フルメタル・パニック!TSR_TV13
Scene13「つづく日々」
最終回ということで、オープニング曲無しで始まります。
戦士としての本能か、「ガウルン」の自爆を回避した「相良宗介」。
「・・・千鳥・・・千鳥が・・・死んだ・・・」
彼の頭の中には、「ガウルン」が「殺した」と告白した「千鳥かなめ」の映像が次々に廻っていきます。
喪失感によって支配される「宗介」の心。目の前に「ミスリル」の同僚が立っているのも目には入りません。
「宗介、悪いけどつけさせてもらったよ・・・マオ達がベノムと交戦中だ。・・・ここにアーバレストが射出されてくる・・・すぐに行ってくれ」
※いつから?どこから?つけていたのでしょうか。彼らにそれらしいチャンスがあったとも思えませんが・・・。
言葉は耳に届いても、頭がそれを処理することを拒む・・・。今の「宗介」に取っては「メリッサ・マオ曹長」や「クルツ・ウェーバー軍曹」達、仲間の戦闘も、それによる生と死の選択も自分には何の関わりもないかのようです。
「死んだ・・・奴の呪いだ・・・千鳥を死なせ・・・自分を殺させ・・・あとは俺に何が残る?・・・未来など元から無かった。勝手に殺し合え、勝手に死ね・・・単なる肉の塊だ・・・人間など・・・」
別に「マオ」達だけがどうでもいいのではなく、「自分を含めて」人間の生死に興味が持てなくなった「宗介」。たとえ目の前に拳銃を突きつけられても、目の前に「アーバレスト」が降ってきても、彼の気持ちには何の変化も訪れません。
「・・・無様だな・・・あんなものを送りつけても無駄だ。・・・どうせ俺はあれを使えない、使う気もない。・・・そのままそこで朽ち果てろ」
「アーバレスト」に背を向け、歩き出す「宗介」。もはや彼の足を止めるのは、仲間でも、「アーバレスト」でも、生者すべてに叶わないこと・・・。しかし、その足はたったひとりの女性の声で止められました。
「・・・どこ行く気?」
※前回の「テレサ・テスタロッサ大佐」の準備が間に合ったというわけですね。
「どこ行く気かって聞いているのよ?」
闇の向こうから自分へ向かって歩いてくる女性。その声にまともな返事を返すことのできない「宗介」。夢か幻か・・・ついに幻覚を見るようになったのか・・・そう思ってはいても、彼はその声に「希望」を確認せざるを得ませんでした。
「千・・・鳥・・・生きていたのか?」
そして、その言葉は鮮烈な衝撃を持って彼に事実を確認させます。
「・・・ぐはっ!」
質問の答えに真空飛び膝蹴りを喰らわせてくる女性を「宗介」は一人しか知りません。地面へ勢いよく倒れた「宗介」へ機関銃のように喋りまくる彼女の名前は、そう「千鳥かなめ」。
「・・・ええっ!・・・散々苦労してここまで来たっていうのに、あたしさっきまでドドーンとドラマチックなノリで胸に飛び込むのもやぶさかでない気持ちだったんだけど、それが何?『・・・生きていたのか』だって!・・・マジむかつく。本当、そういう気無くなった。・・・あんたどうしてくれるの、この責任、どう取ってくれるわけ?」
何がなんだかわからない「宗介」が口を挟もうとするたびに「心の痛み」「身体の痛み」「魂の痛み」3連コンボをかましてくる「かなめ」。
※がらっと雰囲気が変わりましたよ~。今までの鬱憤を一気に晴らす「かなめ」のコンボは、こちらの気持ちも晴らしてくれました。(^^;)。
「・・・連れ戻しに来たのよ。死にそうな目にあって、色々考えて・・・ちゃんと言おうって決めてきたの・・・つまり、あたしはあんたのことが・・・あんたが・・・その・・・だから・・・あたしは・・・その・・・が、学級委員だからよ!」
唖然とする「宗介」と顔を赤め横を向き「1日も経つと決意が薄れるのよね」とつぶやく「かなめ」。
「つまり、なんなのだ?」
「ハンターのおじさんから聞いたわよ、マオさん達が戦っているのでしょう?こんなところで何をやっているの!」
とたんに下を向き、言葉も小さくなる「宗介」。
「・・・だが俺はもう・・・動かせないんだ、あの機体を・・・それに俺は君を・・・置き去りに」
「だから力が出ないの?・・・全部放り出したくなっちゃったわけ?・・・私はわかるよ」
「わからない」を何度も繰り返す「宗介」に、先ほどとはうってかわって優しい顔を見せる「かなめ」。
「・・・疲れちゃったんでしょう、言い出せなかったんでしょう?・・・宗介、すごくマジメで気が弱いから・・・それで何もできなくなっちゃったんでしょう?・・・ダメ男、臆病者、ヘタレ、弱虫・・・だけど強い、とっても優しい。駄目な奴だけど、なんとかする。そういう奴だと思っていたんだけど」
頭へ蘇る「ガウルン」の言葉。「弱者は強者に寄生する」「弱い奴らと群れるのは楽しいか?」。それらの言葉は「宗介」が強者の立場にいることを前提としています。しかし「かなめ」が彼を評する言葉は全く逆。
「俺が・・・ダメ男?」
「・・・だって、そうじゃん」
その笑顔が、「ガウルン」による呪いから一気に「宗介」を解放しました。自分が何者なのか考えた「宗介」。その明確な答えを「かなめ」は示してくれたのです。弱い男、ダメ男だからこそ、強くなろうと頑張る。頑張れるときがある。それはどんなときだったのか・・・。
※「かなめ」がここへやって来たとき、絶対無敵の勇者に頼る王女の気持ちも少しはあったのでしょうが、実際は彼女自身も知っていたように「宗介」はひとりの男でした。彼女を守るのに全力を尽くす戦士でしたが、世界を救う勇者ではないのです。
夜明けが、彼の闇の終演を教えてくれていました。一度開いた手のひらを再度握る「宗介」。戦士の休息は終わり、やるべき事は見えています。
「・・・さっさと行って、片づけてきなさい!」
背後にある「アーバレスト」の顔は同じはずなのに、「宗介」を、相棒を呼んでいるようなそんな気がしました。
※Aパート終了。2話+半分を使ってようやく目覚めた「宗介」。最後は主人公らしく「アーバレスト」と暴れて欲しいものです。
「・・・ウルズ1へ・・・敵も疲れてきたはずだ。粘れば必ず勝機が来る」
「夏玉芳(シャ・ユイファン)」が搭乗する「ベノム」との戦闘は長時間に及ぶものでした。「ラムダドライバ」を有する「ベノム」に効果的なダメージを与えることのできない「ミスリル」AS部隊ですが、かなり「ユイファン」にも疲れが見えています。
「・・・手間を・・・取らさないで」
「ウルズ1」のコールサインを持つ「ベルファンガン・クルーゾー中尉」が「ユイファン」に追いつめられたとき、彼の目に信じられない光景がうつります。
「ベノムが・・・5機現れた・・・」
そう、「ユイファン」の始末を目的とした「ゲイツ」操る赤い「ベノム」を含めた5機の「ベノム」が現場へと到着したのです。「ミスリル」のASなど気にもとめない「ゲイツ」は無線をオープンにしたまま「ユイファン」へと指導を始めます。
「・・・予定外の地域で好き勝手に暴れてくれちゃって・・・戦争の発生は計画的にしないとダメダメ・・・だから・・・こういうのは非常に困るんだよ!」
「・・・良かったわ。私たちが故郷を失った内戦にもアマルガムがかんでいたそうね。あなた達に復讐できるのなら、私も妹も本望よ」
その言葉を聞いた「ゲイツ」は「ユイファン」の妹「夏玉蘭(シャ・ユイラン)」の遺体を取り出し、「ベノム」にて弄(もてあそ)びます。まるで人形ごっこを楽しむ子供のように両手を掴んで乱暴に振り回す「ゲイツ」。仕舞いには「ユイラン」の腕が折れてしまいます。普段は冷静沈着な「ユイファン」ですが、流石にこの行動には切れました。
「貴様っ!」
※死体を冒涜するとは・・・。感情を高ぶらせた方がくみやすしという判断でしょうが、「ゲイツ」許すまじですね。
飛びかかってきた「ユイファン」に対し、「ラムダドライバ」のシールドを全開にして対応する「ゲイツ」。機体の能力か操縦者の腕か、やはり「ユイファン」に疲れがあるのか、空中戦の末に「ユイファン」の腕はもがれ、地面へと叩きつけられたあとはコクピットを粉砕されます。
「青いんだよぉ・・・消し飛べっ!」
最後、妹の亡骸へと手を伸ばした「ユイファン」でしたが、次の瞬間には機体ごと吹き飛び、現世からその姿を消すこととなりました。
「あぁ・・・すっきりした。・・・そこの君、ミスリルの兵隊だな・・・今日は元々用がなかったんだが、運が悪かったね」
「クルーゾー」の機体へと照準を合わせる「ゲイツ」。彼の機体は「ユイファン」の攻撃で逃げることもままなりません。
「お祈りは済んだかな・・・では、ごきげんよう」
もう駄目かと思われたその時、「ゲイツ」の装甲へと一発の銃弾が着弾します。
「誰が撃った・・・ウェーバーか?」
「俺じゃねえよ・・・でもって、ようやくおいでなすったわけだ・・・しかもこのタイミング、美味しすぎじゃねえのか?」
※真打ち登場~キタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!
「ウルズ7より各位へ。待たせて済まなかった。あとは俺に任せてくれ」
「ラムダドライバ」による長距離射撃を命中させた機体、そう、「宗介」の「アーバレスト」がついに到着したのです。「アンドレイ・カリーニン少佐」による「好きにやれ」との指示を受けた「宗介」。ひとつ大きく息をつき、1機VS5機の不利な戦闘を開始しました。
大ジャンプからの落下中に「ゲイツ」の銃撃を「ラムダドライバ」によるシールドで防ぐ「宗介」。彼の照準は別の「ベノム」へと向けられます。
「・・・まずは一機目」
放たれた弾丸は「ベノム」の「ラムダドライバ」シールドとぶつかります。両者ともシールドを展開しますが、今の「宗介」の一撃は今までになくとぎすまされ、集中したものでした。間もなく弾丸は相手「ベノム」のシールドを突破し、わずか一発でその機体を粉砕します。
「バカなっ・・・あんなことが!」
「ゲイツ」も驚愕する性能を発揮する「宗介」の「アーバレスト」。彼の銃撃は2機目、3機目と「ベノム」を粉砕し、「ゲイツ」のシールドをも突破します。
「ちきしょぉっ!」
その目の前で4機目の「ベノム」が破壊されるのを見た「ゲイツ」は、勝ち目無しと判断したのか「クルーゾー」のASを人質に取る作戦へ変更。
※あっという間・・・「ゲイツ」以外の操縦者は喋る暇無しです。(^^;)。
「来るな・・・来るな来るな来るなっ・・・操縦者を殺すぞ・・・動くなよ・・・どういうことだ、ミスリルのラムダドライバは不安定じゃなかったのか・・・その強さはなんなんだっ・・・貴様・・・いったい何者なんだ!」
動転している「ゲイツ」に対し、その歩みを止めない「宗介」
「俺か・・・知りたいなら教えてやろう。ミスリルなんぞはどうでもいい。俺は東京都立陳代高校2年4組、出席番号41番、ゴミ係兼傘係の・・・相良宗介だあぁっ!」
右手へと「ラムダドライバ」を集中させた「宗介」はその拳を人質となっている「クルーゾー」のAS直前で止めます。そして、次の瞬間、シールドと同様のエネルギーが「ゲイツ」を包み、内面に向かって一気に力を解放してゆきます。
「ふぅっ・・・ちょっと短かったかな・・・」
負けを、死を悟った「ゲイツ」は普段通りの落ち着きに戻りました。機体とコクピット内へ溢れる「ラムダドライバ」の蒼い光。その光はやがて七色へと変わり、シールド外の「クルーゾー」のASには傷ひとつ負わせることなく、「ゲイツ」の肉体と機体を完全に消滅させました。
※まるで中国拳法の発勁(はっけい)を見るかのような気の動きをASでやってのけた「宗介」と「アーバレスト」。恐ろしい破壊力です。
「・・・自分の力を信じろとは言ったがな・・・こいつはやりすぎだぞ、軍曹」
「クルーゾー」の言葉に「失礼」とだけ返す「宗介」。戦いが終わり「宗介」は帰還の報告を行います。
「ウルズ7より全ユニットへ。ベノムはすべて撃破した。これよりトゥアハー・デ・ダナンへ帰還を・・・訂正、これよりウルズ7は次の任務にうつる。アーバレストは置いていくので勝手に回収してくれ・・・彼女が待っている。以上、交信終了」
彼の帰るべき場所、それは「ダナン」ではなく怒りっぽい彼女「千鳥かなめ」の元です。「マオ」や「クルツ」は理解し、「クルーゾー」は意味がわからず、「リチャード・マデューカス中佐」は頭を抱え、「テッサ」は少し寂しそうな表情をする、彼女はそんな場所でした。
一方、遠隔から今回の戦闘を見ていた「レナード・テスタロッサ」は誰かと携帯電話で話していました。
「・・・誰も予想しない結果になりましたよ。あの機体のポテンシャルは無視できませんね・・・えぇ、彼女が力を与えている、あの兵士と、あの芸術品を」
※彼女=「千鳥かなめ」、兵士=「相良宗介」、芸術品=「アーバレスト」・・・でしょうね。
「このような脅迫じみたやり方で我々に反抗するとは・・・私はかつてこれほどの怒りを感じたことはないぞ軍曹」
「ミスリル」の情報部長「アミット将軍」の言葉が響き渡る、ここは「メリル島」での立体絵像による多地点会議。
「・・・将軍閣下、自分は契約内容の変更を提案しているだけであります。もしこれがお気に召さないようでしたら、自分は違約金を支払い、この隊を去るのみです」
今回、「宗介」は「テッサ」や「マデューカス」、「カリーニン」達と共に会議へと参加していました。「宗介」の提案に憤る「アミット」。
「よくも言えたものだな、軍曹。この私を敵にまわして思い通りの生活が送れると思っているのかね」
「アミット」の言葉に「その覚悟がないと思っているのですか」と一歩も退かない「宗介」。
「・・・いいですか将軍、・・・俺はミスリルに魂まで売った憶えはない。俺は俺なりのやり方を貫かせてもらう、それだけだ。これからもアーバレストには乗ってやる、あの学校にも通わせてもらう、これまで通りにな。しかもギャラは半分でいい、それに何か不満が?」
「宗介」の提案を階級差で蹴ろうとする「アミット」に「俺は只の傭兵だ。そういうセリフは自分の飼い犬に言うことだ」と返す「宗介」。一触即発の事態を変えたのは「マロリー卿」の言葉でした。
「・・・はっはっはっ・・・君の負けだよ将軍。貴重な技能を持つSRT要員が半分のギャラで働いてくれると言っているんだ。怒る理由はないだろう。そうは思わんかね、諸君」
あたりを見回す「マロリー卿」ですが、特に反対意見は上がりません。
「・・・他に意見はあるかね・・・そういうことだテスタロッサ大佐。癖のある部下ばかりで苦労しているようだな」
「いいえ、私の部下は最高です」
「それから軍曹・・・お前の名前は覚えておこう。この議題はこれまでだ。では諸君、ごきげんよう」
散会する会議。とにもかくにも「宗介」はこれまで通りの日常を手に入れたのです。ただひとつ違うのは、命令ではなく、自分の意志で。
「・・・まだ言ってなかったですね。あのときはごめんなさい・・・私、立場を忘れて、たぶん甘えちゃってたんですね・・・でも、だから・・・私たち、まだ友達ですよね・・・」
会議場に残ったのは「テッサ」と「宗介」のふたりだけ。ここで「テッサ」に問われた「宗介」は悩み、考え、ひとつの決意で返事を返します。
「・・・大佐殿・・・もし自分を友人だと認めてくださるのなら、少々ぶしつけな発言を許して頂けるでしょうか・・・。テッサ、いつもすまない。君は凄い子だ。君は俺にとって只の上官なだけじゃなく・・・その、もっと大切な人なんだと思う。何かあったら必ず力になる。それだけは憶えて・・・」
「宗介」の言葉に、じっと彼の表情を見つめる「テッサ」。彼の決意もここまでが限界でした。「本心です」と離して立ち去る「宗介」。そして、彼の言葉を聞いて身もだえるように喜ぶ「テッサ」。
「テッサ・・・テッサ・・・テッサだってぇ~やだどうしよう・・・大切な・・・キャァッ」
勢い余って転ぶ「テッサ」ですが、きっと痛みなど感じてはいない彼女でした。
※「テッサ」可愛い・・・。萌え~。(^_^)。
戻ってきた日常。未だ「レイス」に監視され(ちょっとした嫌がらせを受け)る日々ではありますが、「かなめ」の言葉と同じ「いつも」通りの日々。様々な誤解を受けつつも「相良宗介」は「千鳥かなめ」を守り、日常に軽いトラブルを巻き起こしていくことでしょう。
---
「そういえば、香港で会ったとき、何か言いかけていたな・・・あれはなんだ?」
「ああ、あれはね・・・何でもないの」
-終了-
今回のストーリーによって「相良宗介」と「千鳥かなめ」の距離は縮まりました。制服の袖を軽く握るほどの関係かもしれませんが、それは明らかな進歩です。これからのふたりに色々と期待しつつ、次回アニメ化を待ちたいと思います。ではでは~。(^_^)。
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