【ご連絡】更新休止のお知らせ
管理人のジャンです。
申し訳ありませんが、本業が忙しくなってしまい、
しばらく更新をお休みいたします。
再び更新を再開する際には、またこちらからご連絡いたします。
誠に申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
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第37話「おえかきモコナ」
今日の「ツバサ・クロニクル」はちょっと異色。デフォルメちっくな3頭身キャラクターが活躍するとてもとても不思議なお話。
「着いたみたいですね」
いつもの「モコナ」による「新しい世界に到着ぅ~っ!」という声もない静かな着陸。それが異変の始まりでした。
「・・・あああぁあぁっ!!」
お互いがお互いを指さし、叫ぶ「小狼」、「サクラ」、「黒鋼」、「ファイ」の4名。その驚きは、お互いの姿に対してのもの。
「いったい、どうなっているんだ!?」
---
よくよくみれば、青空に浮かぶ白い雲、お日様の形までどこかマンガちっく。走る車や、歩く人々もデフォルメされた姿ばかりです。
「さあさあ、旅芸人の鈴蘭一座!・・・」
と叫ぶ「鈴蘭一座」の皆様までもが3頭身。あきれる「黒鋼」は事情を問うために「モコナ」の姿を探しますが、不思議なことにその姿は見あたりません。
※「モコナ」がいなくても言葉が通じるところも、また不思議。
別世界。暖炉の効いた部屋のソファーで気持ちよくお昼寝中の「モコナ」に近づくひとりの女性の影。
---
一方の「小狼」達は「モコナ」の姿を探して、右往左往。その途中、「小狼」とペアを組んだ「サクラ」は、羽により蘇った記憶の一部を「小狼」に聞かせます。
「・・・お城から見える砂漠に遺跡があるの。その遺跡はいつも砂嵐に覆われていて、時々国中が揺れる。・・・まるで・・・」
「まるで、あの遺跡が砂漠から飛び立とうと、もがいているみたいに」
途中で「サクラ」の言葉を繋ぐ「小狼」。彼は驚く「サクラ」に振り返り、「以前、クロウ国に居たことがあるんです」と笑顔を見せます。
「そうだったんだ・・・どこに住んでいたの?」
当たり前ともいえる質問への回答を躊躇する「小狼」。その記憶には、以前「小狼」のことを思い出そうとした「サクラ」に起こった酷い頭痛が浮かび上がります。
「どうしたの?」
「・・・いえ、何でもありません。・・・行きましょう、姫」
※思い出す度に、脳に、精神に深く傷を受けて再び忘れてしまう「サクラ」。その姿を見るのが忍びない・・・そう「小狼」は感じたのでしょうか。
別世界。寝息を立てていた「モコナ」が、ようやく目を覚ましました。
「小狼、サクラ・・・?、ファイ、黒りん・・・?」
その姿を探し回る「モコナ」でしたが、4人とも部屋の周りには姿が見えません。しかし、その代わりに「モコナ」は、「サクラの羽」の気配を感じ取りました。
「めきょっ!」
開かれた眼に映し出される「サクラの羽」。それは羽ペンとなって机の上に淡い光を放ち、漂っています。
「モコナひとりで発見、大手柄なの!・・・・・・うん?」
椅子の上に飛び乗り、羽ペンのそばへと来た「モコナ」。彼(?)は羽ペンが机上で「小狼」達のデフォルメされた姿を描いているのを見つけました。
「小狼、サクラ、ファイ、黒鋼・・・?」
頭身こそは異なりますが、服装や雰囲気から間違いなく4人であることを確認した「モコナ」。そこにブロンドの長髪が美しい、若い女性が声をかけてきました。
「そのペンには、不思議な能力があるのです。・・・私は『語り部』です」
頭にベレー帽を被った女性「エメロード」は、自分を「語り部」と名乗り、「絵と物語で人々を楽しませる仕事をしていた」と「モコナ」に話します。
「・・・物語はひとつの世界。作者である私は、その世界を自在に操ることが出来るのです。たとえ、時の流れでさえも・・・」
※この女性「エメロード」は「ツバサ・クロニクル」の作者である「CLAMP」自身を表現しているのかもしれませんね。
彼女の能力に「凄い」と賞賛を贈りながらも羽ペンの羽が「サクラの羽」であることを伝える「モコナ」。
「・・・小狼がね、必死になって集めている、とても大切なものなの。・・・だからお願い、この羽をサクラに返してあげて」
「モコナ」の真剣なお願いを聞き届けた「エメロード」。彼女は「サクラの羽」を返すことを約束しますが、その前にやらなければならないことがあると「モコナ」に告げます。
「・・・皆さんを、その中から助け出さねばなりません。・・・物語の世界に落ちた彼等は、今や物語の一部になっています。・・・恐らく『羽』の持ち主であるサクラさんを呼び寄せてしまったのでしょう。・・・不思議なペンを操って、皆さんが外に出られるような世界を・・・仲間を思う強い力を持つあなたが綴らなければなりません」
---
「ファイさん、大変です!・・・く、黒鋼さんが・・・」
駆けつけた「小狼」の言葉に従い、現場へと走る「ファイ」、「サクラ」。その目に映ったのは、巨大な「モコナ風ひまわり」に食べられている「黒鋼」の姿。
「止めろっ!・・・俺を喰うなぁあっ!」
まさしく目が点の「小狼」と「サクラ」に対して、「おやあぁ?」と首をかしげる「ファイ」。辺りを見渡すといつの間にやら、雲やベンチ、風船など至る所に「モコナ」の顔が描かれています。そして、天から数十も降り落ちてくる様々な色の「モコナ」、「モコナ」、「モコナ」の群れ。
※「モコナ」がペンを握った瞬間に、世界に危機が訪れているのですが・・・。(^^;)。
「こんなはずじゃなかったのにぃ!」
「・・・不思議なペンは、心に思い描いたことがそのまま絵になってしまうから、気持ちを集中させなければならないのです」
事態の大きさに対してくつろいでいるようにしか見えない「エメロード」。ひとり奮戦する「モコナ」は「自分のよく知っている世界」に描きなおして良いかと問い尋ねます。
「その方が気持ちが集中できて、ちゃんとお話が作れそうだから」
「・・・わかりました」
そう答えると左手を羽ペンへとかざす「エメロード」。彼女の念にペンは答え、世界を描きなおしていきます。
---
「あれ~風景が消えていくね」
「な、何だ!?」
真っ白な世界に驚く暇もなく、突如出現した落とし穴へと落ちていく「小狼」達4人。
そこは「モコナ」太陽が晴天を照らす、「私立モコナ学園」の教室でした。
※「モコナ」の「よく知っている世界」とは日本の学校なのでしょうか。(^^;)。
「起立、礼。・・・着席」
なぜか教師や生徒に扮して授業を受けている「小狼」達。担任は怖ーい体育教師、「黒鋼」のようです。
「・・・今日はみんなに新しい仲間を紹介する。さあ、入れ」
転校生として「私立モコナ学園」にやってきた生徒、それは学級委員「サクラ」がどこかで見覚えのある少年「小狼」でした。
「初めまして。私、サクラです」
隣の席に座った「小狼」へと挨拶をする「サクラ」。彼女の言葉に「小狼」は「初めまして・・・じゃないよ」と返します。
「えっ・・・?」
---
「お約束だけど、モコナのお話の中ではサクラは小狼のことを忘れていないことにするの。これなら小狼の『寂しい』もなくなるの」
---
幼稚園時代の出会いを互いに語る「サクラ」と「小狼」。それは厳密には「サクラ」の過去の記憶ではありえませんが、彼女にとって心地よい一時だったことは言うまでもありません。
※映像を見ていて、感想を書いていて、「モコナ」の言葉を聞いていて・・・とても恥ずかしくなってきました。(^^)。
「・・・ここで新キャラ投入なの!」
---
「小狼」と「サクラ」の甘い一時。手と手が触れ合ってどっきどきーの瞬間に登場したのは理科教師で女子にも大人気「ファイ」先生。
「ばあっ!・・・お邪魔したかな?・・・・・・ところで小狼くん、ひとつ頼みがあるんだけれど聴いてくれるかい?」
と友人の古代文字解読の手伝いに「小狼」を引っ張っていった「ファイ」。そこは「モコナ」遺跡のまっただ中でした。
考古学者「蒼石」とアシスタントの「鈴蘭」に「小狼」を紹介した「ファイ」。さっそく古代文字を解読してみると「金色のツボに触れると黒き魔神が出現する」という古代からの警告メッセージでした。
「もしかして、これ?」
くしゃみをすると大魔王が飛び出そうなツボを手にとって見せる「ファイ」。するとたちまちのうちにツボから黒い煙が飛び出し、たまたま近くでお昼ご飯を食べていた「黒鋼」を包み込んでしまいます。
「ガォオオオオッー!!」
巨大化し、着ぐるみを着込んだ「黒鋼」登場。避難しようとする「蒼石」の言葉に「小狼」は「碑文に続きがある」とその足を止めさせます。
「・・・黒き魔神を再び封じるには、この神殿に清き男女の・・・接吻を捧げるべし」
その言葉に顔を赤らめる「サクラ」。ふたりは世界を救うために、互いに見つめ合うと、その唇をゆっくりと近づけていきます。手を握り合い、目をつむり、唇同士が重なり合おうとした瞬間・・・。
「どっかあああぁあん」
自衛隊(?)の迫撃余波を浴びて、空を飛ぶふたり。それでも諦めずに口づけを交わそうとしますが・・・。
「ちゅどおぉおぉおん」
またしても衝撃に地上へ落下するふたり。ああ、ふたりの愛が結ばれる日は・・・いつ。
※自身を「清き男女」と評するところが笑ってしまいますが、がんばれ「小狼」!
「鈴蘭くん、私は・・・」
「・・・先生」
そうこうしている間に、モコナ神像の前で口づけをあっさりと交わしてしまう「蒼石」と「鈴蘭」。その時、光の柱が天まで届きました。
「ぷーん!・・・がるるるるるぅ・・・」
天が呼んだか、地が叫んだか、なんでも吸い込む「メカモコナ」の登場に胸躍らせる「小狼」達。そして、その巨大な口は黒き魔神「黒鋼」を吸い込み・・・「小狼」、「サクラ」、「ファイ」までも吸い込んでしまいました。
---
「ぱかああぁああーん。・・・えへへ、お帰りみんな」
見事、現世へと「小狼」達を導き終えた「モコナ」。絵物語の世界の記憶こそありませんが、彼等が「モコナ」に助けられたのは疑う余地もありません。
「じゃーん、はいどうぞ」
「サクラの羽」を取り戻した「モコナ」にお礼を言う「小狼」達。そして「モコナ」から「語り部」の能力「時の流れを自由に操る」という言葉を聞いたとき、彼は「沙羅ノ国」で過去に干渉してしまったことを思い出します。
「・・・たとえ良い結果になったとしても、時間の流れに干渉してしまったことに違いはありません」
「そこにあった未来を変えることは許されるのか・・・ということだよね。・・・それを小狼くんが考えても、今はどうしようもないんじゃないかな。・・・歴史を変える規模だと、個人には手に負えないんだし、できないことをきちんと認めるのも大事だよ」
「ファイ」のアドバイスを聞き「サクラの羽」を取り戻すという大きな目標へとむき直すことを決意する「小狼」。今はただ、そのことだけを考えて・・・。
ただの一話、外伝的な話ではありましたがキャラクター描写も含めて非常に面白い回でした。作品の作り手側も、「時の流れを自由に操る」ことや「登場人物の運命を操る」ことに、思いをはせることもあるのでしょうね。
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第36話「時をこえるオモイ」
数々の謎を生んだ「修羅ノ国」編もいよいよ終了。シンクロを開始したもうひとりの「小狼」、本格的に「ツバサ・クロニクル」の世界に関わりを持ち始めた「次元の魔女 侑子」、黒目となった「黒鋼」と「ファイ」、宝石へと姿を変えた「夜叉王」・・・。果たしていくつの謎が解き明かされるのか、ご覧あれ!
「私は・・・己の願いを叶える」
無言のまま笑顔で「阿修羅王」の剣を受け入れる「夜叉王」。彼の姿は「サクラの羽」を内包した宝石へと姿を変えました。その光景をじっと見つめる「黒鋼」と「ファイ」、そして「小狼」。
「あれは・・・姫の羽」
---
一方、地上の「サクラ」は「モコナ」に連れられて「月の城」転送位置へとやって来ていました。
「阿修羅王が言っていた。月がお空の一番高いときに、ここに来ればお城に行けるって」
その言葉の直後、光に包まれて転送される「サクラ」と「モコナ」。・・・かくして役者は全て「月の城」へと集まりました。
※宝石に姿を変えた「夜叉王」にたいして驚きもしない「黒鋼」と「ファイ」。こうした事態を予想していたのか、何者かに操られているのか・・・。
「姫・・・どうしてここに?」
「モコちゃんが教えてくれたの。・・・羽がここにあるって」
転送してきた「サクラ」の言葉に、それまで「夜叉王」の残した衣服を、剣を抱きしめていた「阿修羅王」が反応を見せました。
「・・・ふたりとも、こちらへ」
高台の上へと両者を呼び込んだ「阿修羅王」。彼女の口から、「夜叉王」の真の姿が明らかとなりました。
「夜叉王は・・・もうずいぶん前に死んだ。・・・さっきまで居たのは『羽』が見せていた、まるで生き写しの幻だ」
長く剣を交えてきた「阿修羅王」と「夜叉王」。互角だったはずの剣が「夜叉王」の右目に刀傷を負わせたとき、彼女は「夜叉王」の身体が病魔に冒されていたことに気がつきました。
その告白に、自身が見た夢を思い出した「サクラ」。今、彼女はその夢が真実を表していたものだとはっきりと感じます。
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「どうしてお前がここにいる・・・『月の城』でしか相まみえることのないお前が・・・」
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会えるはずのない場所での再会。それを「阿修羅王」は、「夜叉王」の死んだ魂が会いに来たと感じました。
「・・・永遠の別れを告げるために。・・・けれど次の日、死んだはずの夜叉王が月の城にやって来た。『羽』の力によって生み出された・・・幻となって」
愛してしまった男の幻、それを彼女は斬ることが出来なかったと告白します。そして彼女は「夜叉王」を斬る決意を与えてくれた礼からか、「サクラの羽」を「小狼」達に返すのでした。
「望みは叶ったか?・・・では、次は私の番だ」
大きく息を吸い込み、大地へ剣を突き立てる「阿修羅王」。彼女は「月の城」を制した者の望みとして、ひとつの願いを心描きます。・・・それは人によっては小さく、たいして価値のない願い。けれども彼女にとっては唯一無二の願いでした。
※「小狼」をかくまう理由に「望みを叶えた者の顔を見たい」と語っていた「阿修羅王」。逆説的に言えば、彼女は自身の望みが叶わないことを誰よりも知っていたのでしょうね・・・。(T_T)。
閃光を発する大地。その願いを叶えようとする力の反動か、大地はひび割れ「月の城」はその姿を崩していきます。
「・・・やはり、我が願いは『月の城』を手に入れても、叶えるには重すぎるか・・・」
崩れゆく足下から逃げだそうとしない「阿修羅王」。彼女の決心は既に定まっていました。
「小狼、諦めれば全てが終わる。願い続けろ・・・強く、強く。たとえ己が何者でも、たとえ誰かが何かを強いても・・・願い続けろ、己の真の願いを」
その言葉の意味するところを全て知るよしもなく、ただ心に刻みつけようとする「小狼」。一方の「阿修羅王」は、「月の城」が崩れるのは願いを叶えることが出来ないからだとつぶやきます。
「・・・死者を蘇らせることは誰にも出来ません。たとえ・・・それが神と呼ばれる存在でも。・・・旅で学んだことのひとつです」
別れを感じ取ったのか、複雑な思いで「阿修羅王」を見つめる「小狼」。事実、彼女を助けようと伸ばした手を「阿修羅王」は剣で弾き飛ばしました。
「阿修羅王っ!」
その名を叫びながらも崖に落ちようとする「小狼」。彼を救ったのは、馬に乗り、その背に「ファイ」と「サクラ」を乗せた「黒鋼」でした。やがて光となって地上へと転送される4人。その姿を見送った「阿修羅王」は、「次元の魔女 侑子」へとコンタクトを取ります。
「聞こえるか、魔女よ。・・・小狼とサクラ、あのふたりでなければ私も決心はつかなかったかもしれん。・・・頼みがある。私と夜叉王を、後の世の神に。・・・神にもできないことがあるという証に。・・・黄泉へと渡った者は二度と戻らない。燃える炎が如く、流れゆく時間に同じものはなにひとつない。変わるからこそ、戻らぬからこそ、一度しかない命を悔いなく生きろと言う神に・・・」
※「阿修羅王」の言葉、「たとえ己が何者でも、たとえ誰かが何かを強いても」。非常に興味深いですね。
「修羅ノ国」へと降り立った「小狼」達4人。「サクラの羽」も手に入れることができ、旅立ちの時がやって来ました。
「もし、ふたりの王の亡骸か、形見の一部でも見つかったら・・・どうか離さず、一緒に葬って差し上げてください。・・・お願いします」
「モコナ」の光に包まれる中、「阿修羅王」と「夜叉王」をあわせて弔って欲しいと願う「小狼」。その真摯な願いに応えるように「倶摩羅」は深く頷きます。
---
「・・・ここは・・・新しい世界?」
次元転送が終わり、目を開けた「小狼」に、どこか懐かしい「ファイ」の声が聞こえてきました。
「違うよ。『紗羅ノ国』に戻ったみたいだね」
姿形は「修羅ノ国」のときのまま「小狼」に笑顔を向ける「ファイ」。なんと「ファイ」と「黒鋼」は記憶をなくしたわけでもなく、魂を同じにしたこの世界の住人でもなく、本人があえて正体を隠していただけだったのです。
「でも、それなら最初にあったときに、そう教えて貰えれば・・・」
もっともな質問をする「小狼」に、「黒鋼」の反応を楽しみつつも答えてあげる「ファイ」。それは「黒鋼」からのアイデアだったそうです。
「・・・俺たちが本人だってわかると、戦うときに小狼くんが本気を出さないからだって。・・・小狼くんの先生だからね、これでも」
※戦いの時に「小狼」を鼓舞するようなセリフまでも言って。・・・照れる「黒鋼」萌え~。(^^;)。
偶然、「火煉太夫」の一行と出くわした「小狼」と「サクラ」。声をかけてみますが、相手はこちらを知らない様子。
「あの・・・俺たちのこと、憶えていませんか?」
別にとぼけている様子でもなく、本当に「小狼」達の事を知らない「火煉太夫」達。
一方、「蒼石」の若い衆達と出会った「黒鋼」と「ファイ」ですが、やはり相手はこちらを知らないようです。
「お、やっと来やがった・・・」
一触即発、「鈴蘭一座」と「蒼石」の若い衆達の出会い。これは抗争勃発か・・・と構える「小狼」ですが、なんとビックリ仲良さそうな両者達。
「きゃぁあっ~、蒼石様のところの若い衆よ」
「いつ見ても凛々しいわぁ~・・・素敵~!」
黄色い声援を受けてまんざらでもない若い衆達。今日は何やら特別な日のようで「鈴蘭一座」を出迎えに来たようです。
「・・・今日はめでたい祝いの日。皆様も是非、お祝いに参加してください」
---
呼ばれた会場では、なんと「鈴蘭」と「蒼石」の結婚式が執り行われていました。
「・・・本日は私たちふたりのために集まってくださいまして、本当にありがとうございます」
「一座の姉さん達、それに社の兄さん達。今日は来てくれて本当にありがとう。・・・蒼石様の計らいで、今日は久しぶりに私たちの神様をこの目で拝めることになったよ、ほらっ」
「鈴蘭」の言葉に、開かれる神社の扉。振り返った「小狼」達の目の前には、仲良く肩を並べた「阿修羅王」と「夜叉王」の像が祀られていました。
「・・・我らが神、阿修羅と夜叉を模したこの像は、造られた時から今日に至るまで、決して離されることなくずっと一緒に安置されています」
「私たちも阿修羅様と夜叉様に習って、ずっと離れないからね」
※もう熱々で、見ていられません・・・。(^^;)。
「ねえねえ、アレ!」
神様と一緒に献上されている櫛とウィッグ。「モコナ」が指し示すそれは、確かに「サクラ」と「小狼」が身につけていた物です。
「・・・修羅ノ国で着替えたときに外してそのまま・・・置いてきたものです」
ようやく事の次第に気がついた「小狼」。そう、明らかに「紗羅ノ国」は「修羅ノ国」の未来の姿。彼等は次元を渡ったのではなく、時を越えていたのです。
「俺たちは『紗羅ノ国』に落ちてその後、『紗羅ノ国』の過去である『修羅ノ国』に行ったのではないでしょうか。そして、もう一度『紗羅ノ国』に戻ってきた・・・」
それにしても、最初に訪れたときとは様変わりした「鈴蘭一座」と「蒼石」の若い衆達の関係。疑問を口にする「サクラ」に、「小狼」は自分の言葉を思い出します。
---
「もし、ふたりの王の亡骸か、形見の一部でも見つかったら・・・どうか離さず、一緒に葬って差し上げてください。・・・お願いします」
---
「未来が変わった・・・か」
あのときに話した「小狼」の言葉を「阿修羅」の国の人達は守り、ふたつの像を一緒に祀った。それが関係改善のきっかけになったことは、間違いがないようです。
※「次元を越える」だけではなく「時を越える」能力も持つ「モコナ」・・・というより「侑子」の魔力。さすがは「クロウ・リード」の知己といったところでしょうか。
この世界での目的全てを達成し、次の世界へと旅立つ時がやって来ました。今度はお互いが離れないように・・・と「小狼」と「サクラ」の手を握らせる「ファイ」。そして自らも「黒鋼」を巻き込んで、ふたりへと抱きつきます。
「・・・今度は、別の場所に落ちないように」
最後にもう一度、祀られた神像を見る「小狼」と「サクラ」。ふたりの目にはその姿が、お互いがお互いを慈しみ合う、「阿修羅王」と「夜叉王」の姿に見えるのでした。
---
謎の世界。既にスクリーンには何も映ってはいませんが、「飛王」と「星火」は「侑子」への対応を協議している最中。
「やはり、あの魔女は気づいていますね、遺跡の力に」
「クロウ・リードと同じようにな。・・・しかし、色々邪魔はしてくれたが、クロウ・リードは死んだ。・・・我が計画を阻むのは、今や次元の魔女だけだ」
打つ手は全て打ってしまったと言う「飛王」。しかしその表情にはまだ余裕が見て取れます。
「・・・状況は日々変化する。新たな一手の準備に取りかからねば・・・な」
もうひとりの「小狼」については未だに謎が深いままですが、無言の「夜叉王」、黒目の「黒鋼」達、驚くべき「侑子」の魔力と、パズルのピースは揃ってきましたね。この「修羅ノ国」編はタイムパラドックス的な要素もあり、ちょっと難しいところもありましたが、なかなかに楽しめたと思います。
次回はどうやら「モコナ」が主人公の回のようですね。どたばたコメディものになるのかな。(^_^)。
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第35話「ふたつのキオク」
前回の予告ではラブラブな「小狼」と「サクラ」の姿が予想できました。話の展開はやや重めですが、このふたりの関係は「要チェックやでぇ~っ!」。(^_^)。
見つめ合う瞳、何を思うのかお互いに一歩も動かない「夜叉王」と「阿修羅王」。
「小狼」はふたりの様子がおかしいことに気がつき、「どうしたんだろう」とつぶやきます。
---
同時刻。戦いが繰り広げられる月の城とは対照的に、静かな「阿修羅王」の宮殿。しかし、その寝室で寝入る「サクラ」の全身からは淡いピンクの光が漏れこぼれていました。
「・・・ここは・・・どこ・・・?」
寝言を言う「サクラ」でしたが、彼女の意識は夢の中・・・この次元の過去へと飛んでいました。
キィーン、カキッ・・・
鳴り響く剣と剣がぶつかり合う音。そこは月の城の戦場。戦っているのは「夜叉王」と「阿修羅王」でした。
「あぁっ・・・」
思わず声を漏らす「サクラ」。彼女の目の前で「阿修羅王」の斬撃が「夜叉王」へと届き、右目を押さえる手のひらから幾筋もの血が流れ出していきます。
「夜叉王・・・やはりお前は・・・」
斬りつけた「阿修羅王」の方が驚き、立ちすくむ一方、冷静に彼女へと言葉を返す「夜叉王」。
ふたりの関係を未だに知らない「サクラ」には、それは不思議な光景へと見えます。
---
さらに場面は転換し、見覚えのあるここは「阿修羅王」の宮殿内。そこで彼女は、この場所では会うはずのない「夜叉王」の姿を見つけます。
「・・・どうしてお前がここにいる・・・月の城でしか相まみえることのないお前が・・・」
「阿修羅王」の言葉に少しだけ笑顔を見せる「夜叉王」。その表情に納得した「阿修羅王」は一歩ずつ「夜叉王」の元へと駆け寄り、やがてふたりは熱い抱擁を交わします。
ふたりの姿を意識の中で見つめる「サクラ」。途中、彼女の視界を「サクラの羽」がかすめて流れていきました。
※もうひとつわかりにくい「夜叉王」と「阿修羅王」の関係。彼女が口づけの最中に流した涙は、決して結ばれることのない自分たちを考えての涙でしょうか・・・。
「今度はとどめを刺すつもりで来い」
わざわざ「小狼」の元に再開の約束を伝えに来る「黒鋼」。今だ「阿修羅王」達ふたりを見つめる「小狼」は、彼の言葉に無言で応えます。そして間もなく、月が中天へと昇り、今宵の戦いは幕を閉じていきました。
「傷は?」
声をかけてきた「阿修羅王」に大丈夫ですと返す「小狼」。傷の痛みなど乗り越える彼の思いが「阿修羅王」にも伝わってきます。
「それが、小狼が望む強さ・・・なんだな」
「小狼」を頼もしそうに見つめつつも、どこか寂しげな「阿修羅王」の眼差し。やがてその瞳は、遙か上空の「月の城」へと注がれていきました。
※表情で感情を表す「阿修羅王」と「夜叉王」。見事な演技・・・なのですが、感想には書きにくい。(^^;)。
「あ、あたし・・・ずっと寝ちゃってた!?」
ようやく目を覚ました「サクラ」。しかし、意識の中で見かけた光景は忘れてしまった様子。
そこへ「月の城」の戦いから戻った「小狼」が駆けつけます。しかし、彼の傷ついた姿を見て驚いたのは「サクラ」。「モコナ」から「月の城」の戦いに赴いていたことを聞かされた「サクラ」は心配そうに「小狼」を見つめると、自分に隠し事はしないで欲しいと彼に話します。
「お願い・・・辛いのを隠さないで。何も出来ないけれど・・・せめて心配だけはさせて」
傷口に手を当てて、少しでも「小狼」の痛みを和らげてあげようとする「サクラ」。その行為に「小狼」は、自身の心が癒されていくのを感じます。
「月の城で・・・ファイさん、黒鋼さんと似た人にまた会いました」
「桜都国」で手に入れた刀を「黒鋼」に似た人は持っていたと告げる「小狼」。でも、彼等は自分を見ても何も反応を返さなかったと「小狼」は言葉を続けます。
「・・・それにふたりとも、瞳が黒かったんです。・・・あのふたりはこの世界にいる同じ魂を持つ別人なのかもしれません」
※映像ではわかりにくいところもありましたが、確かに両者とも瞳の色は黒でしたね。
「想定範囲外の世界に・・・移動してしまいました」
まるでテレビ放送終了時の画面のように、砂嵐が広がるスクリーンを前にして苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべる「星火」と「飛王」。本来なら映し出されるはずの「小狼」達の姿が、今のスクリーンには何も表示されていません。
「これまではこちらの思い通りの世界に彼等を落とせていたというのに・・・」
「適度に安全な世界に・・・ですね」
「星火」の言葉に、「飛王」もまた言葉で肯定して見せます。
「死なれては元も子もない。あれはこの旅の計画のために生み出したもの。・・・あの遺跡に埋まる物を手に入れるため、働いて貰わねばな」
「けれど、あの魔女が黙っていないでしょう。・・・現に彼女のせいで、旅を操作できなくなりました。場合によっては死に至る恐れすらある。・・・勝てますか?・・・あの『次元の魔女』に」
言われて頭に浮かぶのは「次元の魔女 侑子」。そして彼女の背後に現れる姿は大魔術師「クロウ・リード」。
「勝つために打てる手は全て打ってある。・・・それでもあの魔女には完全ではない。我が血筋である『クロウ・リード』が唯一認めた魔力を持つ女。次元を越え、人を異世界へ運ぶ術を知る女。しかし・・・あの力はこの手に掴む!・・・思ったよりも出番が早くなるかもしれんな」
そう口にする「飛王」の視線の先には、左目に眼帯をはめ、「小狼」によく似た謎の少年が封印されていました。
※彼等の言葉が真実であるのならば、わかったことが下の3つ。
・次元の旅は全て「飛王」達の思惑通りに進められ、今回の移動は想定外であること。
・明確に次元の魔女「侑子」と敵対していること。恐らくは「侑子」側も「飛王」達のことを知っている。
・「飛王」と「クロウ・リード」は同じ血族の者であること。
急に右目に痛みを覚える「小狼」。「どうしたの?」という「サクラ」に問われるままにそのことを告げると、なんと彼女は「小狼」の右目へとキッス!
「サ・・・サクラ姫!?」
「チューだあぁああっ!・・・おめめにチューッ!!」
からかう「モコナ」に照れる「サクラ」。彼女自身も無意識のままに、当たり前のように「小狼」に口づけを交わしていたのです。
しばし硬直のふたり。その姿を見つめる「阿修羅王」は、自分とあの人の関係を思い出し、ひとり口に出します。
「・・・私も心を決めねばならぬ。・・・このふたりの未来のためにも・・・」
そして見つめるのは月の周りを変わらず浮かび続ける「月の城」の姿。
---
「さっきのチュー、『体のキオク』かもしれないね。・・・侑子が言っていたの。キオクにはふたつあるんだって。『心のキオク』と『体のキオク』・・・心はもちろん凄く大事だけれど、体も大事なんだって。時には心が忘れても、体が憶えていることもあるんだって。・・・だから何だかわからないけれど、サクラが痛いおめめにチューしたいって思うのは、羽が飛んじゃって忘れちゃったことがあっても、体が覚えているせいかもしれないね。・・・だからね、羽が全部戻るまで、『体のキオク』がサクラを助けてくれるよ」
その言葉に、優しく「モコナ」を持ち上げてお礼を言う「サクラ」。ふたりを見ながら「小狼」も笑顔を見せるのでした。
※今日の「モコナ」は饒舌!・・・たまに口を開くと良いことを言いますね。(^_^)。
街へと馬を進めた「小狼」。その間、「サクラ」はちょっと寂しいお留守番。
「・・・小狼って無茶ばかりするの。怪我とかしても全然気にしないの。サクラ・・・いっぱい心配しているのにね」
「モコナ」の言葉に理解を示しつつも、「小狼」の行動もわかるという「阿修羅王」。
「強い望みを持つ者は、その望みが叶うまでは己を顧みない。・・・それ故に強い。しかし、見守る者は辛かろう・・・特に小狼は・・・。いや、それより湯浴みでもどうだ?」
お風呂でも浴びて気分をリフレッシュしたらどうかという「阿修羅王」の言葉に喜び踊る「モコナ」。そしてその後ろを「サクラ」もついて行きます。
「・・・気づいていないのなら告げる必要もないだろう、小狼が何者なのか。・・・のう、魔女よ?」
ゆっくりと後ろを振り返る「阿修羅王」。するとそれでまでは涼を取るための装飾かと思われた足下に広がる水面に「次元の魔女 侑子」の姿が映像として浮かび上がります。
「・・・そうね。・・・不老の酒、対価として確かに頂いたわ」
次元を越えた通信を行う「侑子」と「阿修羅王」。どうやら「阿修羅王」は酒を対価に「侑子」に何かを依頼したようですが・・・。
「あなたの依頼がなければ、手遅れになっていたかもしれないわ。モコナを強制移動させて、あの子達をあなたがいる次元に落とす。これがあなたの願い。・・・そしてそれによって、『あの男』が作った予定調和の世界への移動は終わった。・・・これで、『あの男』のコントロールはもう効かない」
どうやら「小狼」達が「紗羅ノ国」から「修羅ノ国」へと移動したのは「阿修羅王」の依頼による「侑子」の仕業だったようです。
「魔女というのは、縛られる物が多いのだな。人の願いを通してしか動けないとは・・・」
「制約がなければ、全ては崩壊へと突き進むだけよ。・・・『あの男』の意のままにさせるわけにはいかないの。・・・阿修羅王、あなたの本当の願いを叶えるための対価は・・・重すぎる。だから、あとは・・・あなた次第よ」
その忠告に耳を傾けたのか、真摯な瞳で「侑子」を見やる「阿修羅王」。果たして彼女の決断は・・・。
※まさか「次元の魔女 侑子」が事態の急転に絡み、「阿修羅王」も彼女と通じていたとは・・・。只々驚きです。(!_!)。
「・・・ひとりは黒い髪でもうひとりは金髪。・・・ふたりとも身長はこれくらいか」
城下町へ「黒鋼」と「ファイ」を探しに来ていた「小狼」。どうやらふたりを見かけた人はおらず、城へと戻ろうとした時・・・再び彼の右目は激しい痛みを発しました。
「おい、大丈夫か!?」
かけられた声に「はい」と応えたものの、起き上がることは出来ず右目を押さえたまま顔を横へと向ける「小狼」。するとそこには鏡があり、あの悪夢のように・・・合わせ鏡のように左目を押さえた「小狼」が何十人も映し出されています。
「なんだ・・・!?」
自身の・・・いえ、左目を押さえた少年の姿に動揺する「小狼」。その姿が何を意味するのか、今の彼には知るよしもありません。
---
「・・・今宵の出陣は、私と小狼のふたりだけでよい」
「阿修羅王」の言葉に、最後まで同行を希望した家臣の「倶摩羅」。その熱意に負けて「阿修羅王」は同行を認めはしますが、ただひとつ、彼に条件を出します。
「今宵何が起ころうと、取り乱してはならぬぞ」
その真意がわからず戸惑う「倶摩羅」。一方、目の痛みから立ち直った「小狼」は自身の体調が完全でないことを自覚しながらも、それを表情ひとつ外へは出しません。
「・・・そうやって飲み込むばかりでは、見ている誰かが悲しむだけだ。秘めるばかりでは何も変わらん。・・・・・・では、参るか」
---
「月の城」へと到着した「阿修羅王」達3人。そして、既に待っていた「夜叉王」も配下は「黒鋼」と「ファイ」のふたりだけ。そう、今宵の戦いが特別なものになると自覚したのは、「阿修羅王」達だけではありませんでした。
※決意を決めた「阿修羅王」が何らかの手段で「夜叉王」に連絡をしたのか。そういうことをしなくても通じるふたりなのか・・・。
「だああぁああぁっ!!・・・よう、ガキ。・・・言っただろう、今度はとどめを刺すつもりで来いって」
大上段から振り下ろした「蒼氷」で「小狼」へと斬り合いを挑む「黒鋼」。「緋炎」で受け止める「小狼」ですが、その刀を返せるほどの実力は、今の彼にはまだありません。そして、そのとき・・・彼の意識に別の誰かが宿ろうとしていました。
「何だ・・・手が・・・!?」
---
謎の世界。封印されている左目に眼帯をはめた少年。彼の両手が「小狼」とシンクロするかのように、ゆっくりゆっくりと持ち上がっていきます。
---
自分に湧く力に驚く「小狼」。それは幻覚でもなく、確かに彼の手が勝手に動き「黒鋼」の刀をはねのけたのです。
※「左目に眼帯をはめた少年」は、やはり「小狼」の同じ魂を持つ別人なのでしょうか。でも魂はひとつだけなんですよね・・・。
ひとり「夜叉王」へと足を進め行く「阿修羅王」。ゆっくりと宙を舞い、お互いの手が触れ合うほどの位置まで、彼女はやってきました。
「夜叉王・・・決着をつけよう」
その言葉に、向けられた刀に、無言のまま反応する「夜叉王」。
---
「サクラ・・・?」
同時刻。「モコナ」の呼びかけにボーッとして応じない「サクラ」。彼女の意識はどこに飛んだのか・・・。
---
「私は・・・己の願いを叶える」
炎を纏って「夜叉王」へと突き立てられる刃。互いに触れ合い、抱き合うように近づく「阿修羅王」と「夜叉王」。
「・・・私がつけた傷だな」
左手で「夜叉王」の髪をかき上げ、ゆっくりと口づけをする「阿修羅王」。そして「夜叉王」の右手もまた彼女を抱きしめ・・・やがて彼の姿は金色の光を発していきます。
「・・・」
浮かぶ涙に煌めく光の渦。その姿が確認できないほどに眩くなった瞬間・・・「夜叉王」の姿は光の渦の中、天へと伸びていき・・・ひとつの蒼い宝石へと姿を変えます。
「あれは・・・」
「宝石」の中に「サクラの羽」を確認する「小狼」。
そして「宝石」の足下では「阿修羅王」が、自身が倒した「夜叉王」を慈しむように、抱きかかえた姿のまま・・・鎮座するのでした。
今日は一気に急展開といった感じ。やや説明不足に感じるところは、今後説明があるのか、原作でもこれくらいの情報量なのか。
「小狼」と同じ姿形をした少年はシンクロ開始?、「飛王」と「次元の魔女 侑子」の敵対関係、無言のまま「阿修羅王」に刺され、「サクラの羽」を内包した宝石へと姿を変えた「夜叉王」・・・。
謎は色々と尽きませんが、来週で「修羅ノ国」編は終了のようです。宝石に姿を変えた「夜叉王」については、そこで回答が示されることを信じて、待て来週!
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第34話「終わりなきイクサ」
先日のワールドカップ「日本VSオーストラリア」戦は非常に残念な結果に終わりました。今夜行われる「日本VSクロアチア」は非常に大切な1戦。今度こそ勝利を手にして欲しいものですね。
さて「ツバサ・クロニクル」の世界ではサッカーではなく本当の戦いが花盛り。国家間の争いをスポーツで代替できれば良いのですが、残念ながらそうもいかないようです。
金色に包まれた「阿修羅」、そして蒼色に包まれた「夜叉」。このふたつの像の影響か、「紗羅ノ国」上空では空間がねじ曲がり、巨大な亀裂が出現していました。
不安そうに空を見上げる人々、像の力に感応したか倒れ込む「サクラ」。
今は「夜叉」側にいる「黒鋼」と「ファイ」も不思議な事象を前にして思うのは「サクラ」の能力のこと。ようやく駆けつけた「蒼石」の前で、彼らふたりは空の亀裂を見てつぶやきます。
「とんでもねえ殺気の塊だ・・・」
「空の向こうにね。・・・近づいてきている」
---
一方、「サクラ」を助け起こした「小狼」の前に姿を見せた「鈴蘭」。彼女は地震、空の亀裂などは「阿修羅」像のせいではないと像の前で否定して見せますが・・・。
「・・・違う、絶対に阿修羅様のせいじゃない。でないと・・・本当にもうあの人に・・・会えなくなっちまうよ」
自身の立場と愛しき人への思い。出口の見えない思いに潰されそうになった「鈴蘭」から、ひとしずくの涙がこぼれ落ちます。
そして、その涙と思いを「阿修羅」が受け止めたとき、その表面の怪しい文様が輝き始め、第三の瞳が目を開けました。
※かつての自分の立場と同じような「鈴蘭」の思いに共感したのでしょうか・・・。
凄まじい光の奔流が「阿修羅」から立ち上り、天井を貫いて上空へと流れ込みました。そして「夜叉」もまた呼応し、あわせて2本の光束が天空の亀裂へと注がれます。
「あぁ・・・」
光を受け、クリアになっていく亀裂の奥。そこには巨大な惑星、円を描く月の表面が映し出されました。
「あれは・・・」
「モコちゃん!」
見上げる「小狼」と「サクラ」の前で、時空を超越するときのように羽を広げる「モコナ」。
「この世界に・・・羽・・・無い。でもあの世界に・・・ある」
言葉と同時に「小狼」と「サクラ」を包む「モコナ」の魔法陣、それは同時刻、「黒鋼」と「ファイ」の足下にも出現していました。
「次の世界に移動するのか!?」
戸惑う「小狼」達を包み込み、彼らの姿は「沙羅ノ国」から消えていきました・・・。
---
時空を貫くゲートの中で、不思議な光景を目にする「サクラ」。
長髪の美男子と特徴的な耳を持った美女。月の近くをゆっくりと漂う空中城。先ほどのふたりか、抱き合い見つめ合うシルエット・・・
※見つめ合うふたりの姿は「阿修羅」と「夜叉」・・・でしょうね。
「小狼」の声に目を開ける「サクラ」。ふたりと「モコナ」が現れた場所は、岩だらけの殺風景な荒野でした。
「・・・子供か?」
彼らの前に姿を現した、ひとりの女性。馬のような生き物に跨り、特徴的な耳を持ち、美しい黒髪を足下まで垂らした美女。
「こんなところに、どうして居るのだ?」
彼女の言葉が聞こえた瞬間、まるで今、そこに現れたかのような戦いの気配に「小狼」は気がつきます。見ると、辺り一面で戦い続ける人々の群れ。そう、ここは戦場だったのです。
「阿修羅王、お怪我は?」
駆け寄る部下に「無い」とひと言返す美女。その名前に、その特徴的な耳に、「小狼」と「サクラ」は「阿修羅」像の姿を思い浮かべます。
「また決着がつかないか・・・。夜叉族と」
そうつぶやき、小高い丘を見やる「阿修羅王」。その視線の先には「夜叉」と、「小狼」達が見知った顔が馬に跨り戦況を眺めていました。
「黒鋼さん、ファイさん!?」
※ちょっと雰囲気が違う「黒鋼」と「ファイ」のふたり。「小狼」の言葉に無反応だからでしょうか。
「月が昇りきった。今日の戦いはこれまでだな」
そう「阿修羅」が口にしたとき「小狼」達は信じられない光景を目にします。先ほどまで戦い続けていた人達、その相手側が一斉に視界から消失・・・いや、周りの風景までもが一変してしまいます。
「あれあれ・・・なんか、さっきと違うところに来ている?」
「モコナ」の言葉通り、戦場から消失したのは自分たち自身の様子。それでは先ほどまで戦っていた場所は?
「あの場所に居られるのは、月が中天に昇るまで。それが過ぎれば我々は追い払われる・・・。確かにあそこにあるのに、月が夜空に現れ天心に昇るまでの間のみ、我々はあそこに招かれる」
そう言って天を見上げる「阿修羅王」。確かに月のそばに、ゆっくりと漂う空中城の姿がありました。あまりに不思議な体験に、今起きたことを口にして確かめる「小狼」達。しかし、この世界の常識を知らない彼らの姿は、周囲から見れば怪しい姿に思えます。
「何をとぼけている?・・・月の城の戦いを知らぬとは何が目的だ。・・・まさか、夜叉族の手の者か!?」
きつい口調で質問される「小狼」達。しかし、この場は「阿修羅王」が「夜叉族であれば漆黒の瞳を持つはず」と彼等をかばいます。
「その子供達を我が城へ。・・・客人として招くのだ」
※突如戦場へと姿を見せた「小狼」達に興味を惹かれたのでしょうね。そして「漆黒の瞳」という重要なポイントがひとつ。先ほどの「黒鋼」「ファイ」の違和感は、漆黒の瞳だったからかな。
「阿修羅城」へと招かれた「小狼」達。出てきたご馳走に「モコナ」は大満足ですが、「小狼」と「サクラ」の話題は「黒鋼」達が本物だったのかということへ。
「・・・本人だとしたら、どうして俺たちを見て何も反応がないのか」
---
なぜか「クロウ国」と同じ楽器を持っていた「阿修羅王」に、弾いて聞かせてみせる「サクラ」。その音色に感じ入った「阿修羅王」は、美しい舞を披露して見せます。そしてその姿を堪能しながらも「モコナ」に「サクラの羽」を確認する「小狼」。するとどうやら、天空城に力を感じるとの答え。
---
翌朝。最近「サクラの羽」が回収できていないからか、眠り姫となっている「サクラ」を置いて「阿修羅王」と食事を共にする「小狼」と「モコナ」。
「ところで、ここは『修羅ノ国』というのですね。・・・『夜叉族』というのは?」
やはり「夜叉族」とは長きにわたり戦争をしているとの回答を得た「小狼」。ここは「沙羅ノ国」の過去の姿なのか・・・。
「夜叉族も、月が中天に昇りきるまでの間だけ、あの城の中に招かれるらしい。・・・遙か古から、あの城を手に入れて望みを叶えるために、私たちは戦いを続けている。・・・望みのない者などいない。もし、自分には何の望みもないという者が居たら、それは己の心の奥を知らぬだけだ」
彼女が語るとおり「望みのない者」などは存在しない。現に今、「小狼」がこうして旅しているのもまた・・・。
「お願いがあります。俺を・・・月の城へ連れて行って欲しいんです」
その真摯な瞳、その決意に惹かれた「阿修羅王」。彼女は「小狼」を戦場へ連れて行くことを認めます。
---
「行ってきます・・・姫」
※「小狼」に「あなたの望みは?」と問われて回答をはぐらかした「阿修羅王」。恐らくは「サクラ」が時空を越えるときに見たシルエットが回答なのでしょうね。
「望みが叶うところを見たいから」と部下に告げて「小狼」を戦場へと連れ出した「阿修羅王」。さっそく移動した「月の城」にて「小狼」は馬に跨った「黒鋼」と「ファイ」に出会います。
「お前、奴らを知っているのか!?」
「あのふたりは強いぞ。恐らく・・・夜叉王配下で最強だ」
果たして「黒鋼」と「ファイ」は自分たちの仲間か、あるいは魂を同じにしたこの世界の住人なのか。確かめるべく駆け寄る「小狼」へ剣を抜く「黒鋼」。その繰り出す技に一片の曇り無く、催眠状態に陥っているようではないようです。
「・・・急所は避けたようだが、今度はそうはいかねえぞ。破魔・・・竜王陣!」
「小狼」の知る「黒鋼」と同じ技、同じ武器「蒼氷」を使う「黒鋼」。彼は果たして「小狼」の知る人物なのか・・・?
手加減をして戦える相手ではないと、持つ武器「緋炎」の力を引き出して「黒鋼」と斬り合う「小狼」。しかし、流石に剣の師匠だけあり今の「小狼」に勝てる相手ではありません。
「・・・反応が遅い」
追い詰められ、剣先を向けられる「小狼」。その切っ先が彼を斬り倒そうと殺気を込められた時、「黒鋼」を「阿修羅王」の炎が襲い「小狼」は危機を免れます。
「らしくねえな、阿修羅王」
獲物を狩る瞬間を邪魔された「黒鋼」ですが、より強い相手に会うことが出来たと表情は明るいもの。続いて打ち込まれた巨大な剣撃も「黒鋼」は「蒼氷」にて真っ二つにして見せます。
「見事だな」
その言葉とは裏腹に、あの「黒鋼」に対して余裕すら感じさせる「阿修羅王」。さらに彼女を手助けしようとする部下を弓矢で牽制してみせる「ファイ」。そして満を持して登場し、地をも切り裂く技を見せる「夜叉王」。・・・戦いの役者はすべて出そろいました。
※あの「黒鋼」と互角に戦える「阿修羅王」、地をも切り裂く技を持つ「夜叉王」、どちらも「小狼」のレベルから見ても、とてつもなく強い相手です。(^^;)。
戦場で相対した種族の王「夜叉王」と「阿修羅王」。しかし、互いを見やる瞳に嫌悪や憎しみの感情は映し出されません。果たしてその瞳には互いの何が映し出されているのか・・・。
次週の注目は「夜叉王」と「阿修羅王」。幾世代も続いた戦いの連鎖、それを断ち切る唯一の希望は、このふたりの関係のように感じます。でも、もしもこの時代で仲良くなった場合、「鈴蘭」と「蒼石」の関係ってどうなるのでしょうね。
そして、もうひとつの注目は地上で光り輝いている最中の「サクラ」。予告を聞いた限りでは「小狼」との関係が一歩進みそうですが、ラブラブ展開を期待して良し?(^_^)。
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第33話「阿修羅のイワレ」
お久しぶりのブログ再開でございます。
前回の「ツバサ・クロニクル」第32話「魔術師とデート」は「ファイ」と「チィ」のハートフルなお話だったわけですが、今回は何か殺伐としたタイトル。さてどうなりますか・・・。
雨の街・・・右目を包帯で覆い、街をさまようひとりの少年。足下を滑らせて転んだ少年は、起き上がる際に街角の鏡に目をやります。そこに映った自身の姿をしばし見やり、少年は唖然として言葉をつぶやきます。
「誰・・・」
---
それは「小狼」の悪夢でした。うなされて起き上がった「小狼」に「サクラ」が大丈夫かと声をかけると、彼は包帯に覆われていた右目へと手をあてがいます。
「昔の夢を・・・見ていたんです」
不安そうに見つめる「サクラ」に笑顔を作ってみせる「小狼」。しかし、彼の心は今だ悪夢の・・・過去の事実に囚われていました。
『たとえ・・・あの日以前の記憶が無くても、俺は確かに小狼なのだから・・・』
※考古学者の父「藤隆」と出会う前の「小狼」の姿ですね。本シリーズで語られるかは不明ですが、物語の根幹に関わってきそうです。この頃から右目は見えなかったということを示してもいるのでしょうね。
「・・・新しい国に来たのですね。黒鋼さんとファイさんは?」
この言葉に「同じ場所に落ちなかったみたい」と返す「モコナ」。どうやら同じ世界にはいるようですが、実体化するポイントがずれてしまったようです。そしてさらに詳しい説明を「小狼」が聞こうとしたとき・・・。
「きゃぁああぁあぁああぁっ!!」
部屋へと飛び込んでくる、美女、美女、美女の群れ!
驚く「小狼」の周りを取り囲んだ美女達は「目を覚まさないから心配していたのよ」と彼を抱きしめたり、「サクラ」や「モコナ」にもなでなでしたり。
「ちょいとお待ちっ!」
事態に翻弄される「小狼」の危機を救ったのは、ちょいと鯔背(いなせ)な少女でした。
「もうすぐ仕事だっていうのに、こんなところで何油売っているんだい、姉さん達!・・・相手は子供とはいえ、ここは男子禁制だよっ」
「鈴蘭一座」のオーナーである「鈴蘭」の言葉に、事情を説明する従業員の女性一同。話を聞いた「鈴蘭」は、旅の途中行き倒れた少年を見捨てては女がすたると、「小狼」達の面倒を見ることをここに宣言します。
※あそこまで驚き慌てふためく「小狼」の姿は、なかなか見ることが出来ませんね。(^^;)。
「なかなか見つからないね、小狼くんたち。・・・こうして言葉が通じるということは、モコナからさほど離れていないとは思うんだけれど・・・」
一方、はぐれてしまった「ファイ」と「黒鋼」は徒歩にて「小狼」達の行方を捜している最中でした。
「黒ぽん、気づいている?」
ふと足を止める「ファイ」の言葉に「ああ」と頷く「黒鋼」。その直後、周囲の藪から何人もの男達が彼らふたりに襲いかかってきますが、「黒鋼」の敵ではありません。
「峰打ちだ。手前らみたいな素人は、斬る価値もない」
さらに周囲を取り囲む男達は、仲間が倒されたこともあり戦意むき出し。そこへ階段上からひとりの男性が割って入ります。
「お止めなさい」
メガネをかけた青年の言葉に、武器を収める一同。どうやら彼がこの一同の頭領のようですが・・・。
---
大きなお屋敷へと案内される「黒鋼」と「ファイ」。館の主人である「蒼石」は、先ほどの行動に対して正式に謝罪の言葉を述べます。
「先ほどは、うちの若い者達が失礼いたしました。・・・人捜しですか。あちらも居場所を探していらっしゃるでしょうね・・・。宜しかったらここにお泊まりになりませんか?・・・困っている方の力になるのも私の務めですから」
※何か日本の時代劇っぽいですね。対立するふたつの集団に、それぞれ用心棒として雇われる「小狼」と「黒鋼」・・・みたいな流れだったりして。
夜。派手な花火が打ち上げられ、「鈴蘭一座」の公演が巨大なテント内にて開催されます。
「この鈴蘭一座は、まるでサーカスですね」
袖から華やかな舞台を見守る「小狼」と「サクラ」。彼に「サーカス」の説明を聞いた「サクラ」は「クロウ国」にも同じような一座が来たことがあると「小狼」に話して聞かせます。その言葉に、昔を思い出す「小狼」。小さい頃、訪れたサーカスの舞台を見て「サクラ」は自分も綱渡りを試してみると「小狼」を困らせたものでした・・・。
「小狼くんたちが羽を取り戻してくれたから・・・。ありがとう」
徐々に蘇ってきた昔の記憶の礼を言う「サクラ」の言葉に「お礼なんて」と返す「小狼」。その表情は、どこか寂しげにも映りました。
※何かを手に入れるには同等の代価が必要となる(鋼の錬金術師のようだ。(^^;))。納得して結んだ契約ではありますが、「小狼」にはとっては辛い現実です。
「綺麗だろう?・・・あたしたちはこの『紗羅ノ国』中を旅しながら、こうして芸を見せているんだよ」
「鈴蘭」の言葉に、あらためて滞在を許可いただいた礼を言う「小狼」。彼女は気にしないでと彼に返して、さらに言葉を続けます。
「私たちは1年に1度、月が綺麗な今頃の時期になると、ここに帰ってくるんだ。どこで興行しても楽しいことに変わりはないけれど、やっぱり自分たちの家があるこの場所は特別なんだ。それに、ここには・・・」
言葉を詰まらせる「鈴蘭」を不思議そうに見やる「小狼」。その横で「サクラ」は、袖に飛び込んできた炎のかけらに手を伸ばそうとします。
「・・・うちの炎は触っても火傷なんかしないの。守り神様が授けてくださる『炎』だもの」
「守り神・・・」
---
食事時。「黒鋼」と「ファイ」も「蒼石」の相伴に預かり、縁側で夕飯を頂いていました。ふと庭にある社へと目を向ける「ファイ」。彼の魔力に、社から何かを保護する力が感じ取れると、「ファイ」は「蒼石」に話します。
「さきほどの剣術といい、あなたの見立てといい・・・ただの旅のお方ではないようですね」
社の中へと案内される「ファイ」と「黒鋼」。その中には巨大な神の像が鎮座していました。
「これが『夜叉ノ像』。・・・血の涙?」
「ファイ」の言葉通り、見上げた「夜叉ノ像」からは、確かに血のような涙がこぼれていました。そのことについて説明を加える「蒼石」。
「月が美しいこの季節になると『夜叉ノ像』は傷ついた右目から血を流すのです。・・・ある旅の一座が祀っているもうひとつの像が、この出来事に関係していると言います」
---
そしてその頃、「鈴蘭」もまた「小狼」と「サクラ」を守り神様の元へと案内していました。
「これが一座の守り神、その名も『阿修羅様』さ」
美しい女性をかたどった像を前に、ため息を漏らす「サクラ」。そして考古学者の血が騒ぐ「小狼」(笑 。
「よほどの名工が造った像なんでしょうねぇ。どのくらい前に造られたんだろう?・・・何で出来ているのかなぁ・・・どんないわれがあって・・・」
はっと気がつく「小狼」に微笑む「サクラ」達。しかしこの像の美しさの前には仕方がないと「モコナ」が彼を弁護します。
「私も好きです。とても綺麗だし」
「サクラ」の言葉に、「ありがとよ」と微笑む「鈴蘭」。しかし、彼女の表情はすぐに険しいものへと変化してしまいます。
「でも・・・あいつらはそう思っちゃいない」
---
「『阿修羅』は戦いと災いを呼ぶ神とされています。そして、ここに祀られている『夜叉』は夜と黄泉を司る神なのです。・・・『夜叉ノ像』の流す血の涙は『阿修羅』が呼ぶ戦いと災いに対する警告だと伝えられています」
その言葉を聞いても、「夜叉ノ像」が血の涙を流す理由が本当に「警告」なのかといぶかしむ「ファイ」。
一方、「蒼石」達との軋轢を聞かされた「サクラ」は哀しい表情を浮かべていました。
「こんな美しい神様が、戦いと災いを呼ぶなんて信じられない」
「俺も・・・そう思います」
※「鈴蘭一座」が祀る「阿修羅」と「蒼石」達が祀る「夜叉」。人の思惑はどうあれ、両神の間には何らかの繋がりはありそうですね。
「今日は休演日だ。そこで、客人として迎えた小狼とサクラの歓迎会といこうじゃないか。さあ、ふたりとも出ておいで」
なかなか顔を見せない「小狼」を引っ張り込む「鈴蘭」。その姿を見た一座のものたちは黄色い声を奏でます。
「・・・前にも言ったが、ここは男子禁制。客以外に男が出入りしていると御上に知られたら一大事だからね。悪いが、その格好で通して貰うよ」
三つ編みのウィッグをつけられ、女性の格好をさせられた「小狼」。恥ずかしそうに下を向く彼を楽しむ「鈴蘭」達ですが、そこに悪い知らせが舞い込みます。
「大変です、オーナー!・・・表にあいつらがっ」
---
「鈴蘭一座」の玄関先へと押しかけた「蒼石」の若い衆達。手に武器を携えた彼らは「今日こそは出て行って貰う」と一座のものたちを脅しにかかります。
「おやまぁ・・・何を言い出すかと思えば、無体なことを」
相手をしない「火煉太夫」に言葉を荒げる若い衆達。やはり揉め事の原因は「夜叉ノ像」が流した血の涙のようです。
「昨日の晩、『夜叉ノ像』がまた血の涙を流した」
「それがうちの『阿修羅様』のせいだと?」
力ずくでも追い出そうとする若い衆達の行動に、怒って蹴り返したのは「鈴蘭」。身内のものには髪の毛一本触らせないという啖呵に、一座の意気は上がります。
「でかい口を叩きやがって・・・蒼石様もなんで・・・」
その男の名前に、はっと表情を変える「鈴蘭」。もっとも若い衆は気づくこともなく、一同で殴りにかかります。
「やっちまえっ!!」
多勢に無勢、また意識をそがれた「鈴蘭」に襲いかかる数の暴力達。その危機を救ったのは、謎の美少女「小狼」でした (笑。
慣れない格好にもかかわらず、その秀逸な蹴り技を見せつけられた「蒼石」の若い衆達。「憶えていろ」との捨て台詞だけを残して、哀れ退散とあいなります。
※おやおや「鈴蘭」と「蒼石」はちょっとただならぬ関係なのでしょうか?・・・ますます時代劇っぽく。(^^;)。
縁側にてひとり考え込む「黒鋼」。「小狼」達を探しに行こうと声をかける「ファイ」にも、「ああ」と頷くものの腰取りは重い様子。
「ニホン国だっけ、黒様の居た世界。この間は知世ちゃんに会ったし、ここは黒ぽんの居た世界に似ているようだし・・・もしかして黒るん、故郷を思い出して黄昏れちゃったりしている?」
その目的が「元の世界に帰る」ことを知ってからかう「ファイ」に「うるせえ」と声を返す「黒鋼」。「冷たいなぁ・・・仲間なのに」と言葉を口にする「ファイ」に、「黒鋼」は半ばあきれ口調で言葉を返します。
「よく言うぜ。お前も腹割るつもりはねえくせに」
「・・・そうでもないかもしれないよ」
背中を向けて真意を探らせようとしない「ファイ」の言葉に、昨日の出来事を告げる「黒鋼」。確かに彼が世界を逃げるキーワードが、昨日の出来事には含まれていました。
「昨日、蒼石とやらの話の中に『阿修羅』の名が出た。その時顔色を変えたのはなんでだ?」
その言葉に「ファイ」が答えることもなく、ふたりの会話は「蒼石」が部下を叱責する言葉によって遮られます。
※「アシュラ王」から逃げているというのは「小狼」達には伝えていないんでしたっけ。
「何ということをしたのです」
普段、落ち着いた様子を見せる「蒼石」にしてはきつい口調を受け、頭を下げる若い衆達。
「・・・いかなる理由があろうとも、あの一座に手を出してはなりません。・・・一座の方達に怪我はありませんでしたか?」
「蒼石」の言葉に「逆にこちらが足蹴りを使う少女にやられました」と報告する若い衆達。その言葉に、一瞬「小狼」を思い浮かべる「黒鋼」達でしたが、相手が少女と聞いて肩を落とします。
「あ、もしかして!・・・小狼くんが女の子の格好をしていたりして」
「あるわけねえだろうっ!」
※あるんだなぁ・・・それが。(^_^)。
その卓越した体術に、公演に参加してみないかと誘われた「小狼」。さっそく女の子の格好のままで練習に参加すると、器用にこなして見せます。
「上手いじゃないか小狼。これなら明日の興行に出せそうだね。・・・サクラもやる気満々だよ」
その言葉に驚いて辺りを見渡す「小狼」。するとそこには綱渡りを練習中の「サクラ」の姿が。
「姫ぇ!」
※今回は「小狼」のギャグ顔が冴えています。(^_^)。
夜、「ファイ」と「黒鋼」を探しに出かけると「サクラ」に報告する「小狼」。「だったら私も行く」という彼女を連れて、深夜の街角をふたり歩きます。
「鈴蘭さん・・・あのときとっても寂しそうだったの」
昼間の「蒼石」の若い衆達との諍いの際、その哀しげな表情を目撃していた「サクラ」。その言葉を聞いた「小狼」ですが、今はまだ思い当たることがありません。
その時、小道へと駆け抜けるひとりの青年の姿を目撃したふたり。もしかしてまた若い衆達かと、見つからないように青年の後を追いかけました。
---
「ここだよ」
木陰から「鈴蘭」の声が聞こえ「蒼石」はその足を止めました。お互いに月明かりの下で笑顔を見せ「蒼石」の元へと駆け寄る「鈴蘭」。
ふたりは愛しい互いを確認しあうかのように、ひっしと抱き合います。
「会いたかったよ・・・蒼石様」
「私もです。この一年・・・ずっと今夜を待っていました。さあ、もっとよく顔を見せてください」
旅を続ける「鈴蘭一座」のオーナーとして全国を駆けめぐる「鈴蘭」。こうしてふたりが相まみえるのは、おおよそ一年ぶりになります。
「昨日のことを・・・謝りに来ました」
「毎年のことさ、もう慣れっこだよ。・・・うちの『阿修羅様』とそっちの『夜叉』さんは決して分かり合うことのない神様だもの。・・・それなのに、どうしてあんたなんかに惚れちまったんだろう」
「実らないとわかっていても、人は誰かを愛します。・・・それが、人というものです」
まさか「小狼」達に目撃されているとも知らず、しっかりと抱き合うふたり。現在のふたりの距離を埋めるかのように、今この時だけはとお互いがお互いを慈しみます。
「『阿修羅』と『夜叉』が対立するこの世では、私たちは結ばれることはありません」
「わかっているよ、そんなこと。だから今だけ・・・せめて今だけは私を離さないで」
※「ロミオとジュリエット」など対立する組織同士の若者が愛し合うことは、決して珍しくはありません。ふたりの間にそびえる巨大な壁が、より愛を盛り上がらせるのでしょうか・・・。
「あのふたり可哀想。・・・小狼くん、『阿修羅様』にお願いしようよ。どうかふたりが幸せになりますようにって」
その言葉に「わかりました」と大きく頷く「小狼」。ふたりは「阿修羅様」が祀られる社へと、その足を運びます。
しかしそのとき、ふたつの神の像に大きな異変が起きようとしていました。地震のように辺りを揺るがす地響き、その震動は「黒鋼」達や「鈴蘭」達、そして「モコナ」にも伝わります。
「めきょっ!」
---
「この揺れは・・・『阿修羅』と『夜叉』が互いを呼び合っている。・・・『阿修羅堂』へ急いでください。私も戻ります」
「蒼石」に促されて「鈴蘭」が足を進めようとした頃、「阿修羅堂」のそばに来ていた「サクラ」の身体を、眩いピンクの光が包み込んでいました。
「姫っ!」
無意識のうちか、右手をゆっくりと「阿修羅堂」の扉へと向ける「サクラ」。すると扉は音を立てて開き、奥の「阿修羅」は金色の光に包まれた姿をさらします。
---
同時刻。一方の「夜叉」もまた、蒼い光に包まれた姿を「黒鋼」と「ファイ」に見せていました。
「黒様っ・・・空が・・・」
「空が・・・割れる!?」
---
光を失い、倒れ込んだ「サクラ」。彼女を心配して駆け寄る「小狼」。
そして空には大きな裂け目が広がり、「鈴蘭一座」の者達も、「蒼石」の若い衆達も、「黒鋼」や「ファイ」達も皆、空を眺め見るのでした。
今回登場した『阿修羅様』は女性神の像でしたので、「ファイ」が逃げる「アシュラ王」とはまた違うようですね(今のところ、魂が同じ場合、性別の逆転はないようですし)。
さて、実際の伝説としては「阿修羅:インド神話では戦いを好む悪神(仏法では別)」、「夜叉:人を害するインド神話の悪鬼」なのですが、本世界ではなにやら男女の関係だった様子。それが次回のキーとなりそうです。
それから、今回は「小狼」の過去話が冒頭にインサートされましたね。そろそろ「飛王」の場所にいる「小狼」らしい少年も登場するのかな?
最近、1話完結の(恐らくは)「オリジナル話」が中心だった「ツバサ・クロニクル」ですが、こうした複数話にまたがる物語も、また良いものです。私としては、大きな流れがあって、小さな話の端々に伏線があってひとつにまとまっていく物語が大好きなのですが、「ツバサ・クロニクル」の世界がどう紡ぎ出されていくのか。これからの展開が非常に楽しみになりました。(^_^)。
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管理人のジャンです。
明日から1週間、出張で不在となります。
その間、「ARIA THE NATURAL」と「ツバサ・クロニクル」の
視聴ができない環境になりますので、
申し訳ありませんが、1週間ほど更新を休ませていただきます。
なお、更新の再開は、2006/06/11(日)を予定しております。
これからも当サイト「一期一会」をよろしくお願いいたします。
それでは、皆様良いアニメ鑑賞を。(^_^)。
以上
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第31話「少年のケツイ」
前話にてその限界も露見することとなった「サクラの羽」。やはり死者を蘇らせることは、その力を持ってしても短時間しか実現できない「哀しいキセキ」でした。
さて、今回からは再び新しい世界が舞台。どうやら以前登場したキャラクターも登場しますが、こちらは顔が同じだけかな?
「うわああぁあっ!」
到着した先は、なんと海の直上。周りを見渡しても島ひとつありませんが、偶然(あるいは必然か)、船の汽笛が「小狼」の耳に聞こえてきました。
---
「失礼します」
遭難しかけていたところを助けて頂いた「小狼」一行。濡れた衣服の着替えを済ませて、まずは船長にご挨拶。ところが船長室にて彼らを待っていたのは、「ナユタヤ国」で悪の領主だった「タンバル」!?
「出たぁああっ、悪者だあっ!」
思わず大声を張り上げる「モコナ」にひと睨みをきかせた「タンバル」でしたが、やがてその言葉に大笑いを始めます。
「・・・ふはははっ。悪者とはよく言った。この顔を見ればそう思うのも無理はない。・・・ワシはこのラゴスタ号の船長、タンバルだ」
どうやらこの世界では良い人のようだった「タンバル」に、ほっとする一同。
「ところで、この船は人手不足でな。・・・お前さんたちには食事作りを頼む」
※食事担当は「ファイ」と「サクラ」。「黒鋼」は甲板掃除担当。適材適所、結構人を見る目がありますな「タンバル」は。(^_^)。
「おいっ、機関長はいるか!?・・・まだ子供だが賢い子でな。エンジンの扱いなら大人顔負けだ」
手先が器用な「小狼」は機関室を担当。まだ子供の機関長に、どこかで会った面影を感じる「小狼」ですが、そんなはずはありません。
「・・・機関長の藤隆です」
テーブルの上にあったメガネをかけて自己紹介をした少年「藤隆」の言葉に驚く「小狼」。そう、感じていた面影は彼の父親「藤隆」のものでした。
彼の行動、その言葉に、考古学者だった父を思い出す「小狼」。そのちょっと不思議な体験は、彼の心を癒します。
「どんな人なんですか、小狼さんのお父さんって?」
「父さんは・・・ずいぶん前に死にました」
※亡くなっていたんですね「藤隆」さん。(T_T)。それでも父親の魂と触れることが出来て、「小狼」も旅の疲れを癒されたのではないでしょうか。
まったく「サクラの羽」の気配を感じないという「モコナ」。それならば別の世界に出発かと思いきや、「モコナ」はしばらくこの世界に滞在すると皆に告げます。
「だって、小狼がそうしたがっているから。・・・モコナ感じるの、小狼の気持ち。小狼、その子と少しの間だけ、一緒にいたいと思っている。だから、モコナもしばらくここにいるのっ!」
言われて気がつく自身の気持ち。そして、その気持ちを大切にしてくれる「モコナ」に「小狼」は笑顔で礼を言うのでした。
「ありがとう、モコナ」
---
「小狼さん・・・小狼って、僕ぐらいの年齢の頃、何をしていました?」
機関室で休む「藤隆」と「小狼」。今夜は眠れないのか、「藤隆」は「小狼」へ昔のことを問い尋ねます。
「父さんの手伝いをしていました」
「考古学者でしたよね、お父さんって。小狼も、遺跡を調査するために旅をしているのですか?」
父親の魂をもつ人に、父親の会話をする不思議さを感じながら「小狼」は彼の質問に返事をします。
「・・・考古学には興味はあるけれど、旅の目的は違います。どうしても探さなければならないものがあるのです」
その答えを聞き、「目的を持って生きている」と羨ましがる「藤隆」。彼にはその目的がまだ、見つかってはいないようです。
※「目的を持って生きる」・・・みなさん、人生を生きる目的は見つかりましたか? 私はまだですね・・・というより、なかなか目的を持って生きている人はいないのではないでしょうか。「藤隆」の言葉を聞いて、ちょっと「小狼」を羨ましい気持ちを持ってしまいました。(^_^)。
「風の匂いが無くなった」
嵐の予感を船員に告げる「タンバル」。そう伝えて見上げた空には、厚い雲が覆い始めています。そして、夜はまだ始まったばかり・・・。
---
ゴオオォオオオッ!!
瞬く間に暴風雨に包まれる船体。嵐の中、船を支えるエンジンも悲鳴を上げていました。
「これ以上は無理です。エンジンを止めないと・・・僕が船長に掛け合ってきます。小狼、一緒に来てください」
波にもまれる木の葉のように、激しく上下に揺れる「ラゴスタ号」。船長の許可を貰うために船上へ駆けつけた「藤隆」の上に、丁度、巨大な波が覆い被さろうとしていました。
「うわぁっ・・・機関長!」
「タンバル」の叫びもむなしく、波に飲み込まれた「藤隆」と「小狼」。「黒鋼」が投げ込んだ救命用具も届かず、波の間にふたりの姿は消えていきます。
「機関長!・・・む?・・・まさか・・・」
再度その名を呼ぶ「タンバル」の耳に聞こえる謎の笑い声。振り返ったその先には、鬼の角のような2本の巨大な岩が海面より顔を突き出しています。
「小狼くーんっ!」
まるで引き込まれるかのように巨大な岩へと船体を向けるなか、「ファイ」の叫び声が暗い闇へと響いていました。
※「サクラの羽」が無い世界での異常事態。まあ、全ての異常現象が「サクラの羽」のせいではないのでしょうが。
朝。昨夜の嵐が嘘のように静まりかえった海面。「藤隆」と「小狼」を探す声が、船体の至る所で響いています。
そしてその頃「小狼」は、謎の小島へと漂着していました。
「・・・近くの島に流れ着いたようです」
同じ場所へと倒れていた「藤隆」を助け起こし、事情を伝える「小狼」。流れ着いた破片の量から、どうやら「ラゴスタ号」の沈没はまぬがれたと判断してほっとする両者。
「とにかく船を見つけて、俺たちがここにいることを知らせないと」
辺りを見渡す「小狼」達の耳に聞こえる謎の笑い声。その声に「藤隆」は表情を引き締めます。
「そうか・・・ここは亡霊の島だったんだ」
「亡霊の・・・島」
---
「あれが?」
聞こえる笑い声の正体を問う「黒鋼」に「島に住む亡霊達の声」と答える「タンバル」。今、「ラゴスタ号」は「亡霊の島」へと舵を向けています。
「・・・先祖から語り継がれてきた教えでな。あの島には恐ろしい亡霊が住んでいるから、決して上陸してはならないと語り継がれている。・・・この国で生きている我らには、先祖からの教えに逆らうわけにはいかんのだ」
※先祖代々の教えに逆らえないのは「この国で生きている」人達だけですよね。・・・ということは、救出メンバは決まったも同然。(^^;)。
「疲れていませんか?」
その言葉に「ええ」と答えた後、「はい」と言い直す「藤隆」。すると「小狼」は歩いていた足を止めて「藤隆」の方を見やります。
「敬語は止めませんか?・・・俺の方は構わないよ」
今度は「うん」と頷く「藤隆」。ふたりの心の距離は一挙に近づいていきます。
---
「これは・・・」
目の前の遺跡に「亡霊だ」と声を大きくする「藤隆」。2メートル以上はある遺跡は、片手をあげた人の姿に見えます。
「この島にも、かつては人が住んでいたんだね」
「それじゃあ・・・あれって、島の地図?」
遺跡の丁度胸の辺りに刻み込まれた地図らしい記号、そしてその下に掘られた文字を「小狼」は注意深く読み進めていきます。
「神の息吹を・・・恐るるなかれ。神の歌声、聞こえる間は・・・道は開かれる。・・・真に恐れるべきは長きもの・・・。ここから先は読めないな」
以前勉強していた文字と似ていると、すらすら読み上げる「小狼」。そしてその地図が山頂への最短ルートを示していることも、彼は見抜いて見せます。
※父親「藤隆」について回った子供のころの記憶。「小狼」は「藤隆」の知識を学習し、しっかりと勉強してきたようですね。
「これが・・・亡霊の正体?」
巨大な風穴へと辿り着いた「小狼」と「藤隆」。そこからは海で、そして海岸で聞こえたあの謎の笑い声が響き渡っていました。
「そうだよ。今聞こえているのは、さっきの遺跡に刻み込まれていた神の歌声なんだ」
そして間もなく、激しい突風がふたりを襲います。身体をかがめて、突風から身を守る「小狼」と「藤隆」。
「・・・今のが神の息吹。皆が亡霊だと恐れていたものの正体だったんだ」
島の反対側に来ているであろう「ラゴスタ号」に辿り着くため、突風が吹き荒れる風穴へと進み行くことを決める「小狼」。突風を恐れる「藤隆」に、彼は遺跡の言葉を聞かせます。
「神の息吹を恐るるなかれ。神の歌声聞こえる間は、道が開かれる」
その言葉にようやく謎が解けた「藤隆」。彼の顔に笑顔がこぼれます。
「そうか!・・・この歌みたいなのが聞こえている間は、安全なんだね」
---
やはり島への上陸を実行するのは「黒鋼」、「ファイ」、「サクラ」、そして「モコナ」でした。手こぎのボートを借りて島へと向かう「黒鋼」達の行方を見守る「タンバル」。
---
「行くぞっ!」
神の息吹が止んですぐに風穴へと走り込む「小狼」達。昼間とはいえ日の差さぬ風穴は薄暗く、出口付近で「藤隆」は石に躓いて転んでしまいます。
そして神の歌声が今、終わろうとしていました。
走る、走る、走るふたり。
まさに間一髪。風穴を飛び出た「小狼」達の後ろで、神の息吹が唸りを上げていました。
※島の両端を行き来する近道、そこを通過する際の注意事項が書かれていた遺跡。もともと住んでいた人達の「立て看板」として利用されていたのでしょうね。
「生きとった・・・ふたりが生きとったぞっ!」
望遠鏡で「小狼」達の生存を発見した「タンバル」。その声は海上を進む「サクラ」達の耳にも届きます。
「見てみて、ふたりとも無事だよっ!」
安心して大声をあげる「モコナ」。それに反応したのか、海を割って巨大なウミヘビが姿を見せます。手こぎボートを一呑みできそうな巨大な口を持ち、全長数十メートルの巨大なウミヘビ。しかし、ウミヘビが襲いかかったボートには、居合いの達人「黒鋼」が乗船していました。
「へっ・・・てりゃあぁっ!」
気合一閃。水しぶきをあげてウミヘビへと襲いかかる見えない軌跡。その先端はウミヘビをとらえ・・・
---
「真に恐れるべきは長きもの。・・・遺跡に書かれていたのは、あのことだったんだ」
山頂から見下ろす「小狼」は冷静にウミヘビの正体を分析していました。彼が守るべき「サクラ」の乗るボートに襲いかかった怪物。しかし、その船には信頼する仲間達が乗船しています。そして仲間達は今まで一度も、「小狼」の期待を裏切ることは無かったのです。
※悪・即・斬。昔に読んだ「るろうに剣心」というマンガの「斉藤一」を思い出しました。見事な居合いです。(^_^)。
「確かに亡霊の正体は風だったかもしれん。でもワシはそのことを秘密にしようと思う。・・・海は広いからな、ひとつぐらい不思議なことがあって良いだろう。・・・助けが遅れて済まなかった」
頭を下げる「タンバル」に「いいんです」と返す「藤隆」。彼はこの経験で、得るものがあったようです。
「・・・船長のおかげで、探しているものが見つかりましたから」
そこへ、服を着替えた「小狼」達が別れの挨拶に訪れます。
「何を言っておる? ここは海の上だ」
見やる「タンバル」の前で、光り輝く「モコナ」。次元跳躍の技が周囲を明るく照らします。
「こ・・・これは・・・」
声を失うほど驚いた「タンバル」の隣で、光に包まれる「小狼」を見やる「藤隆」。
「小狼・・・僕見つけたよ。大人になったら僕・・・考古学者になるよ」
その言葉に驚く「小狼」。しかし、彼は知っています。同じ魂を持つ父親が素晴らしい考古学者になったことを。
「君ならなれるよ・・・絶対に。・・・・・・・・・さようなら、父さん」
そして彼らは、再び「サクラの羽」を探す旅へと戻ったのです。
いささか後半は駆け足ではありましたが、なかなか楽しい物語でした。同じ声、同じ顔、同じ魂なのに次元により「悪人」だったり「善人」だったりする「タンバル」、そして小狼の父親「藤隆」の(魂をもつ少年の)登場。「サクラの羽」こそでませんでしたが、「ツバサ・クロニクル」の物語としては結構好きなお話でしたね。
さて、次回は珍しい「ファイ」のお当番回のようですが、「ちぃ」・・・もとい「チィ」が登場するようです。これまた楽しみ~。(^_^)。
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第30話「哀しいキセキ」
あらゆる次元を巡る「サクラ」達の旅。しかし、今回は今まで訪れた国へと再度訪れることになります。「モコナ」が「サクラの羽」を検知しわすれたのか、はたまた誰かの策謀か・・・って、バレバレですね。(^^;)。
「次の世界に到着ぅっ!」
春の薫りが漂う草原へと降りてきた「サクラ」達一行。晴天に恵まれた空は彼らの旅を祝福しているかのよう。
「羽を探すのも大事だけど、少しはのんびりできるといいよね。前の世界は何かと忙しかったから・・・」
「ファイ」の言葉に「はい」と返す「小狼」。ドラゴンフライレースに犯人捜し、「飛王」の介入と、確かに前の世界は慌ただしいことばかり。
---
「こちらの狙い通りになりましたね」
「私は確かめねばならぬ。あのキセキの結末を・・・そして命の根源を」
しかし、この次元への彼らの到着は「飛王」達によって操られた結果だったのです。
※「星火」の口ぶりからすると、今回だけ特別に次元の移動に介入したようにも聞こえますが。さて。
「・・・この間の羽は、私が小さい頃に飼っていた『砂ウサギ』と初めて出会ったときの想い出だったの」
「小狼」へと蘇った記憶を語って聞かせる「サクラ」。その言葉に「小狼」は少し複雑な表情を浮かべます。・・・そう、彼の記憶の中で「サクラ」へと「砂ウサギ」を持って帰ったのは「小狼」その人なのです。
---
「遺跡の発掘現場で見つけたんです。ちょっかいを出していたらついて来ちゃって・・・」
父様の発掘へと連れだった「小狼」が持ち帰ってきた「砂ウサギ」。その愛くるしさに「サクラ」は、もうめろめろ。
「ねぇ小狼、このこ私が飼っても良い?・・・大切に育てるから、ねぇ良いでしょう?」
---
ふたりにとっての大切な想い出。しかし、「次元の魔女 侑子」への対価として「小狼自身に関する記憶」を差し出した「小狼」により、「サクラ」の記憶の中では誰に貰った「砂ウサギ」なのかは空白のまま。
※「xxxHOLiC」をテレビで放映している今、彼女自身の欲望として「小狼」に関する記憶を奪ったのではないと理解していますが、それにしても可哀想な設定です。
「ねぇモコナ、今から侑子さんと話せる?」
「サクラ」の頼みに回線を開いた「モコナ」。別次元に存在する「侑子」の姿が空中へと映し出されます。
「サクラがね、ご用があるんだって」
今から出かける用事があったのか、着替えの準備をしていた「侑子」。彼女に向かって「サクラ」は、1着の黒いワンピースを差し出します。
「ホワイトデーのお返しが出来ました。・・・ピッフルワールドにいたとき、知世ちゃんから教わって作ってみたんです」
「モコナ」の隠された能力により、無事に「侑子」の手元に到着した衣服。喜ぶ「侑子」でしたが、男性3名からのお返しについても忘れていません。
【ホワイトデーのお返し要求に対する男性陣の反応】
・「(苦笑いしながら)はい」:小狼
・「(何を考えているのか読み取れない表情で)俺、どんなプレゼントにしようかなぁ」:ファイ
・「(後ろを向いて侑子を睨みつつ)冗談じゃねぇ。絶対、礼なんかしねえぞ」:黒鋼
※三者三様。(^_^)。
「ひとつ、聞いても良いですか?・・・前のピッフルワールドで俺たちのように次元を渡る者に出会いました。それが何者なのか、わかりませんか?」
真剣な顔で問い尋ねる「小狼」に、「侑子」はしばらく考えると、ひとつのヒントのような答えを返します。
「さぁ・・・でもこれだけは言えるわね。次元を越える能力を使える者は、私以外にもいるということ。・・・いずれにせよ、その相手を敵か味方かを見極める確かな目が必要ね」
彼女の言葉に今までの旅を振り返る「小狼」。確かに突然姿を見せた黒い兵隊や、目の前で消失してみせた「星史郎」など彼らの前にも何人か次元を越える者達は姿を見せていました。
---
「侑子」との回線を切断した直後、「モコナ」が「サクラの羽」の存在を感知して騒ぎ始めます。
慌てて場所を移動する「小狼」達の前に姿を見せる紅く点滅する光。そして地面から飛び出した三角錐の中に埋まった「サクラの羽」。ところが羽を取り出そうと「小狼」が剣を振るった瞬間、地面から巨大なドラゴンが出現!・・・なんと、三角錐はドラゴンの角の一部だったのです。
「こんなこったろうと思ったぜ!」
※いや、「黒鋼」。ここまでの展開はちょっと・・・。だいたいどうして地面の中にドラゴンが埋まっているんだ! (突っ込んだら負け。
「あの人は!?」
ドラゴンを囲み、縄を投げる一員に「空汰」そっくりの青年を見つける「小狼」。ドラゴンの攻撃を受けて倒れた彼を助け起こすと、青年はふたりの姿を見やり謎の言葉を発します。
「君は・・・帰ってきて・・・くれたのか」
その言葉に驚く「小狼」達。しかし、その疑問への解答は「ファイ」が指し示す方向に隠されていました。
「あれは・・・あの時の・・・」
---
第26話「最後の願い」にて姿を見せた「空中神殿」。彼の地へと再び降り立った「小狼」達に、村の長老は話して聞かせます。
「かつて願いの叶う神殿に赴き、命を落とした者達は・・・そなた達が起こしたキセキによって蘇ることが出来た。だが・・・そなた達が消えた後、我らが神から新たな言葉を授かったのじゃ」
『蘇った魂達は次の新月の夜、再び無に帰するであろう』
その言葉に衝撃を受けた村人達。そして今、事情を聞かされた「小狼」達もまた、神の言葉に衝撃を憶えます。
※原作は未見でしたが、いかにもオリジナルぽかった前シーズン最終話。それと連携させるとは今回もまたオリジナルかな。
「まだ希望はある。この人達が帰ってきてくれたんだ。・・・あとは、光る羽を手に入れ、神殿に捧げて彼女が祈れば、きっと新たなキセキが起こるはずだ。そうすれば皆も、そして俺も・・・消えずに済むんだ」
「空汰」の言葉を聞き、村人達への協力を決意する「小狼」。「サクラの羽」を手に入れ、「サクラ」が祈りを捧げた後は、羽を返して貰う約束を村長と結びます。
「・・・それにしても、ひとつの世界に羽が2枚もあったんだね。・・・きっとあの怪物が地面深く潜ったりして、波動が弱かったんだろうねぇ」
---
月を見上げ、自分がこの世界で願ったことを後悔し始めている「サクラ」。それでも、助かった命で新しい生活を送る人達がいます。彼女が本当に誤った選択をしたのか、答えられる人間はこの世界にはいませんでした。
※「モコナ」が見逃す可能性もある。・・・簡単に納得していますが、そうだとすると今までの世界にも他に見逃しがある可能性が出てきます。ちょっと問題のある設定ですね。
「いいかてめえら、俺の言った通りに動けよ」
怪物退治の専門家(?)である「黒鋼」の言葉に従い、ドラゴンを追い詰めていく村民達。あとは彼の合図を待ち、ひとつの仕掛けを作動させるだけです。
「天魔昇竜閃!・・・今だ、小僧っ!」
その一撃に苦しみ、がけの上へと顔をのけぞらせるドラゴン。その角に「空汰」が縄を引っかけ、「小狼」はそれを頼りにドラゴンへととりつきます。
「はあああぁああぁっ!!」
かつて「桜都国」にて手に入れた「緋炎」を振るう「小狼」。剣の師匠である「黒鋼」も認めるその一撃に、ドラゴンから「サクラの羽」を取り戻すことに成功します。
※ふむ、ずいぶんあっさりと。(^^;)。・・・ということはクライマックスは「神への願い」ですね。
既に能力を失い、地面へと墜落している「空中神殿」。その祭壇に供えられた「サクラの羽」の前で、膝をついて祈りを捧げる「サクラ」。
「お願いです・・・消えゆく人達にもう一度、命の力をお与えください・・・」
その願いが通じたのか、響く「神」の声に村人達は「キセキ」の再来を期待します。
『・・・娘よ・・・お前の願いは・・・叶わん。一度失われた命は、決して蘇ることはない。それは、いかなる世界においても揺るがぬ現実』
---
遙か遠く、「謎の世界」にて興味深そうにスクリーンを見やる「飛王」。悲しみも喜びもなく、ただ真剣に彼は別次元の「神」の言葉に耳を傾けていました。
---
「今更何を・・・。現にあのときはキセキが起こり、俺たちは生き返ったじゃないか!」
「空汰」の叫びにも似た問いかけに、「自分の力」ではないと静かに返す「神」。そして「サクラの羽」の力とて、「うたかたの夢」と同じだと「神」は答えます。
『・・・この娘の祈りがひとつになってなされた、だがそれとて短きキセキ』
※「小狼」達の何とも言えない表情が印象的です。こうなる可能性を感じていたのか「小狼」「黒鋼」「ファイ」の厳しい表情。そしてあの月夜、「サクラ」もまたこのことに気がついていたのではないでしょうか。
納得できない。その想いが「神」に向かって武器を取らせます。今にも「神像」へと飛びかからんとする村人に、その肩に手を置いて止める「空汰」。
「みんな・・・止めるんだ」
この場にいる誰もが、心の底ではわかっていました。信じたくはないけれど、理解はしていました。亡くなった命は蘇ることは出来ない。たとえ蘇ったとしても、それは「哀しいキセキ」なのだと。
ゆっくりと吸い込まれていく「サクラ」の羽。その記憶が、彼女の中に吸い込まれていきます。
---
夜中の庭で、石を積む「サクラ」。それは幼き頃の哀しい記憶。「小狼(彼女の記憶では空白)」から譲り受け、大切に育ててきた「砂ウサギ」。しかし、その命が天に召されてしまったのです。
「お父様・・・神官様にお願いして、あのこを生き返らせて!・・・お願い」
様子を見に来た父親に「砂ウサギ」の復活を懇願する小さな「サクラ」。しかし、優しい父親は彼女の願いを叶えることは出来ないと答え、しゃがみ込んで「サクラ」の目線と同じ高さになります。
「・・・失われた命は、二度と戻りはしないのだから。・・・だからこそ、命は尊く、生きることは素晴らしいんだ。・・・それを教えてくれたあのこのことを、決して忘れてはいけないよ」
※「花が美しいのは散ってしまうから」とよく言います。「命が大切なのは儚いから」ともよく言います。しかし、世の理を曲げてまでも「永遠の美しさ」「命の復活」を羨望するのもまた人間。それが「人の性」なのでしょうか。
「別れの夜・・・か」
迎えた新月の夜。最後の別れを惜しむ村人達のなかに「小狼」と「サクラ」の姿もありました。
「力になれず、申し訳ありません」
謝る「小狼」に「感謝している」と答える村人達。「空汰」もまた、「小狼」に礼を言った村人のひとりでした。
「俺がいなくなっても、強く生きるんだぞ」
愛する妻「嵐」との永遠の別れを告げる彼の言葉を、彼女は途中で遮ります。
「・・・違うの。実は私も・・・」
そして、ついに約束の時が訪れました。光の粒子となって、姿を消していく村人達。そして「空汰」も・・・さらに「嵐」も粒子へと姿を変えていきます。
「あなたが命を落とした後・・・私も神殿に行ったの。あなたのことを、生き返らせて欲しいという願いを叶えるために。でも結局は、あなと同じ運命を辿ったわ」
今、別れの時までそのことを隠していた「嵐」。「どうして黙っていたんだ」という「空汰」の言葉に、彼女は「あなたの気持ちを考えたら、言えなかった」と再度謝ります。
「・・・この気持ちをどう伝えたらよいのだろう。哀しいような・・・嬉しいような・・・。言葉にするには、ひどく難しい」
「私は嬉しいわ。・・・あなたと一緒だから」
抱き合い、消えていくふたりの姿を見つめる「小狼」と「サクラ」。そして「モコナ」の「また会おうね」という別れの言葉に、ふたりは驚きつつも返します。
「ええ。またいつか・・・どこかで」
---
「満足のいく結果だった?」
近くにやってきた「星火」の言葉に、その顔も見ないで返す「飛王」。
「・・・こちらが予期していた通りだ」
彼の言葉を聞き、床へと目を向ける「星火」。そこには粉々に砕け散ったワイングラスと、血のように紅いワインがこぼれていました。
ある意味「ご都合主義」「それまでの世界観からかけ離れた結末」という感想も聞かれた第26話「最後の願い」。それに対するスタッフの答えが、今回だったのかもしれません。
確かに「サクラの羽」も万能ではなく、やはり「命は儚く尊きもの」という今回の答えには納得もしますが、ちょっと哀しい話だったのもまた感じたこと。
次回は明るく楽しい「サクラ」達の旅が見られるかな?
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第29話「栄光のゴール」
3回に渡って繰り広げられてきた「ドラゴンフライレース」もいよいよ決着。空中で「龍王」の機体と激突した「小狼」のマシンは果たして助かるのか? 「星火」が送り込んだ謎の人物の正体は? そして「サクラの羽」を手に入れるのは一体誰か?
「ワンコが車体をぶつけてくれたから助かったんだ。でなきゃ今頃・・・」
自らの機体をクッション代わりに「龍王」の機体にぶつけた「小狼」。おかげでふたりとも怪我することなく脱出することが出来ましたが、残念ながらレースはここでリタイア。不安に様子を見に来た「サクラ」に、「小狼」はレースの勝利を託します。
彼の思いを感じとり、再び飛び立つ「サクラ」の機体。そして他の参加メンバも第3チェックポイントへと突入。
優勝候補の「黒鋼」からは大きく離されていた「サクラ」ですが、この第3チェックポイントは不規則な間欠泉をどう避けていくかがポイント。異様に働く彼女のカンにて、次々と間欠泉を避けていきます。
「おーっと、ウイングエッグ号が2位に躍り出たぞぉっ!」
実況の声が鳴り響く中、不満そうな表情を見せるのは「小狼」達がリタイアする仕掛けを作動させたヒゲの男。彼はその場でコンソールを操作し、崖に仕掛けられていた爆弾を「黒鋼」「サクラ」の至近で爆破。
「・・・ちぃっ」
目の前に広がる砂埃のなか、全ての破片を避けきるのは不可能と判断した「黒鋼」。瞬時の判断で機体を「サクラ」にぶつけた彼の機転で、なんとか「サクラ」の機体はリタイアをまぬがれることが出来ました。
「行け!・・・やるって決めたんだろう?・・・行け」
※緊急時に後方を見やり、後続車が巻き込まれないことを確認して「龍王」へと突貫した「小狼」の冷静な判断。目前の爆発に、とっさに「サクラ」だけでもトラップから救い出した「黒鋼」。どちらも格好良すぎですよ。(^_^)。
「これまでのところ、不信な動きをした選手は誰もおりません」
「レースに参加しなけりゃ、優勝賞品を手に入れることは出来ない。だから犯人は必ずこの中にいるはずだ。・・・だが怪しい奴がゼロだということは・・・」
「残(のこる)」、と「笙悟」の報告から外部に共犯者がいると確信した「知世」。彼女の指示で電波の発信記録が収集され、犯人を見えない網で覆っていきます。
---
「・・・それじゃあ、さっきの爆発も?」
一方、既にレースをリタイアした「小狼」と「龍王」も、「EWセンサー」の動きから選手以外の犯人の存在に気がついていました。
「すみません、別の場所に行きたいのですが・・・お願いします」
リタイアした選手を運ぶメディカルスタッフ達に電波の発信源へ向かうように依頼する「小狼」。彼らもまた犯人に近づいていきます。
※優勝候補達をリタイアさせ、探査される危険を冒してでも「サクラの羽」を手に入れたい犯人。しかし、「知世」と「小狼」の包囲網は確実に犯人を追い詰めていきますね。
「・・・どうしました?」
レースのさなか、本部へと駆けつけた「黒鋼」と「ファイ」。「黒鋼」は真剣な表情を浮かべ、「知世」に問い尋ねたいことがあると言います。
「そろそろ本当のことを言え。・・・・・・言え」
彼の瞳に嘘をつくことは出来ないと判断したのか、ゆっくりと口を開く「知世」。彼女の答えには驚くべき事実が含まれていました。
「レースに仕掛けをしたのは・・・私です。・・・と申しましても、細工をしたのは予選の時だけ。レース会場の空域に、私がナノマシンをばら撒きましたの。・・・サクラちゃんに羽を返すために」
彼女の言葉に驚きを隠しきれない「黒鋼」と「ファイ」。なぜ「知世」は「羽」が「サクラ」のものだと知っているのか。
「今から1年前、我が社の発掘チームが海底から羽の形をした不思議なエネルギー体を発見しました。・・・それからしばらくして、ある人からその羽がサクラちゃんのものであるとお聞きしました。でもそれは、不思議な羽のことを公表した後だったのです」
近隣諸国、国内から注目を集めてしまった「羽」。その羽をいくら本人のものだからとはいえ、理由を明かさずに返却することは出来ない。そう判断した「知世」は「羽」をレースの優勝賞品にすることを思いつきます。
「あわせて羽を狙う者達をあぶり出すことも出来ます。・・・しかし、そのことは皆さんを危険に晒すことになります。そこで予選の時にはこちらサイドであたかも不正があったように偽装工作をして、警戒を強めていただいたのです」
必ずレースに優勝すると「サクラ」達を信用しての行動。となると彼女にそれを信じさせた「ある人」が誰なのか、「黒鋼」がさらに追求しようとした時、電波の発信源が判明したとの報告が「知世」へと伝えられました。
「どこです?・・・私の会社!?」
※涼しげな顔で全てを手配して実行してしまう「知世」の能力にあらためて驚かされます。そしてそれを見破った「黒鋼」も、流石に思い人・・・といったところでしょうか。(^^;)。
レース外での動きが激しくなった頃、「ドラゴンフライレース」も終盤へとさしかかろうとしていました。
「この渓谷を抜ければゴールはすぐそこだぁあっ!・・・優勝はスノーホワイト号か、それともスピリット号か・・・いや、ウイングエッグ号が必死で追い上げる!」
3台に絞られたレース優勝者。ゴール手前でトップに躍り出た「サクラ」が乗る「ウイングエッグ号」に対して、またもや伸びるヒゲ男の魔の手。
「・・・次の目標はウイングエッグ号・・・了解しました」
何者かの指示に従い、コンソールパネルへと伸ばされる手。するとそれまではレース上空に待機していた仕掛けの一部、荷粒子ビーム砲を搭載したオパオパ (違 がゆっくりと「サクラ」に向かい照準をセットします。
「ターゲットロックオン。荷粒子ビームパワーチャージ開始・・・ウイングエッグ号、覚悟しろ」
今まさにスイッチが押されようとした時、ヒゲ男の部屋に「小狼」と「龍王」が飛び込んできました。
「止めろっ!・・・お前は・・・」
見覚えのある男の姿。そう「小狼」達を出迎えた「ピッフルプリンセスカンパニー」の社長秘書がヒゲの男の正体でした。
「侵入者を抹殺せよ。・・・どうだ動けまい。そこで仲間の最後を、指をくわえて見ているがいい」
天井より降りてきたビーム兵器の攻撃に、入り口に釘付けになる「小狼」と「龍王」。こうしている間にも「サクラ」の身に危険が迫ってきています。
「俺が囮になる。・・・さっきの借りを返さないとな」
「小狼」に笑顔を見せる「龍王」。危険を顧みず通路へと飛び出した「龍王」にビーム兵器の照準が向けられます。彼を撃たせるわけにはいかない・・・その隙をついて飛び出した「小狼」の蹴りがビーム兵器の破壊に成功!さらに勢いを止めず、「小狼」はコンソールスイッチを押そうとするヒゲ男に飛び蹴りを炸裂!
・・・間一髪、スイッチに伸びた手は、「小狼」の蹴りにて防がれました。
※もともとは「防犯設備」のビーム兵器を使い、「小狼」達を殺害した後は「侵入者に対しての正当防衛」を言い張るつもりだったのでしょうか。酷い男です。
「そこまでです」
明かりがつけられた部屋に、銃を持った「ピッフルプリンセスカンパニー」の警護隊が駆けつけます。計画失敗を悟り、その場にしゃがみ込むヒゲ男。
「姫・・・後は頼みます」
---
「ゴールは・・・どこ?」
目前に広がる滝に一度足をとめる「サクラ」。しかし、すぐに彼女は滝の奥から吹き付ける一陣の風に気がつきました。
「モコちゃん、捕まっていて」
滝の向こうに、僅かに広がる崖の隙間。その道へと機体を滑り込ませる「サクラ」。走り抜けたその先は「ゴール」への唯一の道でした。
「・・・GOOOOOOL!!」
実況の絶叫に、勝利を喜ぶ「サクラ」と「モコナ」。スクリーンで見つめていた「知世」や「ファイ」、そして「小狼」達もその勝利に喜びます。
「でもまだ終わっていない。犯人は・・・もうひとりいる」
※これで犯人がトップ3に入っていなかったら笑うのですが。
「それではこれより、表彰式を執り行います」
夜。レース後の表彰式に集まる本選出場者達。スポットライトが当てられるのは、もちろん優勝者の「サクラ」。
「おめでとうございます」
手渡された錫杖の先には「サクラの羽」が埋め込まれていました。
「ありがとう・・・・・・・・・きゃあっ!」
突如、火の手が上がる表彰会場。倒れ込んだ「サクラ」を「小狼」は助け起こします。
「姫!・・・大丈夫ですか、姫」
衝撃からか、ヒビが入る「サクラの羽」が収められたケース。噴煙の向こうにはひとりの男の姿が見えていました。
「やはり来ましたね」
煙の中から放たれるショックビーム。「龍王」や警護隊が打ち抜かれ、次々に倒れ込んでいきます。
「一時的に気を失っただけですわ・・・早く、羽をサクラちゃんの中に」
所有者が「サクラ」というだけではなく、「羽」が「サクラ」の記憶を司ることまでも知っているかのような「知世」の言動に驚く「小狼」達。その間にも煙の中の男「カイル」は手を広げ、怪しげな能力を発揮。するとケースは砕け、飛び出した「サクラの羽」が彼の元へと飛んでいきます。
「ふっ・・・その羽は私の物。・・・私に攻撃を加えても無駄だ」
言葉通り、まるでホログラムのようにビームを受け流す「カイル」。そして「羽」までもが男の手に渡ろうとしたとき・・・「モコナ」が大口を広げると「羽」をエネルギー体へと変換して吸い込んでしまいました。
「ぱくっ!・・・モコナ108の秘密技のひとつ、超吸引パワーなの」
※「モコナ」大活躍!かつてこれほど役に立ったことがあったであろうか・・・(非道い
「この距離ならシールドは無効です。じきに警察も来ます」
近距離にて囲む銃口に「運がない」と諦めの言葉を口にする「カイル」。
「・・・ジェイド国と同じように、その妙な生き物にしてやられるとは・・・」
「ジェイド国」・・・彼の言葉に一番に反応したのは「ファイ」でした。
「ちょっと待って、今、ジェイド国って言ったよね」
あのとき、雪の降る夜「ジェイド国」で対峙した「カイル」と同一人物であることに驚く「小狼」。その言葉に「カイル」は鼻で笑います。
「異なる世界には・・・同じ顔をした別の人間がいる。けれど、本当に別人かを確かめる術はない。ようく憶えておくことだ」
捨て台詞をはき、空中へと飛び上がる「カイル」。その後ろに別次元への入り口が開くと、彼は吸い込まれるように姿を消していきました。
※「カイル」を照らす複数の照明が、彼の影をいくつも造る。複数の次元に存在する人の存在を示した、細やかな演出です。
「・・・やはりあの人の言ったとおりでしたわね」
そうつぶやく「知世」の言葉に、振り返る「黒鋼」。今度こそと「あの人」を追求する彼の言葉に「知世」は笑顔で答えました。
「知世姫です」
「な、なんだとーっ!」
異世界、「羽」、「サクラ」達のこと・・・全てを教えてくれた異次元の存在。自分と同じ顔を持つ「知世姫」の言葉を「知世」は受けていたのです。
---
「夢に見たあの姫がそんなことを・・・」
複雑な表情で「知世」を見やる「黒鋼」。その「知世」は迷惑をかけてしまったと羽を吸収して寝込む「サクラ」を見やります。
そして「黒鋼」は皆が集まる場を離れ、ひとり外へと向かいました。・・・その行動に気がつき、後を追う「知世」。
「痛みますか?・・・左手です」
「なんでもねえよ。・・・夢の・・・いや、いい」
「サクラ」をかばった際の傷を気遣う「知世」に何でもないと返す「黒鋼」。彼の思いは傷の痛みではなく、もっと別のところにありました。
「・・・夢の中の知世姫はどうだった?」
「お元気でしたわ。あなたのことを話すとき、とても楽しそうでした。・・・あなたなら、本当の強さをきっとわかるだろうから・・・と」
遠くを見つめていた「黒鋼」の瞳が、「知世」自身へと向けられました。その視線に気づく様子もなく、怪我をした左手を両手で優しく包み込む「知世」。
「無茶をせずに、早く治してください」
「・・・魂は同じ・・・か」
小さくつぶやく「黒鋼」の声を「知世」は全て聞き取ることはできませんでした。しかし、再び遠くを見やる「黒鋼」の横に、彼女はしばらく座りこんでいました。
※なかなかに良いムードっぽいような・・・。原作が未読だと、こうしたときの「黒鋼」の心境に今ひとつ踏み込めませんね。追いつかないように1巻ずつでも読んでみようかな?
旅立ちの時、残念がる「龍王」に「小狼」はあのときのように拳をあわせます。そしてわずか数日の間に親友同士となった「サクラ」と「知世」。
「知世ちゃん、また・・・会えるよね」
「ええ、この国にはまだ次元を渡る技術はありませんが、我が社が必ず造ってみせますわ。だからきっと・・・またお会いできます」
そして横を向いたまま、「知世」に対して口を開く「黒鋼」。
「夢で知世姫に会ったら伝えてくれ。・・・必ず帰る・・・とな」
彼の言葉に「はい」と返事する「知世」。その返事に「黒鋼」は瞳だけを「知世」に向けると、「ふっ」と笑うのでした。
---
「直接の介入も無駄だったようだな。・・・あるいは当然の結果と言うべきか」
謎の世界。「飛王」の言葉に興味もないように静かに聞いている「星火」。彼女の考えは既に次の段階へと進んでいるようです。
「例の場所に・・・彼らを行かせるつもりですか?」
「あの奇跡の行く末を、是非にも見届けなければならないからな。さあ、奴らをあの地に落とせ」
見つめるスクリーンの向こうでは巨大な城と、大きな満月が輝いていました。
なかなかに上手くまとめられていました。特に後半の演出と展開は、見ていて非常に心地よかったです。さて来週はどうやら第1シリーズにて訪れていた国の様子。「哀しいキセキ」とはちょっと先行き不安ですが、果たしてどの国が彼らを待ち受けるのでしょうか。
・・・ところで、今までの行き先も「飛王」が決めていたのかな?
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