!

まずは「ヴェネツィアンガラス」職人が集まる「ムラノ島」へと訪れた「灯里」と「アリシア」(もちろん「アリア社長」も)。初めての大仕事に緊張の彼女をほぐそうと、「アリシア」は彼女をガラスショップへと誘います。
「綺麗・・・」
店内を彩る「ネオ・ヴェネツィアンガラス」に見とれる「灯里」。そこには大晦日の晩に出会った「ガラスの豆」も置いてあり、彼女の心は解きほぐされていきますが・・・。
「これなんか良いんじゃないか」
「それなりに綺麗だけれど・・・。仕方がないわね。ネオ・ヴェネツィアも所詮、ヴェネツィアを模しただけの街だから」
「歴史の浅さはぬぐいがたい・・・か」
心ない観光客の言葉に、「灯里」の心は少し沈んでしまいます。

※悪気はないのでしょうが、その店を、商品を楽しんで見ている人達がいる店内で言うべき言葉ではありませんね。(T_T)。

「・・・ここが工房ですね」
いよいよ「ネオ・ヴェネツィアンガラス」を造っている工房へと訪れた「灯里」。職人達が汗を流して働く姿に、さきほどまで沈んでいた気持ちも少し回復。
職人のひとりに、この工房の責任者「マエストロ」を呼んで頂き、いよいよ荷物が「灯里」達に手渡されます。
「・・・とても丁寧に扱うんですね」

一枚一枚を紙に包み、工房の職人に大切に扱われている「ネオ・ヴェネツィアンガラス」。その姿を見た「灯里」の使命感もアップ。・・・ところが、ちょっと小難しそうな立会人に「灯里」は持っていた荷物の箱を取り上げられてしまいます。
「・・・このガラス達は、マエストロが精魂込めて造った僕たち職人の努力の結晶なんす。難癖つけられちゃ、たまりませんから」
唖然とする「灯里」の横を、「マエストロ」がすたすたと歩き去り、立会人をポカリ。
どうやら「灯里」は八つ当たりを受けただけのようですが・・・。
※先ほどの観光客のことでしょうか?

ゴンドラに乗ってからも元気がない立会人。つられて暗い表情を見せる「灯里」の裾を「アリア社長」が引っ張ります。
「・・・灯里ちゃん、ス・マ・イ・ル」

見上げた「灯里」に小声でアドバイスを贈る「アリシア」。その言葉に「はい」と小声で返事をした「灯里」は、自分が見て感じたままの工房の姿を語り始めます。
「私、ネオ・ヴェネツィアンガラスの工房って、今日初めて見たんです。凄いですよねぇ・・・ガラスって、ああやってふくらませるんですね。・・・これ全部、さっきのマエストロが造ったんですか?・・・ピカピカ、キラキラ・・・色々な色に輝いてとても綺麗です。宝物を運んでいる気分になってしまいますね
すると、やはり好きなガラスの話題だからでしょうか。少しずつですが立会人も話題へと参加してきました。
「ソーダ石灰っす。・・・鉛を含まないソーダ石灰を使用することで、あらゆる色を表現できるんです
ちょっとだけ元気を出した立会人と一緒に、「アリシア」お手製のおやつを食べる「灯里」達。彼も大分、元気を取り戻してきたようです。
「・・・まだ半人前なのに、指名を受けるなんて凄いっす。僕もいつかは、この人のワイングラスが欲しいとか言われる職人になりたいっす。・・・けど、職人の腕とは関係無しに、伝統のあるなしで判断する人が多くって・・・
立会人の言葉に首をかしげる「灯里」。彼女はずっと「マンホーム」の「ヴェネツィア」から伝統を受け継いだのが「ネオ・ヴェネツィアンガラス」だと思っていたのです。
「それが・・・伝統の継承は一度、途絶えてしまったんですよ。・・・マンホームのヴェネツィアが水没したときに、伝統を受け継いだ職人達が世界中に散ってしまって・・・。思えばその時、ヴェネツィアンガラス本来の高度な技術は・・・失われてしまったのかもしれません。そして、アクアにネオ・ヴェネツィアンを建造することが決まったとき、ヴェネツィアンガラスも復活させる気運が高まったんす。・・・文献、資料集めからかつての職人達の伝統技術を受け継いだ人捜し。本当に何もかも、ゼロからスタートしたそうっす。・・・そうやってなんとか、今日の形まで持ってくることが出来ました
立会人の言葉に彼が抱える事の大きさを実感した「灯里」。そして抱えていた言葉を口にした彼は、少しだけ気持ちが楽になったのを感じていました。
※日本の伝統芸能も、後継者不足に悩んでいるという話はニュースで良く耳にしますね。失われるまでは気がつかず、失われたときには取り戻し難い・・・それでも人々は伝統を残したい、復活させたいと頑張っています。

「まだまだ半人前ですが・・・うふっ」
言葉とは裏腹に一人前の責任感を持った「灯里」。見事に「ネオ・ヴェネツィアンガラス」を守る舵捌き&足捌きには立会人もビックリ。
---
「あの・・・工房ではすみませんでした。八つ当たりなんかして。・・・実は最近、一部の人達が言うんです。ネオ・ヴェネツィアンガラスなんて偽物・・・いい気になっている嘘物だって
やはり一部の心ない観光客達の言葉が、彼の心を、その誇りを傷つけていたのです。
「工房で汗だくになって、物作りに取り組んでいるマエストロの背中を見る度に、僕たち徒弟は、それが悔しいやら悲しいやら・・・とってもせつなくなるんす」
物作りの大変さ、抱えた誇り。それは「ウンディーネ」としてもまだ半人前の「灯里」にすべてわかるものではありませんでしたが、彼の想いの強さは、短いゴンドラでの道のりでわかっていました。
「・・・あなたが嘘物だって言われて傷つくのは、あなたのネオ・ヴェネツィアンガラスに対する思いが本物で、大切なものだからですよ。・・・私、この世には嘘物はないって思うんです。・・・たとえば、マンホームから観光で訪れたお客様の中には、結局ここはかつてのマンホームのヴェネツィアの偽物だって言う人もいます。確かに、街の作りだけ見ればまねっこかもしれません。でも、アクアとマンホームでは街が出来た過程も、流れた時間も違いますよね。・・・当然、そこで過ごした人も、紡がれた想いも違うと思うんです
本物か偽物か。その事は大事なことではないと「灯里」は立会人に続けます。彼女の話を黙って聞き入る立会人。彼の顔からは、いつしか怒りの表情が消えていました。
「・・・だって、ネオ・ヴェネツィアが大好きで・・・その気持ちを宝物みたいに感じられる私は、今・・・こうしてここに存在しているんですもの。・・・だから、何て言われてもへっちゃらぽん・・・です」
※職人だからこそ、誇りにこだわり「本物」であることにこだわってきた彼。もちろんその気持ちも大切なのですが、「灯里」の考え方、感じ方は実に「素敵」ですねぇ。(^_^)。

短いようで、長いような初めての大仕事は、こうして終点を迎えました。「暁」兄が待つ波止場に時間通りに到着した「灯里」。ねぎらう「暁」兄に「まだまだ半人前ですが」と謙遜してみせます。
「半人前も一人前もねえよ。責任を持って最後までやり遂げるのがプロってもんだ。その点、お嬢ちゃんは立派なプロだぜ。頼んで良かった
その言葉に、顔を赤らめて喜ぶ「灯里」。そんな彼女に、今度は立会人も喜んで荷物を差し出します。
「おい、小僧。何見つめているんだよ?・・・お前も灯里ちゃんのファンになっちまったのか?」
じっと「灯里」の背中を見つめる立会人に、フランクに問いかける「暁」兄。その言葉に、彼は若者らしく真っ直ぐに考え、自分の言葉で答えて見せます。
「・・・はい。この気持ちが本物か偽物か、まだよくわかんないですけど・・・素敵なウンディーネさんだって感じている僕は・・・確かに今、こうして存在しているっす
立会人の言葉に「ありがとうございます」と喜ぶ「灯里」。そんなふたりを見た「暁」兄は「弟のライバル出現か」とからかって見せます。
「ほへ?・・・暁さんはアリシアさんのファンですよ?
その意味もよくわからずに真っ直ぐに捉える「灯里」の様子に、後ろでは「アリシア」がいつものように微笑んでいました。
「うふふっ・・・」

ライバルどころか、自分の気持ちを理解しているだけ立会人の方が1歩先を行っているような・・・。(^_^)。
それにしても「暁」兄(本名はないのか?)は、ああ見えて流石貿易商だけあり、人を見る目は確かですね。実はこの1件、弟が密かに思いを寄せている「灯里」の力量を試そうとしかけたものだったりして・・・。

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【ご連絡】1週間ほど更新をお休みいたします

管理人のジャンです。

明日から1週間、出張で不在となります。
その間、「ARIA THE NATURAL」と「ツバサ・クロニクル」の
視聴ができない環境になりますので、
申し訳ありませんが、1週間ほど更新を休ませていただきます。

なお、更新の再開は、2006/06/11(日)を予定しております。

これからも当サイト「一期一会」をよろしくお願いいたします。
それでは、皆様良いアニメ鑑賞を。(^_^)。

以上

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ARIA THE NATURAL_TV09

第9話「その 素顔の星たちは…」

近年、技術の発達によって格段に美しくなったアニメの背景があります。
何だかわかりますか?・・・それは「ARIA THE NATURAL」でも度々目にする背景、「水の表現」です。
惑星「アクア」、水の都市「ネオ・ヴェネツィア」を表現する優れた技法「水の表現」。この発達が、癒し系アニメ「ARIA THE NATURAL」を生み出した土台と言えるかもしれませんね。

「お待たせしました。ARIA COMPANYです。・・・どうぞ、足下にお気をつけて」
いつもの練習とは緊張感が違う、お客様を乗せての本番観光案内。張り切る「灯里」はなかなか快調に観光案内をスタートさせます。
「・・・ごらんのように、この街ではあちらこちらにたくさんの菊の装飾を見つけることが出来ます。この花はかつて、マルコ・ポーロが中国から持ち帰った花と言われていて、当時のマンホームのヴェネツィアで大流行しました」
堂に入った説明に、微笑みながら彼女を見守る「アリシア」。新婚らしいふたりのお客様も、「灯里」の説明に逐次頷いてくれていました・・・が。
「ちょっと止めてください!」
女性のお客様に言われて、慌ててゴンドラを止める「灯里」。すると彼女の視線の先には、美しい花々が咲き誇る小さな小道が広がっていました。
「なんか、素敵なお庭ですね。ずっと見たくなっちゃう・・・」
その言葉に思わず自分も見とれてしまう「灯里」。そこに男性からの質問が飛び込んできました。
「ここ、何か特別な場所なんですか?」
「はひっ?・・・はい・・・はひ・・・」
必死にこの場所を思い出そうとする「灯里」ですが、緊張した彼女の頭はパニック状態。
そこへ「アリシア」が助け船を出してくれました。
いいえ、普通の民家ですよ。・・・ここのお宅はいつもお手入れが行き届いていて、四季折々に色々な花を見ることが出来るんです。・・・そもそも、人工の土地であるネオ・ヴェネツィアの本島には自然の花や緑が少ないんです。だから、自宅の綺麗な花壇や庭のガーデニングが、奥様の器量を計るバロメーターだと言われているんですよ。・・・・・・でも、お客様よく気がつかれましたね。初めて通る水路なのに」
流石「ウンディーネ」という説明に、感心しきりのお客様。ところが、「灯里」本人は彼女の説明に落ち込んだ表情を見せてしまいます。
「気づきませんでした・・・私、今の今まで全然気がつきませんでした。この水路、良く通るのに・・・
彼女の自信を喪失させてしまったかなと、複雑な表情を浮かべる「アリシア」でしたが、この後の「灯里」の行動は、「アリシア」の予測を遙かに上回るものでした。
「凄いです、お客様凄すぎです!・・・私、感動してしまいました。素敵な発見を、ありがとうございます」
・・・大物。落ち込みモードに入るかなと考えた私がおバカでした。m(_ _)m

新たな発見をお客様から受け取った「灯里」。さっそくさらなる「ネオ・ヴェネツィア」の「素敵ポイント」を探すために「アリア社長」と出発。辺りをキョロキョロと見渡しています。でもその乗り出しはちょっと危ないような・・・。
「おりゃあっ!・・・脇見、禁止!」

偶然、その場所を通りかかった「藍華」と「アリス」によって呼び止められた「灯里」。危うく水路に落ちるところでしたが、それはなんとか回避。
---
「さすがアリシアさん、民家の庭にまで気がついているなんて・・・」
彼女の偉大さに感動しきりの「藍華」。機嫌が良くなった彼女は「灯里」に特別な「素敵ポイント」を教えてあげると宣言
します。
-from 藍華-
 辿り着いたのはとある丘の上。
 大きな木の根元に立った3人+1匹はしばしそこで時間を潰すことに。
 「ここに何かあるの? 藍華ちゃん」
 やがて、初夏を匂わす心地よい風が吹いてきました。
 気持ちの良い風にのびをする「灯里」の耳に、
 フィィッ・・・と綺麗な音が聞こえてきます。
 「驚いたでしょう?・・・この木はね、風が吹くと綺麗な音がするの
 耳を洗うかのような自然の声に、すっかり感動する「灯里」。
 「素敵・・・まるでそよ風に捧げる歌を・・・歌っているみたい
 「恥ずかしいセリフ、禁止っ!」
-from アリス-
 続いて訪れたのは、一面真っ青で不規則なタイル、
 それも表面が艶やかに磨かれたタイルで築き上げられたとある民家の壁。
 オレンジ色の瓦との対比がなんとも可愛らしい姿を見せています。
 「・・・この壁、可愛い」
 「ここは絶望の家と呼ばれているんです。主である芸術家が恋に破れたときに、
  自分の心の冷たさを青い壁で表現したらしいです

 可愛らしい壁と「絶望」という言葉の差に驚く「灯里」。
 その時、「藍華」が青い壁の中に眠る、一枚の紅いタイルを見つけました。
 「後輩ちゃん、これを見逃していない?
  ・・・芸術家はね、絶望しているだけじゃなかったのよ。
  燃える心がまだ残っていたの。
・・・わりと有名だと思っていたけれどねぇ」
※今見つけたばかりなのに、昔から知っていたような口を利く。・・・「藍華」って後輩に対抗心一杯です。(^^;)。

いつしか「素敵ポイント」発見の旅は、「藍華」と「アリス」の張り合いの場と化していました。
・「虹の架かる噴水!」by「藍華」
・「サルスベリの小道」by「アリス」
・「ネコミミの形の岩!」by「藍華」
・「針が盗まれた時計台」by「アリス」
・「眉毛の太い犬!」by「藍華」
・「途中までしかない階段」by「アリス」
・「男前のマリア像!」by「藍華」
・「閉まらずの扉」by「アリス」

---
「ほらここ、嗅いでみなさいよ」
続いて「藍華」が案内したのは一軒のパン屋。焼きたてパンの香ばしい匂いが・・・するかと思えば、なんと「おそば」の匂い。確かに不思議ではありますが・・・。
「でっかい質問です。・・・パン屋さんから「おそば」の薫りがするのが、どこが素敵なのでしょう?」
※確かに。(^^;)。

「灯里先輩、ご機嫌ですね」
ふたりの諍い(というほどではないけれど)に参加もせずにニコニコの「灯里」。「アリス」の問いに、彼女は笑顔で答えます。
「ふたりのおかげで、知らない素敵をたくさん憶えちゃった。私も何か見つけたかったけれど・・・」
この言葉に「藍華」が夜の探索を提案しますが、たまたま通りかかった「アリシア」によると、今夜この辺りは停電になってしまうそう。
「真っ暗・・・!」

---
「・・・どうしよう・・・」
夕飯の準備中に、ふと声を漏らす「灯里」。
隣の「アリシア」が声をかけると、躊躇したあとに小さな声で答えてくれました。
「実は私・・・夜、真っ暗だと眠れないタイプなんですっ」
そして夜。明かりひとつ無い暗がりの部屋で、「アリア社長」を抱えた「灯里」がため息をついていました。
「真っ暗ですね、アリア社長・・・あううぅうっ・・・」
暗がりに通る白い人影。怯える「灯里」の耳に優しい声が聞こえてきました。
「あら、賑やかね。・・・こんばんは」
白い影は、木箱を抱えて登場した「アリシア」の姿
でした。鼻歌を歌いながら、いくつもロウソクを並べていく「アリシア」。
「あの・・・本当にすみません。わざわざ泊まって貰えるなんて・・・」
頭を下げる「灯里」に、次々とロウソクを渡していく「アリシア」。
彼女はこのお泊まり会を楽しみにしていたかのようです。
なんでも楽しめるのは才能ですよね~。そして周りを癒すのも、また大きな才能です。(^_^)。

さきほどまでの真っ暗で不安に怯えた世界はどこかに行ってしまったかのようでした。
数十と並べられたロウソクに次々と火が灯されて、まるでキャンプの夜を迎えたかのような「ARIA COMPANY」。幻想的な雰囲気に、「灯里」もすっかり笑顔を取り戻していました。
「はい、完成」
最後のロウソクに「アリシア」が火を灯し、多種多様なロウソクが素敵な世界を創り上げます。
「オレンジ、紫、白・・・炎って、色々な色をしているのですね」
先輩の素敵な心配りは、お風呂場の中まで浸透していました。ロウソクの炎が間接的にお湯に浮かび、身も心も癒される「灯里」。
お湯に身体を温めた後は、「アリシア」が用意したミルクティーで、真夜中のお茶会としゃれ込みます。
「おそばのパンに、ほうじ茶のミルク・・・別世界のお茶会に相応しいんじゃない?」
心を配り、暖かく自分を見守ってくれる「アリシア」の姿。ありがたいと思いつつも、彼女には届かないと「灯里」はちょっと自信喪失に陥ります。
「私・・・知らないことだらけです。・・・アリシアさんに近づくには、まだまだ修行が足りないみたいで・・・
自分の背中を追いかけ、少しでも追いつこうと頑張り、ちょっと失敗で自信を失っている後輩の姿。その姿に「アリシア」は見覚えがありました。
「ロウソクといえば、思い出すわ・・・灯里ちゃんと同じシングルの頃、クチナシの花を見たいとお客様に言われたの。でも、前日の雨で全て花が散ってしまっていて・・・お客様のがっかりとした顔が頭から離れなくて。・・・その夜にね、グランマがロウソクを持ってきてくれたの。たまには、こんな明かりも良いでしょうって。そして・・・」
---
「・・・心に暖かな炎を灯し続けなさい、アリシア。・・・強い炎じゃなくて良いの。ほんのり小さな炎を、いつまでも灯し続けなさい。その炎で照らしてあげたら、きっと見えてくるわ。こっそり隠れている、『素敵』がね」
---
「その後、もう一度クチナシを見に行ったの。確かに花は落ちてしまっていたけれど、大地に落ちた花びらが雨に濡れて、甘い香りにむせかえるようだった」
遠くを見つめる「アリシア」の瞳は、幼い「シングル」だったあの頃に戻っていました。そしてその瞳を通して「灯里」もまた彼女の心と溶け込みます。
「『素敵』が隠れていたんですね・・・。ほんのり暖かな小さな炎を灯し続けたら、こっそり隠れてる素敵が見えてくる・・・」
ひとつずつ、ロウソクの明かりを吹き消す「アリシア」達。真っ暗となったはずの「ARIA COMPANY」の2階に、淡い青い光が差し込んでいました。
「綺麗・・・」
星ってこんなに明るかったのね。・・・同じものでも時間帯によって全く違った顔を見せてくれる。季節が変われば、空気や色合いも移ろっていく。そして何より、その時その場に居合わせる自分の気持ちひとつで、見えていく世界が全く変わってしまう。知らなかった素敵が見えてくる。・・・私だってまだまだ知らないことばかりよ。でもね、それはとても嬉しい事よ。だって、知らないことがたくさんあるってことは、まだまだたくさんの素敵があるってこと。・・・これからも、いっぱいいっぱい素敵と出会えるってことだものね。・・・素敵なものは無限大なのだから」
真っ暗な闇は、もうここにはありません。星の光と「アリア社長」、そして「アリシア」に見守られながら、「灯里」は優しい眠りに落ちていきました。

いっぱいいっぱいです。(^_^)。
これだけ「素敵」が広がっている「ネオ・ヴェネツィア」の世界に、思わず旅立ちたくなりましたよ。
でもでも「アリシア」の言葉通り、「その場に居合わせる自分の気持ちひとつで、見えていく世界が全く変わってしまう」のですから、私たちもまたいっぱいの素敵と暮らしているようなもの。
皆様、いっぱいの「素敵」を見つけてくださいね。

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ARIA THE NATURAL_TV08

第8話「その ボッコロの日に…」

最近、大雨が降ったり暑かったりと、梅雨なのか夏なのかどうにも中途半端なお天気。水の都「ネオ・ヴェネツィア」には梅雨は存在するのかなぁ・・・。

「ネオ・ヴェネツィア」の風物詩、夏前の定例気候「アクアアルタ」。今年も床上浸水の季節がやって参りました。
「灯里ちゃん、それじゃあでかけてくるわね。・・・夕方には戻れると思うから」
去年と同様、ゴンドラ協会の会合に出かけてしまった「アリシア」。去年は買い物で時間を潰しましたが、今年はどうやって暇を潰しましょう・・・。
ジリリリリリ・・・
鳴り響く電話に「アクア社長」をおんぶしたまま受話器を持ち上げる「灯里」。電話の相手はお客様・・・ではなく「サラマンダー」の「暁」
でした。
「俺様だ。長靴カンパで待っているから、超特急で来るように。・・・わかったな、もみ子よ
デートの申し込みにしてはぶしつけな「暁」の言葉ですが、「灯里」はたいして気にした様子もなく「アクア社長」と一緒に「長靴カンパ」へ。
途中、街行く人達の胸元に飾られた1輪のバラに、「ボッコロの日」の存在を思い出す「灯里」。
「胸に紅いバラ・・・そうか、今日はボッコロの日なんだ。
・・・あひっ」
と、そこへカゴにバラを背負った「暁」が姿を見せて「灯里」の髪の毛を引っ張ります。
「遅いぞ、もみ子よ」
髪の毛を引っ張らないで&「もみ子」じゃないと文句を言う「灯里」ですが、いつものように「暁」は気にも止めません。
「あ・・・凄いバラ・・・カゴ一杯ですね」
「うむ。・・・アリシアさんに渡そうと思ってな」
本日は年に一度の「ボッコロの日」。男性から愛する女性へと1輪のバラを贈る大切な日ですが、彼にとって「アリシア」への想いは1輪では表せないようです。

「俺様のアリシアさんへの崇高な想いが、たった1輪で足りるものか!・・・街中のバラを買い占めてこそ、無限の愛が示せるのだっ!
※そ、それでは他のバラを買いたい人に迷惑では・・・。(^^;)。

体よく荷物持ちへされてしまった「灯里」。道行く途中の人達がバラをつけているのを微笑んでいると、後輩「アリス」の姿を発見。彼女の胸にも1輪のバラが咲き誇っています。
「はい。パン屋のおじさんに。・・・義理花ですけど
なんとも現実的な彼女の言葉に、苦笑いを浮かべる「灯里」。彼女の話によると「アテナ」も会社の後輩達にたくさんのバラを貰っているそうで、義理花の文化はこの世界では当たり前のようです。
「アリスちゃんも、アテナさんにあげたの?」
私は義理花はあげない主義です。・・・それに私があげたところで、1輪増えるだけで、アテナ先輩にとってはどうということないですよ
義理花はあげない主義と話す「アリス」ですが、その言葉は「灯里」によって遮られます。
「・・・アリスちゃんに貰ったら嬉しいと思うけどな、アテナさん」
尊敬する先輩にバラをあげるのは素晴らしい行為。その1輪は「アテナ」にとって特別なバラになることは間違いありません。
---
「アテナ先輩、あげたら・・・喜ぶかな」
※可愛い後輩から貰うのですから「義理花」でも「アテナ」は大喜びしますよね。・・・それに、義理かどうかは「?」ですし。(^_^)。

冷たい石畳の感触を素足で味わうために、長靴を脱いで闊歩することにした「灯里」と「暁」。初夏の陽気が足下で癒され、歩くリズムも軽やかになります。
うわぁ・・・水面に空が映って、綺麗・・・。洗濯物や、建物の格子窓まで。あっ、浮島も映っていますよ。・・・ふふふっ・・・鏡の国にいるみたいですね
綺麗な景色に、つい口から出てしまう奇跡の言葉。いつもならここで突っ込みが入るところですが・・・。
「そこっ、恥ずかしいセリフ、禁止っ!」
丁度ピッタリ、計ったように姿を現した「藍華」。
相性の悪い「暁」との口げんかも始まり、「灯里」の口からはため息ばかり。と、その視線が「藍華」の手元へと釘付けになります。
「あ、藍華ちゃん。藍華ちゃんも誰かからバラを貰ったんだ。・・・もしかして、アルくん?
「ちょっ・・・えっ・・・な、なんでアルくん。ち、違うわよ。・・・これはね、アリシアさんにあげるの
※どもる「藍華」萌え~っ。(^_^)。

「アリシア」の居所を「灯里」より聞いた「藍華」は、「先に渡すのは私よ」とダッシュでゴンドラ協会へ。ならばと「暁」はさらにバラの量を増やして勝負。旧友のよしみで「ウッディー」からお金を借りてバラを大量購入です。
「俺様の愛を表現するには、まだまだ足りんのだっ!」
※お金は借りたら返しましょう。ご利用は計画的に。(^^;)。

「ボッコロの日か・・・そういえば、ボッコロってどういう意味なんでしょうねぇ
いかに安く多量のバラを購入するか、花屋さんと侃々諤々と交渉している「暁」を置いて、「アリア社長」とゆったりとした会話を楽しむ「灯里」。そこへ、ひとりの女性が「ボッコロ」の意味を語ってくれました。
「ボッコロは『花のつぼみ』という意味だよ。
・・・よかったら、『ボッコロの日』の由来を話してあげようか」
老いも若きも、男性が1輪の紅いバラを贈るならわしがある「ボッコロの日」。この行事は何百年も前の「マンホーム」にあった実話から来ているそうです。

【『ボッコロの日』の由来】
 高貴な娘に恋をした、ある下級貴族の若者。
 彼は自分の誠意を娘の父親に見せようと、進んで戦争へと赴きました。
 しかし、戦いは若者の肉体を傷つけ、
 彼はその命を純白のバラの茂みに捧げることになります。
 自らの命が尽きようとしたとき、若者は最後の力を振り絞り、
 1輪のバラを手折って戦友へと託しました。
 そして娘は、若者の血に紅く染まった白いバラを、届けられて、
 愛する人の死を知ったのです。

※切なくなる由来ですね・・・。(T_T)。

「なんだかとっても摩訶不思議。もうその彼も彼女も、何百年も昔にいなくなっているのに・・・その彼の思いだけは紅いバラとなって、こうして今も残っているのですね・・・」
「マンホーム」より受け継がれた「ボッコロの日」。それこそ時間だけではなく、果てしない空間さえも越えて、その想いは惑星「アクア」に受け継がれています。今、「灯里」の胸の中に、愛に生きて戦いに死んだ若者の思いが、ゆっくりと広がっていきました。
「もみ子よ・・・。恥ずかしいセリフ禁止だ」 ※(^^;)。
---
残念ながら「アリシア」とは会えませんでしたが、ゴンドラ協会からの帰り道、「藍華」は彼女が心動かされている「ノーム」の「アル」にばったりと出会います。
「藍華さん!・・・アクアアルタの日は、藍華さんたちはお休みなんですね。それに今日は・・・ボッコロの日なんでしたね
左手に持ったバラを見やって、「アル」が投げかけた言葉。その言葉に、彼女の心はドクン・・・と音を立てました。
「違うのっ・・・このバラは、アリシアさんにあげようと思って、私が自分で買ったバラなのよっ
顔を赤らめ、慌てて(必要のない?)言い訳を「アル」に行う「藍華」。
しかし、彼女は「そうでしたか」と笑顔で返す「アル」の発言の後に、ふと小さくも重大な疑問に気がつきます。
『もし・・・誰かに貰ったって言ったら・・・アルくん、どんな顔をするかな・・・』
自分自身では答えが出るはずのない疑問に、しばし没頭する「藍華」。思考のループは「アル」が声をかけるまで続きました。
「・・・藍華さん?・・・藍華さんは、宝石とかに興味ありますか?
「宝石・・・そりゃあ、まあね。でも、なんで急にそんなことを聞くの?」
まだドギマギしている心を隠すことも出来ず、少し慌てた言葉で聞き返す「藍華」。彼女に「アル」は手のひら大の石ころを差し出しました。
よかったら、これをどうぞ。・・・『バラの瞳』と呼ばれる宝石の原石です。地下世界でたまに取れるんですよ」
「ボッコロの日」の1輪のバラではないけれど、同じ名を持つ宝石の原石をプレゼントされた「藍華」。どうやら彼女の頬は、冷める暇を与えて貰えないようです。
『・・・バラにひっかけて、宝石の原石だなんて。・・・もしかして・・・ひょっとしてこれって・・・
普段の「アル」からは望んでも聞くことが出来ない言葉の数々。これも「ボッコロの日」の小さな奇跡なのでしょうか。(^_^)。

「・・・アルくん、これいったいどういうつもりで・・・」
今日はもしかして運命の日? 「アル」の真意を「藍華」が問い尋ねようとしたとき、通りの向こうから「灯里」が声をかけてきました。そのタイミングの悪さに、思わず顔をしかめる「藍華」。彼女の思いにも気がつかず、「アル」は「灯里」と「暁」のふたりに気軽に声を掛けています。
「どうしたんですか、暁くん。凄い数のバラですね」
自分の目の前から離れ、「暁」の近くへと歩いていく「アル」。その背中を見つめながら「藍華」は再び思考のループへと入っていきます。
『アルくん・・・この貴石をくれた意味って・・・』

「うん・・・藍華ちゃん?」
ボーッとした「藍華」にちょっと不思議な「灯里」。どうしたのか尋ねようとしましたが、向こうから「暁」が呼ぶ声が聞こえます。
「藍華ちゃん、またね」
生返事の「藍華」に、再び近づいてきた「アル」もちょっと様子がおかしいことに気がつきます。
「藍華さん、熱があるんじゃ・・・顔が赤いですよ?」

「えっ、別に大丈夫だけど。・・・それよりさっきの・・・だから・・・その・・・・・・なんでもないわよ。それより、アリシアさんを探すのを手伝いなさいよ」
まだ不思議がる「アル」の手を握って、「藍華」はいつもの調子を装いつつ歩いて行くのでした。
※今日は「藍華」ファン大喜びではないでしょうか。ドギマギする彼女は可愛らしいですねぇ。(^_^)。

「よし、これで準備は万全だな。あとはバラを渡す予行練習をするだけだ。・・・もみ子、アリシアさん役を頼むぞ。・・・もし、アリシアさん!
「あらあら・・・」
まるでコントのようなふたりの動き。それでもやっている本人、少なくとも「暁」は大まじめ
に練習に励みます。
「こ・・・これ・・・俺・・・俺・・・俺のきも・・・きも・・・気持ち・・・」
バラを摘んだゴンドラごと持ち上げて渡そうとする「暁」。その必死な表情はかえって相手に恐怖感を与えそうです
「似ていない灯里でこれでは、本物にあったらどうなるか、想像も出来ん。・・・だからこそ、こうして練習を頼んでいるのだ。それではもう一度いくぞ」
かなり非道いことを言われつつも、たいして気にせずに練習に付き合う「灯里」。あれあれ、どうやら「アリア社長」が誰かを見つけたようですが・・・。
「もし、アリシアさん」
「はい?」
瞬時に凍り付く「暁」の表情。
「灯里」の物まねとは明らかに違う、聞き間違えるはずもない美声が彼の脳天へと直撃します。
「・・・えっ・・・ちょっ・・・ぐはぁっ・・・」
ゴンドラ協会からの帰りに、たまたまふたりと出会った「アリシア」。彼女のゴンドラには、山のようにバラの花が積まれていました。
「うわぁっ・・・凄い数のバラですね」
「うふっ・・・仕事柄ね。お得意様やおつきあい先から、いっぱい頂いちゃったの
※大枚はたいてかき集めた「暁」のバラの数よりも、ゴンドラに積まれたバラの数が多いです。さすが「三大妖精」。

「・・・暁さん」
今がチャンスと小声をかける「灯里」に、「お、おう」と頷く「暁」。一世一代の勝負が幕を開けました。
「あ、あの・・・アリシアさん。こ・・・こ・・・こ、これ・・・俺の・・・き・・・き・・・気持ち・・・
彼の言葉を聞いているのかいないのか、はたまたわかってやっているのか。上から下まで「暁」を見やった「アリシア」は彼の言葉の続きを待たずに「灯里」へと話しかけます。
「あらあら灯里ちゃんこそ。暁くんからいっぱい貰ったのね。あらあら・・・うふっ・・・お邪魔しちゃったかしらね。じゃあ私、先に帰っているわ・・・」
その言葉に「ほへっ」と惚けた「灯里」を残して、悠々とゴンドラで去っていく「アリシア」。哀れ「暁」は追いかけようとしてゴンドラに躓き、背負ったバラごと水面に全て投げ出すこととなりました。
アリシアさん、カムバアーック!・・・バァアアーック・・・」
がくりと膝をつく「暁」に、かける言葉も見つからない「灯里」。ふと目を上げると、水面に立った数百本のバラが、彼を中心にしてゆっくりと広がりを見せてゆきます。
「暁さん、見てください。・・・暁さんの想いが、水面いっぱいに広がっていきます。どこまでも・・・どこまでも広がっていきますよ。まるで、大昔の恋人達の想いが、人の心に映って広がっていくみたいに。・・・誰かが誰かを思う優しくて・・・どこか切ない気持ち。きっと誰の心にも、暖かな光をともして。・・・不思議と笑顔にさせてくれる。それはきっと紅いバラの伝説がくれた、魔法なのかも
彼女の言葉をバックに、人々の笑顔が広がっていきます。頂いたカードの文面に微笑む「晃」、「アリス」の差し出したバラに笑顔を浮かべる「アテナ」、橋の上で足下を流れていくバラたちに笑顔を見せる「藍華」と「アル」・・・。
※人々に笑顔一杯を与えることが出来ましたし、無駄にならなかったのが唯一の救いですかね。頑張れ「暁」!

「うん、大丈夫です。きっとアリシアさんに伝わりますよ、暁さんの気持ち」
笑顔を見せる「灯里」に「何だその根拠のない自信は?」と軽口を叩く「暁」。しかし彼自身も、先ほどまでの悲嘆な表情から一変し、笑顔を浮かべる自分に気がついていました。

もみ子、ほれ・・・やるよ。今日一日付き合わせた謝礼だ」
水面に浮かぶ一輪のバラを投げてよこす「暁」。その花を受け取った「灯里」は、今まで「暁」が見たこともないような笑顔を浮かべました。
「ありがとうございます。私・・・男の人からお花を貰ったの・・・初めてです
ドクン・・・。その鼓動は「ボッコロの日」が与えたちょっと特別な想いか。今年の「アクアアルタ」は、ちょっと幸せな気分を「ネオ・ヴェネツィア」に与えたようです。

最後の「暁」の心臓音は、今後の「灯里」との関係に何か変化を与えるのでしょうか。憧れだった「アリシア」に抱いていた思いとはまた別の想い・・・というのはベタすぎですかね。とにもかくにも惑星「アクア」と水の都市「ネオ・ヴェネツィア」は、小さな奇跡で出来ているようです。

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ARIA THE NATURAL_TV07

第7話「その 猫たちの王国へ…」

新入生、新入社員のみなさーん!五月病にかかっていませんか?
ストレスを発散させる方法も色々ありますが、週の初めには「アリア社長」で癒されましょう。
では「アリア社長」、ひと言どうぞ。
「ぷいにゅぅう~」

「・・・あ、アリア社長。・・・そっか、今日から夏服でしたね。ありがとうございました」
半袖の制服を「灯里」の元に運んできた「アリア社長」。惑星「アクア」も夏を迎え、「ウンディーネ」達も衣替えの季節です。
「さてと、それじゃあ練習に行きましょうかアリア社長。・・・アリア社長、いないんですか?」
気持ちも新たに練習へと向かう「灯里」。いつもついてくる「アリア社長」ですが、今日はお出かけのようです。
---
「そうだアリスちゃん。どうだった、社内ペアパーティ」
前回、無事に出席することとなった「オレンジぷらねっと」の行事のことを尋ねる「灯里」。ちょっとはにかみながらも「アリス」は「どちらかといえば楽しかった」と答えます。これからは同僚や会社の先輩とも練習を行うと話す「アリス」に、安心する「灯里」と「藍華」。少しずつ社内での人間関係もうまく回り始めたようです。
「先輩達よりでっかい早くプリマになってしまうかもしれません」
※練習量倍増の「アリス」の言葉に、「すごーい」と喜ぶ「灯里」と、危機感を感じる「藍華」。ふたりの姿勢の違いが面白いです。

「後輩ちゃんに負けてたまるもんですか、見てなさい!・・・いつもは通らない難易度高めの水路にチャレンジッ
とシングルの実力を見せつけるべく、練習用ゴンドラを狭い水路へと導く「藍華」。自分も漕ぐのと怯える「灯里」の目に、どこかにおでかけしたはずの「ぷいにゅぅ」の姿が映ります。
「あ、藍華ちゃん。アリア社長がゴンドラに乗ってた!?
その言葉には興味なさそうな「藍華」でしたが、難易度が高そうな水路との「アリス」の言葉には思いっきり反応。とりあえずゴンドラの向きを変えて「アリア社長」の追跡に向かうことに。
「いました。・・・どこに行くのだろう?」
狭い道を器用に漕いでいく「アリア社長」になんとかついていく「藍華」。しかし、いつもは閉じられている水路まで辿り着いたとき「アリス」が「でっかい嫌な予感」を感じて追跡はSTOP。
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「やっぱり、ネコの集会に出かけているのでしょうか?
今日の結果を「アリシア」に報告する「灯里」。洗濯物のシーツを取り込みつつ、彼女は「マンホーム」に伝わるネコの集会について教えてくれました。
「・・・ネコは自分たちだけの王国を持っているという伝説。残念だけど、人間は入れないらしいけれど。・・・もしかしたら、ケットシーが妖術を使っているのかもしれないわね」
※「ケットシー」との出会いは今までに何度か「ARIA」で伝えられてきましたね。なんとなく「灯里」なら集会に参加できそうだけれど。

「アリア社長、今朝もひとりでおでかけしたみたい」
「うーん確かに。うちの姫社長も出かけたみたいだけれど・・・」
やはり気になる「ネコの集会」。「アリス」が会社の同僚との練習に出かけた今日、もう一度「アリア社長」の後をつけることにチャレンジする「灯里」と「藍華」。
「じゃあ、行くわよ」
難しい水路は「藍華」の操舵技術に任せて、「アリア社長」の後をつけ始めたふたりの前にちょっと不思議な出来事が起こり始めます。
無人の家の中で回り続ける数十もの風車。一本道で見失う「アリア社長」。誰ひとり人の姿が見えない街路。
「・・・もうずいぶん漕いだわよね」」
水路の名手が不安になるほどの時間の後、ふたりは廃墟の中へと進み入りました。
「あれ?・・・今、誰かがこちらを見ていたような・・・」
何者かの気配を感じる「灯里」の言葉に「変なことを言わないでよ」と怖がる「藍華」。
「あ、アリア社長だ!?」
「今度は見失わないでよ・・・」
気配の後に再び水路の奥に姿を見せた「アリア社長」を追いかける「藍華」と「灯里」。そして彼女たちは気がつきませんが、水路の横の廃墟を十数匹もの猫が併走するかのように走り抜けていきます。その後も、ビルの上から彼女たちを監視するかのように見下ろす猫たち、廃墟からのぞき込む猫たち・・・。
※やはり「ネコの王国」は人の存在を許さないのか。暖かい部屋なのに、見ている私の背中は少し寒くなってきました。(^^;)。

「ずっと空気が止まっている感じ。・・・本当に来て良かったのかな、私たち
繰り返されるパターン。同じような光景。道に迷ったと言うよりは、迷わされているかのような・・・。
「ここ、さっき通らなかった?」
「・・・気のせいじゃない」
返した「藍華」の言葉に、若干の震えが見られます。そして、そのパターンは操舵者が「灯里」に変わっても、終わることはありませんでした。
「・・・流石に、ヤバイ香りがぷんぷんしてきたわね」
「もしかして・・・来て欲しくないの、私たちに?・・・・・・・・・誰かが呼んでいる・・・誰?」

どこか遠くを見つめる「灯里」の様子に不安を隠しきれない「藍華」。彼女の耳には聞こえない声に「灯里」は呼ばれてゴンドラを進めます。
---
「ネコさんたちの集会を見ようとしたから、罰が当たったのかな・・・。きっとここは来てはいけない場所だったんだね。ごめんなさい、ネコさん
何度繰り返したかわからないほどのループ。再び廃墟にたどり着いた「灯里」が謝罪の言葉を述べた直後、彼女たちのゴンドラに小さなゴンドラが近づいてきました。
「ぷいにゅぅーぃ。・・・ぷいぷい?」

「アリア社長」の登場に、ほっとしたかのように今までの経緯を説明する「灯里」。全て理解しているのか、「アリア社長」は落ち着いた様子でひとつの水路を指さします。
「あれ?・・・さっき、あんなところに水路あったっけ?」
「あの道を行けば帰れるのですか?・・・アリア社長も一緒に帰りますよね」
確認する「灯里」の問いに、ゆっくりと首を振る「アリア社長」
。まだ「ネコの集会」は終わっていないのでしょうか。
「・・・大丈夫でしょう。私たちと違って、ひとりで来てひとりで帰れるのよね、アリア社長
「藍華」の言葉にうなずく「アリア社長」。それを見た「藍華」は、自分で漕ぐからとオールを受け取り、ゴンドラを水路へ進めます。
『やっぱり私たちはネコたちが踏み込んで欲しくないところに・・・踏み込もうとしたのですか?』
その問いに答えることなく、暗闇に消えていく「アリア社長」。しかし、背後からの光にもう一度「灯里」が振り返ったとき、そこには数十匹のネコ達と「ケットシー」の姿が見えました。丁寧にお辞儀をして、彼女たちを見送る「ケットシー」。
---
今日もまた、どこかで「ネコの集会」は開かれているのでしょうか?

不思議な・・・不思議なお話。「ネコの集会」は「マンホーム」からの伝説とのことですが、「まぁ社長」は参加していないのか。はたまた語られなかっただけなのか。
なんとなく、今はまだ「ネコの集会」に参加する資格を、人間は与えられていないような気がします。いつか、「灯里」のような人間がいっぱい増えたとき、人もまた「ネコの集会」に参加する資格を与えられるのかもしれませんね。

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